2012.10.11:平成24年決算特別委員会
◯山口委員 公明党福岡市議団を代表して、本市の市債について、臨時職員、任期つき短時間勤務職員、常勤講師の給与等について、学校規模適正化事業の進捗状況について尋ねる。本市の市債について尋ねる。本市の23年度において全会計の市債借入額は、借換債を含め2,794億6,390万円で前年度より307億3,450万円増加し12.4%ふえている。一般会計における市債発行額は幾らか、発行額は政令市で多い順から何位になるのか、市債発行額は減少しているのか、尋ねる。
△財政局長 23年度の一般会計における市債発行額は約776億円となっており、19政令市中多いほうから5番目となっている。市債発行額のうち公共施設等の整備に充当する通常債については、抑制方針に基づき着実に削減しているが、これを上回るペースで臨時財政対策債が増加していることから、21年度以降市債発行額は増加傾向にある。
◯山口委員 頑張って減らしてはいるが、政令市の中では順位は高いほうに位置するということであるが、実質公債費比率はどのようになっているのか。比率が改善または悪化している要因は何と考えているのか、尋ねる。
△財政局長 23年度の実質公債費比率については15.7%となっており、前年度の16.4%から0.7ポイント改善している。この要因としては、財政リニューアルプランに沿った市債発行額の抑制や公的資金補償金免除繰上償還の実施など、着実に財政健全化を進めたことにより、支払い利子が減少したことなどによるものである。
◯山口委員 よくはなっているが、政令市の中での順位はまだ上のほうに位置するとのことである。財政リニューアルプランは23年度を目標に作成していたが、23年度の決算で達成したのか尋ねる。市債の発行額は、23年度の一般会計での市債発行額を450億円から500億円程度に抑制するとしたが、その結果はどうだったのか、尋ねる。
△財政局長 財政リニューアルプランにおける23年度の一般会計の市債発行抑制目標については、21年度以降の臨時財政対策債の発行額がプラン策定時の20年度発行額並みの130億円で推移するものと想定し、それに通常債の発行額を加えた額を450億円から500億円程度に抑制する目標と設定したものである。23年度については、一般会計の通常債発行額は約380億円で、臨時財政対策債の想定額130億円を加えると合計で約510億円となり、財政リニューアルプランの目標額程度に発行額を抑制したところである。
◯山口委員 臨時財政対策債の影響が大きいということである。財政収支の見通しとして21年度から23年度の3年間で、566億円の財源不足が発生すると予測されていた。実際はどのくらい不足し、または解消されたのか、尋ねる。
△財政局長 21年度から23年度にかけての財源不足額については、リーマンショックの影響を受けて税収等は見込みよりさらに厳しいものとなったが、地方交付税等の増加により実際の財源不足額は448億円となっている。財源不足解消の取り組みについては、市税収入率の向上や広告料収入を初めとする多様な財源の確保を図るとともに、職員数の削減等による人件費の抑制や事務事業の見直し、効率化などに努めたことで約106億円の財源を捻出した。また、保有資産の売却や高金利債の繰上償還による利子負担軽減など、資産、債務の圧縮により約93億円、さらに、予算制度などの財政運営手法の改革を進めたことなどにより約90億円の財源を捻出した。このほか、財政調整基金などの活用により約159億円の財源対策を行うことにより3年間の財源不足を解消したところである。
◯山口委員 うまく乗り越えていると思う。なお、福岡市監査委員から配付されている運用状況等の資産検証という冊子があるが、それには一般会計の市債残高として1兆3,592億円と記載されているが、決算資料の23年度主要施策の成果説明書には1兆2,289億円と記載されている。その差1,303億円の差について説明を求める。
△財政局長 監査委員から提出された決算審査意見書においては、満期一括償還のための市債管理基金積立金、いわゆる減債積立金を含んだ名目上の市債残高が記載されている。一方で、23年度主要施策の成果説明書においては、この減債積立金を除いた実質的な市債残高を記載していることから、減債積立金分について差異が生じているものである。
◯山口委員 減債積立金の差であるとのことである。監査委員の意見書も、財政局発行の主要施策の説明書も間違いないと思って見ている。ところが、今回、一般会計の市債残高は幾らかと見たところ、約1,300億円の違いがあるが、監査委員の意見書には何も説明がなく、どちらが本当なのかがわからない。今後、本市の市債残高を表記するに当たっては、説明を記載して、その差異の理由がわかるようにするべきではないかと思うが、財政局長の所見を伺う。
△財政局長 指摘のとおりであり、市債残高における名目上の数値と実質的な数値については、表示方法を工夫し、説明を加えてわかりやすい書類作成に努めていく。
◯山口委員 次回からの取り組みを要望しておく。本市の格付について尋ねる。昨年はAa2であったが、国や他の政令指定都市と比較して本市の現在の格付はどうなっているのか、伺ねる。
△財政局長 本市は、20年度に格付会社であるムーディーズ社の格付を取得している。現在の本市の格付については、平成23年8月に東日本大震災後の景気回復のおくれや国の債務残高の増加等から国債の格付がAa2からAa3に引き下げとなり、これに合わせて本市の格付はムーディーズ社の格付を取得している他の政令市や県と同様に、国債と同じのAa2からAa3に引き下げとなっている。本市を含めた地方自治体の格下げの理由としては、日本政府の地方自治体の最終支援者としての役割と地方財政制度への強い関与により日本の地方自治体の格付は日本政府の格付を超えることはできないとのムーディーズ社の考え方によるものである。
◯山口委員 国の格付を超えることができないということで、本市の格付が下がっている。多くの市民はそのような実情を知らずに、評価だけを見て、財政状況が悪化し、評価が下がったと思いかねない。今後、市政だよりなどに発表するときには内容について知らせたほうがよいと思うが、所見を伺う。
△財政局長 本市の格付に係る情報発信については、本市のホームページを活用し情報提供に取り組んでいる。本市の格付の見直し等が行われた場合は、格付会社の意見を掲載するなど、その理由も含め周知に努めている。今後とも格付情報も含め、適宜本市の財政状況についてよりわかりやすい情報発信に努めていく。
◯山口委員 ぜひ情報のほうはよろしくお願いする。次に、臨時財政対策債について尋ねる。本来、地方交付税として全額現金で交付されるべきものであるが、地方交付税交付金という現金と臨時財政対策債という市債で合わせて財源措置され、市政が運営されている以上、市債残高削減は計画どおりに進んでいないのが現状である。臨時財政対策債の直近5年間の年度末残高の推移を尋ねるとともに、臨時財政対策債が始まった13年度から23年度までの発行額の累計及びこれに対する元利償還分として幾ら地方交付税措置されたのか、尋ねる。
△財政局長 臨時財政対策債の直近5年間の残高の推移については、減債積立金相当分を除いて、19年度が約1,147億6,900万円、20年度が約1,219億7,300万円、21年度が約1,353億6,600万円、22年度が約1,616億7,900万円、23年度が約1,917億5,200万円となっている。また、臨時財政対策債の発行額の累計については、13年度から23年度までの累計で約2,298億円となっている。その元利償還に係る地方交付税措置額については、13年度から23年度までに地方交付税の基準財政需要額に約405億円が算入されており、23年度発行の臨時財政対策債の償還が終わる53年度までに総額で約2,851億円が算入されると見込んでいる。
◯山口委員 今聞いた残高と対策債についての返還金である公債費は本当に極めてまだ少ない状況である。これまで臨時財政対策債の発行可能額を実際の発行額が下回った年はあったのか。
△財政局長 臨時財政対策債の発行可能額を下回る実際の発行額となった年は、22年度のみである。22年度の臨時財政対策債の発行可能額は378億9,000万円余であったが、実際の発行額は341億5,000万円余であった。
◯山口委員 22年度は37億4,000万円減少しているが、交付税という性質上、年度末近くにならなければ幾ら発行していいのかが難しいところと思う。抑制が非常に難しい話と思うが、今後の見通しとして対策債がふえ続けた場合、本市の影響としてはどのようなものがあると考えているか、尋ねる。
△財政局長 臨時財政対策債については、実質的な地方交付税として地方の財源不足を補填するために国が地方自治体に発行させる特例的な市債となっている。また、臨時財政対策債の元利償還金は地方財政法の規定によりその全額が地方交付税の基準財政需要額に算入されることとなっており、国の財政状況にかかわらず後年度の地方交付税で措置されることから、地方自治体の財政運営に支障が生じない制度となっている。しかしながら、本市の安定的な財政運営のためには、地方の財源不足は全額地方交付税交付金によって対応されるべきものであり、市債残高の縮減に積極的に取り組む本市にとって臨時財政対策債の残高が増額していくことは課題であると考えている。他の政令指定都市とも協調しながら、国に対して臨時財政対策債の速やかな廃止を強く求めているところである。
◯山口委員 本市にとって臨時財政対策債の廃止が本当に大事なことであると思う。一般会計の公債費、すなわち市債の元利償還金は、14年度以降毎年1,000億円を超え続けている。今後の見通しとして、これが何年続くと計算しているのか、また、公債費が減少に転じるのはいつごろと考えているのか、尋ねる。
△財政局長 公債費については、市債の償還を発行後30年程度の長い期間をかけて行うため、市債発行額を抑制しても直ちには減少しないものである。今後の公債費の見通しについては、将来の市債発行額や金利動向にもよるため、確定的なことは言えないが、24年度と同程度の市債発行額及び金利水準で推移すると仮定した場合、10年度前後に発行した多額の市債の償還が続く今後十数年は、現在と同程度である1,000億円前後の高い水準で推移するものと見込んでいる。
◯山口委員 退職手当債について尋ねる。本市では、退職金に毎年市債を充てているが、民間では退職給付引当金で積み立てていくのが常識である。国の許可もあり、借りやすい手だてになっているのであろうが、本来はおかしい話だと思う。退職手当債を発行できる条件及び退職手当債が発行を認められている期間、また、何年の償還払いか、尋ねる。
△財政局長 退職手当債を発行できる条件は、平年度ベースを上回る退職手当額がある自治体で定員管理、給与適正化計画を定め、総人件費の削減に取り組んでいる自治体が対象であり、当該平年度ベースを上回る額かつ将来の人件費の削減により償還財源が確保できると認められる額の範囲内で国の許可を得て発行できるものである。また、退職手当債の制度は、18年度において27年度までの10年間の特例措置として設けられたものであり、本市はこれまで償還期間10年で国の許可を受けている。
◯山口委員 公会計制度の導入で現金主義から発生主義にしたほうがよりわかりやすいと思う。臨時財政対策債がこのままふえ続けると、市債残高が増加に転じることも考えられる。幾ら後年度に補填されるとはいえ、臨時財政対策債を減少させる必要があるのではないか。三重県松阪市は借金時計を市のホームページに掲載している。これは、市民に市の財政状況を知ってもらうと同時に、市債残高を子や孫の世代に負わせていることを表示している。一般会計では、1時間当たり約18万円が減少し、1秒で51円減少するという時計になっている。見ていると、刻々と残高が減少している仕組みを表示している。この時計は、市役所1階に設置されており、市債発行を慎重に行っていることがわかる。また、臨時財政対策債も極力使わない方向で財政運営しているそうである。高知市も導入している。本市も、市民や投資家への情報発信の手段として研究してはどうかと思うが、ホームページを見た感想を財政局長に伺う。
△財政局長 松阪市のホームページは興味深く見た。それぞれの自治体が住民の理解を得るために工夫をして、わかりやすい情報提供に努めていると感じている。特に、財政健全化を進めていく上では、市単独の取り組みだけではなく、市民の理解、協力が必要不可欠となっていくので、財政状況等を正しく理解してもらうことが重要であると考えている。本市においても、これまで、ふくおかしの家計簿など、市民に対しわかりやすい財政状況等の情報発信に努めてきたところであるが、さらに理解を深めてもらえるよう視覚的に訴える情報提供のあり方など、他団体の状況も参考に研究していきたいと考えている。
◯山口委員 歳入の中身として本年は市民税収入が増加に転じてはいるものの、まだ本来の本市の地力が発揮されている経済状況ではないと思っている。そこで、市債を使ってでも活性化させる要因をふやすことが大事である。来年3月に行財政改革プラン原案を発表するとのことであるが、財政健全化に向けて、今後、どういう点を強調していこうとしているのか方向性を尋ねる。
△財政局長 行財政改革プランの原案については、来年3月の公表に向けて策定作業を行っているところであり、現在、プランの素案を取りまとめているところである。財政健全化に向けた取り組みの方向性については、ビルド・アンド・スクラップの精神で事務事業の効率化やスリム化を行い、重要事業の推進や新たな課題への対応のために必要な財源を確保しつつ、持続可能な財政構造を構築することとしている。このため、行政運営の効率化や行政サービスの見直し、公共施設等の見直し、投資の選択と集中、財源の積極的な確保、市債残高の縮減、市債発行の抑制に取り組んでいくこととしている。
◯山口委員 本市のプライマリーバランスは12年連続で黒字を達成していると発表されている。公債費が高どまりし、投資に充てられる財源が限られている状況では、市債の有効利用が欠かせないことは周知のとおりである。一般財源が10年前の4,064億円から3,957億円まで減少していることを見ると、義務的経費が増加の一途をたどっている今日、非常に厳しい財政運営を強いられていると思う。市税収入が右肩上がりであった平成20年までは、市債をうまく活用することで本市の福祉や経済力を発展させたが、今後はこの市債をしっかり利用して活用していくことが大事と思う。臨時財政対策債は平成13年から始まっており、今後も臨時財政対策債はふえ続くと思われる。これからのやりくりの方針について所見を伺う。
△財政局長 市債は、長年にわたって使用する公共施設等を整備するための財源でもあり、世代間の負担調整や年度間の平準化等の役割を果たしており、今後においても重要な資金調達の方法と考えていることから、真に必要な施策については市債も活用しながら着実に実施をしていく。しかしながら、臨時財政対策債については、近年、発行額が増加しており、臨時財政対策債を除いた市債の発行額を上回る状況となっていることから、今後の市債残高の削減における課題であると認識している。また、財政運営において過度に市債を発行すると、将来の償還費の増大など財政の硬直化や将来世代への過大な負担を招くことから、財政規律と投資のバランスがとれた財政運営を行っていく必要があると考えている。
◯山口委員 市民生活の満足度の向上と本市財政再構築に向けてさらに健全な財政にするための決意を、市長に伺う。
△市長 本市の今後の財政の見通しは非常に厳しく、重要事業の推進や新たな課題に対応するための財源は大幅に減少する見込みである。このような状況にあっても市民の生活の質を高めて、そのことが人と投資をさらに呼び込んでくるというよい循環をつくっていきたいと考えている。そのためにも、効率化、スリム化の観点から事務事業の再構築を行うことが重要だと思っており、また、選択と集中による投資の重点化もさらに進めていかなければいけないと考えている。高い水準にある市債残高を縮減して、世代間の公平を図るとともに、今後の高齢化や公共施設の老朽化による建てかえ等の財政事情にも対応できる持続可能な財政構造を構築して、市民生活や将来の成長にとって真に必要な施策を着実に推進できるように取り組んでいきたいと思う。
◯山口委員 ぜひ市債を有効に活用し、本市の市民が生活に満足の実感を持てるようになるよう要望する。次に、臨時職員、任期つき短期時間勤務職員、常勤講師の給与等について尋ねる。国の最低賃金改定が本年9月末より実施されており、報道によると、福岡県は6円上がり701円になった。しかし、全国の中で生活保護受給者と逆転している地域が6都道府県ある。例えば広島県は最低賃金が719円と、福岡県より18円最低賃金が高いが、生活保護受給者が上回っている。広島では逆転解消まであと3円が必要とされている。生活保護者よりも勤労者の収入が多くあるべきだと考えているが、非正規労働を初め雇用の多角化で現在は賃金の格差が開いている。非正規労働は30日以内の短期派遣において本年10月から問題が多いとされ禁止されたが、本市の状況について伺う。臨時的任用職員の賃金について、23年度では1人当たり幾ら支払いをしているのか、時間給に直すと幾らか、あわせて尋ねる。
△総務企画局長 本市における一般的な事務、技術補助を行う臨時的任用職員の賃金は、日額6,061円であり、この額を時間単価に直すと782円となる。
◯山口委員 福岡県の最低賃金よりも随分高いが、本庁での単価はそうだが、区役所や出先機関、所管事務調査を行っている三セク団体については幾らか。また、民間の単価は調べているのか、尋ねる。
△総務企画局長 本庁、区役所等の出先機関を問わず、本市における臨時的任用職員の賃金日額については同じ額である。本市の外郭団体についても、その大多数が本市の臨時的任用職員の賃金日額と同じ額としている。また、民間については、具体的な額は示せないが、本市の臨時的任用職員の賃金改定の際に、市内の幾つかの企業に確認したところ、本市の一般事務技術補助の臨時的任用職員と同種の職の単価については、おおむね本市の臨時的任用職員の賃金日額と均衡している状況であった。
◯山口委員 本市役所で非正規扱いの勤務者は何人いるのか。その給与は幾らで正規雇用との賃金の開きは幾らになるか、金額を尋ねる。
△総務企画局長 平成24年5月1日現在の正規職員以外の勤務者は、嘱託員2,759人、臨時的任用職員853人、任期つき短時間勤務職員51人、特定任期つき職員1人、再任用職員218人、合計3,882人である。また、平成24年4月現在における正規の高卒新規採用職員の初任給は月額約15万3,000円である。非正規職員のうち臨時的任用職員の賃金を月額換算すると、約12万7,000円である。したがって、臨時的任用職員の賃金は、正規職員に比べ2万6,000円程度低くなっている。これは、職務と責任に違いがあるため生じるものである。
◯山口委員 本市の正規職員数は政令市の中では少ないが、その一方で非正規の人数が正規の職員の30.4%と比率では多い。非正規職員と正規雇用職員との仕事の内容が同じであれば今後検討してほしい。では、正規職員以外で任期つき職員を採用しており、その中で23年度から生活保護ケースワーカーを採用しているが、その人数は何人か、また、ケースワーカーの正規職員数を尋ねる。
△総務企画局長 平成24年5月1日現在で、正規職員のケースワーカーは247人、任期つき短時間勤務職員は51人である。
◯山口委員 任期つきケースワーカーは何年の契約で月額は幾らか、尋ねる。
△総務企画局長 任期つき短時間勤務職員は、平成23年7月1日に採用し、その任用期間は平成26年3月31日までの2年9カ月である。また、給料については、月額16万1,961円で、このほか地域手当、通勤手当、時間外勤務手当、特殊勤務手当及び期末勤勉手当が支給され、協会けんぽ、厚生年金及び雇用保険の対象となる。
◯山口委員 正規職員と任期つき職員の給料の差は幾らか、初任者と3年経過した職員の給与との比較を尋ねる。
△総務企画局長 週当たりの勤務時間について正規職員が38時間45分勤務であるのに対し、任期つき短時間勤務職員は30時間勤務と異なるため、給料月額で単純比較することは困難であるので、勤務1時間当たりの給与額で比較すると、平成24年4月現在における正規の大卒の新規採用職員の給料月額は約17万3,000円、時間単価に直すと1,029円であり、3年経過後の給料月額は約19万9,000円、時間単価に直すと1,185円である。また、任期つき短時間勤務職員の給料月額については、一定の経験年数を加味して定額で定めており、採用時、3年経過後ともに約16万2,000円、時間単価に直すと1,246円である。したがって、任期つき短時間勤務職員の給料額は正規職員における採用時及び3年経過した後のいずれの額よりも若干高い額となっている。
◯山口委員 ケースワーカーは職員でも難しい職種だと思う。3年という任期を人によっては5年間に延長する場合もあるということを聞いたが,5年間同じ単価であれば開きがさらに出ると思うので、今後の経済動向や様子を見て賃金についても検討してほしい。任期つき短時間勤務職員の採用から1年が経過したが、突然の雇用どめなどが発生したことはあるのか。
△総務企画局長 自己の都合による退職はあるが、市が突然雇用をとめたということはない。
◯山口委員 任期つき職員について、市はしっかりフォローしてほしいと要望する。働く人が同一価値労働、同一賃金になっているのか、この点を役所が民間の手本として示すべきであると考えている。次に常勤講師の人数について教育委員会に尋ねる。小学校、中学校、特別支援学校別に問う。その上で、常勤講師と正規教員と業務内容の違いについて問う。
△教育長 常勤講師の人数は、平成23年5月1日時点で小学校371人、中学校179人、特別支援学校163人である。また、常勤講師と正規教員の業務内容の違いについては、児童生徒に対する教育に関しては常勤講師も正規教員と同等であるが、校務分掌などの分担については、常勤講師は主として補助的な業務を担っている。
◯山口委員 合計で713人いるということだが、常勤講師が学級担任をしている人数は、小学校、中学校、特別支援学校ではどうなっているのか、尋ねる。
△教育長 学級担任を務める常勤講師については、平成23年5月1日時点で小学校は230人、中学校はゼロである。特別支援学校については、小中学校と異なり、複数教員で児童生徒のグループ指導を行っており、基本的には全ての常勤講師を担任に位置づけている。
◯山口委員 教諭と常勤講師とは賃金の上で、月額で幾ら差があるのか。5年経過した場合を問う。
△教育長 経験5年を有する県費負担の教諭と常勤講師の給与を試算すると、常勤講師の1月当たりの給与は、教諭より約1万5,000円低くなるものと見込んでいる。
◯山口委員 教諭と講師で、給与とそのほか保険や年金、その他諸手当など、何か違いがあるのか。
△教育長 諸手当については、教諭も常勤講師も県の給与条例の適用を受けるため、処遇の差はない。また、健康保険及び年金については、教諭は公立学校共済組合に加入し、常勤講師は任用が2月以上となる場合に社会保険に加入することとなるので、掛金や給付の内容が若干異なるが、大きな処遇の差はないものと考えている。
◯山口委員 教育委員会として常勤講師の処遇はこのままでいいと考えているのか。今後、何か手だてを考えるつもりなのか、伺う。
△教育長 常勤講師の給与面などの処遇については、全てが正規の教員と一致するものではなく、同じ経験年数を有する者でも給料月額に差が生じる制度であることは認識している。県費教職員の給与については、公立学校教職員給与負担法においてその全額を県が負担することと定められており、今後とも県の条例などに基づき取り扱っていく必要があるものと考えている。
◯山口委員 これは県費だから本市だけではどうしようもないとのことだが、常勤講師でやる気のある方が教員になればもっと格差は変わると思う。教員採用試験で常勤講師の経験が5年以上ある人に対し、特別選考が実施されており、1次試験の中で教職・教養試験と専門教科試験を免除され、かわりに論文が加わっている。23年度の採用試験で受験者数と合格者数は何人で何%の合格率だったのか、伺う。
△教育長 23年度実施の教員採用試験における教職経験者特別選考の受験者は176人、合格者38人であり、合格率は21.6%となっている。
◯山口委員 合格者が38人でよく通っていると思うが、一方で138人の不合格者がいる。今後の大量退職者数と新規採用の動向について伺う。
△教育長 小、中、特別支援学校における教育職員の退職者数については、18年度までは100人前後で推移していたが、19年度から増加傾向となり、23年度は244人であった。大量退職のピーク時期については25年度から6年間程度であり、毎年300人前後の退職を見込んでいる。一方、採用については、当分の間は毎年300人から350人程度が必要になると見込んでいる。
◯山口委員 大量退職時期が来ると、新卒者の採用も大事であるが、一方でベテランの先生も重要と思う。5年以上も教職にある常勤講師を、退職者がふえるこの時期にもっと登用すべきではないかと考えるが、教育長の所見を伺う。
△教育長 教育委員会としては、大量退職期を迎えるに当たり、力量を持った教職経験者を採用していくことは大切であると考えている。このため、若干名としていた教職経験者特別選考の採用枠を23年度実施の採用試験から撤廃し、力量のある人材を枠にとらわれずに採用することとした。また、24年度実施の採用試験からは、教職経験者特別選考の受験資格年齢を40歳以下から59歳以下に緩和したところである。今後とも教職経験者の特別選考については、地方公務員法の平等取り扱いの原則を踏まえながら、本市の教育にふさわしい力量ある人材の確保に努めていく。
◯山口委員 やる気のある講師の先生なら子どもたちから見たら何も変わらない。しっかり給料をもらい、教職に励んでほしい。最後に、任期つき職員など働く人が同一価値労働同一賃金になるべきであると考えている。今後も市役所での仕事の中身を注視して、生活の質を向上させるための施策を実行するよう要望するが、市長の所見を伺う。
△市長 任期つき短時間勤務職員等の正規職員以外の職員の給与等については、その職責や職務内容等に応じた適切な水準を確保しているものと認識をしているが、市政の一翼を担っているこれらの職員の給与等の勤務条件については、市民サービス向上の観点も踏まえながら今後とも適切に対処していきたいと考えている。
◯山口委員 学校規模適正化事業の進捗状況について尋ねる。23年度は学校規模適正化事業においてどのような検討をしたのか、伺う。
△教育長 学校規模適正化事業については、20年度に実施方針を策定し、全ての学年でクラスがえができない小規模校12校と、31学級以上の過大規模校4校を第1次計画の対象として取り組んでいる。舞鶴中学校ブロックと住吉中学校ブロックについては、小中学校を統合再編し、小中連携校としてそれぞれ26年度、27年度の開校に向け準備を進めているところである。
◯山口委員 小規模校の検討状況について伺う。検討状況が発表されたのは、舞鶴中学校ブロックと住吉中学校ブロックである。志賀中学校、早良中学校、西部6校区の3ブロックの進捗状況はどうなっているのか、尋ねる。
△教育長 志賀中学校ブロックについては、保護者や地域住民を対象とした説明会を開催するなど、適正化事業への理解が得られるよう協議を行っている。早良中学校ブロックについては、校区の面積が広大であり、小中学校の統合再編を行うことで通学距離の面など新たな課題が生じるため、小規模校の課題解消の手法について検討をしている。西部6校区については、北崎小学校西浦分校を平成22年3月をもって北崎小学校に統合した。今津小学校と北崎小学校については、隣接する元岡地区の九州大学移転によるまちづくりの状況を見ながら検討することとしている。
◯山口委員 この3ブロックのめどは、検討中ということがほとんどであるが、小規模校のゆえに、学習面でも支障や制約が指摘されて3年が経過している。今後も新たな小規模校がふえる可能性が大きい今日では、もっと地元と協議し、よりよい方向へ指針を出すべきではないか。3ブロックのこれからの見通しについて伺う。
△教育長 学校規模の適正化を進めるに当たっては、学校と地域コミュニティが密接にかかわっているため、地域の実情に応じた取り組みを行っていく必要がある。引き続き保護者や地域住民の意見を十分聞きながら対応していく。
◯山口委員 本年もこの小規模校に新たに2校が入るということを聞いた。これから先の検討のありようをよく考えてほしい。過大規模校4校について、23年度はどういった検討を行ったのか、尋ねる。
△教育長 松島小学校については、21年度から23年度までに2年続けて40人以上の児童が減少し、ピーク時の18年度に比べ23年度は約110人減少している。西新小学校についても、同様に児童数が減少している。松島小学校と西新小学校については、過大規模校ではなくなっており、普通教室も充足しているため、住宅開発の状況や児童数の推移を注視してきた。那珂小学校については、通学区域の調整を行うとともに、必要な教室の整備を行っており、住宅開発の状況や児童数の推移を注視してきた。壱岐小学校については、通学区域の変更について保護者や地域住民と協議を行ったが不調に終わったため、23年度は施設の整備による対応を検討した。
◯山口委員 過大規模校とされた那珂小校区と壱岐小校区において、24年度現在では検討を行っているのか、尋ねる。また、松島小学校と西新小学校の現在は、児童数が減少しているが、また過大規模校の対象校になる要因がある。しっかり検討を進めるべきであると考えるが、所見を伺う。
△教育長 那珂小学校については、24年度も児童数が減少しており、住宅の開発状況や児童数の推移を注視しているところである。壱岐小学校については、講堂兼体育館改築の基本計画など教育環境の整備を進めている。松島小学校と西新小学校については、24年度も児童数が減少しており、引き続き住宅の開発状況や児童数の推移を注視していく。
◯山口委員 過大規模校というのがずっと続いているが、定義について国の指針はどうなっているのか、尋ねる。
△教育長 過大規模校については、法令の規定はないが、文部科学省の国庫補助申請の事務処理に関する通知において、31学級以上の学校を過大規模校としている。
◯山口委員 本市においては、平成20年12月に適正な学校規模が設定されているが、小中学校の学級数は幾つとしているのか、尋ねる。
△教育長 本市においては、福岡市立小中学校の学校規模適正化に関する実施方針において、小学校、中学校ともに12学級から24学級までを適正規模としている。
◯山口委員 実施指針からすると本市の過大規模校4校は、10年前と何ら変わらずふえている。議会では、いつも今後の推移を見守るとの答弁であるが、一体どうするつもりなのか。検討を続けるのであれば、どの程度になったら校区再編や分離新設などの方向を決めるのか、伺う。
△教育長 過大規模校については、学校の分離、通学区域の変更、教室の増設などの手法から選択し、地域の実情に応じた取り組みを行っている。松島小学校と西新小学校については、20年度に必要な教室整備を行い、ここ数年は児童数も減少し、現在、過大規模校ではなくなっているため、直ちに分離や通学区域の変更を行うことは考えていない。那珂小学校については、通学区域の調整を行うとともに必要な教室整備を行っており、住宅開発の状況や児童数の推移を注視している。壱岐小学校については、通学区域の変更について協議を行ったが、不調に終わったため、施設の整備による対応を行うこととしている。
◯山口委員 小規模や過大規模の学校に通う児童生徒たちの学習環境が他の適正規模校に通う子どもたちと違ったままでよいのか。平成20年12月に発表されている学校規模適正化の提言においては、解消する必要があると指摘されているにもかかわらず、何も手をつけられていないケースがある。教育の機会を平等にという法の精神はどう考えているのか。提言に、過大規模校で通学区域の変更や分離新設が困難な場合は、教室等の増築や運動場の面積拡大での対応もやむなしとあるが、松島小校区内には適当な面積の土地がある。通学区域の変更を選択した場合でも、これまでより遠い学校へ通うようになることは、大人も含めて抵抗がある。将来を見据えるならば分離が必要と考える。仮に、分離を決定しても開校まで5年ないし6年ぐらいかかるのであれば、方向の決定を早く出さなければいけないのではないか。検討の最終年限を決めて対応するべきと思うが、教育長の所見を伺う。
△教育長 松島小学校については、21年度から23年度までに2年続けて40人以上の児童が減少している。24年度は、児童数が最も多かった18年度と比べて約120人減少し29学級で、過大規模校ではなくなっており、直ちに分離することは考えていない。今後も住宅開発の状況や児童数の推移を注視し、学校の実情を把握しながら教育環境の整備に努めていく。
◯山口委員 検討のスピードを早くするよう要望する。次に箱崎中学校の九大箱崎キャンパス跡地移転について伺う。平成31年に九大箱崎キャンパスが移転完了することに伴い、地域4校協議会から箱崎中学校をそこに移転してほしいとの要望について、教育委員会はどのような対応をする考えか、学校建てかえの考え方について伺う。
△教育長 学校施設の建てかえについては、目標耐用年数を60年以上としているが、文部科学省において現在、老朽化対策の検討が行われており、8月の中間まとめでは計画的な整備や長寿命化などの方向性が打ち出されている。本市、国とも厳しい財政状況にあり、文部科学省の検討状況を踏まえ、今後、具体的な考え方を検討していく。箱崎中学校については、昭和43年度に建設をされ、現在、44年が経過している。九州大学箱崎キャンパスの移転完了は7年後の31年度と聞いており、目標耐用年数を考えると建てかえを行う時期ではない。箱崎中学校の建てかえについては、全市的な学校施設の建てかえ計画の中で検討していく。
◯山口委員 箱崎中学校の生徒の通学路の危険性についてどの程度理解しているのか伺う。
△教育長 箱崎中学校の通学路については、交通量が比較的多く、道路幅員が狭いため、自動車同士が離合する際に歩行者が危険を感じる箇所があるということは認識している。
◯山口委員 過去において生徒が踏切事故で足をなくした例もあり、箱崎中学校の通学路は危険がある。現在のこの中学校は校区の一番端にあるが、中学校校区の中心部に九大の跡地ができる。それを地元は千載一遇のチャンスと考えており、ここに移転を行えば、このような踏切事故が発生しない安全な通学路が確保されることになる。現在の校舎はまだ使えるとのことであるが、本市が土地を学校用地として確保しておかなければ、近い将来の移転計画が成り立たない。子どもたちの安全のために用地確保を検討してほしいが、教育長の所見を伺う。
△教育長 本市、国とも厳しい財政状況の中、文部科学省においては学校施設の老朽化対策として計画的な整備や長寿命化などの検討がなされている。このような中で、建てかえ時期の前倒しや用地の取得を行うことには慎重であるべきだと考えている。なお、通学路の安全確保については、警察署などの関係機関や担当局との連携を一層強化し、危険箇所の改善に取り組んでいく。
◯山口委員 全市的な建てかえの計画については早目に提示をするよう要望する。大学設立当時は土地を分けた方々も多数いる。大学当局の分割売却の意向もあるが、所在地の本市として地域の実現可能な要望をしっかり受けとめてほしい。今後、過大規模校や小規模校の対象校がふえていくと思われる。本市の将来を託す子どもたちに良好な学習環境をつくるために、市民局コミュニティ推進部などの協力を得ながら、スピードアップさせて方向性を決めてほしいと考えているが、市長の所見を伺う。
△市長 本市の子どもたちの学習環境であるが、本日の朝刊でも、教育委員会が一生懸命取り組んでおり本市の子どもたちの学力が向上しているという非常にうれしい報道もあった。よりよい教育環境で公教育を受けるためには、子どもたちが学びやすい学校規模であることが望ましいと考えている。学校規模適正化の推進に当たっては、将来の社会を担う子どもたちを本市全体で健やかに育めるよう、保護者や地域住民の意見を十分に聞きながら、今後とも教育委員会とともにしっかり取り組んでいきたいと考えている。