福岡市議会議員・山口つよし

2013.03.22:平成25年条例予算特別委員会

◯山口委員 公明党福岡市議団を代表して、本市の観光戦略について、地域住民の名簿とその活用について、入札制度について質問する。最初に、本市の観光戦略について、まず、アジアナンバーワン都市の観点から、本市における外国人及び国内からの入り込み観光客数の推移について、直前の実績とこれまでの推移を尋ねる。

△経済観光文化局長 福岡空港及び博多港から入国した外国人については、歴年での統計であるが、平成23年は東日本大震災や原発事故の影響もあり約59万人と、過去最高であった平成22年の76万人から減少したものの、平成24年は国による確定数値は出ていないが、平成22年並みの数値まで戻る見込みである。入り込み観光客全体としては、直近5年間は約1,600万人台でほぼ横ばいの状況であるが、平成23年は震災等の影響があったにもかかわらず、九州新幹線の全線開通もあり、1,678万人と対前年比で2.2%の増となっている。

◯山口委員 平成24年に日本を訪問した外国人客数は836万人であったが、東アジアを見ると、韓国、シンガポールが1,000万人、マレーシア、タイが2,000万人、中国は6,000万人近くにも上っている。我が国の外国人客数の目標は、現在、観光立国推進基本計画において平成32年までに年間2,500万人と国土交通省が目標を設定している。平成23年の本市の外国人訪問客は59万人であり、市長は、クルーズ船が過去最高の91回寄港した、国際コンベンション開催が日本で一番と胸を張っているが、もっと海外に対して福岡の魅力を発信しなければ、入り込み観光客数はふえないのではないか。福岡でもう一泊推進事業というものを考えているとのことであるが、概要について説明されたい。

△経済観光文化局長 福岡でもう一泊推進事業については、国内外を含めてもう一泊したくなるまち福岡をテーマに、本市の持つさまざまな集客資源について魅力アップに向けたプロジェクトを展開し、市内滞在時間の延長及びリピーターの確保を図るために推進する事業である。25年度は、市内の夜のイベントや夜景スポットを整理したガイドブックなどの情報ツールを作成するとともに、回遊性向上に向けた地元が勧める食のスポットを編集した食の観光ガイドブックの制作などを進めていく。

◯山口委員 一泊推進事業は国内旅行者にも当てはまると思う。国内からの観光客やビジネスで来られる人々にいかに満足していただき、また訪問しようと動機づけできるかが課題であると考えるが、ニーズの把握や観光客対応の民間事業者との共有、施策の実施をどのように行うのか。

△経済観光文化局長 本市を訪れたお客様を再来訪へつなげていくことは、観光都市として認知されるという観点から大変重要であると認識している。このため、ニーズの把握として、これまで市観光客動態調査やその他必要に応じて調査を行ってきた。また、再来訪に向けた民間事業者との連携については、歴史、文化、食などの多彩な福岡の魅力を高めるとともに、体験型観光商品「福たび」の充実、NHK大河ドラマ軍師官兵衛放映の機会を捉えた集客など、さまざまな工夫を凝らしながら実施していく。さらに、受け入れ環境の整備として、観光案内ボランティアの充実や観光業従事者向けのおもてなし研修を実施するとともに、市民も楽しく福岡を知り、改めて観光地としてめぐりたいと思われるような福岡検定を実施し、民間事業者や市民も含めたおもてなしの機運の醸成に努めていく。

◯山口委員 施策の実効性に期待している。本市に来られる外国人はどのような場所に興味を持っているかなどについて、これまで調査したことがあるのか。あるのであれば、どのような場所、施設に人気があるのか、尋ねる。

△経済観光文化局長 外国人が興味を持っている本市内の場所については、21年度市観光客動態調査によると、福岡を訪れた外国人の立ち寄り先として最も多いのはショッピング、飲食、レジャー等の施設で99%を占めており、天神の百貨店やキャナルシティ博多などに多く立ち寄っている。

◯山口委員 ショッピングや飲食が大半ということであるが、若い人を初めとして、ヒットした映画のロケ地などに興味があるのではないかと思っている。本市でも撮影場所などを宣伝すれば、興味とマッチングし、訪問もふえるのではないかと思うが、フィルムコミッション事業において、過去3年間で、国内、国外でドラマや映画の舞台、またCMなど撮影された件数はどのくらいか。

△経済観光文化局長 ドラマや映画の舞台やCMなどで、福岡で撮影された件数は、平成22年4月から平成25年1月末までの約3カ年で、国内の作品167作品、海外の作品8作品の計175作品である。

◯山口委員 本市が多くの舞台になっているが、その情報発信はどのように行っているのか。

△経済観光文化局長 支援映画などの情報発信については、福岡フィルムコミッションのホームページにおいてロケ地を検索するロケ地マップを掲載している。また、ロケ地を紹介するマップチラシを作成し、博多駅や天神の観光案内所、東京事務所関連のイベントなどで配布を行っているほか、約7,000人の市民会員へのメールマガジンによる最新情報を配信するなどの発信に努めている。

◯山口委員 チラシは福岡に来ないと手にすることはできない。福岡に行ってみたいという動機づけについての発信が弱いのではないかと思っている。ホームページ等で発信しているということであるが、それにより何人が見に来ているのか。特に、海外の映画の撮影があった場合には、その国に対してどのように宣伝し、その国の旅行客に日本や福岡の紹介として伝えているのか、尋ねる。

△経済観光文化局長 24年度のホームページのアクセス件数は、月当たり約2万5,000件である。現在、ホームページについては4カ国語対応でフィルムコミッションのプロモーションを行っているところであるが、撮影されたロケ地の情報に限定した海外への情報提供は、現時点では行っていないのが実情である。

◯山口委員 海外の人に対して、観光という本市の魅力を発信するというのであれば力を入れてほしい。実際にその国の映画が福岡で撮影されているわけであるから、一度ここに来てみませんか、あの俳優さんの立った場所はここですよ、などといった発信を考えてほしい。また、フィルムコミッションについて、本市民に対してはどのように紹介しているのか。特にポスターなど展示等は行わないのか。

△経済観光文化局長 本市民に対しての紹介は、映画撮影などのロケ地を掲載したチラシの作成、配布のほか、支援映画などの公開に合わせ、市政だよりへの掲載を初め、市役所1階の映像コーナーやホームページなどを活用した映像の公開を行っているほか、ロケ地を紹介するパネル展を開催している。

◯山口委員 本庁舎1階では広いスペースを使って九州各県の案内を宣伝しているが、ここの一部に本市で撮影された場所などの紹介ができないのか、尋ねる。

△経済観光文化局長 現在、本庁舎1階においては、ロケ地マップのチラシの配布は行っているところが、今後のロケ地の紹介については、スペース等の関係はあるが、パネル等の展示について検討していきたいと考えている。

◯山口委員 観光客の目にとまるところに、ポスターを張るなどの取り組みを期待している。平成26年のNHK大河ドラマで軍師官兵衛の放送が決定された。本市にとっても大事な観光の目玉になると期待される。軍師官兵衛に関連する施策として25年度に7,100万円の予算を計上しているが、施策の内容について尋ねる。

△経済観光文化局長 軍師官兵衛に関連する施策については、福岡県、福岡商工会議所、その他黒田家ゆかりの自治体や協賛企業などと連携し、市内外でのPRや、旅行会社とタイアップした旅行商品の開発などのプロモーションを実施するとともに、お土産品の開発や地元の機運の盛り上げに取り組んでいく。また、本市博物館において、福岡にしかない黒田家ゆかりの文化財、資料の展示や、それらの展示にまつわる市内の関連史跡を案内する壁面の装飾、甲冑レプリカの製作などを行う。また、福岡城跡において、樹木の剪定など修景の整備や、多聞やぐらの展示公開、本丸などの発掘調査を実施する。さらに、黒田家ゆかりの地をめぐる回遊コースの開発、主要な地下鉄駅の装飾、官兵衛について学ぶ市民を対象とした官兵衛塾の開催など、関連局とも連携しながら取り組みを進めていく。

◯山口委員 多額の予算がついているが、これらの施策は複数局にまたがるものであり、効果を発揮させるためにも、推進委員会などを立ち上げて協議の場を設けるのがよいのではないかと考えるが、所見を伺う。

△経済観光文化局長 今回、黒田官兵衛プロジェクトとして予算案に計上している項目は、経済観光文化局、住宅都市局、交通局の3局分であるが、全市的に盛り上げていくためには庁内各局、各区においても積極的にプロジェクトに参加することが必要であると考えており、庁内体制の構築について検討を進めていく。

◯山口委員 昨日、テレビで市長が黒田官兵衛の説明をしていた。本日、広報課に尋ねたところ、福岡のルーツを探るということで黒田官兵衛の番組を放映しているとのことであった。各局連携して盛り上げていこうというのであれば、もう少し番組をアピールしたほうがよい。市長がナレーションしている番組はほかの都市ではなく、市長が特性を生かしてナレーターをしていると思うが、今後の放映予定などの情報を出してもらいたい。施策を実行していることについて市民への告知が不足しているのではないか。本市は、2001年に大河ドラマ北条時宗の撮影場所となったが、観光客の増加、本市の取り組み、外国人の反応などについて、そのときの効果を尋ねる。

△経済観光文化局長 大河ドラマ北条時宗放映の効果として、観光客の増や外国人の反応については把握してないが、放映に合わせて開催した中世博多展には延べ92万人の市民や観光客が訪れ、それらの機会を通じて、中世において日本で最も先端的な国際感覚と柔軟性で進取な精神を持った博多商人が活躍した時代に触れ、福岡のまちを十分に認識していただくことができ、本市のPRにも役立てることができたと考えている。また、紹介いただいたテレビ番組は3月の各木曜日にFBSで夜間、放送をしており、既に3回の放送が終わっているが、次は3月28日木曜日に黒田官兵衛をテーマにした放送が流れる予定である。

◯山口委員 しっかり周知してほしい。北条時宗の放映時に、百道浜にセットされた中世博多展を見学したが、入場者もまばらで、説明する人はおらず、駐車場からも遠かった。今回はしっかりとした取り組みを行ってほしいと念願しているが、今回は箱物的な展示会場など考えているのか。

△経済観光文化局長 本市には黒田官兵衛に関する資料の多くが所蔵される本市博物館や福岡城、崇福寺など、数多くの官兵衛ゆかりの地や施設があるため、箱物的な展示会場の設置については考えてないが、今回は福岡で多くの本物を見て感じることができるということが、観光客を引きつけることになると考えており、さらなる魅力向上や回遊促進に向けた取り組みを積極的に進めていく。

◯山口委員 ことし2月にNHK大河ドラマ軍師官兵衛について、姫路市の取り組み方を視察してきた。まず、姫路市経済局の観光担当者は「その男、天下に秘する野望あり」という文言を入れた名刺を早速つくり、何とか盛り上げようと来庁する内外の人々に渡している。これはすごい取り組みであると感じたが、本市ではどのような取り組みを始めているのか、尋ねる。

△経済観光文化局長 官兵衛に関する本市の取り組みについては、福岡県や商工会議所などと設立する推進協議会において、ロゴマークやキャラクターを作成する予定としており、名刺などを活用したPRも進めていきたいと考えている。なお、のぼり、横断幕、黒田家ゆかりの地を紹介するパンフレットを作成し、市庁舎などに設置、掲出を始めたところであり、本日、市庁舎の1階に大きな看板をかけたところである。また、のぼりやパンフレットについては、黒田家ゆかりの地を中心に商店街や商業施設などにも配付している。

◯山口委員 今回早速、市庁舎に掲示されたが、迅速な対応などの意気込みが必要だと思っている。姫路市は、黒田家ゆかりの9市1町の代表として平成21年から毎年NHK東京本社へ大河ドラマで黒田官兵衛を計画するよう要望していた。以来4年が経過して決定までこぎつけたが、本市はNHK放送局に対して要請などの努力をしたのか。

△経済観光文化局長 姫路市を中心に官兵衛ゆかりの自治体で平成20年に発足したNHK大河ドラマ黒田官兵衛を誘致する会については、本市長も参与として参加している。本市独自の取り組みとしては、ドラマ決定を受け、福岡の露出増などについて平成24年10月19日に事務レベルでNHK福岡放送局長へ要望を行うとともに、平成25年1月18日付で福岡県知事、福岡市長、福岡商工会議所会頭の連名でNHK福岡放送局長宛てに要望書を提出している。また、平成24年11月14日、15日には、NHKのプロデューサーなどによるシナリオハンティングを受け入れ、市博物館、市美術館、福岡城、崇福寺を案内し、福岡がドラマにできるだけ多く取り上げられるようPRに努めている。

◯山口委員 福岡の露出度がふえるようにあらゆる手段を使って努力してほしい。大河ドラマの告知戦略についてはどのように行っていくのか、尋ねる。

△経済観光文化局長 設立予定の推進協議会において、福岡県や福岡商工会議所、その他県内の黒田家ゆかりの自治体や協賛企業などと連携し、パンフレットなどのツールの作成やさまざまな機会を活用したPR、旅行会社とタイアップした商品開発などのプロモーションを行っていく。また、本市独自の取り組みとして、市内の黒田家ゆかりの地を中心とした魅力向上に努めるとともに、そのほかの観光資源をあわせてPRするなど、本市に多くの人を呼び込み、回遊してもらえるような効果的なプロモーションを展開していく。さらに、黒田家ゆかりの長浜市、姫路市、瀬戸内市、中津市、本市の5都市連携によるパンフレット作成や相互のイベントへの参加などのPRを実施していく。

◯山口委員 しっかり連携した取り組みを実施してほしい。平成22年の大河ドラマ龍馬伝の舞台であり、おもてなしが大好評であった高知市の取り組みについて、平成20年に高知市に行き、学んできたので紹介する。高知市では観光案内ボランティアが大活躍している。高知市では平成元年よりボランティア協会を立ち上げ、現在は124人が登録し、約100人がガイドとして案内をしているが、本市観光案内ボランティアの登録人数及び稼働人数は何人か、また、博多区の博多ガイドの会では現在何人が活動しているのか、尋ねる。

△経済観光文化局長 本市観光案内ボランティアは、現在91人が登録しており、ガイドとして観光案内を行っている。また、博多ガイドの会については、現在27人が活動している。

◯山口委員 平成20年に比べるとボランティアの人数もふえてきており、非常にうれしいことである。高知市では、毎年、観光大学を開催しており、ガイド希望者や郷土の歴史を学びたい人60人を募集し、1年間研修を行っている。観光客に最大のおもてなしを行おうという官民挙げての取り組みはすごいことだと思う。今は13期生がボランティアの活動を頑張っている。休日には案内所が5、6カ所も増設され、旅行者はさまざまなところで説明を聞くことができる。観光ルートも大河ドラマのときには増設されていた。また、県外ナンバーの車に県庁構内などの駐車場を無料で開放し、15分間隔のピストンバスで高知市内や桂浜といった名所に送迎していたのには驚いた。バスにはボランティアガイドが一緒に乗車し、さまざまな情報を伝えていた。土佐観光ガイドボランティア協会の冊子「あったか高知の案内人」には、利用者からのお礼の手紙が多数掲載されている。説明がわかりやすく一生の思い出になったとか、目の不自由な人がお城の案内ボランティアを依頼したときには、手で石垣の違いや敵から守るために階段の傾斜や幅が違う点など工夫して説明して天守閣に一緒に登り、利用者は感激して帰ったなど、ボランティアの皆さんのエピソードには枚挙にいとまがない。来られた人に高知は本当にいいところだった、思い出に残った、また行きたいと思われることが私たちの幸せであるとのことであった。本市のボランティアの皆さんも同じ志であると思うが、皆さんの意見をよく聞き、行政として何ができるのか施策を考えてほしいが、所見を伺う。

△経済観光文化局長 本市観光案内ボランティアは、観光客などの依頼に応じた派遣ガイドを初め、博多町家ふるさと館と市役所ロビーを拠点とした定点案内、また、その周辺をまち歩きする14時からの定時ツアー、さらには秋の博多情緒めぐりなどのまち歩きイベントを実施してきた。今後、平成26年のNHK大河ドラマ軍師官兵衛の放映に向けて黒田家ゆかりの地への観光客の増加が見込まれるため、黒田家に特化したまち歩きコースをボランティアガイドの皆さんとともに企画し、平成25年3月10日、14日に開催した。各日2コース40人の定員に対し、10日は86人、14日は66人の参加となり、大きな反響があった。ほかにも黒田家関連の新コースを開発しており、今後とも観光案内ボランティアの皆さんと一緒に検討を行いながら、今回実施した2コースとあわせて、福岡らしいおもてなしがまち歩きを通して演出できるよう事業を推進していく。

◯山口委員 観光関連企業に対してもさまざまな施策を考えているようであるが、その中で外国人観光客に対してどのように接してもらおうと考えているのか、また、おもてなしに関する研修等の内容はどのようなものか。市内中で軍師官兵衛に関するのぼりやポスターなどが目につくようになった際に、どのように外国人に取り組みを伝えていくのか、尋ねる。

△経済観光文化局長 外国人観光客への観光関連企業の対応については、タクシー協会が実施している外国語の指さしマップによる案内の充実や、飲食店での外国語メニューの提供に取り組んでもらうとともに、本市としても福岡観光コンベンションビューローとともにホテルやタクシーなどの観光サービス業従事者などを対象とした研修会の実施や外国人へのおもてなし向上のための取り組み事例発表会の開催などを行い、外国人観光客に対するホスピタリティーを醸成する環境づくりに取り組んでいく。また、軍師官兵衛の取り組みを外国人観光客に伝えていく取り組みについては、多言語対応の本市観光情報サイト「よかなび」で紹介するほか、簡単なリーフレットを作成し、観光サービス業従業者に配布し、尋ねられたら渡せるようにするなどの情報提供のあり方についてしっかりと検討していく。

◯山口委員 おもてなしに関しては業界も含めて徹底して実施してほしい。大河ドラマの上映という福岡に関係する千載一遇のチャンスを最大に活用しない手はない。姫路市や中津市では、早速、軍師官兵衛のお土産やグッズを販売しており、本市の取り組みは遅いのではないかと思う。周到な準備があってこそうまくいくと考えるが、市長に所見を伺う。

△市長 まさにこのチャンスを生かさない手はないと思っている。観光集客の推進については、観光産業の裾野は非常に広く、市民の9割が従事する第3次産業はもとより、農業、漁業などの1次産業、2次産業へも波及し、都市全体が潤い、成長していく原動力になると考えている。そのため、本市では、経済観光文化局という新しい局をつくり、24年度を観光元年と位置づけして、行政、民間事業者、市民が一体となって、観光振興を進めるため「福岡市観光・集客戦略2013」の策定に取り組んでいる。また、福岡城の整備の方向性を話し合う有識者会議もまさに始めていた中で、平成26年のNHK大河ドラマ軍師官兵衛の放映が決定した。まさに後押しの風が吹いてきたわけである。本市は、ほかの黒田官兵衛ゆかりの都市と異なり、最後に居を構えた土地であり、NHKのプロデューサーには、できるだけ早く官兵衛に年をとらせ、官兵衛を早く博多に入らせてほしいと依頼したところである。また、博物館や美術館に収蔵されている品物、福岡城、寺社など、黒田家ゆかりの品々では、その質と量において他を寄せつけないという本市の強みを十分生かして、県や商工会議所、民間事業者ともしっかりタッグを組んで、さらに一番大切な、市民の皆さんでしっかりおもてなしをしていくといったものを醸成していきながら、プロモーションや魅力の向上、受け入れ環境の充実に積極的に取り組んでいきたい。

◯山口委員 実のある施策を要望しておく。次に、地域住民の名簿とその活用について尋ねる。個人情報保護法が平成17年に全面施行されて以降、地域住民の名前や連絡先を名簿化することが難しくなったとの声を聞く。町内会長から世帯主名や家族数などがわからなくなり、困っているとの相談が来ており、ある町内会長は、役所に住民のことを聞いても名前すら教えてもらえなくなったと嘆いていたが、個人情報保護法に対して過剰反応し過ぎているのではないか。法律の観点から何でも名簿化することが難しいことはわかるが、災害時など共助といわれる地域住民の連帯をどのように構築していくのか、手助けが必要な人にはどうしていくのかといった疑問を解くために質問するが、自治組織や老人クラブ団体などから、市保有の住民情報など地域の名簿提供の依頼はどのくらいあっているのか。

△市民局長 自治組織などからの市保有の住民情報に対する名簿提供の具体的な依頼数については把握していないが、地域から居住者の名前などが把握できず困っているという声はたびたび聞いている。

◯山口委員 災害が発生した場合の被害の拡大阻止に対して本市でも多くの課題があると認識しており、学校においても児童生徒を守るために緊急時の連絡体制を整えておくことが重要であるが、保護者への緊急連絡手段として学校のクラス名簿などを現在作成しているのか、また、何かほかの手段をとっているのか、尋ねる。

△教育長 学校においては、緊急時に保護者に連絡するため、連絡先を記入した児童生徒名簿を作成している。また、そのほかの緊急連絡手段として、小規模校などを除くほとんどの学校で電子メールによる連絡体制を整備している。なお、メール登録をしていない家庭に対しては、担任から個別に連絡することとしている。

◯山口委員 4月には新入学児童の保護者も加わるので、緊急連絡の徹底をされたい。次に、災害弱者である高齢者などへの対策も重要である。本市の65歳以上の人口は直近の統計で26万6,764人であるが、そのうち災害時要援護者台帳の登録者数及び登録基準を尋ねる。また、災害時要援護者台帳は全ての区の校区単位で整備されているのか、並びに、定期的に対象者名簿をプリントアウトしているのか、尋ねる。

△保健福祉局長 災害時要援護者台帳の登録者数は、平成24年3月末現在、1万7,745人で、登録基準は寝たきりやひとり暮らしの高齢者、障がい者など災害時に1人で避難が困難な人である。なお、登録に当たっては家族などの希望により柔軟に対応している。また、災害時要援護者台帳は、各民生委員担当区域ごとに整備しており、紙ベース及びデータで整備し保管している。

◯山口委員 従来、本市は、災害時要援護者台帳へ登録された人のうち、地域へ提供することについて同意をした要援護者の情報を提供してきたが、これでは同意をしていない人たちは誰が助けるのか、また災害時には同意を得ていない要援護者の情報を地域に提供すると言っても時間的な余裕があるのか。このような課題に対応するため、本市は平成24年3月に福岡市災害時要援護者避難支援対策に関する取り組み方針を策定し、同意を得ていない人の情報も前もって地域に提供する仕組みをつくった。具体的には、地域が災害時要援護者の一人一人の避難支援計画づくりに取り組むならば、同意を得ていない人の情報も提供するというものである。しかし、この方法によっても、同意を得ていない人への支援は、全体的な準備はすることができても一人一人の避難支援計画は個人情報の観点からつくることができない。よって、地域へ情報提供することに同意する人をふやすのが重要なことであるが、同意者の割合及び人数を尋ねる。

△市民局長 地域への情報提供に同意する要援護者の割合及び人数については、平成24年3月末時点において覚書締結校区の情報提供同意率が75.2%、人数は8,907人である。

◯山口委員 同意者をふやすためにも、対象者が名簿に記載されることの不安を払拭していくことが大事であると思う。本市の高齢者施策の中でふれあいサロンやふれあいネットに参加する人へ、災害時要援護者台帳の趣旨を伝えることも大事ではないかと考える。当然、サロンなどに来られている人の大多数は元気であるので、要援護者になっている人は少ないと思うが、近い将来は対象者になる可能性が高いと感じている。平成24年のふれあいサロンやふれあいネットの利用者数を尋ねる。

△保健福祉局長 平成24年12月末現在の利用者は、ふれあいサロンが8,095人、ふれあいネットワークが3万2,295世帯である。

◯山口委員 多くの人が参加する高齢者施策の中で、災害時要援護者台帳の趣旨を伝える話を加えてほしい。要援護者の避難支援計画の進捗状況について尋ねる。

△市民局長 要援護者の避難支援計画の進捗状況については、東日本大震災以降、地域の意識も高まり、名簿提供の覚書締結も106校区・地区に増加している。現在、南区塩原校区を初め先進的な地域において、個別避難支援計画作成に向けて準備、検討が進められているところである。

◯山口委員 災害時要援護者の個別避難支援は全ての地域でつくることが求められている。そのために、覚書締結校区の拡大を図ることが重要と考えるが、どのように進めていくのか尋ねる。

△市民局長 覚書締結校区の拡大については、自助が困難な要援護者の避難支援は、隣近所や地域組織、団体が一体となった共助の取り組みが最も重要であることが過去の災害の教訓からも明らかになっているところであり、地域向けのマニュアル作成や出前講座などを通じて、大規模災害時における共助の重要性と災害時における要援護者避難支援の必要性の周知を図るとともに、地域の実情に応じた支援に努め、覚書締結校区の拡大に努めていく。

◯山口委員 覚書締結を進めるという強い市の姿勢が必要と思う。大阪府箕面市は、ふれあい安心名簿条例を平成22年に制定したとのことで視察を行った。これは地域自治会や学校のクラスなどが緊急の連絡網として名簿を作成することを後押しするための全国初の条例である。個人情報に留意し悪用されない名簿のつくり方について条例で規定している。個人情報は何でも保護をして、名簿化などするべきではないといった過剰に反応したこれまでの考え方を変える画期的な条例であると思う。名簿をつくる地域が利用目的や名簿管理者を規定し、それを行政が認証することにより、名簿に同意する人を多く募っていくというものである。また、箕面市では災害時特別宣言条例も制定している。また阪神大震災クラスが発生した場合、当日に稼働できる職員は約1,400人の中で市民病院の職員を含めて600人弱と推定している。その人数で13万人の市民を守ることはできないと判断し、震災時の避難所となる学校にその地域の要介護認定者の名簿を金庫に保管し、災害発生時に開封する条例をつくったのである。管理者を明確にして避難所運営に当たる地区防災委員会しか開封できないことで、他者に見られる心配をなくし、また、共助として地域活力を発揮してもらおうとしている。本市の対策では、覚書締結がない校区には、災害発生時にしか要援護者の名簿が提供されない。対象者の救援は民生委員と区役所職員になると思うが、それで円滑な支援体制ができるのか心配である。そのために、共助である地域の取り組みをさらに進化させることが重要であり、個別避難支援計画の作成とあわせて災害時要援護者の避難を想定した訓練の実施などが重要である。阪神淡路大震災のときに1人も死亡者を出さなかった淡路島北淡町の北淡震災記念館に視察に行ったときに、同館長から「個人情報保護法が施行されて間もなくの時期であったが、地域の消防団がこれまでの名簿を頼りに、1人では避難できないであろうお年寄りを見つけては救出した。その後の余震で崩壊した家屋がたくさん出たため、あと数時間おくれていたら大変なことになっていただろう」と聞いたが、名簿が仮にあったとしても、誰が誰を避難させるか、日ごろからの訓練がないといざというときに間に合わない。そのような訓練が今、地域で行われているのか。また、今後、地域にどのように働きかけていくのか、尋ねる。

△市民局長 地域での訓練については、これまで各校区で避難訓練が実施されており、担架や車椅子、リヤカーなど、各種搬送機材を活用した要援護者の避難を念頭に置いた訓練も各地域で徐々に浸透してきている。災害時要援護者の避難支援対策の充実強化を図ることは、人的被害を少なくするための重要課題と認識しており、今後とも避難訓練のあり方、訓練手法、要援護者の避難支援を行うための有効な搬送資機材の活用方法など、関係各局で連携し、地域への指導や支援を行い、要援護者の避難を念頭に置いた訓練が実施されるよう働きかけていく。

◯山口委員 このような訓練を各地域に紹介されたい。ここにケアマネジャーの団体が作成した避難支援の本がある。これまでの災害の経験から、特に手助けを必要とする高齢者に対する手順書を作成したものである。中でも災害発生時の安否確認の方法では、固定電話がつながらないことが多くあることから、家族や近所にも同意の上で連絡先になってもらい、個別の支援計画をつくっているのには驚いた。これまで被災地の介護支援専門員、ケアマネジャーは、自宅や自分が被災していてもケアプランを作成している利用者に対し行動を起こしている。一例を挙げると、平成16年10月に発生した新潟県中越地震のときに、人工呼吸器が生命維持に欠かせない60歳の男性の利用者がいたが、地震による停電で補助バッテリーに切りかわったが、1時間しかもたないというところに、担当のケアマネジャーが駆けつけ、緊急時に対応する栗原市の中央病院と交渉し、搬送できたおかげで命をつなぎとめることができたとの報告がなされている。本市では、このように介護支援員の地域支部との連携がとられているのか。災害発生時には安否確認が一番重要である。例えばケアマネジャーは、居宅にいる利用者を適切な場所に移動させると思うが、利用者は要援護者が多いと思われる。ケアマネジャー、行政、要援護者の避難支援を行う地域は、それぞれ安否確認をすることになると思うが、それぞれがばらばらに行うのではなく、安否情報は災害対策本部等に一元化して情報を共有することが効率的だと考えるが、所見を伺う。

△市民局長 要援護者の安否確認情報などの情報共有について、ケアマネジャーなど福祉サービス事業者、地域、行政の取り組み情報を共有することは、災害対応を迅速、的確に行う上で重要なことであると認識している。本市においては、災害対策本部設置時等において迅速で的確な災害対応を行うため、被害や対応状況の情報収集と共有を図る災害対応支援システムを運用しているところであるが、災害時要援護者台帳登録者の情報をシステムに取り込むための改修を24年度に着手しており、25年度から安否や避難の状況把握等、全庁的な情報共有を図ることとしている。災害時要援護者への支援が迅速かつ効率的に実施できるよう、保健福祉局ほか関係各局と連携して、福祉サービス事業者や地域との情報共有に努めていく。

◯山口委員 本市が多大な被害をこうむった福岡県西方沖地震からは8年が経過したが、災害はいつ起きるかわからない。超高齢社会になった現在、考えられる準備はしっかり行い、1人も漏れなく避難できることを目標にしていかなければならず、万一の災害に対しての準備を本市も怠りなくすべきであると考えるが、市長の所見を伺う。

△市長 今後も本市が成長し発展していくためには、その基盤となる市民の安全、安心の確保が一番大切だと思っている。全国各地で発生している地震や風水害などの自然災害において、高齢者、障がい者などいわゆる災害時要援護者がたくさん犠牲となっている。災害時要援護者の避難支援対策の充実強化を図ることは、人的被害を少なくする上において非常に重要な意味を持っていると考えている。災害そのものを完全に防ぐことはできないが、減災の考え方で、万が一災害が起きてもいかに被害を少なくするかということが非常に大事であり、これが防災の基本的な方向性であると思うので、人命を守ることを最優先として、ソフト、ハード両面から各種の対策の充実を図っていきたいと考えている。特に、災害時の発生時の共助が非常に重要になっていくため、自主防災組織の活動の促進、災害時要援護者への避難支援の取り組みの推進を図るなど、地域の防災力を強化するための取り組みにしっかり力を入れていきたいと思う。

◯山口委員 次に、入札制度について尋ねる。東日本大震災から2年が経過した、現地の復興にはこれまでも全国、全世界から支援がなされているが、インフラ整備一つとってもいまだ大変な状況である。現在は特に東北の地場事業者が頑張っており、本市でも過去、災害が発生したときは地場事業者が災害協力者として貢献したが、本市は入札制度において、地場企業に対し、どのような対応をしているのか、まず、一般土木AランクとBランクに限って地場の登録業者数を尋ねる。

△財政局長 23、24年度競争入札参加資格申請において、入札参加希望順位第1位を一般土木としている登録業者のうち、Aランクの地場の業者数は34者、一般土木Bランクは69者である。

◯山口委員 23年度、24年度の2年間で、一般土木AランクとBランクのうち、複数受注している事業者数及び一度も落札できていない事業者数を尋ねる。

△財政局長 23年度から24年度2月末現在までの2年間において、複数受注している業者数は、一般土木Aランクでは2者、一般土木Bランクでは18者である。また、受注をしていない業者数は、一般土木Aランクで15者、一般土木Bランクで13者である。

◯山口委員 一般土木AランクとBランクでは、どのような複数受注の条件を設けているのか。

△財政局長 一般土木Aランクの入札参加資格における受注件数に関する要件は、1年以内に建設工事共同企業体、いわゆるJVの構成員として1件、会社単独で1件までとする資格要件を設けている。一般土木Bランクについては、1年以内に会社単独で2件までとする資格要件を設けている。

◯山口委員 23年度、24年度の2年間で入札が不調に終わった件数及びそのうち価格が合わないとの理由で不調になった件数を尋ねる。

△財政局長 入札が不調となった件数は、23年度30件、24年度は2月末現在で60件である。そのうち入札参加者全員が価格が合わないとの理由で、入札が不調となった件数は、23年度4件、24年度5件である。価格が合わないという理由の業者と技術者が不足しているという理由の業者により入札が不調となった件数は、23年度11件、24年度44件である。24年度は、23年度と比較して一般土木工事、電気工事、管工事が12月と1月に集中したため、価格が合わないことのほかに、発注時期から技術者が不足しているとの理由で辞退をしている業者が多かったことも不調がふえた理由である。

◯山口委員 多くの入札が不調であったことは驚きである。不調の半分以上の原因は、市の工事予定価格では採算がとれないということであるが、工事予定価格の算出の考え方はどのようなものか。また、採算がとれないとの理由で入札不調になった場合、どのように対応しているのか、尋ねる。

△財政局長 工事予定価格の算出の考え方については、国の積算基準や市が行う資材価格の調査などをもとに、積算基準や単価などを設定している。発注部局はこれらの基準などと事業内容に伴う諸条件も考慮し、工事予定価格を算出している。また、採算がとれないとの理由で入札が不調になった場合については、発注部局が入札参加者から原因を聞き取り、積算を見直すなどの対応を行っている。

◯山口委員 平成24年2月の改定で地場企業の下請を本市内業者にすれば加点される仕組みがつくられている。これまで本市には、地場事業者に優先発注をしてほしいと要請してきたが、地場事業者からは下請業者を福岡都市圏まで拡大してほしいとの要望を受けた。本市から宗像地域、粕屋地域、筑紫地域、糸島地域といった都市圏へ行き仕事をしている人は、22年国勢調査では4万6,133人に上るが、反対に、本市に仕事に来ている人数は15万1,454人となっており、生活圏や経済圏が都市圏と一体化していることを考えると、地場事業者が下請を都市圏まで拡大してほしいと言うのには一理あると考えるが、所見を伺う。

△財政局長 地場企業への下請については、地場企業の育成、振興などの観点から、業界団体等の要望も受けて、業界への事前説明の上導入をしたものである。下請対象を都市圏まで拡大してほしいとの要望については認識しているところであるが、平成24年2月の制度改定後に発注した工事が、現在、まだほとんど工事中である。このため、平成25年3月末に完了する工事を対象として、地場企業への下請状況を調査、分析の上、品質確保及び地域経済の振興、活性化の観点も踏まえて検討をしていく。

◯山口委員 ぜひ研究を行うよう要望しておく。また、落札後、地下埋設物の移設工事などの調整不足で2、3カ月たっても工事着工ができない、ひどい場合は6カ月たっても工事着手できなかったとの例を聞いた。本市は、各事業局において早期発注に取り組んでいるが、工事に着工できなければ、事業者は何の利益にもならない。財政局として、工事おくれの防止に対して、契約から工事着工日の目標値を設定するなどの取り組みができないのか、尋ねる。

△財政局長 工事の着工時期のおくれについては、全体の状況は把握してないが、23年度及び24年度において総合評価方式で落札した一般土木工事の事例としては、当初の着工予定日より3カ月以上おくれた工事件数は1割程度あり、想定外の地下埋設物の切りかえや、着工前の地元協議に時間が要したことが主な理由である。個々の工事の工程管理については、工事条件等に応じて発注部局で監理していくことが基本であるが、予定より大きく着工がおくれる事例の原因や課題を共有して、改善策について関係局と協議をしていく。

◯山口委員 総合評価方式における技術評価点等の配分について、これまで提案の簡素化などさまざまな改良がなされているが、例えば技術提案で1位をとっても落札できない事例があるなど、まだ十分ではないと思うが、所見を伺う。

△財政局長 総合評価方式については、技術に関する提案を行う提案項目と、企業の施工能力や技術者の能力等に関する企業評価項目の合計を技術評価点として総合的に評価し、価格を含めて落札者を決定している。品質確保の観点から妥当な評価方法であると認識をしている。提案項目と企業評価項目の配点バランスについては、手続の簡素化と品質確保の両面から、今後とも業界団体などからの意見も聞きながら、よりよい制度となるよう検討していく。

◯山口委員 本市では、地場企業への優先発注に対してどのように考えているのか、尋ねる。

△財政局長 本市の公共工事の発注においては、地場企業の育成、振興を図る立場から、可能な限り地場企業へ優先して発注することを基本方針としている。また、地場企業の受注機会を増大するため、地場企業の施工能力を勘案し、可能な限り分離分割発注を実施している。なお、大型工事で建設工事共同企業体を採用する場合についても、原則として構成員の一部に地場企業を参加させることとしている。

◯山口委員 横浜市では、一部工事で災害協力業者や建設機械所有等事業者などを対象としたインセンティブ発注が行われていることを知っているか。

△財政局長 横浜市におけるインセンティブ発注は、事業者の意欲向上などを図ることを目的として災害協力業者として登録されていることなどを入札参加条件の1つとして、入札参加者を限定する工事の発注方法であるが、実施をしていることは承知している。

◯山口委員 横浜市のインセンティブ発注は、入札参加者を優良工事表彰業者や災害協力業者等の地場事業者を対象に限定し、条件つき一般競争入札全体の15%程度を対象として、発注件数が多い格付工種である土木、舗装、造園、建築、電気、管及び上水道の7工種を対象に実施しているものであり、本市でも福岡型インセンティブ方式を導入してはどうかと考えるが、所見を伺う。

△財政局長 本市においては、地場業者が本市や社会等へ貢献する活動を評価し、一定の基準を満たす事業を対象に、社会貢献優良企業の優遇制度を導入している。この制度では、本市が発注する工事、委託、物品について指名競争入札の場合は指名回数を多くする、制限つき一般競争入札では資格要件である施工実績の基準を緩和する、総合評価方式では企業評価項目とするなどの優遇を行っているところである。インセンティブ方式については、先行している他都市の事例を調査の上、業界団体の意見も聞き、今後、検討していきたいと考えている。

◯山口委員 公共工事も事業者が存続してこその事業である。今回指摘したように地場業者から悲鳴が上がっては何もならないと思う。災害時には昼夜休日を問わず地場事業者には協力を得ていることから見て、共存できるような仕組みを今後も随時、進化させる必要があり、問題点があればすぐ改善することが大事であると思うが、市長の所見を伺う。

△市長 地場企業は、地域経済の担い手であり、雇用の場でもあるととともに、地場の業界団体とは災害時などにおける防災協定を締結しており、災害が発生した場合の緊急出動など、市民の安全、安心の観点からも非常に重要な存在であると認識している。これまでも地場企業の意見、要望を聞きながら、入札制度の改善を行ってきたと聞いているが、入札制度についての意見、提案を受け、制度の改善が必要なものについては、業界団体などの意見を踏まえながら検討を行っていく。今後とも地場企業の受注機会の拡大を図り、地場企業の育成、振興に努めていきたいと考えている。

福岡市議会議員
山口つよし

公明党 福岡市議団

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