福岡市議会議員・山口つよし

2006.10.05 : 平成18年決算特別委員会

◯山口委員 区役所の全体予算、決算と年度末予算執行について尋ねる。17年度決算として1兆6,918億円余が執行され、これまでの報告で各局の決算状況はわかるが、区役所という切り口では、各区の予算額や決算額、執行額がわからない。本庁各局の予算と決算を縦軸としてとらえた場合、現場に近い区役所の予算と決算は横軸とも言える。各区役所の16年度決算、17年度予算と決算、18年度予算額、また、区役所の裁量で自由に予算要求し、執行できる予算の状況はどうか。


△市民局長 区役所で執行する予算は、事業局から令達の形で各区の事業担当課に直接配分され、執行することとなっており、区役所で全体の予算額、決算額を整理するシステムにはなっていないため、区役所の予算額、決算額という形で示すことはできない。また、各局の予算のうち区役所の裁量で執行できる予算の枠は、7区の合計で、16年度は約2億円、17年度は約3億3,000万円、18年度は新たに区予算制度を導入して区の裁量権を拡大し、金額も約4億2,000万円に増額している。


◯山口委員 各区レベルでは予算、決算を示すことができず、区役所の各課に予算額を尋ねて合計しなければ数字が出ないということであり、驚いている。どの区で一番多く予算が執行されているのかを知りたい市民は多いと思われ、各年度の予算と決算の数字は明示してほしい。区によって事業規模が違うため、各区の金額は一律でなく、ばらつきがある点は理解でき、区役所独自予算にした場合に、議会の議決をとるシステムになっていないため、現在は、最終的に各局が執行金額を管理していることも理解できるが、全市的に、事業を最低このレベルまでは推進するという指針、区役所レベルでの指針が必要ではないかと思う。例えば、土木局の道路整備アクションプランは、歩道のフラット化を促進する整備の達成率を、14年度の10%から19年度には17%に上げるとしている。目標設定は大変重要であるが整備場所も大事であり、どの区に重点的に配分されているのかわからない。各区に置きかえると、当然に整備予算には差がつき、まちの熟成率でも差がつくと思う。都心部の中央区や博多駅を中心とした博多区では、これまでも重点的に施策が実施されてきたため生活環境は恵まれているが、東区などの場合は、生活道路や歩道の整備、通学路の安全確保、老朽化した下水のマンホールの更新等の生活環境という点で、他区より見劣りがする。区全体の決算内容は膨大なため、今回は地域整備部関連に内容を絞り、重点事業等の大規模な公共工事は除き、局の予算の中で弾力的に運用している区役所の裁量として使える金額について、土木局、都市整備局、下水道局における区全体の17年度予算額及び決算額は幾らか。


△土木局長 各区の道路整備や維持の予算については、他局からのネット替え事業や補助事業を除く単独費は、区が優先順位をつけて要望したものを土木局及び関係局と協議して予算化しており、実質的にはすべて区の裁量となっている。17年度の区全体の予算額は約78億8,000万円、決算額は約76億5,000万円である。


△都市整備局長 区が管理を行う街区公園や近隣公園等の住区基幹公園の管理費として、公園管理費を各区へ令達し、各区においては、この予算をもとに(財)福岡市森と緑のまちづくり協会に公園の維持管理業務を委託し、区と同協会で協議の上、年間計画を立て、維持管理業務を実施している。なお、あらかじめ一定額を区の裁量予算として確保しているわけではないが、緊急的、突発的な維持管理については、区の裁量で対応している。


△下水道局長 区で執行できる下水道局予算は、河川と下水道事業を合わせ、17年度予算額は14億6,150万円、決算額は13億9,889万円となっている。


◯山口委員 区役所の裁量予算については、各局で確保してもらうしかないことは理解するが、市民生活に密着した関連予算は、区役所と十分に協議して金額を確保してほしい。予算がないことを理由に、住民の要望実現には時間がかかり、いつ実現できるかわからないという区役所職員のせりふはやめるよう意見を述べておく。次に、区役所単位での内容の差に関して、土木局の道路整備や道路維持に係る決算額、都市整備局の公園管理に係る決算額、下水道局の新規整備を除くマンホールの改修個数について、17年度の全体額と最高及び最低の区名、金額等はどうか。


△土木局長 区役所の道路整備や維持費の決算の全体額は、先述の区の単独予算額に区が執行する補助事業を加えて約87億9,000万円であり、最多は博多区で約16億6,000万円、最少は城南区で約7億4,000万円である。


△都市整備局長 区役所が行う街区公園や近隣公園の維持管理の17年度決算額は、全体で約11億2,100万円、最高額は東区で約2億7,000万円、最低額は城南区で約5,900万円である。


△下水道局長 17年度に区が改修したマンホールの個数は、全体で3,836個、最多は東区で805個、最少は西区で245個である。


◯山口委員 内容に相当な差がある。区の人口や以前の整備年度の影響があり、特に土木関連の予算執行が少ない城南区は、地下鉄3号線の整備が行われている影響もあると思う。年度における全庁の整備予定に、決算で大きな差が出るのは仕方がないかもしれないが、単年度における各区の整備については、数値目標を掲げ、市全体のレベルを上げることが重要と考えるがどうか。


△土木局長 本市では、福岡市道路整備アクションプランに基づき5カ年の整備目標を立てて道路整備を進めており、特に市民生活に密着する生活道路については、歩道のフラット化や放置自転車対策等を重点として数値目標を掲げ、整備水準の向上に努めている。また、各区で行う道路整備については、人口や面積、道路管理延長など様々な要素が異なり、市民の多種多様なニーズもあるため、区によって予算的にも事業量的にも異なっているが、各区の整備率に十分配慮しながら、本市全体のレベルアップを図っている。


△下水道局長 マンホールの改修は、道路パトロールや市民からの通報等によって進めてきたが、17年度からは区と連携しながら実態調査を実施しており、さらなる市民の安全確保に努めている。今後とも各区の実態を十分に踏まえながら、効率的、計画的な改修を行い、本市全体のレベルアップを図っていく。


◯山口委員 本市全体のレベルを上げることは、各区におけるレベルを上げることと認識してほしい。次に、各区役所の地域整備部において、当該年度の予算執行計画はいつ決定されるのか。


△土木局長 区役所予算の執行計画は、各区において8月ごろに事業計画を立て、9月に土木局に提出され、その後に土木局で区役所予算を含めた重点予算や局裁量予算について関係局に要求し、調整後に3月議会で当初予算として審議される。議決後に各区へ予算額を提示し、各区で再度、年度当初に実施計画を立てて事業を行っている。


◯山口委員 予算配分後、特に1~3月に、緊急工事や緊急ではないが整備を必要とする工事が発生した場合はどうなるのか。新年度まで待たなければならないのか。


△土木局長 区の地域整備部における予算執行については、工期等の制限があるため、おおむね12月中には当該年度の事業を確定している。1~3月に発生した緊急工事に関しては、大規模な災害等の場合は、原則として予算の追加補正を行い対応している。また、小規模な緊急工事に関しては、緊急性に応じて、各区の予算内で箇所の振りかえが可能な場合は対応し、区内で調整できない場合は、土木局で他区との調整を行いながら、局全体の予算で対応している。


◯山口委員 調整ができなかった事例を述べる。平成18年2月4日午後6時ごろ、東区の汐井公園に通じる歩道橋で火災が発生し、歩道橋の下で生活していた1人が死亡した。その後、歩道橋は通行どめになり、修復予算がないため17年度は封鎖のままで、新年度の平成18年4月以降に応急復旧されて通行できるようになったが、本格復旧には時間がかかり、10月にやっと完了する状況である。3月17日に地域から相談を受け、現地を調査したが、歩道橋は公園におりる部分が黒く焼け焦げ、通行どめのテープが張りめぐらされていた。この事例は緊急ではないにしても、死亡事故の発生現場が何カ月も火災が起きたままの状態で放置されていることは好ましくなく、すぐに復旧工事を行うべきではなかったのか。


△都市整備局長 指摘の件については、汐井公園の歩道橋の下に住んでいたホームレスの小屋から発生した火災が歩道橋に燃え移ったもので、火災発生後、管理を行っている東区で直ちに被災状況の現地確認を行い、安全性確保の観点から閉鎖し、復旧工事の年度内実施について検討したが、予算残額や工期等から年度内の対応は困難と判断した。平成18年4月に焼却鉄板部の強度調査を行った後、舗装の整正、手すりやパネルの焼け焦げ除去等の仮復旧を行い、4月末に通行可能な状態とし、その後、本格復旧工事に着手し9月末までに完了した。長期間にわたり公園利用者に迷惑をかけたことは反省すべきであり、今後は、年度末の緊急事態発生にも柔軟に対応できるよう努めていきたい。


◯山口委員 同様の事例は他にもあると思われ、予備費的な7区共通の予算を確保し、実行することが必要と考える。本市の統計では、市民1人当たりの様々な数値が発表されているが、各区の決算額をその区の人口に置きかえた場合に、居住地域で大きな差があることは問題と考える。17年度決算で、各局から集められた不用額は415億円余に上っている。市税は市民に平等に恩恵を与えるものと認識しているが、各区別の予算及び決算のめり張りと7区共通の予備費的な予算の設定について、市長の所見を求める。


△市長 区役所が、地域の問題解決のために柔軟かつ機動的に取り組めるよう、区の裁量で執行できる予算を確保することは重要な課題と認識している。これまで区長の裁量で執行できる予算枠の導入や増額を順次図ってきたが、18年度からは新たに区予算制度を導入し、区長が自らの判断で、地域の実情や区の特性を踏まえた予算原案を作成できるよう権限を強化した。今後、その成果を踏まえ、地域の課題や市民の多様なニーズに応じた区独自の対応を推進できるよう、区予算制度の充実について検討していきたい。


◯山口委員 区の予算制度は、今後も拡充するよう要望しておく。次に、市有財産の活用について尋ねる。都市部に増大している低・未利用地は、生活環境の悪化や犯罪の誘発等の問題を発生させやすく、地域の魅力や活力の低下を招く原因にもなる。このような遊休地を市民農園やガーデニング、スポーツ広場、子どもたちの遊び場等として活用できるよう、地域住民、地権者、自治会、商店会等が担い手となり、低・未利用地等の管理や利用を継続的に行う体制の構築と支援策を講じる必要があると考える。平成15年の一般質問において、市有財産としての遊休地の現状と今後の対策について質問したが、どのように改善されたのか。また、17年度の遊休地の売却実績はどうか。


△財政局長 利用目的のない未利用地については、積極的に売却を進めており、17年度の売却実績は53件、83億1,551万円余である。


◯山口委員 17年度末で用途廃止後5年以上の遊休地の件数と面積は幾らか。また、活用方策が決まっているものや売却予定等の内訳はどうか。


△財政局長 本市が保有する土地で、用途廃止後5年以上保有している土地は、42件、10万7,643m2であり、内訳としては、行政用途が既に決定しているもの又は暫定利用中の土地が12件で4万5,889m2、ため池など活用困難な土地が3件で8,521m2、17年度までに分譲を決定し分譲中のもの又は17年度までに入札に付して売却を試みたものの買い手がつかなかった入札不調の土地が12件で3万8,316m2、18年度以降の売却に向けて準備を進めている土地が14件で1万2,597m2、行政用途も売却の方針も決定していないものが1件、2,320m2である。


◯山口委員 未利用地については、内容をさらに精査するよう要望しておく。次に、福岡市土地開発公社の保有地全体の借入れ利息は、近い将来、本市が利息分も含めて買い戻すことから重要な点と考える。17年度決算時点で本市事業のために保有している土地の元金とその利息額は幾らか。


△財政局長 元金は376億700万円余、利息は33億3,300万円余である。


◯山口委員 当時の取得金額である元金の支払いは理解できるが、利息の33億円についても、市民の税金で賄わなければならないとの認識を持ってほしい。平成15年に指摘した元職員研修所建設用地は、現在も土地開発公社の保有と聞いているが、当該用地の購入時から現在までに支払った利息は幾らか。


△財政局長 利息は、17年度末で3億7,800万円余となっている。


◯山口委員 毎年多額の利息が支払われており、民間では考えられない。平成15年6月の議会において、当時の総務企画局長は、この土地の処置方法については有効活用策を検討していると答弁したが、その後3年が経過しても、購入から10年以上の長期にわたり空き地のまま放置され、財政上からも対処しようという意識が見られない。民間であれば、利用方法が決まらず長期にわたると判断した場合は、期間を決めて借地として貸し出したりすると思う。職員の給料に直接影響しないため危機意識が欠如していると言われても仕方がないと危惧するが、所見はどうか。


◯山口委員 早急に用途を示してほしい。遊休地を売却していた場合と長期間保有したまま活用しない場合とを比較したときの損失は、積み上げれば莫大な金額に上ると想像できる。公共用建物の移転等で遊休地が生じた場合は、売却するだけでなく、他の部局での利用希望や全体的な判断で将来的に必要な施設に残しておくことも重要と考えるが、残す場合も、利用計画等で期間を設定すべきであり、まとまらなければ売却の方針を示すべきである。また、入札での売却不調を何年も続けることは問題と思うがどうか。


△財政局長 行政用途を廃止した土地は、速やかに他の行政利用への転活用を検討し、行政利用が見込めない未利用地については積極的に売却を促進し、財源確保に努めていく。また、入札で買い手が見つからなかった土地については、ホームページを活用し、随時、先着順による募集を行うとともに、物件によっては宅地建物取引業協会等への売却あっせんも活用していく。なお、入札後1年間を経過した物件については、売却予定価格を見直し、早期の売却に努めていく。


◯山口委員 他局にも遊休地があるが、活用例として、建築局所管の市営住宅の建築用地として確保されている空き地がある。今までは様々な制約があり、貸与できなかったと聞いているが、周辺住民は有効活用されないことを不思議に思っている。建てかえ用地等で当面使用予定がない用地について、市有財産の有効活用の点から、現在、どのように取り組んでいるのか。


△建築局長 指摘の土地は、市営住宅の建てかえ事業に伴い発生したもので、今後、市営住宅を建設する計画がある事業用地と市営住宅の用途を廃止し処分を予定している余剰地がある。そのうち、事業化や売却処分等までに一定期間が見込まれ、その間の有償貸与が可能なものについては、社会福祉法人に貸与するなど歳入の確保を図っている。また、自治協議会から地域活動の場として利用したい旨の要望があったため、地域活動支援の観点から、一定期間、無償で自治協議会が利用できるようルールを設け、現在、3校区の自治協議会で多目的広場等に利用されている。今後とも積極的に土地の有効活用に努めていきたい。


◯山口委員 3年前にはなかった遊休地の利用例であり、特に校区の自治協議会との連携は大変評価できる。他の部局でもしっかり取り組むよう要望しておく。また、東区千早駅周辺には、将来の公共施設用地として平成9年に先行取得され、現在も空き地のままの土地がある。東区では、300~500人規模のイベントを行いたくても、ホールとしては東区市民センターしかない。議会でもたびたび議論され、そろそろ東区民の要望にこたえる時期ではないかと考えるが、局長に尋ねても結論が出ない。次に、現在、資産活用は全国の自治体で検討されており、本市が保有する不動産資産も積極的に活用すべきと思うが、不動産活用という観点で検討していることがあるか。


△財政局長 平成16年6月に策定した福岡市財政健全化プランにおいて、積極的な財源確保策として市有財産の有効活用を掲げ、平成17年1月に策定した福岡市財産活用プランに基づき、利用目的のない未利用地の売却促進など市有地減量作戦に取り組んでいる。また、行政利用している建物の活用については、地方自治法による制約を受けていたが、平成18年6月の法改正により既存庁舎等の空きスペースの有効活用等が可能となった。今後、効率的な使用の推進について、法の改正内容を踏まえ、研究、検討していきたい。


◯山口委員 地方自治法の改正により、資産活用の一環として建物ごと企業に売却し、そこへテナントとして役所機能の部署が入居する方法もあると聞くが、市役所の中に様々なテナントが入ってもいいのではないかと思う。また、定期借地権のように年限を区切り、民間ディベロッパー等に事業をゆだねてはどうか。


△財政局長 建物ごと企業に売却し、賃借するリース・アンド・バックの方法もあるが、売却による歳入が見込まれる一方で新たな賃借料負担が生じ、他の資金調達方法と比較するとコスト的に高くなるなど様々な課題を抱えているため、他都市の例も見ながら、引き続き制度の調査、研究を行っていきたい。


◯山口委員 局部内で十分に議論し、よりよい資産の活用方法を検討するよう要望しておく。本市が保有する資産の価値が大きいことは市民が認めるところであり、本庁舎についても、天神の一等地でなく地価が安い場所に移転すれば莫大な資産になるだろうと述べる識者もある。20~30年前と比べて、公務員の仕事内容や情報が大きく様変わりしている現在、市有財産の有効活用に知恵を出し合い、借金をしなくても経営できる自治体へとかじを取るべきと考えるが、このテーマの最後に市長の所見を求める。


△市長 本庁舎など本市が有する施設には大きな資産価値があると考え、行政財産を含めた資産の有効活用に取り組んでおり、本庁舎では平成16年11月にコンビニエンスストアを開設し、財源確保に努めている。平成17年1月には財産活用プランを策定し、行政利用が見込まれない未利用地の売却、有償貸付けを積極的に進め、また、全市的に本市の広報媒体や施設を活用した広告事業、ネーミングライツの導入を目指し、検討を行っている。市有財産の有効活用については、重要な経営資源の一つとして、時代のニーズに応じて創意工夫を凝らしながら、効果的な財産運用に努めていきたい。


◯山口委員 市有財産については、市民が納得できる形での活用を要望しておく。次に、町内会の集会所について尋ねる。これまでにも様々な議論がなされてきたが、集会所の問題は、市民の要望にこたえる形になっていない。町内会の集会所は、住民自治を進めるために必要な施設と認識しているが、集会所を持たない地域では打合せを行う場所もなく、集会所を建てたくても、町内会レベルでは土地の購入にはおぼつかないのが現状である。市民局では、集会所建設の際に建物に対して補助金を出しているが、17年度決算での相談件数と補助の決定件数、補助金額、予算に対する執行率は幾らか。


△市民局長 17年度は、地域から新築5件、修繕1件、借上げ5件の申請があり、すべてについて予算化して補助を行った。また、震災による集会施設の被害に対する緊急修繕として42件に補助を行い、全体で53件、4,592万8,000円の補助金を支出し、予算に対する執行率は95.4%である。


◯山口委員 建物には様々な補助メニューがあるが、土地を補助対象としない理由は何か。


△市民局長 地域集会施設設置補助金の交付は、地域住民の福祉の向上に寄与するため、住民自らによる集会施設の設置に対して、その公益性を考慮して助成を行っている。あくまでも地域住民の自主的な活動に対して助成を行う趣旨であり、土地の取得は補助対象としていないが、集会施設は地域住民にとって必要な施設であるため、用地購入については、別途、低利の融資制度を設けている。また、16年度からは、集会施設としての戸建て住宅や集合住宅の借上げに対する補助制度を新設している。


◯山口委員 集会所は必要な施設と認識しながらも、町内会に対して行政側からのアプローチは行われていないのが現状である。現在、本市の公園内に集会所があるが、公園内の施設の法的な位置づけと、公園内の集会所建設に対する局の考え方はどうか。


△都市整備局長 公園内の集会所としては、老人いこいの家については、公的管理のもとでだれもが自由に利用できるという公平性が担保された運営が行われる施設であることから、都市公園法施行令に定める公園施設としての集会所と認めている。一方、町内会員など特定地域の住民だけが使用する集会所は、都市公園が一般公衆の自由な利用に供する目的で設置される公共施設であることにかんがみ、法的にも認められておらず、局としても、これらの集会所の公園内立地は適切でないと考えている。なお、公園施設として設置できる建物の建築面積は、都市公園法に定めがあり、当該公園の敷地面積の100分の2までとなっている。


◯山口委員 法律によれば、敷地面積の2%の枠内で公園施設の設置は可能であるが、集会所は設けられないとの判断である。集会所は、特定の人とはいえ地域住民の施設であり、かたくなな対応でなく、地域の事情や状況を勘案し、ケース・バイ・ケースで運用できないか。施設的な面で、土地の貸与を希望する場合にも対応できないのか。


△都市整備局長 公園施設については、一般開放を前提に、公的な管理のもとでだれもが自由に利用できる公平性が担保された運営が必要であるとの基本的な考え方で対処しており、随時、個別の事情を勘案して判断することは適切でないと考えている。


◯山口委員 検討すらできない状況で、じくじたる思いがある。東京都稲城市は、人口7万7,000人余で、首都圏の都市として大きくはないが、自前で消防本部を設置するなど市民の安心、安全に、殊のほか重点的に施策を実行している。集会所も39カ所が設置済みで、市長の選挙公約で実現させたものであり、集会所が市にとって大事な施設と判断された結果と思う。この集会所には防災用の道具や器具も保管されており、年に2回の点検時には、道具の使い方を含めて地元住民に講習会を実施し、集会所は単に話し合いの場でなく、災害時の地域の対策室として機能している。本市は大地震にも遭遇し、近年でも2度、過去には都市機能が麻痺するほどの水害も発生しており、このような観点からも集会所は必要な施設と思う。本市は、1校区1公民館の方針で取り組んできたが、今後、高齢社会が相当に進むこと、自治協議会等の自治活動がより活発化していくこと等を考えると、校区より小さな単位での集会所が必要になると考える。様々な知恵を使い、本市が積極的に集会所建設を推進する必要があると思うがどうか。


△市民局長 本市は1校区1公民館の方向で取り組んできたが、校区より小さな単位での集会所も、地域住民の福祉の向上とコミュニティー振興を図るために重要な施設と考えている。地域集会所に対する補助制度は昭和53年に発足したが、16年度に本市の重点施策として位置づけ、新築購入に対する補助率を3分の1から2分の1へ、限度額も500万円から800万円に引き上げ、修繕も補助対象とするなどの改善を行った。また、新たな施策として、増改築に対して補助率2分の1、限度額200万円の補助制度を設け、さらに、地域集会施設の建設が難しい場合に集会所となる戸建て家屋や集合住宅の1室等を借り上げる制度を設け、補助率2分の1、限度額50万円の補助を行うなど積極的に制度の拡充に努めている。今後とも、集会所建設を積極的に推進していきたい。


◯山口委員 集会所は必要であるが、地域の現場では土地がなく設置できない。新しく開発された住宅地では最初からコミュニティーホール等が建設されているが、住宅開発が行われない地域の住民は、やり場のない不満を持ち続けている。地域では、町内会費の積立てなどで集会所取得のための自己資金を捻出しようとしているが、町内会費のみでは土地の購入には明らかに不足し、また、地域に適当な土地がなければどうしようもない。そこで、地元から要望があった場合に、本市の管理地や公園等を建設用地として提供することはできないのか。公園の土地は遊休地ではなく必要なエリアだと思うが、その一部を町内会の集会所建設用地として貸与できないのか。


△財政局長 市の管理地である土地の提供については、集会所は町内の人だけが利用する施設であり、集会所用地として利用できる市有地も偏在しているため、住民負担の公平の見地から、地元の要望があれば随意契約による時価売却で対応している。また、貸付けについては、借地権の発生や契約解除の困難性など財産管理上の問題があるため、売却の方向で対応している。既に本市から時価で土地を譲り受け、集会所を建設した町内もあることから、公平性を欠くことのないよう対応したいと考えており、理解願いたい。


△都市整備局長 公園は不特定多数の人が自由に利用できるオープンスペースで、利用者に休養、レクリエーションの場を提供するなどの目的を有する都市施設であり、設置できる施設についても、この趣旨を踏まえて法的に厳しい制限が設けられている。また、公の土地に特定の地縁団体、町内会の建物の権利が発生することや特定町内会専用の公園という地元意識が高まり他の利用が阻害されるなど、公園の管理運営上も好ましくない状況が想定されるため、町内会という限定された地域住民が専用的に利用する集会所の建設用地として、公園の一部を貸与することは困難と考えており、理解願いたい。


◯山口委員 町内会の集会所の問題は、なかなか解決の道筋をつけられない。市民が喜ぶ施策、市長の判断を期待するが、先に述べた東区千早の公共施設用地の件と町内会の集会所建設について、住民自治を主張する市長の所見を求め、質問を終わる。


△市長 具体的な地域の例を一般論にされると難しい面があるが、単位町内会で集会所を必要としている地域があることは理解しており、集会施設の確保については、ケース・バイ・ケースで様々な知恵を出さねばならないと思う。本市は1校区1公民館の方針で取り組み、150坪館への切りかえを進めており、地域の中にコミュニティー施設を持っているという意味では先進的な都市だと思う。公民館建設に当たっては、過去に、土地を地元が提供したり、建設費の一部を地元が負担する形で、1校区1公民館が成立してきた歴史がある。市民と行政との関係は協働であり、互いに力を出し合って問題の解決に当たることが、今後の基本的なあり方と思っており、地域でできることについては、もっと地域で考えてもらわなければならないと思う。集会所については、公有地の遊休地だけでなく、民有地にある同様の土地の活用など、個々具体的に対応すべき事柄と考えている。また、香椎副都心については、東区の拠点地域として、少しずつまちの形成が図られており、地域の期待も大きいと認識している。市民の要望を念頭に置きながら、東区全体のまちづくりや地区の活力あるまちづくりにふさわしい機能について、既存の公共施設の移転や建てかえを含め、当該地の周辺道路が整備完了する19年度を目途に、方向性を示していきたいと考えている。

 

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山口つよし

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