福岡市議会議員・山口つよし

平成19年~20年

◯36番(山口剛司)登壇 皆さん、おはようございます。朝一番でございます。元気いっぱい質問をさせていただきます。
 私は、公明党福岡市議団を代表いたしまして、高齢社会における住宅と交通に関する地域コミュニティーについて、リサイクルシステムについて、そして、学習指導要領の改訂に伴う本市の準備と通学路の整備について質問をいたします。行政当局の前向きの回答を期待いたします。
 我が国は平成17年に、有史以来初めて人口減少時代に突入しました。福岡市では全体として人口は増加しているものの、高齢化の波は当然押し寄せております。全国各地で今後どのような対策を打つのかが極めて重要な課題であると言えます。そこで、今後の本市のコミュニティーのあり方、まちづくりのありようについて先進事例を学んでまいりましたので、種々御提案を含め、質問を行います。ただし、このテーマは本当にたくさんの角度から論じられますので、今回は移住、住みかえについて、主要駅と住宅団地を結ぶ公共の足についてお尋ねしてまいります。
 昭和40年代には、人口増加に伴い、本市でもさまざまな場所で造成工事や宅地開発が進められてきました。その当時入居された世帯は、現在、現役を引退された方々が多くなっています。子ども世帯と同居されていれば別ですが、老夫婦のみで生活されている場合は、家が広過ぎたり、また、段差が室内にあったりで、不自由な生活を余儀なくされている場合があります。高齢で自家用車を手放されると、買い物に行くにも、病院に通うにも不便です。このような地域にお住まいの方たちには、すべて歩いて行動できる地域に移りたいというニーズがあります。一方、子育て世代は部屋数の多いところに移りたいが、予算が足りなくて引っ越せないといった方たちもおられます。福岡県は、あんしん住替え情報バンク事業を始められました。
 そこでお尋ねいたしますが、この事業の概要と利用者数をお示しください。また、本市はこの事業に何か関係してあれば、それもあわせてお示しください。
 次に、コミュニティーバスなどに代表される住宅地と交通駅との結節の方法についてお尋ねしてまいります。
 今回取り上げている点は、これまでの市議会で路線バスの廃止について、たびたび取り上げられました志賀島の交通手段や糸島地区のバス運行など、大きく重要な路線の整備という問題ではありません。それこそ、車で移動すると5分程度ですが、歩いてとなると30分も40分もかかるような住宅地と交通駅との交通手段です。高齢化が進んでくると、住民の足は本当に限られてきます。移動に際し、いつもタクシーなどを利用するわけにはいきません。そうなりますと、自宅から余り外に出ない人がふえることになります。健康の面からも心配です。
 そこで、まずお尋ねしたいのが、このような身近な交通手段について、行政内で研究会なり勉強会なり、どう取り組んでいくかなど議論されていますでしょうか、お尋ねいたします。また、全国の事例を検討されたことがあれば、あわせてお示しください。
 次に、リサイクルシステムについてお尋ねいたします。
 本市のごみ対策で当局から発表されたごみ減量目標は、平成27年度、62万トンの目標数値に対し、平成19年度はごみ要処理量63.8万トンとなり、目標に近づいております。市民のごみ減量に対する意識が向上しているのと、当局で積極的に啓発、実行された結果だと評価したいと思います。一方、資源ごみのリサイクルは19年度、22%と、ここ数年は同レベルの現状です。今後もごみ量自体を削減するために、資源ごみのリサイクルにもっと力を入れる必要があると考えます。
 そこで今回は、資源ごみの中でもペットボトルと携帯電話のリサイクルについてお尋ねしてまいります。まず、本市のペットボトル回収量はどのように推移していますでしょうか。19年度と空き瓶、ペットボトルの回収が始まった12年度と対比してお示しください。
 次に、不要になった携帯電話等の回収についてです。レアメタルの再利用を促進しようという機運が、資源のない我が国で高まってきています。福岡県は本年7月に産学官の研究会を立ち上げ、再利用について検討を始めました。本市ではどうでしょうか。何か取り組みをされようとしているのか、お尋ねいたします。また、各自治体で携帯電話の回収ボックス等を設置し、回収の取り組みを始めたとの話をよく聞くようになりました。本市はまだそのような取り組みをされてはいませんが、どのような考えをお持ちか、あわせてお尋ねいたします。
 次に、学習指導要領の改訂に伴う本市の準備と通学路の整備についてお尋ねいたします。小学校において、今後、学習内容に大きく変化がある点と児童生徒が安全に登下校できるのか不安がありますので、以下、質問を行ってまいります。
 まず、平成23年度に予定されている学習指導要領の改訂に伴う本市の準備についてお尋ねいたします。今回の改訂は、前の改訂と何がどのように変わるのか、簡潔にお示しください。さらに、小学校高学年において外国語のカリキュラムが加わるということですが、文部科学省では外国語活動に対してどのようなねらい、目的等を考えているのか、お尋ねいたします。また、この改訂では、全国学力調査が参考にされていると聞いています。19年度と20年度に実施された学力調査では、本市は全国平均点と比較すると、どのくらいのレベルになるのでしょうか。特に、平均より劣っている分野があれば、あわせてお示しください。
 次に、通学路の歩道の整備について伺います。これまでの道路特定財源は、国においてさまざまな議論があり、21年度からは道路以外にも使える財源となるようであります。本市において都市計画道路の整備率は平成19年末で71.4%となっていますが、依然として交通渋滞に対する市民の不満は高く、平成17年度に策定されている福岡県新渋滞対策計画にもあるとおり、今後も総合的な渋滞対策が望まれているところです。また、本市の歩道の設置割合は、19年の道路統計年報に記載されておりますが、現状は24%で、76%が未整備の状態です。本市はまだ公共インフラ整備が必要な都市と言えると思います。
 そこで今回は、歩道の中でも学校の通学路に関する整備についてお尋ねいたします。まず、本市の通学路の全延長は何キロメートルで、そのうちどの程度歩道が設置されていないか。さらに、学校から半径1キロメートルの範囲で多くの児童が通う、例えば、交通安全事業法で定める1日40人以上の児童が通う通学路の場合、未整備はどの程度あるのかお尋ねいたします。
 以上で1回目の質問を終わり、2回目以降は自席にて行います。

 

◯議長(川口 浩) 松本住宅都市局長。


◯住宅都市局長(松本法雄) まず、あんしん住替え情報バンクの事業概要についてのお尋ねでございますが、この事業は、高齢者世帯等の住みかえの円滑化と住みかえた後の空き家の有効活用の手助けを目的に、本市を含めた県内を対象として、福岡県が実施している事業でございます。住みかえを検討している世帯が、現在住んでいる住宅を売買または賃貸の物件としてバンクに登録することにより、住みかえや持ち家活用を支援するもので、本市は公的機関や各業界団体等で構成される住宅市場活性化協議会の一員としてバンクの設立、運営等に参画し、施策の推進を図っているところでございます。利用者数につきましては、平成16年10月の事業開始以降、平成20年11月末現在で福岡県内の相談世帯数は1,802世帯で、そのうち実際に住みかえが確認できたものは163世帯と聞いております。
 次に、身近な交通手段についてのお尋ねでございますが、本市では平成17年度に公共交通に関する調査を行い、バス停や鉄道駅から1キロメートル以上離れた地域を公共交通空白地と位置づけ、バス路線の休廃止対策に取り組んでいるところでございます。また、バス停からおおむね500メートル以上離れ、鉄道駅から約1キロメートルを超える地域を公共交通不便地と位置づけ、地域特性に応じた公共交通機関のあり方について検討を進めているところでございます。また、全国の事例を検討したことがあるかというお尋ねでございますが、本市の施策の参考とするため、全国の自治体のさまざまな事例について調査を実施しておりますが、政令指定都市におきましては、横浜市の地域交通サポート事業、神戸市の住吉台くるくるバス、広島市のやぐちおもいやりタクシー、北九州市の枝光やまさか乗合タクシーなど、地域が主体となって乗り合いタクシー等の事業が運営されている事業がございます。以上でございます。

 

◯議長(川口 浩) 吉澤環境局長。


◯環境局長(吉澤 温) 本市のペットボトルの回収量につきましては、平成12年度が1,839トン、平成19年度が2,702トンとなっております。レアメタルの再利用化の検討につきましては、福岡県が設置いたしましたレアメタルリサイクル産学官連絡会議にオブザーバーとして参加しております。そこで情報収集を行っております。この連絡会議では、レアメタルのリサイクルの事業化についての課題や可能性について検討を行うとともに、産学官関係者への情報提供や意見交換が行われております。また、他都市におけます携帯電話の回収につきましては、本市の施策を検討する上でも貴重な実験例であり、課題や効果など調査、研究を重ねていく必要があると考えております。以上でございます。

 

◯議長(川口 浩) 山田教育長。


◯教育長(山田裕嗣) 学習指導要領についてのお尋ねでございますが、今回の小学校における学習指導要領の改訂につきましては、基礎的な知識、技能の習得と思考力、判断力、表現力をバランスよく伸ばしていくために、国語、社会、算数、理科、体育などの授業時数が6年間で約1割増加し、教育内容の改善が図られております。具体的な改善の内容といたしましては、国語を初め各教科などで言語の力をはぐくむことや理数教育の充実を図るとともに、小学校の5、6年生で英語を中心とした外国語活動が新たに導入されております。
 次に、小学校外国語活動のねらいや目的などについてでございますが、小学校外国語活動は、平成23年度より第5、6学年それぞれで年間35時間実施することとなっております。目標につきましては、外国語を通じて言語や文化について体験的に理解を深め、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、外国語の音声や基本的な表現になれ親しませながら、コミュニケーション能力の素地を養うことが示されております。内容につきましては、外国語を用いて積極的にコミュニケーションを図ることや、日本と外国の言語や文化について体験的に理解を深めることが示されております。
 次に、平成19、20年度の全国学力・学習状況調査における本市の結果と学力の課題についてのお尋ねでございますが、知識、技能の定着につきましては、全国と同程度の結果となっております。また、知識、技能を活用する力につきましても、全国と同程度の結果となっており、国語における書く能力や算数、数学における数学的な考え方などが本市においても課題であるととらえられております。以上でございます。

 

◯議長(川口 浩) 坂田道路下水道局長。


◯道路下水道局長(坂田憲治) 通学路におきます歩道の整備状況でございますが、平成18年度の調査によりますと、学校長指定の通学路は約1,050キロメートルとなっております。このうち歩道の未整備区間は約580キロメートルで、未整備率は55%でございます。また、学校から半径1キロメートル以内で1日40人以上の児童が通う通学路は、約317キロメートルとなっております。このうち歩道の未整備区間は約123キロメートルで、未整備率は38%でございます。以上でございます。

 

◯議長(川口 浩) 山口剛司議員。


◯36番(山口剛司) 2回目の質問に入ります。
 まず、シニア世代の住みかえについてです。局長の答弁では、県に参加しているというお話でありましたが、本市としましては、ほとんど何もアクションを起こされていないように思います。将来のまちづくりを考える上でも大事な点ではないでしょうか。自治協議会等のアンケートに、役員のなり手がいないという項目では59.4%にも上ります。自治会、町内会のアンケートでも67.8%です。この数値にはいろんな理由が考えられますが、担い手となる若手が少ないことも大きな要素だと考えます。
 先日、多摩市の調査に参りました。ここは、昭和30年代に東京ベッドタウン構想で多摩ニュータウンとして造成されました。しかし、5階建ての集合住宅の上層部に住んでおられる高齢者は、エレベーターなどがないために、外出するときなど本当に不自由な思いをしていると伺いました。こうした中、NPO団体が活躍され、国の補助事業でもあった住みかえの相談に乗っておられます。NPOの代表は、地域のつながりをいかにうまくするかという視点に立ち、いいかげんがよいかげんと言われ、4つのルール感覚が大事と言われていました。それは、1、家族づき合い、情けがつき合いの基本です。2、地域づき合い、名刺など肩書が要らず、柔軟につき合うこと。3、ビジネスづき合い、責任を持って効率よくお金を稼ぐこと。4、公共づき合い、お金の価値だけではなく、公正で必要なサービスを提供することです。相談の解決にはマニュアルどおりにはいかなくて、10人の相談があれば、それこそ10通りのやりようが必要であると言われています。この住みかえという事業は、費用対効果を考えるとなかなか難しい。収益を中心に考えると不動産業となってしまいます。また、相談者も高齢者が多く、話のポイントをつかむのが大変で、ベストな相談の受け手はバランスのいい主婦の方がいいと言われていました。よく話を聞いてあげて、ポイントを絞り込む、その能力にたけておられます。その相談内容を後方支援者が判断し、住まいのリフォームがいいのか、移住がいいのかなどを判断され、よい方法を検討するそうです。目的がはっきりとした相談者の場合は、先ほど説明された県の事業で済むと思いますが、今後、10年後、20年先を見ますと、何かしら施策を考えることが必要であると考えますが、御所見を伺います。
 また、地域で困っている主要駅と住宅地との交通手段についてですが、高知県四万十市で実施されている中村まちバス事業を視察してきました。この事業のきっかけは、住宅地と市街地を結ぶバス路線の廃止がきっかけでした。このシステムは、利用者が電話でバス停に行く時間を予約し、運行してもらうフルデマンド式というやり方です。もちろん、実現にはタクシー業界の協力が大きかったと言われていました。運賃は大人が200円です。当初のバス停28カ所が57カ所と増加しました。病院やホテル、スーパーや役所など、市民がよく使う場所に設定されています。これまでの定時運行では、利用者は1日約7人の乗車だったのが、このシステムでは23人と増加したとの説明を聞きました。市民アンケートでも、便利になったと回答した人は95%にもなっています。人口が4万人を切る自治体で行われていることがすごいと思います。今後もこのシステムを続けていくことには困難があると思いますが、市民の足として活動を続けていってほしいものです。
 また、裏を返せば140万人を超える本市では、このようなシステムを全体的に実施するのは難しいと言われるかもしれませんが、エリア限定で実施することの参考にはなるのではないでしょうか。また、徳島県の上勝町での有償ボランティア輸送の取り組みも際立っています。NPO法人の登録運転者がおられ、この方の自家用車を使い、登録された方からの依頼を受け、目的地まで運送するという方法です。これまでの事例はNPOの方たちなどの支援が不可欠でもあります。本市の地域の実情に合ったやり方がないものか、特に区役所の地域支援課職員の方たちには、こういった交通の足として活動している他都市の情報を地域の方々に伝えていただきたい。地域から相談があれば紹介していただきたいのです。
 コミュニティーバスの導入について、先ほど局長から政令市の説明をいただきました。特にさいたま市では、本年度1億5,600万円の予算を準備し、住宅地と区役所を結ぶアクセスを目的として、コミュニティーバスの運行を実施しています。また、本市周辺の市や町でも、コミュニティーバスなどを行政が支援しています。西鉄バスやタクシー協会と協議をうまくされ、運用しています。これらの事例を知っている福岡市民の間では、当然、自分の地域にも何か交通手段として欲しいと思われるのは必至です。これからのまちづくりの視点で、この研究も必要ではないかと考えますが、御所見を伺います。
 次に、リサイクルシステムについてです。
 まず、ペットボトルの回収量が、本市は平成12年と比較して伸びてきているようです。全国でもペットボトルの生産量と回収量について、PETボトルリサイクル推進協議会発表の資料で見ていきますが、平成9年当時、今から10年前ですが、ペットボトル用の樹脂生産量は全国で約22万トンだったのに対し、19年の販売量は57万トン強と、3倍近く増加しています。これは、ライフスタイルの変化が一番大きく影響していると考えられます。一方、回収量の推移を見てみますと、市町村の分別収集量は生産量に対し、平成9年は回収率9.7%で、約2万1,000トンでした。19年は市町村回収が28万3,000トン、コンビニエンスストアやスーパー、駅などのお店などの事業系でボトル回収が11万3,000トンで、合計の回収率は69.2%に上っています。今後も、回収には行政の回収促進のみにとどまらず、事業者にもこれまで以上の協力を求めることが必要です。しかし、回収された後、そのペットくずは中国を初めとする海外へ輸出されたりしています。19年度は36万3,000トンが輸出されています。再生に向け活用されるのであればわかりますが、そのままごみとして輸出され燃やされるのでは大変な問題だと思います。どのように外国で再生されているのか、当局でわかりますでしょうか、お尋ねいたします。今後も処理責任者である行政が、ペットボトルが最終的に再利用されていることを知っておくことが大事であると申し上げておきます。
 ここで、別の視点ですが、ペットボトルを回収事業者に処理してもらうのに、これまでお金を支払っていたのが、最近では資源ということで販売に変わり、引き渡し量に応じ、福岡市に収入があるということです。19年度ではどのくらいの金額になったのか、お示しください。さらに、その収入はどのような扱いになっているのか、お尋ねいたします。
 次に、携帯電話の回収についてです。先ほどの局長の答弁では、調査研究という段階にとどまっております。しかし、現在は携帯電話の販売店が回収を進めているのですが、各自治体でも回収ボックスを設置するなど協力をしています。九州でも北九州市や水俣市が行っています。これまでの回収の現状は、モバイル・リサイクル・ネットワークの発表によりますと、回収台数は平成13年度の1,300万台をピークに減少傾向にあり、19年度では約半数の644万台までに落ち込んでいます。減少の理由として、電気通信事業者協会が実施したことし5月のアンケート調査では、何となくや、どのように処分したらいいかわからないなどの理由で手元に置かれたままになっていることがわかりました。また、回収ボックスに入れて個人情報が流出したら心配だと思っている人がいるのも事実だと思います。そこで、自治体が市民へ回収の意義の周知徹底や意識向上を図る必要性が出てくるのです。東京都も都内大学構内や地下鉄の駅など、若者や人が集まる場所に専用の回収ボックスを設置し、回収実験をしました。1トンの携帯電話から約400グラムの金をつくることができるのです。これは世界最大の金鉱山、南アフリカの金鉱脈の最大80倍が含まれることを示しています。本市もエコが大事と考えておられるのであれば、他都市のように回収に積極的に乗り出してはいかがかと考えますが、御所見を伺います。本市は、若者率が格段に高い都市です。回収ボックスの設置場所として、地下鉄の主要駅や大学構内など協力をいただいてはいかがでしょうか。積極的な局長の答弁を期待いたします。
 環境局は、回収から再利用の流れに対して、経費がかかるなど不安を抱いておられるかと思いますが、本市では既にこのような回収システムがあります。それは、不要入れ歯回収ボックスです。市役所の1階にも設置されています。市民局長にお尋ねいたしますが、この回収ボックスを設置した経緯及びリサイクルの仕組みや収益金の使い道はどのようになっているのでしょうか。また、本市ではいつから回収ボックスを設置され、現在、何カ所に設置されているのでしょうか。また、これまでの回収の状況及び収益金はどのようになっているのか、さらに今後もこの事業を続けていかれるおつもりか、参考までにお知らせください。
 次に、学力調査に関してですが、本市は全国平均とほぼ同じであると述べられました。また、基礎問題に比べて活用問題、いわゆる応用の力ですが、弱いと指摘されています。全国学力調査に限らず、子どもたちは特に理数系が弱いと言われていますが、本市も同じ傾向であると言うことができます。先ごろ科学技術振興機構と国立教育政策研究所の調査で、小学校の学級担任の半数が理科の指導に苦手意識を持っていることがわかりました。本市では、この理科の学習に対して、学習効果を高めるために理科の支援員を配置されています。この理科の支援員に対し、国からの補助がどのくらいあって、何人がその担当をされているのか。また、この支援員によって学級担任の理科授業に対する負荷がどのように軽減されているのか、お示しください。また、生徒の学習意欲がどのように変化しているのか、お尋ねいたします。
 次に、平成23年度から小学校5、6年生に対し、外国語、とりわけ英語の授業が必修として取り組まれます。市民の皆さんから、外国語活動の授業対策に関して心配の声が上がっています。まず、学校現場からは、教科担任制で英語の教員が新たに配置されるのであればいいのですが、今の学習指導内容に英語の授業がプラスになると、教える準備がさらにふえ、うまくやりくりできるか不安であるとの声を聞きました。保護者からは、果たしてうちの子どもが英語の授業についていけるのか心配だという声。子どもたちからは、兄弟が中学校や高校で英語の授業に苦戦しているのを見て、自分は大丈夫かなという心配があります。また、小学校で英語教員を新たに増員するとなると、その分費用も発生しますが、考え方として、理科支援員と同じように配置ができないものでしょうか。また、授業のこま数が必要と思われますが、今のこま数からどれくらい増加することになりますでしょうか。文部科学省がホームページで、英語教育の習熟度の考え方として英語ノートを出していますが、それを見ますと、大変内容が多いと私は感じました。本市で習熟度はどの程度まで行えばいいと思ってあるのでしょうか。
 以上、これらの心配な点について、教育長、どうか明快に皆さんの不安を払拭する答弁をよろしくお願いいたします。
 また、通学路の歩道に関してですが、道路幅員が7メートル以上あって設置されている割合は約85%に上ります。その反面、幅員が7メートル未満の道路では10%しか整備されていないのが福岡市の現状です。そのうち、1日40人以上の通学児童が通う未整備区間は、学校から半径1キロメートル以内で123キロメートルもあります。さらに、学校から半径250メートル以内で、本当に学校の近くですが、全延長158キロメートル中、未整備区間は57キロメートルもあり、率にして36%になります。ここはしっかり整備が必要です。
 そこで、現在、道路下水道局が策定されている道路整備アクションプラン2011の計画で、通学路の整備目標がどのようになっているのかお尋ねいたします。また、整備については用地買収が必要な箇所もあると思われますが、生活道路などにおいては用地買収はなかなか大変で、時間も整備費用も多額になるのではないでしょうか。今後、どのようにして整備を進めていく計画なのか、お尋ねいたします。
 以上で2回目の質問を終わります。

 

◯議長(川口 浩) 松本住宅都市局長。


◯住宅都市局長(松本法雄) まず、高齢者世帯等からの住まいに関する相談への対応についてのお尋ねでございますが、本市におきましては、市役所内に住宅相談コーナーを設置し、住宅相談員による借りる、建てる、リフォームするなどの住まいに関する多様な相談へ対応しているところでございます。また、区役所の市民相談室におきましても、住まいに関する相談に応じているところでございますが、より専門的な内容については、住宅相談コーナーを紹介しているところでございます。議員御指摘の点を含め、高齢者からの多様な相談へきめ細かに対応できるよう、住まいに関する情報収集を強化するなど、住宅相談コーナーを充実するとともに、市民の皆様に広く御利用いただけるようPRに努めてまいりたいと考えております。
 次に、本市周辺の市や町のコミュニティーバスへの支援について研究が必要ではないかというお尋ねでございますが、周辺市町は人口規模も小さく、中心市街地を通る基幹的なバス路線の運行が採算上困難なことから、既存バス路線が廃止されたことなどに伴い、自治体がバス事業者等に運行を委託している状況にございます。本市の場合、市の大部分の地域を民間のバス路線がカバーしており、全国的に見てもバスネットワークが充実し、公共交通不便地は市の縁辺部に点在するにとどまっているなど、周辺市町とは状況が異なっていると考えております。しかしながら、今後は高齢化社会が一層進展することが確実であり、高齢者の手軽な移動手段を整えることは極めて大切なことと認識をいたしております。このため、まずはこのバスネットワークを広域的に維持し、公共交通空白地をつくらないことが重要であると考えております。また、高齢化が進む中で、丘陵地などの公共交通不便地につきましては、きめ細かな公共交通のあり方について、今後とも検討を進めてまいりたいと考えております。以上でございます。

 

◯議長(川口 浩) 吉澤環境局長。


◯環境局長(吉澤 温) リサイクルシステム関係についてお答え申し上げます。
 まず、海外に輸出されております使用済みペットボトルの再生につきましては、資源物として取引されております。国の支援を受けまして、使用済みペットボトルのリサイクル推進等を目的として設立されましたPETボトルリサイクル推進協議会の資料によりますと、作業服などの繊維製品や、ポールペンやごみ箱などの成形品に加工がなされております。
 次に、ペットボトルの引き渡しに伴います本市の収入についてでございます。本市が回収いたしましたペットボトルは、容器包装リサイクル法に基づき、指定法人であります財団法人日本容器包装リサイクル協会に引き渡しております。同協会ではペットボトルの再商品化に当たり、再商品化事業者に委託しておりますが、ペットボトルの価格が上昇したことにより、協会が収入を得られることが平成18年度から実施されております。その収入の一部が、ペットボトルの引き渡し量に応じまして市町村へ拠出金として配分されております。本市が平成19年度に同協会から配分されました金額は8,614万1,927円となっております。この収入につきましては、空き瓶、ペットボトルの回収、選別等の経費、約10億円の一部として充てております。
 次に、携帯電話の回収についてでございます。携帯電話の回収につきましては、製造、販売を行う事業者の責任、個人情報の保護、採算性の継続などを考慮した適切な対応が必要となっております。また、通信事業者や製造メーカーで構成いたしておりますモバイル・リサイクル・ネットワークが全国で携帯電話を回収しており、本市では約180店舗で回収が行われております。しかしながら、御指摘のとおり回収率が年々低下しております。これらのことを踏まえまして、本市でも携帯電話の回収が進むよう、市外からの転入者や市民に配布いたしますごみルールブックやホームページ等で周知を図っているところでございます。今後、国や他都市におけます回収実験の取り組み状況を見守りながら、本市の状況に合わせました仕組みづくりや行政支援のあり方について検討を進めてまいります。以上でございます。

 

◯議長(川口 浩) 陶山市民局長。


◯市民局長(陶山博道) 不要入れ歯の回収に関するお尋ねでございますが、まず、回収ボックスを設置した経緯につきましては、本年1月に市長へのメッセージで、市民の方から、他都市で行っている不要入れ歯回収ボックスの設置を福岡市でも導入してはどうかという提案をいただきました。この事業は、NPO法人日本入れ歯リサイクル協会が不要入れ歯の金属部分をリサイクルして、社会貢献に役立てることを目的に行っているものであり、本市におきましてもこの事業に協力し、回収ボックスを設置することとしたものです。リサイクルの仕組みにつきましては、2カ月ごとに市職員が回収を行い、NPO法人日本入れ歯リサイクル協会が提携する専門業者に引き渡し、ここで不要入れ歯から金、銀などの貴金属を精製します。これから得られた収益金については、NPO法人日本入れ歯リサイクル協会の運営費にその20%が充てられ、また、日本ユニセフ協会と本市にそれぞれ40%が寄附されます。本市では、福岡市NPO活動支援基金で寄附を受け入れ、NPO活動支援に活用することといたしております。回収ボックスは、本年4月から市役所本庁舎や区役所などに設置し、現在、13カ所に設置しております。寄せられる不要入れ歯は、衛生面から袋に入れていただいておりますが、4月から11月までの8カ月間で、合計104袋を回収しております。なお、1袋に複数個入っている場合もございます。収益金につきましては、4月から7月までの4カ月間分、62袋について約16万円の収益があり、その40%である約6万4,000円が福岡市NPO活動支援基金に寄附されております。今後も積極的な広報を行い、この事業を引き続き行ってまいりたいと考えております。以上でございます。

 

◯議長(川口 浩) 山田教育長。


◯教育長(山田裕嗣) まず、理科支援員等配置事業についてでございますが、平成20年度は2,639万円で、国の委託事業のため、全額国の負担でございます。また、理科支援員は18校に34名を配置しております。
 次に、学級担任の負荷軽減についてでございますが、理科支援員が観察実験器具の準備や後片づけを行ったり、器具を整理することで、学級担任の学習準備や片づけの時間短縮ができております。また、観察実験の学習では、複数の目で安全面の指導や確認を行うことができることにより、教員の指導にゆとりが生まれ、児童への個別指導など、きめ細かな対応ができるようになっております。
 次に、児童の学習意欲の変化についてでございますが、理科支援員が配置されたことによって、児童の理科学習の意欲が高まり、観察実験の準備がとてもスムーズになったという報告がされております。特に、児童にとって苦手意識が強い電気や空気などの物やエネルギーの学習では、好きになったと答えた児童の割合が、理科支援員がかかわる前の14%から27%に増加しております。
 次に、現在の小学校英語活動については、本市においてはゲストティーチャー支援事業を実施し、英語を母国語とする外国人を市内114校の小学校に派遣し、学習活動を行っております。理科支援員は国による委託事業であり、同様なことはできませんが、本市においてはこのゲストティーチャー支援事業を来年度以降さらに拡充する方向で、現在、検討を進めております。
 次に、小学校外国語活動の授業時数の増加についてのお尋ねでございますが、現在、福岡市内のすべての小学校で英語活動が行われており、5、6年生においては年間平均21時間実施されております。新学習指導要領では年間35時間を実施するようになっておりますので、約14時間程度の増加となります。なお、学習指導要領が全面実施されるのは平成23年度からとなっており、来年度から2年間は学校の実態に応じて取り組むようになっております。
 次に、本市における外国語活動の習熟度についてのお尋ねでございますが、来年度、文部科学省から5、6年生全部に配布される英語ノートは、英語による外国語活動を進める際に、学習活動に活用できる教材の一環として作成されており、あいさつや紹介、ゲームなどの内容で構成されております。英語ノートの取り扱いにつきましては、各学校のこれまでの取り組みや児童の実態等に応じて活用することとなっており、コミュニケーション能力の素地を養うようになっております。教育委員会としましては、学校への説明や研修会等を通して、英語ノートの活用について理解を図るように努めてまいります。以上でございます。

 

◯議長(川口 浩) 坂田道路下水道局長。


◯道路下水道局長(坂田憲治) 通学路の歩道整備につきましては、児童の安全な通行確保の観点から、鋭意取り組んでいるところでございますが、本年度策定いたしました福岡市道路整備アクションプラン2011におきまして、さらに重点化を図った整備を行う計画といたしております。この整備目標でございますが、小学校から半径250メーター以内の通学路309キロメーターにおきまして、地域との協働により歩車分離を進め、現在の整備延長162キロメートルを平成23年度までに216キロメートルとし、歩車分離確保率を現在の52%から70%まで引き上げる計画といたしております。また、今後の通学路における歩車分離の進め方といたしましては、地域の協力を得ながら、交通規制や用地の確保を行い、歩道の整備を進めることといたしておりますが、歩道の新設が困難な箇所につきましては、路側のカラー化や防護さくの設置などを行い、安全な歩行空間の確保に努めてまいりたいと考えております。以上でございます。

 

◯議長(川口 浩) 山口剛司議員。


◯36番(山口剛司) 3問目に入ります。
 地域コミュニティーについてですが、本市も10年後、20年後には、かつて開発された地域が間違いなく交通不便地域になってくると考えています。そのときになって困らないために、全国で施行されている住みかえの支援策や交通手段について、担当部署でしっかり検討を始めていただきたい。市長が言われている安心で住みやすいまちづくりの理念にもかなうと思いますが、市長の御所見を伺います。
 次に、ペットボトルのリサイクルについて。先ほどの答弁では8,600万円という金額でございますが、その収益金は環境市民ファンドに積み立ててはいかがでしょうか。世界では環境税という取り組みをされている国があります。環境保護のために生み出されたお金は、もっと環境に努力する分野に使われるべきではないかと考えます。特に市民の協力で、この分野では幾らの収益が上がりましたなど啓発されるような、例えば、市政だよりに収益金を掲載するなど行ってはいかがかと思います。先ほど説明いただいた不要入れ歯回収ボックスは、本当にいいことをされています。限りある金属資源を有効活用するというシステム、市民の要望から本市も実施していますが、その収益金をユニセフに寄附するなど、本来、廃棄処分されるものを有効利用しているいい例だと思います。他都市でもリサイクルについて行政が応援しているように、本市でももっと積極的に進めるべきと考えます。循環型社会を目指す福岡市として、吉田市長はどうお考えか、御所見を伺います。
 次に、英語の学習についてですが、英語は私も含めて、外国人と話すことが苦手な大人がたくさんいます。小学校の時代から外国人と話すことが楽しくなれば、もっとコミュニケーションがとれ、英語に対する恐怖も少なくなるのではと思います。中学校で英語の文法がわからず、一度苦手意識を持って学校を卒業すれば、年数がたってもそのままずっと英語が話せない社会人は少なくありません。そこで、本市の対策として、理科支援員のように英語に関係する人材を配置する場合には費用が発生します。未来を担う子どもたちに英語力を身につけてもらうためにも、ぜひ人を配置できる予算の検討を行っていただきたいのですが、吉田市長の御所見を伺います。
 通学路について、これからの道路に関する国からの交付金がどのくらいの額になるか、福岡市に配分される交付金の額がわからない今は整備計画が立てづらいということは想像できます。今、本市は来年度の予算編成作業の真っただ中でしょうが、私は、通学路の整備は児童の交通安全の確保のみならず、歩行者の安全な通行の観点からも重点的に取り組んでいく分野であると考えており、しっかりとこれからも取り組んでいただきたいのですが、最後に吉田市長の御所見を伺い、私の質問を終わります。

 

◯議長(川口 浩) 吉田市長。


◯市長(吉田 宏) 最初に、高齢社会における住宅と交通に関してのお尋ねでありますけど、議員が言われた多摩ニュータウンというのが、昭和30年代以降、大変大型の開発で全国的にも有名になったところでありますけれども、そこで今急速に高齢化が進んでいる実態を見てこられたということで、福岡市もそれにおくれてといいますか、非常に若いまちですから、そこまで大規模に高齢化の問題が現在のところ大きな割合で顕在化しているということは、ほかの地域に比べれば比較的恵まれていると思いますが、御指摘のように今後急速に進んでくることはもうわかっているわけでありまして、住替えバンクももう1つ積極的にかかわっていってほしいという御要望、御指摘、そのとおりかと思います。地域の状況に応じまして、交通問題も今からさらに研究を前もって進めていく必要があるというふうに思っております。
 2つ目のリサイクルのシステムでありますけど、ペットボトルはこの10年で倍ぐらい、私たちの暮らしの周りにあふれた、ライフスタイルがそこまで変化してきているわけですけど、特にリサイクルの推進につきましては、資源の有効活用という点から、リサイクル法に基づいてペットボトルの分別回収の実施を進めておりますけど、適正にこれからも処理するための啓発、各種の取り組みはしっかりと強めていかなきゃいけないと思っています。また、最近言われています携帯電話の中のレアメタルも対象になりますけれども、都市鉱山というようなしゃれたネーミングもありますが、まだ福岡市の中でもペットボトルなどに比べれば、回収をするシステムが完全に確立しているとはちょっと言いがたい状況かなと思います。大学などにも協力を呼びかけたらどうかという御指摘でございますけど、これは確かにその仕組みの1つかなというふうにお聞きをしました。いずれにしましても、新しい課題でございますので、本市の産業構造全体にふさわしい事業者の支援のあり方を検討するということも含め、また、市民の皆さんの協力をいただきながら、循環型社会の構築にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
 3番目の、今度、小学校で5年生、6年生から英語を教えるということで、今、現場ではどうやってやっていこうということで、現場でいろいろ工夫をされていると思います。きのう私も日中韓のサミットに関連した催しで、3カ国の大学生が集まって、これから先のアジア、世界をどうしていくかという議論の場に参加しましたけれども、全部で50人ぐらいでしたでしょうか。この議論が全員英語でやっているわけですね。韓国も、中国も、日本もですね。それぞれの代表ですから、かなりレベルの高い英語で議論しておりましたけれども、ますますそういった社会に変わっていきますね、これからは。ですから、福岡の子どもたちも当然、英語によるコミュニケーション能力というのを早い段階から身につけていくということは、非常に大切なことになるだろうと思っております。いろいろ仕組みも必要ですけど、私は動機づけが非常に大事ではないかなと思っています。子どもたちが英語を学んで、外国人と楽しくコミュニケーションができるようになるということが、子どもたちにとっても生き生きとした楽しいことなんだということをまずわかってもらうのが非常に大事かなと思うので、その辺はぜひ教育の現場でも工夫していただきたいなと思っています。教育委員会とも協議をしながら、新しい学習指導要領に適切に対応できるように、英語に関係する人材の配置についても、予算の措置についてもしっかり検討してまいりたいと思います。
 最後の通学路ですが、今、地域で毎朝立っていただいて、子どもたちが安全に学校に通えるように協力もいただいておりますけれども、しかし、やはり大事なのは、歩道の整備そのものだという認識は強く持っております。今、歩車分離、先ほど局長も答弁しましたけれども、52%と大体半分ぐらいなわけですが、平成23年には7割に達するように、しっかりと目標を達成するようにやっていきたいと思いますし、70%ぐらいまで整備をすると、大分目に見えてしっかりと歩道が確保できているなということが地域でもわかっていただけるのではないかなと思いますので、早く到達し、その後、100%になれるようにしっかり頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

◯36番(山口剛司)登壇 私は、公明党福岡市議団を代表して、平成19年度一般会計、特別会計及び企業会計の決算について、これを認定することに賛成し、討論を行います。
 なお、意見の詳細については、さきの決算特別委員会総会並びに各分科会において我が党議員が意見、要望を述べております。行政当局におかれましては、真摯な対応をお願いいたします。
 ここでは特に重要な課題である財政問題について述べます。
 まず、平成19年度決算を見ると、市民は本市の借金財政に大きな不安を抱いております。現状のまま財政運営を続けましたら、平成23年度までの3年間、財政リニューアルプランの見通しどおり、財源不足が約566億円になった場合、危険信号がともります。財源不足の解消のため、歳出面で増加傾向にある扶助費や公債費など義務的経費に対して、本市でもさらなる財政健全化に向けた、より強力な取り組みを行うよう強く意見として申し上げます。
 また、一般会計の不納欠損額が前年度比で8.2%減少、特別会計では前年度比で3.2%減少しており、合計すると、不納欠損額は前年度比4.5%減少しているものの、49億3,204万円になります。いまだに高い水準です。これらの数字に見られるように、まだまだ改善、健全化への努力が必要であり、この面でもなお一層の努力を求めます。
 また一方、歳出決算額のうち不用額は、一般会計で217億4,228万円、特別会計245億2,618万円に上っております。決して少ない金額とは言えません。予算化された事業でこのような不用額が早くわかったならば、執行予算が足りず翌年に持ち越された事業に充てるべきだと意見を申し述べます。
 また、本市の平成19年度末の市債残高は、前年度比1.3%減ですが、2兆5,996億9,758万円と高額の残高があります。平成16年度以降、市債残高は減少しているとはいえ、過去に発行した市債の元利償還のため公債費の増加は避けられません。それだけに、しっかりとした財政見通しのもとにより徹底した財政健全化対策を求めます。さらに、市債に代表される公的債務残高を持続可能な水準以下に抑え込むようにしていかなければなりません。今後、市債発行量の適切な管理、市債の有利かつ安定的な発行及び将来負担の計画的抑制、市債管理部門の強化及び専門知識を持った職員の育成、配置等々、公的債務管理政策の強化、充実を強く求めるものであります。
 特に特別会計、企業会計については事業収入の伸び悩み、減価償却費や公債費負担の増加など、経営環境は厳しさを増しており、一般会計からの多額の繰出金が必要な会計もあり、本市財政への負担が高まっています。各会計の設置目的などを踏まえ、民間委託の推進や組織の見直しなどによる効率的な事業の推進と経費の節減、サービスの向上による増収など、一層の経営の効率化と財政の健全化により、経営基盤の強化を図るよう述べておきます。
 さらに、今後国の改革いかんによっては、地方の財政運営が一段と厳しくなることが予想されます。これまで我が党が指摘してきましたネーミングライツなど市有財産の有効活用、グループファイナンスを活用した資金運用、ミニ公募債などによる資金調達、国、県からの税源移譲を促進し、課税自主権の活用を検討するなど多様な財源の確保に努めるとともに、依頼による格付の取得、投資家へのIR活動を積極的に行うなど、効率・効果的な資金調達を図るよう求めます。
 また、外郭団体も含めた市のすべての事務や事業について、大胆に事業仕分けを行い、民間やNPOなどのすぐれた能力を活用するとともに、ITを活用したシステム化や集約化を図り、より一層の行財政改革を進めるよう要望しておきます。
 最後に、これから吉田市長の力強いリーダーシップによる市政運営を期待いたしまして、我が党の賛成討論を終わります。

◯山口委員 留守家庭子ども会事業、外郭団体の改革、市民協働事業とNPO助成及び学校規模の適正化事業に関して質疑を行う。初めに、留守家庭子ども会事業について尋ねる。今回提案の市長案である午後5時までの無料化については、少子化対策及び子育て支援は経済面も含めた手厚い支援が必要であること、午後5時までの無料が有料化によって退会を余儀なくされた児童がいること、我が党の地域語る会等を通して得られたイメージに沿うものであること、全児童対策は1年生から6年生のすべての児童に無料で今後展開させていくこと、以上の理由から、基本的に賛意を表するが、以下の点について尋ねる。まず、有料であった18年度及び19年度の入会児童数の4月当初からの増減はどうなっているか。さらに、退会理由のうち、有料化による影響との回答はどの程度あったのか。


△こども未来局長 入会児童数の推移については、18年度は4月当初9,975人であった児童が、制度変更後の9月末現在では1,176人減の8,799人となり、年度末には4月から1,699人減の8,276人となっている。19年度は4月当初9,810人であった児童が、9月末現在では337人減の9,473人、直近の1月末現在では、4月から872人減の8,938人となっている。次に、平成18年9月に制度変更を行った際の調査結果によると、新制度を不満として退会された方は退会者のうちの6%程度、経済的理由で退会された方は6%程度、合わせて12%程度である。


◯山口委員 留守家庭子ども会の入会範囲について、4年生を含む政令市は幾つあるか。また、土日を除く春・夏休みなどの休業日の対応の実態はどうなっているか。


△こども未来局長 本市が把握している19年度の状況としては、17政令指定都市のうち、本市の場合の留守家庭子ども会に当たる放課後児童クラブにおいて1~6年生までの全学年を対象としているのは、大阪市のみである。また、施設に余裕のある場合などに4年生以上を受け入れているのは7市である。なお、これら8市においては、春・夏・冬休みなどの長期休業中においても4年生以上の受け入れをしている。


◯山口委員 市民の中には、この無料化とセットで、現行3年生までの範囲をせめて4年生まで行ってほしいという要望がある。我が党としては、近い将来この4年生までの拡大を強く要望しておく。次に、春・夏休みなどの長期休業日の対応についてであるが、保護者は4年生までの拡大を強く要望されている。この際、休業日に限り4年生までその範囲を拡大すべきと考えるが、市長の所見を伺う。


△副市長 4年生の長期休業期間中だけでも入会させてほしいという要望があることは承知している。20年度に保護者などを対象とした希望調査や施設の現地調査などを行い、4年生の春・夏休みの休業期間中に限って受け入れることができないか、前向きに検討したいと考えている。


◯山口委員 前向きに検討するということであるが、ぜひともやってほしい。次に、外郭団体の改革について尋ねる。20年度は行政改革プランを策定する計画になっている。その中で重要な位置づけである外郭団体の改革は、平成16年に実行計画が発表され、約4年が経過しているが、20年度においてどのようなことをするのか。


△総務企画局長 外郭団体改革実行計画は、外郭団体に関する改革について基本的な考え方、改革の視点等を示すものとして策定したものである。当計画の期間は4年間としており、19年度が最終年度であることから、現在、平成20年6月を目途に計画の改定作業を行っている。


◯山口委員 今月、各団体の経営ビジョンを公表すると聞いているが、その対象は本市が出資しているすべての団体を公表するのか。


△総務企画局長 外郭団体の使命あるいは目標などを示した経営ビジョンは、出資比率が25%以上で本市が主体的に関与を行う35団体について、ホームページに公表する予定である。


◯山口委員 次に、改革に対する基本的な考え方について尋ねる。まず、団体の必要性の検証、見直しを挙げているが、どのような計画で団体設立当初の目的が現在では薄れている団体の検証、見直しを進めていくのか。


△総務企画局長 各団体の必要性の検証、見直しについては、現在行っている外郭団体改革実行計画の改定に当たり、各団体の今後のあり方等について方向づけを行うこととしており、現在、団体の経営状況等に関する資料等に基づき検証を行っているところである。今後は所管局と十分協議を行いながら、各団体の存在意義についても検証を行い、方向性についての位置づけを決定する予定である。


◯山口委員 経営評価システムの対象を25%以上の出資団体としているが、なぜすべての出資団体について、この経営評価システムの対象としていないのか。


△総務企画局長 出資比率が25%未満の団体については、団体に関与できる法的な権限が弱く、また国、県が主体となって設立し、指導、監督を行っている団体が多いことから、外郭団体として画一的に関与を行うことは困難であるため、一定の法的権限を得る25%以上の出資団体について、経営評価システムの対象としている。なお、出資比率が25%未満の団体が行っている事業の中には、本市が推進していく施策と密接に関連しているものもあり、団体の経営状況によっては施策の円滑な推進が困難となる場合もあることから、今後とも適宜、各団体の経営状況について把握するとともに、各局の施策運営の一環として関与すべきものについては、経営の健全化に資するよう、今後とも各局と連携しながら個別に適切な対応を図りたいと考えている。


◯山口委員 25%未満は経営評価システムの対象にならないということであるが、市民の税金を投入してこれら団体に出資している以上、すべてにわたりチェックをする必要がある。そういう視点が大事であるということを申し述べておく。次に、経営責任の明確化については、すべての出資団体まで広げて点検を行うのか。


△総務企画局長 経営責任の明確化については、外郭団体改革実行計画及び経営評価システムの対象団体である35団体について、これまで法人の基礎的情報、組織概要、財務状況、前年度の事業概要、さらに当該年度の事業計画、これらに関してホームページ等で公表を行っているが、新たに各団体の経営理念についても公表することとしている。これらの取り組みをすべての出資団体へ一律に広げることについては、各団体への関与の度合いが異なることから困難と考えているが、25%未満の団体についても、本市が推進している施策と密接に関連があり、各局の施策運営の一環として関与すべきものについては、今後とも各局と連携しながら個別に適切な対応を図りたいと考えている。


◯山口委員 18年度決算時点で本市が出資する株式会社の中で、利益が出ている会社数と、反対に赤字の会社数は何社か。


△総務企画局長 出資比率が25%以上の会社8団体と、本市が一定の関与を行っている25%未満の会社5団体の計13団体のうち、損失を計上しているいわゆる赤字の団体は2団体となっており、その他の11団体は黒字となっている。


◯山口委員 赤字の団体について、今後の進め方はどのように考えているのか。


△総務企画局長 損失を計上している団体については、団体の自主的、自立的経営の観点から、一義的には団体みずからの経営責任のもと経営改善に向けた努力を行うことになるが、本市としても、所管局を中心に、赤字の原因、団体としての改善方策等を把握、分析して、必要に応じて最善の対応策を講じていきたいと考えている。


◯山口委員 赤字とは逆に利益が出ている会社に対しては、このままの状態を続け、今の出資はそのままとするのか。今後どのような取り組みを行うつもりなのか。


△総務企画局長 本市においては、18年度の(株)福岡市民ホールサービスのように、民営化に向けて出資の段階的な引き揚げを進めている団体もある。今後も官から民への時代の流れの中で会社の自立経営を促し、民営化を含めた改革を進めていく。なお、本市の株式会社への出資については、公益性の実現という観点から行っているものであり、短期的な利益だけに着目して判断するものではなく、出資目的や意義、経営状況等を勘案しながら総合的に判断する必要があると考えている。


◯山口委員 確かに決算の赤字、黒字だけで判断はできないと思うが、これらを長期的に見て、本市にとって有益かどうかも大きな指標になると思う。かつて25%未満を本市が出資した株式会社で、約2億円の損失をこうむった事例があるが、今後このような二の舞を起こしてはならない。企業においてスクラップ・アンド・ビルドは普通にあり得る話である。経営状況を把握していないと、何の情報も得ることができず、手の打ちようもない状況になるのが当たり前である。当初の出資目的が薄らぐか、または、例えば10年を経過した株式会社に対する出資金は回収し、ひとり立ちしてもらうなどの方針を作成したほうがいいのではないかと考えるが、当局の意向を尋ねる。


△総務企画局長 外郭団体については、平成16年に策定した外郭団体改革実行計画に基づき、事業の必要性や各団体の存在意義について検証を行い、設立目的が薄れた団体は、民間でサービスの提供が可能なもの、民営化が可能なものなどについて事業の縮小や廃止等を進めているところであり、今後も引き続き検証、検討を進めていきたいと考えている。株式会社についても、各団体の個別の状況に応じて民間への業務移管や株式売却による完全民営化など、幅広く民間活用の方策の検討を行っていく。なお、25%未満の会社についても、各局の施策運営の一環として関与すべきものについては、経営の健全化に資するよう、今後とも各局と連携しながら適切な対応を講じたいと考えている。


◯山口委員 今後の方向として、ただ三セクを減らすだけでいいとは考えていない。先日、高松市の商店街再生の状況を視察してきたが、商店街の土地所有者と開発業者、そして行政が関与することで、国、県の補助金が支出され、うまく再生事業として成り立っていた。このような三セクは大事である。しかも、事業が終われば行政は手を引けばよく明快である。本市の外郭団体改革について、株式会社に対しどのような方向づけを行うのか。


△総務企画局長 本市が出資する株式会社については、市の行政目的を達成するために民間資金の活用による柔軟な財政運営が求められる業態に出資を行っており、今後も公益性の実現の観点から必要とする団体については、適切に活用していく必要があると考えている。一方で、株式会社等への新たな出資については、その必要性を十分検討しながら、既存団体の活用等により極力抑制することとしており、また所期の目的を果たした団体や業務が類似している団体などは統廃合することとしている。今後とも株式会社等への出資については、当初の出資目的や意義が現在も認められるものかどうかの検証を行い、適切に対応したいと考えている。


◯山口委員 実利をとる株式会社は、まず採算がとれていることが重要である。そのためには即時に意思決定を迫られる場合がある。決定までに時間がとれないときがあり得るのである。本市からの出向職員は優秀なので、この三セクの経営に携わっている方もいると思うが、役所時代は文書で何人もの目が入るために、不備な点は改められ、また実行責任が分散されている。しかし、この間、随分時間がかかっている。企業の場合、決断までの時間に余裕がないときなど、出向職員は企業経営の経験値が不足なため、ややもすると間違った判断をすることになる。ずるずると時間を費やし、結果としてタイミングを逃し、本市に対して大きな損失を出したサンピア博多の例もある。出向職員が株式会社の経営に携わるのは、今後はやめたほうがいいと意見を申し述べておく。株式会社は臨機応変の対応が特に問われるから、プロに任せるべきである。市長も民間出身なので、理解していただけるのではないか。本題である外郭団体の改革では、株式会社への出資に対し、売却する勇気を持って見直し、経営評価についてはすべての団体に対して行うべきではないかと考えるが、市長の所見を伺う。


△市長 三セク全般についての考え方は、やはり本市の本体の事業と同じように、まずきちんとした経営の透明性を示すことが大前提だと思う。私の基本的な認識としては、赤字ならだめなのか、黒字だったら必ず民営化なのか、この辺は少し、現実的にはそれぞれの会社の経営状況を見て、それから存在意義が本当に三セクという形態で必要かどうかという根本的な議論が、まず一番大事であると考えている。株式会社への出資については、経営の健全性と公共性の発揮、この両立という観点から、やはり総合的にどうやってこの先、ある意味では処分するなり、民間に任せるなり、やはり個別に考えなければいけない。ずっと役所にいた人が出向して、経営に携わるのが大丈夫かという、確かにそういう事例は過去にもあったと思うが、その点はよく経営状況の把握にしっかりと努め、今後、ほかの出資者との協議を進めながら、慎重にやっていかなければいけない。改革をいとうものではなく、本当に真に意味のあるものかどうかということを見きわめるという意味で、しっかりやっていきたい。また、経営評価システムについては、それぞれの団体が設立された経緯であるとか、出資比率であるとか、技術的に少し難しい面があり、一律に適用できるかどうかというのは個々のケースにもよるが、その会社が社会的に存在意義があるかどうかということを根本に、常にチェックをしていくということで対処していきたい。


◯山口委員 この外郭団体の改革はいいチャンスだと思っている。この際、いろんな意見を集約しながら、相手のある話なので、所管局だけではなく、よその部、また市の幹部も一緒に注意深く見守っていくように意見を申し述べておく。次に、市民協働の新事業の概要について尋ねるが、20年度のスケジュールと募集の時期、事業予算はどうなっているのか。


△市民局長 20年度より新たに導入する共働事業提案制度は、これまで行っているNPOへの委託や助成事業とは異なり、市民の新しい視点や発想によるきめ細かいサービスを提供するため、NPOから事業提案を募集・選考し、企画の段階からNPOと市が共働で事業を実施するものである。20年度のスケジュールは、4月に本市から事業テーマを示し、6月から約1カ月間でNPOから事業提案を募集、その後、市民や企業、NPOなどで構成される審査委員会で事業を選定し、21年度から共働事業を実施したいと考えている。また、事業予算については、4事業程度を想定しており、1事業の事業費の限度額を400万円程度と考えている。


◯山口委員 他都市では同様の制度を活用して、どういった事業が行われているか。


△市民局長 他都市の事例としては、神奈川県では不登校対策として、学校とNPOが運営するフリースクールが、不登校児の社会的自立や学校生活再開のためのサポートプログラムを行う事業などが、また、横浜市では高齢化が進む地域で住民と一緒に介護予防のためのサロンや学習会を開設する事業などが行われている。


◯山口委員 先ほどのスケジュールでは、本市の事業の公募は1カ月で締め切りということであるが、このような短期間で本当に応募者があるのか心配である。その点についてどのように考えているのか。


△市民局長 応募期間については、既に同様の制度を実施している他の自治体でもおおむね1カ月程度で行われており、応募も相当数なされている状況があるので、本市においても1カ月程度の応募期間を設けることを予定している。なお、募集前には市政だよりでの広報やNPOに対する分野別にテーマ説明会などを開催し、制度の概要やスケジュールなどを周知したいと考えている。


◯山口委員 本当にこの1カ月の期間、応募者が多数出ることを期待している。また、応募する立場である今のNPOとボランティア数について尋ねるが、平成16年の団体数と比較し、現在の傾向と大まかな活動分野はどうなっているのか。


△市民局長 福岡市内で認証を受けたNPO法人数については、16年度末は353法人であったが、毎年約70法人が新たに設立されており、平成20年2月末現在で577法人となっている。なお、ボランティア団体数については、市域全体の把握はしていないが、本市のNPO・ボランティア交流センターあすみん及び市社会福祉協議会のボランティアセンターでの登録数としては、16年度は874団体、平成20年2月末では839団体となっている。また、活動分野については、福祉や環境、教育、災害など幅広い範囲で活動が行われているが、NPO法人では特に保健・医療・福祉、社会教育、まちづくり、子どもの健全育成、またNPO活動への支援などの割合が高い状況となっている。


◯山口委員 NPO団体やボランティア活動を支援する施設として、本市では福岡市NPO・ボランティア交流センターあすみんを設置しているが、この施設の概要と現在の利用状況はどのようになっているのか。


△市民局長 福岡市NPO・ボランティア交流センターあすみんは、市民の自主的かつ自発的な活動の促進を図り、市民主体のまちづくりの実現に寄与するため、平成14年10月に中央区大名の福岡市青年センター内に開設している。その運営は、18年度からは指定管理者制度を導入し、NPO法人による運営を行っている。あすみんでは、NPO・ボランティア活動に関する情報の提供などのほか、活動や交流の場の提供、NPOを設立するに当たっての相談や各種講座を実施しており、18年度は3万568人、19年度は平成20年1月末現在で2万9,136人の方が利用している。


◯山口委員 あすみんでNPOやボランティア団体から相談を受けているということだが、相談件数はどれくらいあるのか。


△市民局長 NPO・ボランティア団体からの相談件数については、18年度は186件、19年度は平成20年2月まででは125件で、内容はNPOの設立や団体運営、税務会計などの相談等を受けている。


◯山口委員 NPOやボランティア団体の方は、あすみんを非常に大事に思い、また活用されている施設ではないかと思う。あすみんが入居している福岡市青年センターは、老朽化等のため整備について検討すると聞いており、耐震化工事がこれから始まるという話も聞いているが、この福岡市青年センターがなくなっても、どこかにあすみんという活動支援の拠点をきちんと確保されるよう要望しておく。次に、NPO活動支援基金について尋ねるが、当初の基金積立額とこれまでの寄附金総額、そして助成総額及びそれらを年間当たりに直すと幾らになるのか。また、現在の基金残高は幾らか。


△市民局長 NPO活動支援基金は16年度に設置したが、当初の積立額は1,000万円である。これまでの寄附総額は、19年度までの4年間で250万6,882円、助成総額は254万435円となっており、年間当たり寄附・助成ともに60~70万円程度となっている。基金の現在高は、平成20年2月末現在で1,017万8,000円である。


◯山口委員 この助成制度は寄附をもとにしているため、非常に重要な助成制度であるが、寄附金額は本当に少ないと思う。これはこの制度の周知が足りないからではないか。この基金助成制度について、今後はどのような対応をしていこうと考えているのか。


△市民局長 NPO活動支援基金制度については、これまで市政だよりやホームページ、チラシなどでお知らせするほか、寄附をしていただく企業に対しては、平成19年1月に市内1万6,000社にチラシを配布している。また、市内のNPO法人に対しても、基金への寄附については税控除の優遇措置があることなどをお知らせしている。指摘のように寄附金が少ないことについては課題として認識しており、今後は基金制度をさらに知ってもらうため、基金により助成を行ったNPO活動をホームページで具体的に紹介したり、あすみんで実施する企業対象の社会貢献セミナーなどで基金制度の説明を行うとともに、寄附をいただいた事業者名を明らかにする助成方法の検討や、NPO団体と共働で基金を活性化する事業などへの取り組みなど、さらなる制度の活用を図りたいと考えている。


◯山口委員 NPO活動支援基金について、今後しっかりとした運用を行うよう意見を述べておく。次に、今後、企業を引退して地域に戻って来られる団塊の世代の方々に対して、何か地域やNPO・ボランティア活動に参加していただく方法を考えているのか。


△市民局長 団塊世代の方が地域活動やNPO・ボランティア活動にいかにして参加していただくかは、今日的な課題と認識している。あすみんにおいては、情報提供や企業に対する社会貢献セミナーを行うほか、19年度は中央区と連携して団塊世代がNPOや地域活動に積極的に参加していただくきっかけとなる地域生きがい創造塾を実施したところである。20年度には、シニアを対象にNPO活動の基本や市内の活動団体の紹介、またNPO団体による面接会などを行うボランティア相談会事業を行いたいと考えている。


◯山口委員 先日、視察に出かけた千葉県我孫子市では、平成9年に50代男性を対象としてアンケートをとっており、そのアンケートの内容で、退職後はどうするのかの問いに回答された50%の500人が、引退後は地域の何かの役に立ちたいと答えられたそうである。そこで我孫子市では協議を重ねた結果、平成17年にシニア世代歓迎の集いを開催し、その後、シニアインターンシップを開催している。この集いは、NPOやボランティアのグループとシニアの方々を引き合わせることを目的としている。退職された人は、地域でどんな活動をしているグループがあるのかを知らないし、何かに参加したいと思っても、紹介でもない限り活動に参加するのは無理な話である。NPOでも活動メンバーをふやしたい団体がある。そこで行政が橋渡し役となり、お互いの出会いの場をつくっている。また、インターンシップだから、いろんな事業所で幾つも体験実習ができる。利用者は、もし自分が思っていた内容でなくても、インターンシップだから気軽に断ることができる。本市でもこのシニアインターンシップを行ってみてはどうか。結構よい結果が生まれるのではないかと思うが、所見を伺う。


△市民局長 インターンシップ制度については、シニアの方がボランティア参加のきっかけとなる有意義な取り組みであると考えている。20年度に行うボランティア相談会においては、NPO活動の体験などを取り入れることも検討し、NPO・ボランティアに関心のある方が活動に参加しやすくなるよう、事業の充実を図りたいと考えている。


◯山口委員 ぜひ検討し、取り組んでもらいたい。我孫子市のインターンシップは本当にお金がかからない事業であるとの説明を受けた。昨今、事業をするにはお金がかかるのが当たり前だが、お金がかからずに地域を活性化させる本当にすばらしい取り組みだと実感したところである。またNPO団体の資金源について、我孫子市では資金助成などで行政に頼るのではなく、団体の自助努力が必要であるとされていた。これは自前で行っていない事業は一人前とは言えないという市民感覚が我孫子市にはある。この補助金については、市民の代表5人が3年ごとに白紙に戻して再度見直すという制度もつくっている。また、構成団体の活動が長期化していると、固定的な価値観にとらわれやすいのだが、メンバーそのものが閉鎖的な仲間づくりになることが懸念されるとして、新メンバーをふやすことを奨励しており、これには感心したところである。行政の役割としては、役所内部の連絡調整が大きな課題であり、改善の必要がある。市民活動の支援は団体の自立支援を最優先し、市民の協働に対しては、市民を安上がりな労働力ととらえないようにすること、これが大事だと言われていた。大事な視点である。そこで本市では、NPO・ボランティア活動の支援について、行政はどうあるべきと考えているのか尋ねる。


△市民局長 NPO・ボランティア活動などの市民活動については、自主的、自立的に行われることが基本であると考えている。本市としては、多くの市民の方や企業などにNPO・ボランティア活動の意義を理解していただき、さらにボランティア活動に参加していただけるよう、あすみんを中心に情報や活動の場の提供を行うとともに、NPO支援基金による助成、共働事業提案制度の実施など、NPO・ボランティアが活動しやすい環境づくりを進めていきたいと考えている。


◯山口委員 NPO・ボランティア活動の促進については、市職員も参加し、ともに促進することも必要だと思うが、本市はどうか。市職員が地域活動やボランティア活動に参加する啓発や働きかけを行っているのか。


△市民局長 職員が地域活動やボランティア活動に参加するための啓発や働きかけについては、職員がグループで行っている災害支援や清掃活動などへの参加の呼びかけや、NPO活動に関する情報を提供するとともに、NPOとの共働に関する相談、実際にNPOの活動現場を訪問するNPO体験講座などを実施しているところである。


◯山口委員 これまでNPOやボランティアの方々などが積極的にまちづくりや福祉施策に協力いただいている。また自治協議会でも、運営されている方々はそれこそ手弁当で活動されている場面をよく見かける。皆さんから、運営に携わる人手が足りない、役につく人がいないなどの話をよくされる。先ほどはシニアインターンシップの提案もした。これからの本市の市民協働はこういう方向にしていきたいという市長の所見を伺う。


△市長 NPO活動は日本では1980年代ぐらいから始まってきたように思う。今、本市でもNPO活動の数や質がともにかなり上がってきており、私どもとしては、決して行政の下請みたいな仕事をするのではなく、本当の意味でのパートナーシップ、お互いが補完をし合って共働事業ができていく、そういった環境がもう既に整いつつあるのではないかと認識している。つまり、それだけ福岡のNPO活動の質が上がってきたと認識している。そういう背景があり、今回初めてであるが、この共働事業提案制度を行うこととしており、1事業当たり400万円で4事業ということで、いきなり大きなことにはならないかもしれないが、「何だ、役所はこんなことも思いつかなかったのか」というようなおしかりを受けるぐらいのすばらしい内容が来るかもしれず、ちょっと怖いなというところもあるが、大変期待をしている。ぜひ周知徹底を早く行い、1カ月では足りないかもしれないが、ぜひ皆さんに注目をしていただきたいと思っている。これから先、団塊の世代がだんだん地域に戻ってくるという状況もあるので、ぜひそのあたりにも連動して、いい提案があるものと期待している。また、我孫子市のシニアインターンシップについては、お金もかからず、先進的で大変いい制度だなと思ったところである。私のところにも大手の企業から、これから先何年間も大量の退職者が出るので、役所として、NPOやボランティアとのマッチングをやってくれないかという相談や要望も来ており、ニーズが高いと思う。大変貴重な提案をいただいたので、我孫子市の例をしっかり研究し、ぜひ参考にしていきたい。


◯山口委員 新規事業であり、最初が肝心だと思うので、しっかりとした取り組みを要望しておく。次に、小学校の児童数における過大規模校や小規模校など、学校規模について尋ねる。20年度の教育費予算は、昨年度に比較し31億9,700万円余増額されている。この点は大いに評価できるが、そのうち、校舎や体育館の耐震化工事の予算額として20億9,300万円余が含まれているので、これを除くと11億400万円余の増額となる。本市における教育予算はまだまだ少ないのではないかとの意見を申し述べておく。今回の新規事業の中で学校規模の適正化事業の予算については、1,600万円と普通の会議費用としてはやや高目の予算になっているが、何を予定されているのか。また、この検討委員会は何人で、どのようなメンバーで構成するのか。


△教育長 学校規模適正化事業の事業費については、検討委員会委員報酬、会場借り上げ料、調査業務委託費、その他事務費等を計上している。検討委員会は十数人を予定しており、議会代表者や保護者・地域代表、学識経験者、学校関係者等による委員構成を予定している。


◯山口委員 調査業務委託費にかなりの予算を計上しているので、できるだけ正確に、またいろんな角度から調査を実行するよう要望しておく。この適正化事業を始めるきっかけは何だったのか。新規事業に至った経緯を、また、小規模校の教育課題についてどのような点が挙げられるのか尋ねる。


△教育長 学校規模適正化事業については、全国的な少子化傾向の中で、本市においても児童生徒数の減少により小規模な小中学校が増加しており、クラスがえができない学校も、昭和56年に15校であったものが19年度には倍増して30校となっている。この小規模校が抱えるさまざまな教育課題を早急に解決するため、学識経験者等から幅広い意見をいただき、課題解決に向けた具体的な方策を検討したいと考えている。小規模校の課題としては、クラスがえができないことにより人間関係が固定化し、児童生徒の社会性や多様な人間関係が育ちにくいということ、学級内でのグループ活動を行う際、グループ数が少ないため多様な意見が出にくく、学習活動に支障があるということ、体育における集団競技、また社会科見学や運動会など、一定規模の集団を前提とした教育活動が制限されるということ、9学級以下の中学校では全教科の教員配置ができないことなどが指摘されている。


◯山口委員 検討委員会では小規模校の教育課題解決を図られるとのことだが、学校の統合を視野に入れているのか。また、教育委員会では、いわゆる適正と思われる1校当たりの児童数と学級数はどれぐらいが適当と考えているのか。


△教育長 検討委員会においては、小規模校が抱える教育課題を解決することを目的としており、学校の統合についても検討していただくものと考えている。なお、本市における学校の適正規模については、20年度に設置する検討委員会の中で検討していただくが、学校教育法を初めとする関係法令では、児童数による定めはなく、学級数について12~24学級が適正規模とされている。


◯山口委員 学級数が適正規模を下回った時点ですぐに統合の対象になるのか。それとも一定期間の推移を踏まえて統合の対象になるのか。


△教育長 検討の対象校については、現在の学級数に加えて、ゼロ歳児から5歳児までの幼児数や各地域の転入・転出の傾向などをもとにした将来推計、住宅開発計画等を踏まえ、継続的に小規模校である場合には検討の対象にしたいと考えている。


◯山口委員 本市では統合の事例として博多小学校がある。博多小学校の統合は、どういったスケジュールで進められたのか。


△教育長 博多部4校の統合については、7年度から統合に向けた地元協議を開始し、8年度に各校区より統合推進の要望書が提出され、通学区域審議会の答申、市立小学校設置条例の改正を経て、平成10年4月に旧冷泉小学校を統合場所として博多小学校を開校したところである。その後、平成13年4月に現在の新校舎に移転している。


◯山口委員 今回の検討委員会で議論される対象校の答申は、いつごろを予定しているのか。


△教育長 検討委員会ではおおむね1年間での検討を予定しており、20年度末には提言をいただけるものと考えている。検討委員会における検討内容については、機会あるごとに議会に報告し、市民や議会の意見を反映させながら進めていく。


◯山口委員 小規模校については、確かに先ほど述べられた教育課題を克服するため、統合も視野に入れておかなければいけない時代になったと思う。クラスがえや修学旅行をなくして児童の健全な成長を妨げてはならない。しかし、小学校の統合となると、通学路の問題や、どこを統合した学校とするかなど、さまざまな問題が出てくる。総論は賛成だが各論を詰めていくと反対というのでは、決して前に進まない。ここは子どもの視点を第一に、ぜひ見直しに当たってほしいと考えるが、教育委員会の所見を伺う。


△教育長 小規模校の課題解消のための対応策については、学校の統合も含めて検討委員会で十分な議論を行うこととしているが、指摘の点についても、本市の子どもたちによりよい教育環境を提供するという視点に立って検討したいと考えている。


◯山口委員 過大規模校についてはどのような教育課題があると認識しているか。


△教育長 過大規模校における問題点については、運動会や遠足、全校集会など、集団を前提とした活動に制約があるということ、少人数指導を行うための教室が不足しているということ、人数を理由に社会科見学を断られる等の報告を学校から受けている。


◯山口委員 東区の松島小学校の場合、本市で2番目の過大規模校だが、3年前に過大規模校解消について尋ねた際、当時の教育委員会は、現状のままではよくないので前倒しで検討を始めるという趣旨の答弁であったが、今はどのような検討状況にあるのか。


△教育長 松島小学校については、平成19年5月1日現在、児童数1,069人、32学級となっており、仮設教室を設置して対応しているが、20年度には校舎を増築し、仮設教室を解消する。児童数については、幼児数や転入・転出の傾向をもとにした推計では微増の傾向にあるが、一方、校区内でも分譲住宅の多い地域では幼児数が減少傾向にあり、今後とも児童数の詳細な推計や住宅開発の状況把握に努め、必要な対応策について検討していきたい。


◯山口委員 地元の反応はどうか。どのような意見が出ているのか。また、過大規模校の解消方法についてどのように考えているのか。


△教育長 保護者や地域の方からは、学校の新設や校舎増築の要望のほか、通学区域の調整に関しては地域コミュニティーとの関係から小学校区は変更すべきでないとの意見をいただくこともあり、関係者の意見もさまざまである。過大規模校の教育環境を改善するための対応策については、学校の分離新設、通学区域の調整、校舎の増築などがあり、今後とも児童数の推移や校区の状況等を的確に把握しながら、適切な対応を行っていく。


◯山口委員 小中学校の児童数については、全国的に少子化の影響で減少傾向にある。本市も例外ではないが、場所によっては逆に増加している地域がある。過大規模校の場合、1,000人を超えると学校運営の面から見ても、先ほど教育長が答弁したようにさまざまな教育課題が出てきている。この問題は教育委員会だけで解決するのは難しい。1校当たりの児童数を調整するための校区の再編成は、自治協議会が校区単位で設定されている本市にとって容易なことではない。学校の選択制も認めていない本市は、過大規模校の解決策の一つとして、学校の分離新設をとらなければいけない。そうなると、土地と建物の予算が必要となる。今回、過大規模校として課題があると提示した松島小学校の場合は、学校の分離新設も視野に入れて検討しなければいけないのではないかと考えるが、最後に市長の見解を伺い、質問を終わる。


△市長 過大規模校や小規模校など、適切な学校規模はどうあるべきかということは、教育環境を守る上ですごく重要なことである。松島校区では、住宅開発によって児童数が今大変ふえてきて、過大規模校になっていることは承知している。過大規模校については、教室不足が生じないよう増築により教室の整備をしていくこととしている。先ほどの答弁にあったように、分譲住宅の多い地域はだんだん子どたちが少なくなっていく一方で、マンションが建つといきなり子どもがふえるので、今後、児童数や周辺の住宅開発をよく見きわめながら、今後の教育環境の整備に慎重に努めていきたい。

 

◯36番(山口剛司)登壇 私は、公明党福岡市議団を代表いたしまして、アイランドシティの検証・検討結果報告について、青果市場の移転について、市民体験型農園について、そして学校ボランティアについて質問をいたします。行政当局の前向きの回答を期待いたします。
 まず、アイランドシティ整備事業と市立病院統合移転事業に係る検証・検討結果について質問してまいります。
 まちづくりエリアの今後についてですが、吉田市長は、アイランドシティ整備事業の見直しに当たって、市5工区が今後の問題との要旨発言を昨年されていましたが、結局、どうされようとしているのでしょうか。マスコミは、商業、娯楽施設を誘致するという見出しで大きく報道しました。土地の分譲ありきでは困ると考えます。当初からの港湾局が発表してきた内容とどう違うのか、お示しください。
 次に、病院移転についてです。こども病院のみ移転で、市民病院はそのままとの方向ですが、今回の報告は、これまでの病院審議会が答申された内容と異なっており、審議会に対してはどのような形で報告する考えなのか。何も報告せずにこれからも答申だけ承るのでは、今後の審議会の結論が形骸化するのではないかと危惧いたします。これまで審議会の答申には重きを置き、市の政策決定に反映されてきたと思いますが、今回の場合、審議会の頭越しに検討の報告がなされてきているのですが、審議会に対し、今回の報告についてどのような姿勢で臨まれようとされているのか、お尋ねいたします。
 さらに、市民病院の位置づけですが、今後どのようにされようとしているのか。今回の報告では結論を出すことができなかったとしていますが、これからも福岡市が2つの病院を経営していく体力は、将来、厳しいと認識しているのは我が会派だけではないと思います。こども病院の移転のみを議論していくのは全体的ではないと申し上げたい。また、当初アイランドシティ整備事業には高度先進医療施設を設置する計画がありました。今回の報告では、ほぼ充足しているとの考え方ですが、この事業を中止させるのでしょうか、お尋ねいたします。
 今度は保健福祉局にお尋ねしますが、これまで国の地域医療計画の中で、福岡市も国のがん対策として、緩和ケア対策として、地方の拠点となるための手続が進んでいると聞いていました。まず、その国の概要について、そして国はいつまでに決定し、どれくらいの地域で整備するのかという点もあわせて説明していただきたいと思います。その結果、本市は地方拠点病院に名乗りを上げようと考えておられるのか、お尋ねいたします。
 次に、青果市場の移転についてお尋ねいたします。
 昨年、市場関係者からアイランドシティに移転統合させたいとの要望が出されて10カ月が過ぎた現在、市2工区に統合移転させると新聞発表されましたが、この検討報告までに約1年が経過しようとしています。初めに、市場の開場時期が当初計画は何年で、今回の見直しにより当初の計画からおくれることがないか、お尋ねいたします。次に、財政面の手だて、資金繰りについてはどうでしょうか。中央卸売市場会計として国が関与してくると思いますが、開場時期に間に合うのでしょうか、お尋ねいたします。また、現市場用地の今後についてお尋ねいたします。どうされる計画でしょうか、3カ所についてお示しください。さらに、アイランドシティ整備事業の報告にもありますが、市場関係者の交通対策としても利用価値が高い自動車専用道路をアイランドシティまで延長すると報告書には記載されておりますが、今後この高速道路の延伸が決定し、供用開始される時期ですが、市場の開場に間に合わせることができるのか、お尋ねいたします。
 次に、市民体験型農園についてお尋ねしてまいります。
 我が国の食料自給について論議が増してきております。輸入品に対し規制された物質が混入しているなど、食の安全が担保されないケースや、国内においても食品企業が材料を偽装して出荷し逮捕される事件が発生するなど、市民の信頼を失墜させる事件が頻発しております。市民の間では、生産者の名前等の顔がわかる食材を購入したいと言われる方や、自分で食べる野菜は自分でつくりたいと考える方たちがふえてきております。しかし、日本の農業生産を見てみますと、農業従事者の高齢化に加え、耕作放棄地が増加するなど衰退の方向にあると言えます。このままでは我が国の食料は自給どころか、外国からの輸入に頼るしかない構造になると危惧いたします。もし紛争などが輸入している国で発生した場合は食料の供給がストップし、我が日本の台所は大変な事態になると容易に想像できます。ですから、今こそ国や各自治体は農業の振興に知恵を使い、自給率を高める努力が必要であると申し上げたいのであります。
 まず、全国の状況を示していただきたいと思います。平成18年、全国のカロリーベース食料自給率はどうだったのでしょうか。さらに、今後の自給率向上の計画をどう設定しようとしているのか、お尋ねいたします。次に、本市において2000年と2005年とを比較した場合、農業人口、農業人口に占める高齢者65歳以上の割合、耕地面積、耕作放棄地の面積と市民農園の区画数、募集区画数、応募倍率はどのように変化しているのか、お尋ねいたします。また、市民農園の利用者からの要望や苦情としてはどのようなものがありますでしょうか、お示しください。
 次に、学校ボランティアについてお尋ねしてまいります。学校に学ぶ子どもたちの環境はさまざま変化してきております。特に教員の皆さんには過重労働があるという点や、生徒、児童への接し方などで御苦労があるとも聞いております。本市は学校運営において学校サポーター制度を実施しており、地域や保護者と連携し学校運営に参加するようになっています。地域を含め、みんなで子どもたちを守り育てるという点で大変意義深いものであると考えます。しかし、それでよしとしてはいけません。まだまだ改善の余地があると考えます。学校運営についてはさまざまな角度から論じられますが、今回、私は特に教員のサポートをするボランティアのあり方についてお尋ねしてまいります。
 まず、政令市で教員を補助する学校ボランティア制度を採用している都市はどれくらいありますでしょうか。また、その内容として、特別支援教育や図書室のサポートなど行われている分野別にお示しください。また、福岡都市圏で特に特別支援教育のボランティアを実施されている都市があれば、その状況をお尋ねいたします。一方、本市ではどのようなサポートボランティアを実施されていますでしょうか。現状をお尋ねいたします。
 以上で1回目の質問を終わり、2回目以降は自席にて行います。

 

◯副議長(久保 浩) 中島総務企画局長。


◯総務企画局長(中島紹男) まず、アイランドシティ整備事業の検証・検討結果報告についてのおただしでございますが、今回の報告では、まちづくりエリア全体としての将来像、本市東部地域の新たな拠点にふさわしい土地利用の方向性などについて検討を行い、環境共生を実感できるまち、多様な都市機能と良好な住環境が共存する交流のまち、多彩な人々が学び、新たな産業を創出するまち、この3つのまちの姿を目指すことを提案いたしております。こうしたまちの姿を実現するため、広域から人が集まる賑わいとふれあいの場として、本市東部地域の新たな拠点にふさわしい多様な都市機能の重点的な誘導を図っていくセンター地区を新たに設定することについて提案いたしているものでございます。
 次に、市立病院のあり方については、病院事業運営審議会から平成14年に答申をいただいており、これに基づき、平成17年に新病院基本構想が策定されたものでございます。しかしながら、市民の皆様の理解が十分に得られていないという認識のもと、本市の厳しい財政状況や医療環境の変化を踏まえて検証・検討を行ったものでございます。審議会との関係につきましては、平成14年の審議会答申において、答申内容がどのような形で実現されるか見守っていく必要があり、具体的な取り組みに関しては適宜審議会へ報告されることが求められております。したがいまして、新たな病院の整備を行う方向性については、審議会へ速やかに報告を行うとともに、委員の皆様の御意見を伺い、具体的な計画を策定するための参考とするべきといたしておりますし、また、市民病院の今後のあり方を検討するに当たっては、審議会の審議を受けるべきものといたしているところでございます。
 次に、市民病院につきましては、現在実施している成人の医療が市内の大学病院を初めとする高度な医療機関と競合しているなど、市内の医療環境その他の要素から判断して、市が政策的に担う必要性が希薄化している面がございます。一方で、市民病院が地域の中核的な病院としての役割を果たしてきたことも事実であり、また、市民病院の存在意義の1つであるセーフティネット機能については、本市における救命救急センター、災害拠点病院などの整備の状況から見て、役割を継続させるかどうかが課題でございます。今後、これらの視点を踏まえつつ、市民病院のあり方についてさまざまな御意見をお聞きしながら、民間移譲も視野に入れて広く検討する必要があるといたしているところでございます。また、アイランドシティにおける高度先進医療機関の設置計画につきましては、今回の報告の中で、ふくおか健康未来都市構想の推進に当たり、高い水準と専門性を持った医療機関が必要であり、その立地により健康、医療、福祉分野の関連産業の集積を図る必要があるといたしているところでございます。以上のとおりでございます。

 

◯副議長(久保 浩) 石井保健福祉局長。


◯保健福祉局長(石井幸充) 国のがん対策についてでございますが、各都道府県において地域における連携を図りつつ、質の高いがん医療を受診できる体制を確保するということで、昨年2月に厚生労働省からがん診療連携拠点病院の整備に関する指針が示されておるわけでございますが、この拠点病院の整備に際しましては、各都道府県の医療計画等との整合を図りながら、都道府県がん診療連携拠点病院については、都道府県におおむね1カ所、また、地域がん診療連携拠点病院にあっては2次医療圏に1カ所程度の整備が考えられてございます。なお、指定についてでございますが、4年ごとの更新で、都道府県が更新前年の10月末までに厚生労働大臣に推薦書を提出するということになっております。
 次に、拠点病院の指定に向けての本市の取り組みでございますが、本市が属します福岡・糸島2次医療圏におきましては、既に国立病院機構九州がんセンターが地域がん診療連携拠点病院に指定されている、また、緩和医療の提供体制など指定要件の一部への対応は現在では困難ということから、現在のところでは予定はございません。以上でございます。

 

◯副議長(久保 浩) 谷口農林水産局長。


◯農林水産局長(谷口芳満) 青果市場再整備における新市場の開場時期についてのお尋ねでございますが、市場を移転して整備する場合には、平成26年度の開場を目指し、市場関係者とも協議を行いながら、市場の再整備事業を進めてまいりたいというふうに考えております。
 次に、国の交付金との関係でございますが、青果市場再整備事業につきましては、平成17年度から22年度までを計画期間とする第8次中央卸売市場整備計画におきまして、青果市場と東部市場の2市場統合及び青果市場用地における再整備について国からの事業採択を受けているところでございます。青果部3市場の統合とアイランドシティにおける再整備につきましては、今後国と計画変更の協議を行い、平成26年度の開場を目指し努力してまいります。
 次に、現在の青果部3市場の用地の取り扱いについてのお尋ねでございますが、青果部3市場を統合し、新市場を新たな土地に整備する場合、3カ所の現市場用地を処分し、その売却益を新市場用地取得の財源に充ててまいりたいと考えております。また、現市場用地の処分に当たりましては、まちづくりの観点も踏まえ、周辺住民の御理解も十分に得ながら検討してまいりたいと考えております。
 次に、アイランドシティへの自動車専用道路の延長についてでございますが、アイランドシティ整備事業及び市立病院統合移転事業検証・検討結果報告では、今後のまちづくりの進捗に応じて発生する交通需要に対応できる適切な時期に供用を開始するためには、自動車専用道路の導入について、事業化に向けた検討に着手する必要があるとの報告がなされております。私ども農林水産局といたしましても、卸売市場の物流機能を十分に発揮させるためには、自動車専用道路の導入がぜひとも必要であることから、早期整備に向けて関係局と協議をしてまいりたいと考えております。
 次に、市民体験型農園の関連でございますが、まず、我が国の食料自給率は先進国の中で最も低い水準にあり、2006年度のカロリーベースの食料自給率は39%となっております。国は2005年3月に策定した新たな食料・農業・農村基本計画において、2015年度までにカロリーベースの食料自給率を45%に引き上げることとしております。次に、本市の農業従事者数は2000年には7,280人でしたが、5年後の2005年には5,739人となっており、21.2%の減少となっております。また、65歳以上の高齢者の割合は、2000年には33.0%でしたが、2005年には37.5%に増加しております。市内の耕地面積は農地転用などにより減少が続いており、2000年には3,284ヘクタールであったのに対し、2005年には3,014ヘクタールとなっており、8.2%の減少でございます。耕作放棄地は、国の農林業センサスによりますと、2000年は162ヘクタール、2005年には185ヘクタールとなっており、14.2%の増となっております。市民農園につきましては、本市では967区画あり、募集区画は2000年度は120区画、2005年度は37区画で、応募倍率は2000年度は2.8倍、2005年度は6.9倍となり、増加傾向にあります。市民農園に対する要望や苦情につきましては、申込者から募集区画が少ないことへの苦情や、開設農家から相続税の納税猶予が受けられないかといった相談があっております。以上でございます。

 

◯副議長(久保 浩) 山田教育長。


◯教育長(山田裕嗣) まず、政令市における学校ボランティア制度についてのお尋ねでございますが、教育の全分野において学校ボランティアを制度化している政令市は17都市中2市であります。他の15市でも学校図書館支援など分野によっては制度化し、積極的に推進しております。ボランティアの活動内容としましては、学習指導、学校図書館、特別支援教育のほか、学校行事や部活動、学校の環境整備や登下校時の安全指導など、地域や学校の実態に応じてさまざまな支援活動が行われております。
 次に、福岡都市圏における特別支援教育の学校ボランティア制度の実施につきましては、大野城市及び春日市において実施されており、両市とも市民が教育委員会にボランティア登録を行い、学校の要望によりボランティア活動を実施しております。支援の内容につきましては、移動等の介助や学習の進度に応じた学習支援を行っていると聞いております。
 次に、本市における学校ボランティアにつきましては、児童生徒の読書活動を促進する学校図書館ボランティアや学習指導の補助などを行う学生サポーター、教材教具の開発や個別指導への支援を行う学力づくりパワーアップ支援サポーター、子どもたちの安全を見守るスクールガードなど、学校、地域の実態に応じた活動が行われております。また、総合的な学習の時間を中心に保護者や地域住民によるゲストティーチャーなどを招いて、児童生徒の学習への関心や意欲を高める活動も行われております。以上でございます。

 

◯副議長(久保 浩) 山口剛司議員。


◯36番(山口剛司) 2回目の質問に入ります。
 アイランドシティ整備事業には健康未来都市構想が設定されております。今回の報告では、その構想が根本から変わるのではないでしょうか。高度な先進医療、福祉都市を掲げ、戦略的に進めることで、福岡市民はもとより、西日本地域、ひいては東アジアの拠点となるべき方向性が失われてくるのではないかと心配いたしております。アイランドシティのランドマークたるべき構想が崩れてくるのではないでしょうか。
 まず、報告書の中から病院移転についてお尋ねいたします。7月29日付の西日本新聞の報道では、厚生労働省の研究班が総合周産期母子医療センターの診療体制を調べた結果として、回答施設の約2割が、脳出血など産科以外の妊産婦の急性疾患は受け入れ不可能という結果を発表したとありました。子ども関連病院だけでは専門医不足で対応できないということです。調査研究班の国立循環器病センター周産期治療部長の池田智明主任研究者は、未熟児や新生児の医療を主眼に作られたシステムの落とし穴、成人の救急疾患にも対応できるよう、周産期医療を再構築すべきだと指摘しています。今回報告されたアイランドシティの病院構想では、厚生労働省の報告と同じで、福岡市でも対応不可能ということになるのではないかと考えますが、所見を伺います。緊急に母子ともに搬送されてきた場合、子どもについては治療できるが、母体については治療ができない分野において、この新病院から逆搬送される結果となります。市立の病院として、このスタンスでいいのか、疑問を呈さざるを得ません。当局はこの点に対しどう認識されているのか、お尋ねいたします。
 現時点で既に欠陥があると認識される施設をわずか半年余りの事務的検討のみで、向こう30年間の市民の生命を守る市立病院として整備することは余りにも無謀な話ではないでしょうか。
 また、市民病院の今後ですが、これからの本市の市立病院経営に禍根を残す結果を出されているのではないでしょうか。国の施策として診療報酬は小児科と産科に厚くされていて、その他の診療科目は減額されていることを見ますと、市民病院の機能ではさらに経営が圧迫されることになると考えます。ここはやはり新病院としてあわせて整備すべきと、かねてより我が会派が主張してきているのですが、この経営という観点からどのように考えておられるのか、御所見を伺います。
 奈良県では昨年夏、出産時に意識不明となった妊婦が20の病院から受け入れを断られた後、脳出血で死亡しました。先月は産科病院の受け入れがなく、胎児が死亡するという事故が発生しました。福岡市でもこのような例が起こる可能性がないとは言い切れません。新病院にどのような科目を位置づけるかは重要な課題です。その上に立って、こども病院の移転と周産期医療、感染症治療のみでは、先ほども述べましたように、いざというとき、新病院のみで対応がとれないということでは、現在の市民病院での機能が生かされないことになってしまうのではないでしょうか。ここは一緒にアイランドシティに移転すべきであると申し上げたい。当局は市民病院については結論を出されていませんが、どのような選択肢があり、いつごろ結論を出される考えなのか、お尋ねいたします。
 また、粒子線など放射線治療を行う港湾局が推進している病院についてです。九州内でも3地域が病院設立に名乗りを上げると聞いております。今の本市の状態では、よそと比較すると本市はおくれてしまうのではないでしょうかと危惧しますが、大丈夫でしょうか。さらに、健康未来都市構想のメディカルコア機能としての放射線治療は堅持すべきであると思いますが、当局の考え方をお尋ねいたします。
 次に、まちづくりエリアのゾーニングの変更といいますか、追加と表現したほうがいいのでしょうか。これまでのゾーニングを発表されてきた港湾局としては、今回の報告についてどのように考えておられるのか。この約1年間、凍結されてきた影響は大きいと思います。そして今回のゾーニングの追加提案である娯楽施設を誘致するということについて、私は良好な住環境が築かれるというこれまでの概念が変わっていくことを心配しますが、港湾局はどう考えておられるのか、お尋ねいたします。
 また、青果市場の件ですが、一月でも早く市2工区の移転を正式決定させることが重要と考えます。そこからようやく財政負担や配置計画などについてもスタートさせることができます。自動車専用道路についても市場の開場時期に間に合わなければ、関係業者の負担が大きくなることになりかねません。さらに充実させるためにも関係局の迅速な対応をお願いしたい。1回目の質問でも完成時期をお尋ねいたしましたが、ぜひ計画どおり実現させていただきたいと要望いたします。この青果市場の移転正式決定は、報告が提出された今議会と考えていいのか、お尋ねいたします。
 次に、市民体験型農園についてです。1回目で全国のカロリーベースの指標を伺いました。現状では40%を切っている状況を何とか45%まで、まずは盛り返すとのことですが、一度下降し始めた自給率を上げるのは相当な施策が必要であると言えます。九州でのカロリーベースは全国平均より8ポイント高いのですが、福岡県は22%と全国平均より18ポイントも低くなっております。この数値の改善にはいろんな施策が考えられると思いますが、今回は生産高向上に貢献する意味で、市民が自由に耕作できる市民農園、中でも体験型農園について提案を含め質問をしてまいります。
 市民農園の新規募集区画数は2000年が120区画で、2005年は37区画、そして昨年は15区画とのことです。団塊の世代の大量退職というときを迎え、農業への関心が高まっている中で、現状では農作物を生産したくても生産する土地がないというのでは何ら有効な手だてが打てないのではないでしょうか。耕地面積が減少し、農地が住宅などへ転用され、さらには、耕作放棄地が増大している今、ここはすぐにでも手を打つべきであると申し上げます。
 参考事例として、農業体験農園を全国に先駆けて開設した練馬区を調査してまいりましたので、御紹介します。
 東京都心部に住民がふえ続ける中で、農業を続けていきたいという農家の意向を受け、練馬区では平成4年から協議を重ねてきたということでした。この協議の中で、相続税納税猶予制度の適用が可能な体験型農園に取り組んでいくことにしたそうです。平成8年に開設以来、毎年1園ずつふやし、現在では12園となっています。平成22年度までに16園までふやす計画でした。今の総区画数は1,300区画で、新規募集は315区画、応募倍率では10倍を超える園が3カ所あります。一般的に市民農園は利用者が自由に作付し耕作する農園ですが、練馬区ではその農園も体験型とは別に、30平方メートル単位、384区画と練馬区独自の区民農園がおおむね15平方メートル単位で2,258区画ありますので、念のため申し述べます。数だけでも本市の967区画を圧倒しております。この新方式の農業体験農園は、農家が耕作の主導権を持って経営管理する農園となっています。ですから、利用者は園主である農家の指導のもと、作付から収穫まで農作業を行います。農作業具も農家から借りるため、利用者は手ぶらで農園に来ます。1年を通して収穫される野菜はおおむね20種類を超えるということです。プロの指導のもと行われるわけですから、とれた野菜は市販のものと変わらないため、利用者から大変喜ばれておりました。この農園の利用者は年額3万1,000円を支払います。練馬区内の普通の区民農園は年額4,800円、市民農園は1万9,200円と比べると高い気がしますが、苗の購入費用や肥料代などすべて含まれているし、また、収穫高が比べようもありません。農産物は市価に換算すると約8万円というので魅力があります。利用期間は約1年ですが、5年まで更新することができるため、1,300ある区画のうち、募集されたのは315区画ですから、それほど継続する利用者が多いということが言えます。
 一方、農園主に対しては施設整備補助金として国が2分の1、東京都が4分の1負担しています。さらに、練馬区から管理運営費補助金として1区画当たり年間1万2,000円を支払っていますので、農業経営という観点からも収入が600万円を超える農園が多いため魅力があります。この施策の利点は、1番目に、都市住民と農業者の交流が盛んになることです。これまで堆肥などのにおいや土ぼこりといった農園主に寄せられる苦情が激減したとも言われていました。都市農業に対する理解が広がっていると言えます。2番目に、農家による懇切丁寧な指導がなされ、栽培に適した品種の苗と肥料が供給されるため、利用者は失敗も少なく、手軽に野菜づくりを楽しめます。3番目に、農業経営として成り立つということです。市場価格に左右されない施設料が安定して収入となり、また、利用者が農作業を行うため労力も軽減されます。4番目に、行政負担が軽減されるという点です。農家が農園の管理を行うため、練馬区は補助金の助成と農園管理の助言や利用者を区政だよりで募集する手伝いのみに限られます。これまでの区が管理する市民農園の負担に比べ格段の差があるということでした。農家が保有するすぐれた技術を利用者に対し発揮することで、利用者と農園主、さらには行政負担の軽減と、一石二鳥ならず一石三鳥の施策となっています。都市農業の振興と農地の保全につながる行政施策として、農林水産省主催のオーライ!ニッポン大賞では大賞を獲得するなど、練馬型や練馬方式とも呼ばれ、今や全国の注目を集めるに至っています。このことから、ぜひ本市でも農地や農家を守るとともに、農業への市民の理解を一層深めるため、農業体験農園を導入してはいかがかと考えますが、御所見を伺います。
 次に、学校ボランティアについてです。本市でもこの夏、発達教育センターが定員40名のボランティア募集の記事を西日本新聞に掲載されましたが、ボランティア養成研修の受講定員と受講者数は何人になったのでしょうか。また、昨日と本日、研修会を実施されているということですが、今後のボランティア派遣スケジュールはどうなっていますでしょうか。何人がいつから学校に派遣される予定か、お尋ねいたします。また、派遣を希望している学校はどれくらいあるのでしょうか。今後の計画を伺います。
 今回、特別支援教育ボランティアの質問をするきっかけは、小学校の特別支援学級で学ぶ保護者からの相談によります。その学級は、生徒が8人以下なので、指導教諭は1名です。1学期にその生徒の1人が学校から出てしまったことがあったそうです。当然担任の先生はその生徒を連れ戻すために学校を出て捜しに行きましたが、他の生徒は教室に残っています。当然自習状態となっていました。また、先生が児童と学校に戻ってきた時間がお昼を過ぎていたために、先生は給食もとれずじまいで午後の勤務についたということでした。このように、担任1人ではどうしようもない状況、教員に過大な負荷が大きくかかっているケースが他の学校でも見られることだと考えますが、教育委員会はこのような現状をどのように理解しているのか、お尋ねいたします。
 また、ボランティアを必要とする場所として、図書室の整理、運営などが挙げられるのではないでしょうか。2005年9月、私の質問に対し当時の植木教育長は、学校司書の配置効果をより一層高めるために、司書教諭や学校司書、学校図書館ボランティアの研修会を充実させ、学校図書館関係者の資質や技能の向上を図り、子どもの読書活動の推進に努めてまいりますと答弁されていましたが、現在はボランティアの方の研修会をどの程度実施し、何人が実際に学校で活動しているのか、お尋ねいたします。
 以上で2回目の質問を終わります。

 

◯副議長(久保 浩) 中島総務企画局長。


◯総務企画局長(中島紹男) 検証・検討結果について、市民病院の経営の観点からのお尋ねでございますが、今回行いました医療機能の想定に応じた経営試算では、小児、周産期医療及び感染症医療に特化し病床数を拡大すると、潜在的なニーズを吸収できる限り経営の効率化が高まり、スケールメリットが働くものの、限られた病床数の中で成人の医療機能をふやしていくと、人件費を初めとした固定費や施設、設備などの整備に係る初期投資の負担が重いため収支が悪化する傾向となっております。さらに、初期投資にも差異がございます。このため、経営という観点からも小児、周産期医療及び感染症医療に特化した病院とすべきといたしたものでございます。以上でございます。

 

◯副議長(久保 浩) 岩瀬港湾局長。


◯港湾局長(岩瀬信一郎) 粒子線がん治療施設の設置について、他都市と比較すると本市はおくれてしまうのではないかというお尋ねでございますが、現在医療運営に係る部分につきましては、大学などの医療関係者を中心とした医療部門研究会を設置し、医療体制や医療機関の連携、協力のあり方などについて検討するとともに、医療運営主体の具体化に向けて医療関係者と協議を行っているところでございます。また、施設の運営管理に係る部分につきましては、民間事業者を中心とした事業運営部門研究会を設置し、事業手法や資金調達、リスク分析など事業の具体性を高めるため検討を重ねており、引き続き事業の実現に向けて取り組んでまいります。また、健康未来都市構想のメディカルコア機能として放射線治療は堅持すべきではないかというお尋ねでございますが、放射線治療の1つである粒子線がん治療施設の立地につきましては、ふくおか健康未来都市構想に掲げるメディカルコア機能の中の高度専門医療機関の1つとして位置づけており、先進医療への取り組みを九州、アジアなど対外的に発信し、今後の健康、医療、福祉分野における産業集積につなげることを目的として、今後もふくおか健康未来都市構想の具体化に向けて進めてまいります。
 次に、今回の検討結果で新たに設定をされましたセンター地区につきましては、まちづくりエリアの中心部に位置していることから、港湾局といたしましても、新たな都市拠点にふさわしい商業、業務機能を初め、科学技術や文化・芸術に関する情報発信、交流機能、交通拠点機能等の複合機能を形成する必要があると考えております。また、今後商業やエンターテインメント施設を含めた集客、交流機能の導入に当たりましては、秩序と調和のあるまちづくりに資するよう、周辺の景観や環境等に十分配慮してまいりたいと考えております。以上でございます。

 

◯副議長(久保 浩) 谷口農林水産局長。


◯農林水産局長(谷口芳満) 青果市場再整備の決定時期につきましては、青果部市場再編・再整備事業検討会議の検討報告を受け、本年8月、市政運営会議において、青果部3市場を統合し、新青果市場をアイランドシティで整備するとの方針を決定し、今般、9月議会におきまして、市場再整備事業を進めるために必要な経費について予算の補正を提案しているところでございますので、よろしくお願いいたします。
 次に、市民体験型農園の導入についてでございますが、食の安全、安心や食育、レクリエーションなどにおいて市民の農業への関心や期待が高まりを見せている中で、市民の農業への理解促進を図るために、市民農園の拡充は重要な施策であると考えております。このため、市内の農地を市民農園として開設するに当たっての支援を行う市民農園拡大推進事業を平成19年度より実施しているところでございます。御提案の市民体験型農園につきましても、園主となる農家の御理解をいただくことが前提とはなりますが、御指摘のように、都市農業に対する、より効果的な理解の促進や農家の収入の安定につながるなどのメリットもあり、市民農園拡充の有効な手法として検討してまいりたいと考えております。以上です。

 

◯副議長(久保 浩) 山田教育長。


◯教育長(山田裕嗣) まず、発達教育センターのボランティア養成研修につきましては、平成19年度から障がいのある児童生徒の学校生活支援をしていただくために、市民を対象に養成研修を実施いたしますが、受講定員40名、受講者数は43名となっております。各学校への派遣につきましては、研修終了後に発達教育センターにおきまして受講者のボランティア登録を行い、10月から各学校の要望を受けて実施する予定であります。派遣の人数につきましてはまだ未定でございます。ボランティアの派遣希望が出ております学校は、現在小学校4校、中学校1校でございます。今後の派遣計画につきましては、特別支援学級及び通常の学級に在籍している発達障がいのある児童生徒を中心に、ボランティアを行っていただく市民と十分協議しながら派遣を実施したいと考えております。
 次に、特別支援学級につきましては、障がいの重度重複、多様化が進む中で、学級担任の負担が大きくなってきていることは認識しているところでございます。そのため、各学校では児童生徒の障がいの状態に応じた個別の指導計画及び個別の教育支援計画を作成し、校内支援委員会で特別支援学級の支援について協議を行うなど、学校全体で取り組みを進めているところでございます。今後とも支援の充実に努めてまいります。
 次に、学校図書館ボランティアの研修会につきましては、各学校において司書教諭などの図書館担当者が中心となって実施しておりますが、教育委員会といたしましても、講師を招いての研修会やボランティア同士の交流を中心とした研修会などを毎年行っております。また、各学校におけるボランティアの活動状況につきましては、学校の規模や活動内容によって異なりますが、少ない学校では五、六人、多い学校では80人以上のボランティアの方々に支援をしていただいております。活動内容としましては、子どもたちへの読み聞かせや蔵書の管理、学校図書館の環境整備などでございます。以上でございます。

 

◯副議長(久保 浩) 鶴川副市長。


◯副市長(鶴川 洋) 新病院の役割についてのお尋ねでございますが、緊急搬送されるハイリスクな母体に対する医療につきましては、本市のように大学病院を初めとした高度医療機関が集積している状況では、母体の状況に応じまして、これらの病院間の連携や役割分担により対応が可能であると考えています。このようなことから、新たな病院における周産期医療は、市内及び近郊における新生児医療ネットワークの充実強化に貢献することを優先すべきものと考えているところでございます。
 次に、市民病院についてのお尋ねでございますが、今回の検証・検討では、新たな病院を整備する場合は、小児、周産期医療及び感染症医療に特化すべきとした上で、市民病院の建物につきましては当面手を加えずに継続使用することが可能であることから、現2病院の統合という整備手法を選択しなかったものであります。市民病院につきましては結論を出してはおりませんが、今後市民や議会などさまざまな方面からの御意見をいただくとともに、病院事業運営審議会における審議もいただくなど、民間移譲も視野に入れて早急に検討を進めていく必要があるというふうに考えているところでございます。以上でございます。

 

◯副議長(久保 浩) 山口剛司議員。


◯36番(山口剛司) 3回目の質問に入ります。
 先ほど述べられました病院構想、ぜひアイランドシティに持っていく病院、そして市民病院をどうするか、これはぜひセットで考えていただきたいと意見を申し上げたいと思います。
 吉田市長は、市長に就任されて以来、アイランドシティ整備事業の方向性は本年の9月まで待つように議会で話されていました。ここに来て検証結果を報告されているのですが、質問に対し、2回目までは当局の理事者の方が答えられてきました。これからは市長の言葉でお答えいただきたい。これまでの健康未来都市構想は引き続き実施していく考えか。そのためにも病院移転は、高度先進医療施設は、アイランドシティのゾーニングは、今回の検討結果にのっとって進めていくのか、ここが一番の根幹です。正式決定に際しては、市長が政治決断をこれからされると認識していいのか、お尋ねいたします。
 また、青果市場移転について、市長の決意をお伺いしたい。
 次に、市民体験型農園についてですが、練馬区の農業体験農園の現地を訪ねました。農地はそれぞれの区画内のうねごとに品種が分けられており、整然と作付されております。それは道路から見てもとてもきれいなもので、都市景観としてもすばらしいものでした。そして、農園主のお話を伺ってきました。この方は当初の協議会から参加されており、いろんな御苦労がある中で、利用者からは自分がつくった野菜が食べられるようになるのでうれしいとか、プロによる指導なので失敗がないなどと大変評価をいただいているのでやりがいがありますと言われていました。
 また、これまでの農地を手放してマンションなど住宅地に変えられた仲間がいますが、50年などの長い目で見ると、資産運用の利点を考えても農業を続けていけることが一番ですとも話されていました。非常に意味深い言葉でした。また、農園の隣に収穫した野菜を材料にして提供するレストランを営業されていました。平日のお昼だったのですが、乳幼児連れのお客様で満席でした。非常に評判がよく、12時前でないと入れない状況で、遠方から何組もの方が評判を聞きつけて来られたのですが、食事ができなくて残念がっておられました。このように、皆さんの知恵で結果として農地が保全され、都市農業の振興につながり、さらには、都市緑化にも貢献することができるのではないでしょうか。本市でも自分で野菜をつくりたいという市民が多数おられます。そこにプロの指導が入ればもっと市民が満足できる農園ができるのではないでしょうか。農業の振興のみならず、快適な市民生活を確保していく観点も含め、今後本市においても体験型農園を実施してはどうかと提案いたしますが、吉田市長の御所見を伺います。
 次に、学校ボランティアについてです。次世代を担う子どもたちの教育には学校の教諭だけに責任を負わせるのではなく、地域も、さらにはボランティアで協力いただく市民の参加も必要であると考えます。この学校ボランティアの取り組みを教員のサポートをすることも含め、いろんな分野で市民が参加いただけるやり方を今後拡充すべきと考えますが、教育長、吉田市長の御所見を伺い、私の質問を終わります。

 

◯副議長(久保 浩) 山田教育長。


◯教育長(山田裕嗣) 学校ボランティアに教員のサポートを行っていただくことは、教員が子どもたちと向き合う時間を確保することにつながり、子どもたちに対してきめ細かな指導を行うことができるものと考えております。また、ボランティアの方々が教育活動にかかわり、さまざまな支援を行うことは、地域との連携の輪が広がり、学校の活性化にもつながるものと考えております。今後とも、学校ボランティアにつきましては、他都市の取り組み等も参考にしながら、活躍の場が広がるよう進めてまいります。以上でございます。

 

◯副議長(久保 浩) 吉田市長。


◯市長(吉田 宏) アイランド整備事業に関するお尋ねであります。大変に短い時間ではありましたが、検証・検討チーム、さまざまな課題をしっかりとあぶり出しまして、その検討策のプランを示せたと思っております。ただ、今議会でもいろいろな角度から質問をいただいておりますように、具体的なビジョンがもう少し書き込めるはずだという御指摘もそのとおりの部分もありますので、皆様方の御意見も踏まえながら、11月の最終報告を受けまして、最終的に決定をしていきたいと思っています。なお、ふくおか健康未来都市構想につきましては、そのアイランド事業のコンセプトの非常に重要な中核をなすものというふうに理解をしています。特に先ほど港湾局長もお答えしましたが、新しいがん治療の1つであります粒子線の治療センターにつきましては、よその地域も大変に有望なところも手を挙げて競争状態になっておりますけども、我々としてもしっかりと手を挙げるというか、推進をする立場でしっかり取り組んでいきたいと思っておりますので、お時間いただきたいと思います。
 それから、2点目の市場、青果市場の移転につきましては先ほど局長が申しました。これまで市場、それから市場関係者、それから内部の検討を経まして、今回、アイランドシティで青果市場を3市場を統合して整備するという結論を、方針を決定して今回補正も出させていただいております。まだまだ最終的な形ははっきりしない部分もありますが、基本は安心で安全な青果物を消費者の皆様、市民のもとにきちんと届けられるという市場整備が一番大事だと思っておりますので、これから具体策についてはまた詰めていきますが、その過程でまたいろいろ議会の皆様、市民の皆様の御意見をいただきたいと思います。
 3つ目の市民体験型農園、私勉強不足で、市民農園は存じておりましたが、そこに体験型の農園というのは、議員のお話を聞きまして初めて理解をしました。練馬の例をおっしゃいましたが、練馬も古くは農園、農村地帯であったわけですけども、そういった地域でやはり農業に対して今なおしっかりとした目を向ける人が多いというのは、議員が見てこられたとおりだろうと思います。我が福岡市でもそういうニーズはきっと多いだろうと思います。私の周辺にも50近くになって、なぜか急に田んぼで田植えがしたいということを言い出す、私の一番近くにおる人がそういうことを言ったりしておりますが、そういったニーズがあると。それから、御指摘ありました団塊の世代もこれから出てきて、いろんな活動のところに領域を広げていきたいという願望があると思いまして、そういう受け皿にもなるんではないか。広く言えば、農業というものに対して、やはり我々はその農業を経て出てくるものから命をいただいているわけでありまして、都市住民としても農のことに対してしっかりと目を向けるというのは、我々が目指す都市づくりにもかなった目標ではないかと。体験型農園は一石三鳥とおっしゃいました。検討に値するのではないかなと、お聞きしながらそう思いました。
 それから、学校ボランティア、最後の御質問でございます。これも今は学校そのものが地域の力をかりないと成り立たないと言うとちょっと変な言い方になりますけども、地域のボランティアに学校を支えていただいているのはもう事実でありまして、このことに対しましては我々は大変に感謝もいたしておりますし、これから先もこの地域の力をかりなければいけない状況が続くだろうと思っております。先日、図書ボランティアの方々とお話をする機会がありまして、その場で図書館長も含めましてお話を聞きました。やはり聞いてみますと、いかに今現場にボランティアにいていただかなければ図書館運営もなかなかままならないというようなこと、それから、読み聞かせなども子どもたちは本当に楽しみにしていると。先生だけではなかなか手が回らない分野も、そういった方々のお力をいただいているという、大変よく理解ができましたし、これからもぜひ地域の力をかりて学校教育、地域教育にしっかり取り組んでいきたいと思います。以上でございます。

 

福岡市議会議員
山口つよし

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