福岡市議会議員・山口つよし

平成23年~24年

◯山口委員 公明党福岡市議団を代表して、本市の市債について、臨時職員、任期つき短時間勤務職員、常勤講師の給与等について、学校規模適正化事業の進捗状況について尋ねる。本市の市債について尋ねる。本市の23年度において全会計の市債借入額は、借換債を含め2,794億6,390万円で前年度より307億3,450万円増加し12.4%ふえている。一般会計における市債発行額は幾らか、発行額は政令市で多い順から何位になるのか、市債発行額は減少しているのか、尋ねる。

△財政局長 23年度の一般会計における市債発行額は約776億円となっており、19政令市中多いほうから5番目となっている。市債発行額のうち公共施設等の整備に充当する通常債については、抑制方針に基づき着実に削減しているが、これを上回るペースで臨時財政対策債が増加していることから、21年度以降市債発行額は増加傾向にある。

◯山口委員 頑張って減らしてはいるが、政令市の中では順位は高いほうに位置するということであるが、実質公債費比率はどのようになっているのか。比率が改善または悪化している要因は何と考えているのか、尋ねる。

△財政局長 23年度の実質公債費比率については15.7%となっており、前年度の16.4%から0.7ポイント改善している。この要因としては、財政リニューアルプランに沿った市債発行額の抑制や公的資金補償金免除繰上償還の実施など、着実に財政健全化を進めたことにより、支払い利子が減少したことなどによるものである。

◯山口委員 よくはなっているが、政令市の中での順位はまだ上のほうに位置するとのことである。財政リニューアルプランは23年度を目標に作成していたが、23年度の決算で達成したのか尋ねる。市債の発行額は、23年度の一般会計での市債発行額を450億円から500億円程度に抑制するとしたが、その結果はどうだったのか、尋ねる。

△財政局長 財政リニューアルプランにおける23年度の一般会計の市債発行抑制目標については、21年度以降の臨時財政対策債の発行額がプラン策定時の20年度発行額並みの130億円で推移するものと想定し、それに通常債の発行額を加えた額を450億円から500億円程度に抑制する目標と設定したものである。23年度については、一般会計の通常債発行額は約380億円で、臨時財政対策債の想定額130億円を加えると合計で約510億円となり、財政リニューアルプランの目標額程度に発行額を抑制したところである。

◯山口委員 臨時財政対策債の影響が大きいということである。財政収支の見通しとして21年度から23年度の3年間で、566億円の財源不足が発生すると予測されていた。実際はどのくらい不足し、または解消されたのか、尋ねる。

△財政局長 21年度から23年度にかけての財源不足額については、リーマンショックの影響を受けて税収等は見込みよりさらに厳しいものとなったが、地方交付税等の増加により実際の財源不足額は448億円となっている。財源不足解消の取り組みについては、市税収入率の向上や広告料収入を初めとする多様な財源の確保を図るとともに、職員数の削減等による人件費の抑制や事務事業の見直し、効率化などに努めたことで約106億円の財源を捻出した。また、保有資産の売却や高金利債の繰上償還による利子負担軽減など、資産、債務の圧縮により約93億円、さらに、予算制度などの財政運営手法の改革を進めたことなどにより約90億円の財源を捻出した。このほか、財政調整基金などの活用により約159億円の財源対策を行うことにより3年間の財源不足を解消したところである。

◯山口委員 うまく乗り越えていると思う。なお、福岡市監査委員から配付されている運用状況等の資産検証という冊子があるが、それには一般会計の市債残高として1兆3,592億円と記載されているが、決算資料の23年度主要施策の成果説明書には1兆2,289億円と記載されている。その差1,303億円の差について説明を求める。

△財政局長 監査委員から提出された決算審査意見書においては、満期一括償還のための市債管理基金積立金、いわゆる減債積立金を含んだ名目上の市債残高が記載されている。一方で、23年度主要施策の成果説明書においては、この減債積立金を除いた実質的な市債残高を記載していることから、減債積立金分について差異が生じているものである。

◯山口委員 減債積立金の差であるとのことである。監査委員の意見書も、財政局発行の主要施策の説明書も間違いないと思って見ている。ところが、今回、一般会計の市債残高は幾らかと見たところ、約1,300億円の違いがあるが、監査委員の意見書には何も説明がなく、どちらが本当なのかがわからない。今後、本市の市債残高を表記するに当たっては、説明を記載して、その差異の理由がわかるようにするべきではないかと思うが、財政局長の所見を伺う。

△財政局長 指摘のとおりであり、市債残高における名目上の数値と実質的な数値については、表示方法を工夫し、説明を加えてわかりやすい書類作成に努めていく。

◯山口委員 次回からの取り組みを要望しておく。本市の格付について尋ねる。昨年はAa2であったが、国や他の政令指定都市と比較して本市の現在の格付はどうなっているのか、伺ねる。

△財政局長 本市は、20年度に格付会社であるムーディーズ社の格付を取得している。現在の本市の格付については、平成23年8月に東日本大震災後の景気回復のおくれや国の債務残高の増加等から国債の格付がAa2からAa3に引き下げとなり、これに合わせて本市の格付はムーディーズ社の格付を取得している他の政令市や県と同様に、国債と同じのAa2からAa3に引き下げとなっている。本市を含めた地方自治体の格下げの理由としては、日本政府の地方自治体の最終支援者としての役割と地方財政制度への強い関与により日本の地方自治体の格付は日本政府の格付を超えることはできないとのムーディーズ社の考え方によるものである。

◯山口委員 国の格付を超えることができないということで、本市の格付が下がっている。多くの市民はそのような実情を知らずに、評価だけを見て、財政状況が悪化し、評価が下がったと思いかねない。今後、市政だよりなどに発表するときには内容について知らせたほうがよいと思うが、所見を伺う。

△財政局長 本市の格付に係る情報発信については、本市のホームページを活用し情報提供に取り組んでいる。本市の格付の見直し等が行われた場合は、格付会社の意見を掲載するなど、その理由も含め周知に努めている。今後とも格付情報も含め、適宜本市の財政状況についてよりわかりやすい情報発信に努めていく。

◯山口委員 ぜひ情報のほうはよろしくお願いする。次に、臨時財政対策債について尋ねる。本来、地方交付税として全額現金で交付されるべきものであるが、地方交付税交付金という現金と臨時財政対策債という市債で合わせて財源措置され、市政が運営されている以上、市債残高削減は計画どおりに進んでいないのが現状である。臨時財政対策債の直近5年間の年度末残高の推移を尋ねるとともに、臨時財政対策債が始まった13年度から23年度までの発行額の累計及びこれに対する元利償還分として幾ら地方交付税措置されたのか、尋ねる。

△財政局長 臨時財政対策債の直近5年間の残高の推移については、減債積立金相当分を除いて、19年度が約1,147億6,900万円、20年度が約1,219億7,300万円、21年度が約1,353億6,600万円、22年度が約1,616億7,900万円、23年度が約1,917億5,200万円となっている。また、臨時財政対策債の発行額の累計については、13年度から23年度までの累計で約2,298億円となっている。その元利償還に係る地方交付税措置額については、13年度から23年度までに地方交付税の基準財政需要額に約405億円が算入されており、23年度発行の臨時財政対策債の償還が終わる53年度までに総額で約2,851億円が算入されると見込んでいる。

◯山口委員 今聞いた残高と対策債についての返還金である公債費は本当に極めてまだ少ない状況である。これまで臨時財政対策債の発行可能額を実際の発行額が下回った年はあったのか。

△財政局長 臨時財政対策債の発行可能額を下回る実際の発行額となった年は、22年度のみである。22年度の臨時財政対策債の発行可能額は378億9,000万円余であったが、実際の発行額は341億5,000万円余であった。

◯山口委員 22年度は37億4,000万円減少しているが、交付税という性質上、年度末近くにならなければ幾ら発行していいのかが難しいところと思う。抑制が非常に難しい話と思うが、今後の見通しとして対策債がふえ続けた場合、本市の影響としてはどのようなものがあると考えているか、尋ねる。

△財政局長 臨時財政対策債については、実質的な地方交付税として地方の財源不足を補填するために国が地方自治体に発行させる特例的な市債となっている。また、臨時財政対策債の元利償還金は地方財政法の規定によりその全額が地方交付税の基準財政需要額に算入されることとなっており、国の財政状況にかかわらず後年度の地方交付税で措置されることから、地方自治体の財政運営に支障が生じない制度となっている。しかしながら、本市の安定的な財政運営のためには、地方の財源不足は全額地方交付税交付金によって対応されるべきものであり、市債残高の縮減に積極的に取り組む本市にとって臨時財政対策債の残高が増額していくことは課題であると考えている。他の政令指定都市とも協調しながら、国に対して臨時財政対策債の速やかな廃止を強く求めているところである。

◯山口委員 本市にとって臨時財政対策債の廃止が本当に大事なことであると思う。一般会計の公債費、すなわち市債の元利償還金は、14年度以降毎年1,000億円を超え続けている。今後の見通しとして、これが何年続くと計算しているのか、また、公債費が減少に転じるのはいつごろと考えているのか、尋ねる。

△財政局長 公債費については、市債の償還を発行後30年程度の長い期間をかけて行うため、市債発行額を抑制しても直ちには減少しないものである。今後の公債費の見通しについては、将来の市債発行額や金利動向にもよるため、確定的なことは言えないが、24年度と同程度の市債発行額及び金利水準で推移すると仮定した場合、10年度前後に発行した多額の市債の償還が続く今後十数年は、現在と同程度である1,000億円前後の高い水準で推移するものと見込んでいる。

◯山口委員 退職手当債について尋ねる。本市では、退職金に毎年市債を充てているが、民間では退職給付引当金で積み立てていくのが常識である。国の許可もあり、借りやすい手だてになっているのであろうが、本来はおかしい話だと思う。退職手当債を発行できる条件及び退職手当債が発行を認められている期間、また、何年の償還払いか、尋ねる。

△財政局長 退職手当債を発行できる条件は、平年度ベースを上回る退職手当額がある自治体で定員管理、給与適正化計画を定め、総人件費の削減に取り組んでいる自治体が対象であり、当該平年度ベースを上回る額かつ将来の人件費の削減により償還財源が確保できると認められる額の範囲内で国の許可を得て発行できるものである。また、退職手当債の制度は、18年度において27年度までの10年間の特例措置として設けられたものであり、本市はこれまで償還期間10年で国の許可を受けている。

◯山口委員 公会計制度の導入で現金主義から発生主義にしたほうがよりわかりやすいと思う。臨時財政対策債がこのままふえ続けると、市債残高が増加に転じることも考えられる。幾ら後年度に補填されるとはいえ、臨時財政対策債を減少させる必要があるのではないか。三重県松阪市は借金時計を市のホームページに掲載している。これは、市民に市の財政状況を知ってもらうと同時に、市債残高を子や孫の世代に負わせていることを表示している。一般会計では、1時間当たり約18万円が減少し、1秒で51円減少するという時計になっている。見ていると、刻々と残高が減少している仕組みを表示している。この時計は、市役所1階に設置されており、市債発行を慎重に行っていることがわかる。また、臨時財政対策債も極力使わない方向で財政運営しているそうである。高知市も導入している。本市も、市民や投資家への情報発信の手段として研究してはどうかと思うが、ホームページを見た感想を財政局長に伺う。

△財政局長 松阪市のホームページは興味深く見た。それぞれの自治体が住民の理解を得るために工夫をして、わかりやすい情報提供に努めていると感じている。特に、財政健全化を進めていく上では、市単独の取り組みだけではなく、市民の理解、協力が必要不可欠となっていくので、財政状況等を正しく理解してもらうことが重要であると考えている。本市においても、これまで、ふくおかしの家計簿など、市民に対しわかりやすい財政状況等の情報発信に努めてきたところであるが、さらに理解を深めてもらえるよう視覚的に訴える情報提供のあり方など、他団体の状況も参考に研究していきたいと考えている。

◯山口委員 歳入の中身として本年は市民税収入が増加に転じてはいるものの、まだ本来の本市の地力が発揮されている経済状況ではないと思っている。そこで、市債を使ってでも活性化させる要因をふやすことが大事である。来年3月に行財政改革プラン原案を発表するとのことであるが、財政健全化に向けて、今後、どういう点を強調していこうとしているのか方向性を尋ねる。

△財政局長 行財政改革プランの原案については、来年3月の公表に向けて策定作業を行っているところであり、現在、プランの素案を取りまとめているところである。財政健全化に向けた取り組みの方向性については、ビルド・アンド・スクラップの精神で事務事業の効率化やスリム化を行い、重要事業の推進や新たな課題への対応のために必要な財源を確保しつつ、持続可能な財政構造を構築することとしている。このため、行政運営の効率化や行政サービスの見直し、公共施設等の見直し、投資の選択と集中、財源の積極的な確保、市債残高の縮減、市債発行の抑制に取り組んでいくこととしている。

◯山口委員 本市のプライマリーバランスは12年連続で黒字を達成していると発表されている。公債費が高どまりし、投資に充てられる財源が限られている状況では、市債の有効利用が欠かせないことは周知のとおりである。一般財源が10年前の4,064億円から3,957億円まで減少していることを見ると、義務的経費が増加の一途をたどっている今日、非常に厳しい財政運営を強いられていると思う。市税収入が右肩上がりであった平成20年までは、市債をうまく活用することで本市の福祉や経済力を発展させたが、今後はこの市債をしっかり利用して活用していくことが大事と思う。臨時財政対策債は平成13年から始まっており、今後も臨時財政対策債はふえ続くと思われる。これからのやりくりの方針について所見を伺う。

△財政局長 市債は、長年にわたって使用する公共施設等を整備するための財源でもあり、世代間の負担調整や年度間の平準化等の役割を果たしており、今後においても重要な資金調達の方法と考えていることから、真に必要な施策については市債も活用しながら着実に実施をしていく。しかしながら、臨時財政対策債については、近年、発行額が増加しており、臨時財政対策債を除いた市債の発行額を上回る状況となっていることから、今後の市債残高の削減における課題であると認識している。また、財政運営において過度に市債を発行すると、将来の償還費の増大など財政の硬直化や将来世代への過大な負担を招くことから、財政規律と投資のバランスがとれた財政運営を行っていく必要があると考えている。

◯山口委員 市民生活の満足度の向上と本市財政再構築に向けてさらに健全な財政にするための決意を、市長に伺う。

△市長 本市の今後の財政の見通しは非常に厳しく、重要事業の推進や新たな課題に対応するための財源は大幅に減少する見込みである。このような状況にあっても市民の生活の質を高めて、そのことが人と投資をさらに呼び込んでくるというよい循環をつくっていきたいと考えている。そのためにも、効率化、スリム化の観点から事務事業の再構築を行うことが重要だと思っており、また、選択と集中による投資の重点化もさらに進めていかなければいけないと考えている。高い水準にある市債残高を縮減して、世代間の公平を図るとともに、今後の高齢化や公共施設の老朽化による建てかえ等の財政事情にも対応できる持続可能な財政構造を構築して、市民生活や将来の成長にとって真に必要な施策を着実に推進できるように取り組んでいきたいと思う。

◯山口委員 ぜひ市債を有効に活用し、本市の市民が生活に満足の実感を持てるようになるよう要望する。次に、臨時職員、任期つき短期時間勤務職員、常勤講師の給与等について尋ねる。国の最低賃金改定が本年9月末より実施されており、報道によると、福岡県は6円上がり701円になった。しかし、全国の中で生活保護受給者と逆転している地域が6都道府県ある。例えば広島県は最低賃金が719円と、福岡県より18円最低賃金が高いが、生活保護受給者が上回っている。広島では逆転解消まであと3円が必要とされている。生活保護者よりも勤労者の収入が多くあるべきだと考えているが、非正規労働を初め雇用の多角化で現在は賃金の格差が開いている。非正規労働は30日以内の短期派遣において本年10月から問題が多いとされ禁止されたが、本市の状況について伺う。臨時的任用職員の賃金について、23年度では1人当たり幾ら支払いをしているのか、時間給に直すと幾らか、あわせて尋ねる。

△総務企画局長 本市における一般的な事務、技術補助を行う臨時的任用職員の賃金は、日額6,061円であり、この額を時間単価に直すと782円となる。

◯山口委員 福岡県の最低賃金よりも随分高いが、本庁での単価はそうだが、区役所や出先機関、所管事務調査を行っている三セク団体については幾らか。また、民間の単価は調べているのか、尋ねる。

△総務企画局長 本庁、区役所等の出先機関を問わず、本市における臨時的任用職員の賃金日額については同じ額である。本市の外郭団体についても、その大多数が本市の臨時的任用職員の賃金日額と同じ額としている。また、民間については、具体的な額は示せないが、本市の臨時的任用職員の賃金改定の際に、市内の幾つかの企業に確認したところ、本市の一般事務技術補助の臨時的任用職員と同種の職の単価については、おおむね本市の臨時的任用職員の賃金日額と均衡している状況であった。

◯山口委員 本市役所で非正規扱いの勤務者は何人いるのか。その給与は幾らで正規雇用との賃金の開きは幾らになるか、金額を尋ねる。

△総務企画局長 平成24年5月1日現在の正規職員以外の勤務者は、嘱託員2,759人、臨時的任用職員853人、任期つき短時間勤務職員51人、特定任期つき職員1人、再任用職員218人、合計3,882人である。また、平成24年4月現在における正規の高卒新規採用職員の初任給は月額約15万3,000円である。非正規職員のうち臨時的任用職員の賃金を月額換算すると、約12万7,000円である。したがって、臨時的任用職員の賃金は、正規職員に比べ2万6,000円程度低くなっている。これは、職務と責任に違いがあるため生じるものである。

◯山口委員 本市の正規職員数は政令市の中では少ないが、その一方で非正規の人数が正規の職員の30.4%と比率では多い。非正規職員と正規雇用職員との仕事の内容が同じであれば今後検討してほしい。では、正規職員以外で任期つき職員を採用しており、その中で23年度から生活保護ケースワーカーを採用しているが、その人数は何人か、また、ケースワーカーの正規職員数を尋ねる。

△総務企画局長 平成24年5月1日現在で、正規職員のケースワーカーは247人、任期つき短時間勤務職員は51人である。

◯山口委員 任期つきケースワーカーは何年の契約で月額は幾らか、尋ねる。

△総務企画局長 任期つき短時間勤務職員は、平成23年7月1日に採用し、その任用期間は平成26年3月31日までの2年9カ月である。また、給料については、月額16万1,961円で、このほか地域手当、通勤手当、時間外勤務手当、特殊勤務手当及び期末勤勉手当が支給され、協会けんぽ、厚生年金及び雇用保険の対象となる。

◯山口委員 正規職員と任期つき職員の給料の差は幾らか、初任者と3年経過した職員の給与との比較を尋ねる。

△総務企画局長 週当たりの勤務時間について正規職員が38時間45分勤務であるのに対し、任期つき短時間勤務職員は30時間勤務と異なるため、給料月額で単純比較することは困難であるので、勤務1時間当たりの給与額で比較すると、平成24年4月現在における正規の大卒の新規採用職員の給料月額は約17万3,000円、時間単価に直すと1,029円であり、3年経過後の給料月額は約19万9,000円、時間単価に直すと1,185円である。また、任期つき短時間勤務職員の給料月額については、一定の経験年数を加味して定額で定めており、採用時、3年経過後ともに約16万2,000円、時間単価に直すと1,246円である。したがって、任期つき短時間勤務職員の給料額は正規職員における採用時及び3年経過した後のいずれの額よりも若干高い額となっている。

◯山口委員 ケースワーカーは職員でも難しい職種だと思う。3年という任期を人によっては5年間に延長する場合もあるということを聞いたが,5年間同じ単価であれば開きがさらに出ると思うので、今後の経済動向や様子を見て賃金についても検討してほしい。任期つき短時間勤務職員の採用から1年が経過したが、突然の雇用どめなどが発生したことはあるのか。

△総務企画局長 自己の都合による退職はあるが、市が突然雇用をとめたということはない。

◯山口委員 任期つき職員について、市はしっかりフォローしてほしいと要望する。働く人が同一価値労働、同一賃金になっているのか、この点を役所が民間の手本として示すべきであると考えている。次に常勤講師の人数について教育委員会に尋ねる。小学校、中学校、特別支援学校別に問う。その上で、常勤講師と正規教員と業務内容の違いについて問う。

△教育長 常勤講師の人数は、平成23年5月1日時点で小学校371人、中学校179人、特別支援学校163人である。また、常勤講師と正規教員の業務内容の違いについては、児童生徒に対する教育に関しては常勤講師も正規教員と同等であるが、校務分掌などの分担については、常勤講師は主として補助的な業務を担っている。

◯山口委員 合計で713人いるということだが、常勤講師が学級担任をしている人数は、小学校、中学校、特別支援学校ではどうなっているのか、尋ねる。

△教育長 学級担任を務める常勤講師については、平成23年5月1日時点で小学校は230人、中学校はゼロである。特別支援学校については、小中学校と異なり、複数教員で児童生徒のグループ指導を行っており、基本的には全ての常勤講師を担任に位置づけている。

◯山口委員 教諭と常勤講師とは賃金の上で、月額で幾ら差があるのか。5年経過した場合を問う。

△教育長 経験5年を有する県費負担の教諭と常勤講師の給与を試算すると、常勤講師の1月当たりの給与は、教諭より約1万5,000円低くなるものと見込んでいる。

◯山口委員 教諭と講師で、給与とそのほか保険や年金、その他諸手当など、何か違いがあるのか。

△教育長 諸手当については、教諭も常勤講師も県の給与条例の適用を受けるため、処遇の差はない。また、健康保険及び年金については、教諭は公立学校共済組合に加入し、常勤講師は任用が2月以上となる場合に社会保険に加入することとなるので、掛金や給付の内容が若干異なるが、大きな処遇の差はないものと考えている。

◯山口委員 教育委員会として常勤講師の処遇はこのままでいいと考えているのか。今後、何か手だてを考えるつもりなのか、伺う。

△教育長 常勤講師の給与面などの処遇については、全てが正規の教員と一致するものではなく、同じ経験年数を有する者でも給料月額に差が生じる制度であることは認識している。県費教職員の給与については、公立学校教職員給与負担法においてその全額を県が負担することと定められており、今後とも県の条例などに基づき取り扱っていく必要があるものと考えている。

◯山口委員 これは県費だから本市だけではどうしようもないとのことだが、常勤講師でやる気のある方が教員になればもっと格差は変わると思う。教員採用試験で常勤講師の経験が5年以上ある人に対し、特別選考が実施されており、1次試験の中で教職・教養試験と専門教科試験を免除され、かわりに論文が加わっている。23年度の採用試験で受験者数と合格者数は何人で何%の合格率だったのか、伺う。

△教育長 23年度実施の教員採用試験における教職経験者特別選考の受験者は176人、合格者38人であり、合格率は21.6%となっている。

◯山口委員 合格者が38人でよく通っていると思うが、一方で138人の不合格者がいる。今後の大量退職者数と新規採用の動向について伺う。

△教育長 小、中、特別支援学校における教育職員の退職者数については、18年度までは100人前後で推移していたが、19年度から増加傾向となり、23年度は244人であった。大量退職のピーク時期については25年度から6年間程度であり、毎年300人前後の退職を見込んでいる。一方、採用については、当分の間は毎年300人から350人程度が必要になると見込んでいる。

◯山口委員 大量退職時期が来ると、新卒者の採用も大事であるが、一方でベテランの先生も重要と思う。5年以上も教職にある常勤講師を、退職者がふえるこの時期にもっと登用すべきではないかと考えるが、教育長の所見を伺う。

△教育長 教育委員会としては、大量退職期を迎えるに当たり、力量を持った教職経験者を採用していくことは大切であると考えている。このため、若干名としていた教職経験者特別選考の採用枠を23年度実施の採用試験から撤廃し、力量のある人材を枠にとらわれずに採用することとした。また、24年度実施の採用試験からは、教職経験者特別選考の受験資格年齢を40歳以下から59歳以下に緩和したところである。今後とも教職経験者の特別選考については、地方公務員法の平等取り扱いの原則を踏まえながら、本市の教育にふさわしい力量ある人材の確保に努めていく。

◯山口委員 やる気のある講師の先生なら子どもたちから見たら何も変わらない。しっかり給料をもらい、教職に励んでほしい。最後に、任期つき職員など働く人が同一価値労働同一賃金になるべきであると考えている。今後も市役所での仕事の中身を注視して、生活の質を向上させるための施策を実行するよう要望するが、市長の所見を伺う。

△市長 任期つき短時間勤務職員等の正規職員以外の職員の給与等については、その職責や職務内容等に応じた適切な水準を確保しているものと認識をしているが、市政の一翼を担っているこれらの職員の給与等の勤務条件については、市民サービス向上の観点も踏まえながら今後とも適切に対処していきたいと考えている。

◯山口委員 学校規模適正化事業の進捗状況について尋ねる。23年度は学校規模適正化事業においてどのような検討をしたのか、伺う。

△教育長 学校規模適正化事業については、20年度に実施方針を策定し、全ての学年でクラスがえができない小規模校12校と、31学級以上の過大規模校4校を第1次計画の対象として取り組んでいる。舞鶴中学校ブロックと住吉中学校ブロックについては、小中学校を統合再編し、小中連携校としてそれぞれ26年度、27年度の開校に向け準備を進めているところである。

◯山口委員 小規模校の検討状況について伺う。検討状況が発表されたのは、舞鶴中学校ブロックと住吉中学校ブロックである。志賀中学校、早良中学校、西部6校区の3ブロックの進捗状況はどうなっているのか、尋ねる。

△教育長 志賀中学校ブロックについては、保護者や地域住民を対象とした説明会を開催するなど、適正化事業への理解が得られるよう協議を行っている。早良中学校ブロックについては、校区の面積が広大であり、小中学校の統合再編を行うことで通学距離の面など新たな課題が生じるため、小規模校の課題解消の手法について検討をしている。西部6校区については、北崎小学校西浦分校を平成22年3月をもって北崎小学校に統合した。今津小学校と北崎小学校については、隣接する元岡地区の九州大学移転によるまちづくりの状況を見ながら検討することとしている。

◯山口委員 この3ブロックのめどは、検討中ということがほとんどであるが、小規模校のゆえに、学習面でも支障や制約が指摘されて3年が経過している。今後も新たな小規模校がふえる可能性が大きい今日では、もっと地元と協議し、よりよい方向へ指針を出すべきではないか。3ブロックのこれからの見通しについて伺う。

△教育長 学校規模の適正化を進めるに当たっては、学校と地域コミュニティが密接にかかわっているため、地域の実情に応じた取り組みを行っていく必要がある。引き続き保護者や地域住民の意見を十分聞きながら対応していく。

◯山口委員 本年もこの小規模校に新たに2校が入るということを聞いた。これから先の検討のありようをよく考えてほしい。過大規模校4校について、23年度はどういった検討を行ったのか、尋ねる。

△教育長 松島小学校については、21年度から23年度までに2年続けて40人以上の児童が減少し、ピーク時の18年度に比べ23年度は約110人減少している。西新小学校についても、同様に児童数が減少している。松島小学校と西新小学校については、過大規模校ではなくなっており、普通教室も充足しているため、住宅開発の状況や児童数の推移を注視してきた。那珂小学校については、通学区域の調整を行うとともに、必要な教室の整備を行っており、住宅開発の状況や児童数の推移を注視してきた。壱岐小学校については、通学区域の変更について保護者や地域住民と協議を行ったが不調に終わったため、23年度は施設の整備による対応を検討した。

◯山口委員 過大規模校とされた那珂小校区と壱岐小校区において、24年度現在では検討を行っているのか、尋ねる。また、松島小学校と西新小学校の現在は、児童数が減少しているが、また過大規模校の対象校になる要因がある。しっかり検討を進めるべきであると考えるが、所見を伺う。

△教育長 那珂小学校については、24年度も児童数が減少しており、住宅の開発状況や児童数の推移を注視しているところである。壱岐小学校については、講堂兼体育館改築の基本計画など教育環境の整備を進めている。松島小学校と西新小学校については、24年度も児童数が減少しており、引き続き住宅の開発状況や児童数の推移を注視していく。

◯山口委員 過大規模校というのがずっと続いているが、定義について国の指針はどうなっているのか、尋ねる。

△教育長 過大規模校については、法令の規定はないが、文部科学省の国庫補助申請の事務処理に関する通知において、31学級以上の学校を過大規模校としている。

◯山口委員 本市においては、平成20年12月に適正な学校規模が設定されているが、小中学校の学級数は幾つとしているのか、尋ねる。

△教育長 本市においては、福岡市立小中学校の学校規模適正化に関する実施方針において、小学校、中学校ともに12学級から24学級までを適正規模としている。

◯山口委員 実施指針からすると本市の過大規模校4校は、10年前と何ら変わらずふえている。議会では、いつも今後の推移を見守るとの答弁であるが、一体どうするつもりなのか。検討を続けるのであれば、どの程度になったら校区再編や分離新設などの方向を決めるのか、伺う。

△教育長 過大規模校については、学校の分離、通学区域の変更、教室の増設などの手法から選択し、地域の実情に応じた取り組みを行っている。松島小学校と西新小学校については、20年度に必要な教室整備を行い、ここ数年は児童数も減少し、現在、過大規模校ではなくなっているため、直ちに分離や通学区域の変更を行うことは考えていない。那珂小学校については、通学区域の調整を行うとともに必要な教室整備を行っており、住宅開発の状況や児童数の推移を注視している。壱岐小学校については、通学区域の変更について協議を行ったが、不調に終わったため、施設の整備による対応を行うこととしている。

◯山口委員 小規模や過大規模の学校に通う児童生徒たちの学習環境が他の適正規模校に通う子どもたちと違ったままでよいのか。平成20年12月に発表されている学校規模適正化の提言においては、解消する必要があると指摘されているにもかかわらず、何も手をつけられていないケースがある。教育の機会を平等にという法の精神はどう考えているのか。提言に、過大規模校で通学区域の変更や分離新設が困難な場合は、教室等の増築や運動場の面積拡大での対応もやむなしとあるが、松島小校区内には適当な面積の土地がある。通学区域の変更を選択した場合でも、これまでより遠い学校へ通うようになることは、大人も含めて抵抗がある。将来を見据えるならば分離が必要と考える。仮に、分離を決定しても開校まで5年ないし6年ぐらいかかるのであれば、方向の決定を早く出さなければいけないのではないか。検討の最終年限を決めて対応するべきと思うが、教育長の所見を伺う。

△教育長 松島小学校については、21年度から23年度までに2年続けて40人以上の児童が減少している。24年度は、児童数が最も多かった18年度と比べて約120人減少し29学級で、過大規模校ではなくなっており、直ちに分離することは考えていない。今後も住宅開発の状況や児童数の推移を注視し、学校の実情を把握しながら教育環境の整備に努めていく。

◯山口委員 検討のスピードを早くするよう要望する。次に箱崎中学校の九大箱崎キャンパス跡地移転について伺う。平成31年に九大箱崎キャンパスが移転完了することに伴い、地域4校協議会から箱崎中学校をそこに移転してほしいとの要望について、教育委員会はどのような対応をする考えか、学校建てかえの考え方について伺う。

△教育長 学校施設の建てかえについては、目標耐用年数を60年以上としているが、文部科学省において現在、老朽化対策の検討が行われており、8月の中間まとめでは計画的な整備や長寿命化などの方向性が打ち出されている。本市、国とも厳しい財政状況にあり、文部科学省の検討状況を踏まえ、今後、具体的な考え方を検討していく。箱崎中学校については、昭和43年度に建設をされ、現在、44年が経過している。九州大学箱崎キャンパスの移転完了は7年後の31年度と聞いており、目標耐用年数を考えると建てかえを行う時期ではない。箱崎中学校の建てかえについては、全市的な学校施設の建てかえ計画の中で検討していく。

◯山口委員 箱崎中学校の生徒の通学路の危険性についてどの程度理解しているのか伺う。

△教育長 箱崎中学校の通学路については、交通量が比較的多く、道路幅員が狭いため、自動車同士が離合する際に歩行者が危険を感じる箇所があるということは認識している。

◯山口委員 過去において生徒が踏切事故で足をなくした例もあり、箱崎中学校の通学路は危険がある。現在のこの中学校は校区の一番端にあるが、中学校校区の中心部に九大の跡地ができる。それを地元は千載一遇のチャンスと考えており、ここに移転を行えば、このような踏切事故が発生しない安全な通学路が確保されることになる。現在の校舎はまだ使えるとのことであるが、本市が土地を学校用地として確保しておかなければ、近い将来の移転計画が成り立たない。子どもたちの安全のために用地確保を検討してほしいが、教育長の所見を伺う。

△教育長 本市、国とも厳しい財政状況の中、文部科学省においては学校施設の老朽化対策として計画的な整備や長寿命化などの検討がなされている。このような中で、建てかえ時期の前倒しや用地の取得を行うことには慎重であるべきだと考えている。なお、通学路の安全確保については、警察署などの関係機関や担当局との連携を一層強化し、危険箇所の改善に取り組んでいく。

◯山口委員 全市的な建てかえの計画については早目に提示をするよう要望する。大学設立当時は土地を分けた方々も多数いる。大学当局の分割売却の意向もあるが、所在地の本市として地域の実現可能な要望をしっかり受けとめてほしい。今後、過大規模校や小規模校の対象校がふえていくと思われる。本市の将来を託す子どもたちに良好な学習環境をつくるために、市民局コミュニティ推進部などの協力を得ながら、スピードアップさせて方向性を決めてほしいと考えているが、市長の所見を伺う。

△市長 本市の子どもたちの学習環境であるが、本日の朝刊でも、教育委員会が一生懸命取り組んでおり本市の子どもたちの学力が向上しているという非常にうれしい報道もあった。よりよい教育環境で公教育を受けるためには、子どもたちが学びやすい学校規模であることが望ましいと考えている。学校規模適正化の推進に当たっては、将来の社会を担う子どもたちを本市全体で健やかに育めるよう、保護者や地域住民の意見を十分に聞きながら、今後とも教育委員会とともにしっかり取り組んでいきたいと考えている。

◯23番(山口剛司)登壇 私は公明党福岡市議団を代表して、これからのエネルギー政策について、農林業の活性化について、そして地下鉄地上出入り口に街図を設置することについて質問いたします。関係理事者の前向きの答弁を期待いたします。
 まず、エネルギー政策についてお尋ねいたします。
 我が国の電力供給量が日本のどの地域でも不足すると言われております。ことしの節電で夏の暑さは乗り越えられるか、皆さんが不安になっている点であります。そこで、電力需給バランスと今後の再生エネルギーの状況についてお伺いしてまいります。
 まず、九州内の発電設備と発電電力量の内訳はどうなっているのかお尋ねいたします。その上で、昨年の夏の電気消費量に対し、原子力発電がなかったらどのくらい不足すると考えておられるのかお示しください。
 昨年は、市役所全体でも夏と冬に節電対策をとられました。どの程度の施策で節電量がどのくらいであったのかお伺いいたします。また、その量は一般家庭に換算すると何世帯分になったのか、あわせてお示しください。その上で、ことしの夏はどのくらいの節電を実施されようとしているのか、目標をお伺いいたします。
 昨年は、市民が節電に協力された場合、削減できたCO2を1キログラム当たり10円に換算し市民に還元する施策、省エネチャレンジ応援事業を実施されましたが、その成果はいかがだったのでしょうか、お伺いいたします。
 また、家庭への創エネです。主に太陽光パネルに代表されますが、申し込み状況はいかがだったのでしょうか。発電電力量についてもお尋ねいたします。
 これまでの施策の実施で、福岡市としては節電量と新エネルギーを合計するとどれくらい貢献できたのか、お伺いいたします。
 本年度の施策で数多くの再生エネルギーのメニューを考えられていますが、代表的なものを示していただくとともに、合計するとどのくらいの発電量になるのか、お伺いいたします。また、企業の設備投資に対しどのようなメニューがあるのか、現在の検討状況を含めて経済観光文化局にもお尋ねいたします。
 次に、農林業の活性化についてお伺いいたします。
 我が国はTPPに関係して日本の農業は世界に対抗できるか、まさに議論の真っただ中にあります。その上で、国産農産物が地産地消できる仕組みを各地域は施策を行う必要に迫られています。そこで、本市の現状はいかがなものでしょうか。福岡市の全体農地面積は平成23年度末で2,872ヘクタールでした。そのうち耕作放棄地の面積は約464ヘクタールで、農地面積に占める割合は16.1%になります。さらに、この放棄された面積のうち森林や原野化した面積は430ヘクタールもあり、復元が困難とされています。そこで、復元可能な面積は約34ヘクタールしかありませんが、ここの復旧がまず取り組まなければならない大事な施策であると認識いたしております。一方、就業年齢が本市にとっては重要な課題です。2010世界農林業センサス資料によりますと、75歳以上の構成比が19%を超え、20から30歳代は構成比が16%です。就業者人口がふえるためには、なりわいとして農林業で生活できるのかが焦点であります。統計から、年収100万円以下の農家が全体の6割を占めている現状を見てみますと、将来設計に不安を持たれるのは当たり前のことだと認識いたしております。
 そこで、今回の質疑では、農地を確保し、若い人も就農して、少しでも安定した所得確保ができないかという点に絞って質問してまいります。
 まず、耕作放棄地解決策の見込みについてお尋ねいたします。平成22年度末の耕作放棄地で復元可能な面積は51ヘクタールでした。平成23年度末では34ヘクタールと減少していますが、どのようにして解消されたのか、お尋ねいたします。耕作放棄地の解消には、まず所有者がみずから耕作を行ってもらうことが一番です。24年度の事業として、耕作放棄地再生事業などがありますが、これはどのくらいの面積を考えられておりますでしょうか。そして、どのようにして農地に復元されようとしておられるのか、今後の対策をお尋ねいたします。
 次に、就農についてお伺いいたします。本年もふくおか農業塾事業など新規就農を支援する事業を実施されますが、何人の新規就農が見込まれるのでしょうか、お示しください。また、農業の担い手として地域の中心となる農家の育成などがあると思われますが、福岡市ではどのような状況か、お伺いいたします。
 次に、林業についてお伺いいたします。
 木材の生産額が下がってきている昨今では、植林や林道の整備や間伐など余り手がつけられていないように思います。林業で生計が立てられないことが一番の原因ですが、森がこのまま放置されていきますと、それこそ取り返しのつかない事態に見舞われることになります。集中豪雨によって木が流され、保水機能がなくなり、すぐ市街地へ流れ込むなどの災害が典型的な例ではないでしょうか。そこで、市民がもっと山に、森に目を向けていくような取り組みが大事と言えます。
 今、本市ではどのような取り組みで、何人ぐらいが参加されているのでしょうか。また、森林の減少や荒廃を食いとめるための市の取り組みは何かお尋ねいたします。
 農林業に従事されている方々の所得を増加するためには、製品や野菜を販売する場所を設けて、そこに市民が買い物に来てくれることだと思いますが、市内では直売所など何カ所で取り組んでおられるのか、お尋ねいたします。
 次に、地下鉄地上出入り口に街図を設置することについてお伺いいたします。
 本市の重要施策の中で、観光客の誘致促進があります。リピート客をいかにふやすか、この点において担当局はさまざま手を打っておられることと思いますが、旅行者の目線で、今回は地下鉄出入り口の街図設置についてお聞きいたします。地下の改札口には、確かに街図があります。目的地は何番の出口が一番近いかわかります。ところが、階段を上っていきますと、真っすぐな階段はまだましなのですが、階段の途中で何度も曲がって上るようになると、地上に出たときに左右どちらに行ったらいいのか迷った経験は皆さんありませんでしょうか。私は久しぶりに六本松駅を出たときに、以前と大きくさま変わりした街の様子に、さて、どの方向が目的地だったのか、しばし迷っておりました。また、東京でホテルに行くときも、近くの地下鉄出入り口から出たのですが、曲がって上り、曲がって上りして地上に出たので、改札口付近で確認していた方向を見失うはめになりました。本市の地下鉄駅も乗降客が近年ふえ続けていますが、何も観光客に限った話ではありません。市民も移動手段として多くの人が利用しています。その上で、これまで地下鉄出入り口地上部に街図の案内板が設置されてこなかった理由はなぜか、お伺いいたします。
 以上で1回目を終わり、2回目以降は自席にて行います。


◯環境局長(荒瀬泰子) まず、九州内の発電設備と発電電力量の内訳についてでございますが、九州電力の6基の原子炉のうち、平成23年4月の時点は4基が稼働しておりましたが、定期点検に伴い徐々に停止し、平成24年1月以降、すべての原子炉が停止しております。このような状況の中での九州電力の平成23年度の合計発電電力量は730億3,300万キロワットアワーで、その内訳は火力発電が524億2,500万キロワットアワーで最も多く、全体の約72%、原子力発電が144億8,100万キロワットアワーで全体の約20%、水力発電が47億6,000万キロワットアワーで全体の約7%、太陽光発電を初めとする新エネルギーなどが13億6,700万キロワットアワーで全体の約2%となっております。
 次に、昨年の夏の電力消費量に対し、原子力発電がなかった場合、どのくらい電力が不足するのかというお尋ねについてでございますが、九州電力においては、昨年夏の最大使用電力は1,544万キロワットでございましたが、当時2基の原子炉を稼働させること等により1,671万キロワットの供給力を保有しておりました。このうち176万キロワットが2基の原子炉による発電であったことから、これがゼロとなりました場合には、同社の供給力は1,495万キロワットに低下することになります。そういたしますと、昨年夏の最大使用電力1,544万キロワットに対し供給力は1,495万キロワットになり49万キロワットの電力の不足が考えられます。
 次に、昨年の福岡市役所における節電対策についてでございますが、夏季には天井蛍光灯の間引きやパソコンの省エネ設定の徹底などの省エネ対策を強化し、昨年7月から9月の3カ月間に本庁舎や各区役所などの主要な市有建築物におきまして平成22年度比で11%の節電を達成いたしました。また、冬季には従来の省エネ対策に加えましてOA機器の使用台数削減など一層の節電対策に取り組み、国等から平成22年度比で5%以上の節電要請があった12月26日から2月3日までの期間には本庁舎で約18%の使用電力の削減を達成したところでございます。これら節電対策を実施いたしましたことによりまして、市有施設全体の年間を通しました電気使用量は、平成22年度3億9,210万キロワットアワーに対しまして平成23年度は3億7,290万キロワットアワーと減少し、年間で1,920万キロワットアワー、割合にいたしまして約4.9%の節電効果が生じております。さらに、この節電量を1世帯当たりの年間電気使用量で換算をいたしますと、約3,700世帯分に相当いたします。
 次に、福岡市役所でのことしの夏の節電目標等につきましては、この夏は節電の数値目標のなかった昨年とは異なり、国等から平成22年度比で10%以上の節電を要請されており、本庁舎や各区役所などの主な市有建築物におきまして15%を目標に節電に取り組むことといたしております。具体的には、冷房時の室温28度Cの徹底や照明の間引きなどの従来の省エネ対策に加えまして、OA機器の使用台数削減や執務室内の非利用箇所の部分消灯など一層の節電対策を実施し、目標達成に向けまして全庁を挙げて取り組んでまいります。
 次に、平成23年度に実施いたしました省エネチャレンジ応援支援事業の成果についてでございますが、100世帯の募集に対しまして118世帯が参加し、7月から9月と11月から1月の6カ月間、電気、ガスの省エネに取り組んでいただきました。参加世帯における前年度比とのCO2削減率は1世帯平均で約13%、総量にいたしまして福岡市内の家庭約7.5世帯が1年間に排出する量に当たります1万8,507キログラムのCO2削減を達成したところでございます。
 次に、平成23年度の住宅用太陽光発電システム設置補助につきましては、年度当初、1,000件で募集を開始いたしましたところ、予想を超える応募があったため、募集件数を1,500件に拡充し、1,460件の補助を行ったところでございます。その年間発電量は約660万キロワットアワーと推計いたしているところでございます。
 次に、23年度の福岡市役所における節電量と発電量についてでございますが、市有施設における節電量1,920万キロワットアワーと再生可能エネルギー等による発電量2億5,635万キロワットアワーを合計いたしますと2億7,555万キロワットアワーとなり、1世帯当たりの年間電気使用量で換算いたしますと約5万2,000世帯分相当の電力量となります。
 次に、24年度の再生可能エネルギーの代表的な施策とその発電量につきましては、西部、中田埋立場に設置いたします大規模太陽光発電、いわゆるメガソーラー事業がございます。平成25年2月から1メガワット規模の発電を予定しておりまして、年間発電量を99万キロワットアワーと想定しております。これは一般家庭の約200世帯分の消費電力量に相当するものでございます。以上でございます。


◯経済観光文化局長(永渕英洋) 企業の設備投資に対する施策のメニューについてのお尋ねにお答えいたします。
 市内の中小企業がエネルギー関係の設備を新設しようとする場合は、福岡市の制度融資の中に設けております設備等経営改善資金を利用することができます。この資金は、本年4月に、これまで以上に利用しやすい制度とするため、融資期間を10年から15年に延長する制度改正を行ったところでございます。さらに現在、環境、エネルギー関係の設備投資に特化した融資制度の創設について検討を始めており、今後、環境局や金融機関などと協議を行い、実現に向けて検討を進めてまいります。以上でございます。


◯農林水産局長(松本友行) 農林業の活性化についてお答えいたします。
 耕作放棄地の解消方法についてでございますが、平成21年に農地法が改正され、これに基づき農業委員会において地元の農業委員の方と連携しながら、所有者に対し耕作をしていただくか、もしくは農地を貸し出すかなど適正な管理について働きかけを行った結果、17ヘクタールの改善ができたものでございます。今後とも地元農業委員やJAと協力しながら耕作放棄地の解消に努めてまいります。
 次に、耕作放棄地再生事業についてでございますが、平成23年度から実施いたしており、これまでに約1.4ヘクタールの再生作業に着手しております。平成24年度につきましては1.5ヘクタールの農地の再生を行う予定でございます。また、農地への復元につきましては、耕作放棄地を借り受けて耕作を行う方に対して、草刈りや重機を用いた障害物の除去、ビニールハウスの改修、作物の作付等を行うための経費の2分の1程度を支援し、耕作放棄地の再生を行うことにいたしております。
 次に、新規就農者の見込み数についてのお尋ねでございますが、新規就農対策として、ふくおか農業塾を2年の研修期間で実施しております。平成21年度から開始し、23年度に19名が就農、現在研修中の農業塾生は25年度に20名の就農を見込んでおります。また、農業インターンシップ事業で年間5名程度の新規就農を見込んでおります。ほかに、いわゆる後継ぎと言われる農業後継者は平成20年度以降、年間6ないし8名が就農いたしております。
 次に、農家の育成方法についてのお尋ねですが、本市農業は大消費地に近接した特性を生かし、野菜や花を主体とした都市型農業中心の経営でございます。このため、地域の中心的な担い手となる認定農業者や青年農業者など多様な担い手育成を行っております。本市では担い手農家が農地を借り受けたり、農作業を受託するなどして規模を拡大する方向にあるため、認定農業者などの地域の中心的な担い手となる農家を育成してまいります。
 次に、市民が山や森に目を向けていくような取り組みについてでございますが、平成23年度の実績といたしまして14団体、延べ2,316人の方が植樹や竹の伐採などの活動に取り組んでいただき、松林の保全活動におきましても3団体、延べ984人の方が松苗の植樹活動に取り組んでいただきました。また、市が行っている森林の減少や荒廃を食いとめる取り組みといたしましては、所有者から山林をお預かりして、所有者にかわり杉、ヒノキの植樹や保育を行い、その収益を分け合う分収林事業や、15年以上手入れが行われていない個人所有の杉、ヒノキ林を間伐する荒廃森林再生事業がございます。
 次に、市内直売所の開設数についてのお尋ねでございますが、生産者団体等により開設されているもので本市で把握しているものとしては現在、JAが運営するもの10カ所、生産者グループ等が運営するもの2カ所の計12カ所がございます。そのうち東区は2カ所、博多区は1カ所、南区は2カ所、早良区は3カ所、西区は4カ所でございます。以上でございます。


◯交通事業管理者(坂田憲治) 地下鉄での街図の設置についてでございます。
 本市地下鉄駅の案内表示につきましては、国土交通省令に基づく移動等円滑化整備ガイドラインに沿って整備してございます。駅構内におきましては、駅周辺施設等への出口案内や街図を表示してございますが、地上出入り口におきましては、地下鉄にこれから御乗車いただくお客様を円滑に案内することを目的に案内板を設置しているため、地上出入り口には街図は設置してございません。なお、博多駅におきましては、平成23年3月の九州新幹線全線開業に合わせまして、地下街や接続する民間ビルと連携し策定いたしましたサイン計画に基づき、地下鉄地上出入り口の案内板にも街図を設置しておるところでございます。以上でございます。


◯23番(山口剛司) 2回目の質問に入ります。
 エネルギー政策について、昨年の市役所での節電効果は約3,700世帯分だと報告いただきました。特に冬の週初め午前中から多くの職員が防寒ジャンパーを着て執務されている姿を見ますと、本当に痛々しい限りでした。健康上ぎりぎりの職場環境じゃなかったかと思いますが、よく乗り越えていただいたと思います。しかし、本年は昨年をさらに上回る目標設定があります。ことしの政府及び電力会社からの節電要請を見ますと、あと49万キロワットの電気量が必要になります。
 そこで、ことしの夏に向けての準備は大丈夫でしょうか。省エネチャレンジ応援事業の状況、平成23年度が100世帯から平成24年度は1,000世帯、また家庭の創エネに対しましては平成23年度が1,000件から平成24年度は1,500件が昨年に引き続き本年の市民に対する節電の施策ですが、市民家庭以外に考えられている内容についてお伺いいたします。
 ことしの夏は事業者や一般家庭を含め節電されないと計画停電という最悪の事態にさらされます。事業所においては、操業日や時間を変更されたり、昼休みを変更したりと努力されている報道が流れてきますが、福岡市が特に力を入れなくてはならないのが市民に向けての情報発信ではないかと考えます。あと1カ月で電力需要ピークを迎えます。今後どのように情報を発信されようとしているのか、お伺いいたします。
 また、スマートメーターが電力消費のバランスに有効であると言われていますが、本市での導入状況はいかがでしょうか、お伺いいたします。
 次に、再生エネルギーの開発です。24年度は研究に対する補助をされていますでしょうか、お伺いいたします。
 続いて、農林業の活性化についてです。
 本市では、耕作放棄地の解消に向けてこれまでもさまざま取り組んでこられたところですが、本年度も1.5ヘクタールを計画されています。どのような方法で周知されていくのか、お伺いいたします。特に、相続等で農地を所有することになった市外にお住まいの方には、耕作放棄地の解消に向けて強くアプローチしていただきたいのですが、御所見をお伺いいたします。
 また、若者の就農についてです。平均すると毎年20人程度の就農があるとお答えいただきました。この数字には年配者も入っていますので、若い人に限ると少ないのではないでしょうか。若者が就農しやすい環境づくりが大事です。意欲をわかせる何かが不足しているのか、農地が借りられないのか、原因は何と考えられているか、御所見をお伺いいたします。
 先日、島根県隠岐郡にあります海士町を視察いたしました。少し御紹介いたします。ここは言うまでもなく離島です。交通機関は船しかなく、気象が荒れたときなど二、三日は自給の生活を余儀なくされる厳しい現実がありました。町の人口は2,319人、役場の職員数は71人で行政サービスを行っています。離島であるがゆえに、食品の地産地消を行うことが大変大事なことでありました。海士町では、産業創出課や地産地消課を設置し、今ある資源をCASシステムを活用してブランド化して事業の拡大を積極的に推進していました。職員の方々は攻めの実行部隊として365日の勤務体制となっています。土、日曜日も普通出勤で、勤務シフトで平日が休日の職員もいることになります。地産地消課職員の出勤時間は、交代制ですが、朝6時30分始業となっていました。これは農作物を農家から回収し、キンニャモニャセンター、船着場の観光案内所ですが、その中の直売所に出荷しているからです。かつて農家が直接、直売所まで持ってきていたのが、車の運転もできなくなった高齢者がふえたため、職員が集荷するようになったそうです。農協がやればと思いますが、毎日はできないとのことだったので、それでは職員がやろうと決め、今日があるということでした。売れ残り防止のため、野菜出荷の方法などアドバイスも職員が行い、販売効果を上げています。また、農家住民とほとんど毎日顔を合わせるので、ぐあいが悪そうな人にもすぐ対処できるというような福祉事業の副産物もついてきていました。また、産業創出課では、起業する若者を募集し、島の発展に今後寄与するのではないかと思われる事業者に対し、商品開発研究生の支援制度を行っていました。月に15万円の生活費を出しておられるそうです。ある事業では、近海でナマコがたくさんとれるのですが、使い道がなく活用していなかったところ、この事業である若者が干しナマコにして中国に輸出して好評を博していると聞きました。今では人手が足りず、この事業に若者が参加しているなど雇用の面でも貢献していると報告いただきました。この島に来る、いわゆるIターンは、平成23年度で215世帯、327人になっています。定着率が70%です。ちなみに、Uターン数は185人です。役場では、若者、よそ者の意見を大事に聞いています。若い人たちへ仕事を創出するために起業のアイデアを採用したり、さらに軌道に乗るまで仕事に対する補助も行ったりしています。本市も本気になれば、農林業の振興で今よりもっと若者たちが活動する場ができるのではないでしょうか。2,300人の海士町でできて、本市でやれないわけはないと思いますが、いかがでしょうか。本当に刺激を受けてまいりました。生産者と消費者を結びつける、若者の意見を反映させる知恵を出していただきたいものです。
 森林の整備についてもう一つ、調査の御報告で、かつて静岡市で実施されている森林アドプト制度を視察いたしました。静岡市は面積の約8割、10万ヘクタールが森林区域になっています。この森林アドプト制度ができた背景は、中山間地域の活性化を行うことで都市地域の活性化にもつながるという趣旨でスタートしています。制度の流れは、森林未整備地を企業等の寄附金を使い間伐や林道、作業道の整備に充てるということで、森林所有者、企業、森林組合や行政の4者をマッチングさせて、経営的自立と持続できる公益的機能向上を図るとしています。寄附を行う事業者もグリーン電力証明書を取って社会貢献度を発表し、市民の理解を得ています。また、間伐材の有効利用で林業市場も経済化を図っていました。本市もCO2クレジットの売却は企業などの環境活動として23年度から現在まで79トンの実績がありますが、よその取り組みと比較しますとまだまだ浅いようだと言えます。
 特に道の駅を拠点とした山間部の取り組みで製品を販売するなど、都市部の市民も参加できるようにしていると静岡市では言われていました。ここが大事な視点です。本市では森林整備の参加者が少ないので、担い手として市民の応援方法をつくることを本市も行ってはいかがでしょうか。
 また、現在は所有者不明の森林もふえていまして、今後どのような手だてをされるお考えか、お尋ねいたします。
 また、本市直売所は農産物で12カ所とのことですが、都市部の市民も利用しやすいところ、車で行かなくてもいいところなど交通便利地はどこに何カ所ありますでしょうか、お示しください。生産者の収入をふやさなければ生産の意欲がわきません。できれば木製品や山の食品なども一緒に販売されると本当にいいのではないかと考えますが、今後の計画もあればあわせてお示しください。
 企業にも本市のいろいろな取り組みに参加いただけるよう働きかけをしなければ情報は伝わりません。利益が上がる事業であれば民間なり協同組合なりで行ってもらえばいいのですが、利益が上がらない、しかし、やることが大事であれば行政が関与していくという仕組みづくりを今こそつくるべきではないかと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、地下鉄出入り口の街図設置についてお伺いいたします。
 福岡のお祭りには、どんたくや山笠を初め、よさこい大会やアジアマンスなど全国に知られている祭りや行事が数多くあります。初めて来福された方々に気持ちよく滞在していただくために時間を有効に活用していただくためにも、おもてなしの気持ちを最大に発揮することが大事ではないでしょうか。目的地に行くにも、交通機関と歩く道順がしっかり理解されていないと時間のロスが生じます。はっきり申し上げて、時間どおりに目的地に行くために鉄軌道を皆様が利用されていると言っても過言ではないと思います。できるところから設置してはいかがでしょうか。今から乗ろうとしている人はいいのですが、おりてこられた人が目的地までのわかりやすいサインがないのはいかがなものでしょうか。目線を利用者に置くことをぜひ実行していただきたい。
 また、博多駅の地上部には街図が設置されているとのことでした。まずは天神や中洲など観光客が多いところはもちろんですが、祇園駅や箱崎駅、そして大学病院がある駅など、できるところから設置していただきたいと考えますが、交通局の御所見をお伺いいたします。
 また、経済観光文化局にお聞きします。この街図設置について、観光客の利便性のためにも外国語表記を取り入れて設置してはいかがかと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 以上で2回目の質問を終わります。


◯環境局長(荒瀬泰子) 市民向け以外の節電施策と今後の市民に向けた情報発信についてでございますが、まず、民間の事業者に対しましては、年2回の省エネ講習会のほか、平成23年度から実施しております省エネ専門業者により指導を受け、事業所の初期投資が不要で、省エネによる経費削減ができる事業所省エネ技術導入サポート事業や、平成24年度の新規事業といたしまして、省エネ技術や人材が乏しい中小企業者を対象に、省エネ専門家の派遣を支援する事業所省エネアドバイザー派遣支援事業を実施しております。
 市民の皆様への情報提供につきましては、夏の省エネ対策特集号を7月1日号の市政だよりに折り込みますほか、福岡市ホームページにおきましても家庭における節電のポイント等について情報提供を行うこととしております。また、市内の主な事業者、大学等から成りますエコ・ウェイブ・ふくおか会議等における情報交換を通じまして、節電の取り組みを広げるよう努めているところでございます。さらに、節電要請期間の初日でございます7月2日には、関係機関と連携し、博多駅前におきまして節電街頭キャンペーンを行うほか、7月下旬に予定しております打ち水イベント等を通しまして市民の皆様に対し節電を呼びかけることといたしております。
 次に、スマートメーターについてでございますが、スマートメーターとは一般的には通信機能を備えた電力メーターで、電力会社と家庭、事業者などの需要者との間で電力使用量などのデータのやりとりをしたり、家電製品などを制御したりすることができるものと言われております。九州電力の場合には、ユニットメーターという遠隔操作が可能な電力メーターを設置しておりますが、一般的なスマートメーターと比べますと機能は限定的なものとなっております。福岡市内での導入状況につきましては、公表データがないためわかりませんが、九州管内での状況でお答えいたしますと、九州電力のユニットメーターが約18万個設置されている状況でございます。
 また、最後の、民間事業者への再生可能エネルギーの開発、研究に対する補助制度についてでございますが、現在はこの補助制度はございません。以上でございます。


◯農林水産局長(松本友行) 農林業の活性化についてお答えいたします。
 耕作放棄地再生事業の周知方法につきましては、福岡市のホームページに事業内容について掲載しているほか、農業委員会やJAに対して事業の説明会を実施し、農業委員、JA各支店から各農家へチラシを配布し、周知を行っているところでございます。
 次に、市外居住の農地所有者に対します耕作放棄地解消策についてお答えいたします。平成23年度に農業振興地域内に農地を所有する方1,500人を対象にアンケート調査を実施したところ、回答者のうち農業に従事していない方が約4割、このうち農地の貸し借りの制度を知らない方が約4割いらっしゃいました。御指摘の、市内に居住していない農地所有者につきましても、地元農業委員やJAなどと連携しながら周知の徹底を図ってまいります。
 次に、若者の就農しづらい原因についてでございますが、就農希望者の多くが農業技術を持たないことと農地を確保していないことが主な原因でございます。その対策といたしまして、農業技術を習得するための事業を行うとともに、就農相談窓口での対応、農地お見合い事業などにより農地確保を促進しているところでございます。
 次に、森林の整備について、担い手としての市民の応援方法をつくることについてでございますが、平成23年度から取り組んでおります市営林で増加した二酸化炭素吸収量をクレジット化して企業等に売却し、その益金を森林整備に還流するカーボンオフセット制度の普及啓発を進めて、さらに企業等の応援を得ていくとともに、近年増加しております市民や企業などによる森林ボランティア活動につきましても引き続き支援を行ってまいります。また、所有者不明の森林につきましては、平成23年4月に森林法が改正され、新たに森林の所有者となった者の届け出制度が義務化されて、所有者の把握が進むとともに、また所有者不明であっても行政の裁定により必要な間伐ができるよう制度が拡充されておりますので、その適用について検討を進めてまいります。
 次に、直売所のうち都市部の市民にも利用しやすいものについてのお尋ねでございますが、直売所のうち住宅に近い場所に立地しているのは東区に2カ所、南区に2カ所、早良区に1カ所、西区に4カ所でございます。今後の計画に関しましては、開設者でありますJAなどで検討されるところでございます。
 次に、農林業の活性化に関する所見とのお尋ねでございますが、まず担い手の育成支援といたしまして、県、JAなどの関係機関と一体となった新規就農の促進とともに、本市農林業の担い手となる方々の育成支援を行ってまいります。また、経営安定を図るため、生産基盤である施設の整備や生産安定事業を行うとともに、農林産物の地産地消や市内産農林産物を活用した特産品開発など、各種施策を実施することにより、農林業の活性化を図ってまいります。以上でございます。


◯交通事業管理者(坂田憲治) 地下鉄への街図の設置についてでございます。
 本市は、すべての人にとりまして住みやすい、来てみたいまちとしてユニバーサルシティ福岡の実現に向けた取り組みを進めており、地上出入り口への街図の設置につきましては、来街者に優しい、回遊性の高いまちづくりに寄与できるものと考えます。このため、関係局との連携を図りながら、現在設置してございます地上出入り口の案内板のスペースの利用や広告収入の活用など検討の上、可能なところから地上出入り口に街図を設置してまいりたいと思います。なお、天神駅など地下街や周辺ビルなどが一体となった駅につきましては、周辺民間事業者とも協議を進めながら検討していく必要があろうかと考えてございます。以上でございます。


◯経済観光文化局長(永渕英洋) 街図設置についての経済観光文化局へのお尋ねでございますが、本市への福岡空港や博多港からの外国人入国者数は増加傾向を示しているところでございます。こうした状況を踏まえ、平成21年度に外国語を併記した観光案内板を整備したところでございます。地下鉄地上出入り口付近の街図につきましては、外国人観光客の受け入れ環境を充実させるとともに、既存の観光案内板との連携を図るためにも外国語も併記することが望ましいと考えております。以上でございます。


◯23番(山口剛司) 3回目の質問に入ります。
 エネルギー政策について、これまでわき役でした電力の消費者が買電、売電、蓄電ができるよう後押しすることが行政として必要な時代になったのではないかと考えます。市民がもっと協力しようという下地つくりが大事だと思います。今後どのようにして機運を盛り上げていかれるのでしょうか。市民の皆さんが福岡市での暮らしがしやすくなったと言われる自治体をぜひ目指していただきたい。これからの発電所は大型の発電所を1カ所つくるのではなく、消費地の近くでいろいろな発電の形態を整えなければならないと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、再生エネルギーの開発です。私たち公明党は、今後の新規の原子力発電所はつくらない、さらに使用年限を定め廃炉にしていくという考え方です。電力開発については、よく失われた20年ということが言われていますが、事実、発電の新規開拓が進んでいないのが現状です。これからはさまざまな可能性がある研究等に予算をつけて、先進的に取り組むことが大事ではないでしょうか。そこで、これからの方向性について市長の御見解をお伺いいたします。
 農林業についてですが、農水局を担当された職員はおわかりかと思いますが、長期の視点に立って施策を進めなければ実がとれません。耕作放棄地にしても、木材の利用についても、二、三年ぐらいでは成果があらわれません。まさに建設は死闘、破壊は一瞬です。人事異動で職員が長く担当しない状況では施策の実行が難しい。それこそ農水を経験された職員の方が他の部署に異動されたらとか、議場の理事者の方にも経験者が多数おられますが、例えば、市内産木材は、そこの部門で何か活用ができないかなどと意識を持って応援していただきたいのです。私たちの生活に欠かせない食の供給のため、一丸となって取り組んでいただきたいのですが、高島市長の御所見をお伺いいたします。
 街図設置についてですが、交通局でできるところから広告収入も活用して上屋に設置されるとの答弁でした。よろしくお願いいたします。さらに、地下鉄利用者増加のためにも、日本語だけでなく外国語表記も取り入れることができれば海外の観光客にとって福岡市はとても親切なまちと評価されると思います。本市ではさまざまな場所に案内板が設置されていまして、また、これからも設置されることと思いますが、その案内板では簡単な観光名所や宿泊施設などが外国語も加えてわかるように表記していただくと、福岡のまちを観光している方々の利便性が向上するのではないかと考えますが、最後に高島市長の御所見をお伺いし、質問を終わります。


◯市長(高島宗一郎) 観光客の受け入れ環境を充実させて、内外からの観光客にも優しいユニバーサル都市を目指していくことは、都市の総合力の向上につながるものと考えております。そのため、今年度を観光元年と位置づけて、さまざまな観光資源に磨きをかけて、九州の各都市とも連携をしながら積極的に集客を図りますとともに、訪れた皆さんが福岡のまちを楽しんで快適に過ごしていただけるように受け入れ環境の充実を図ってまいります。
 案内板につきましては、山口議員御指摘のとおり、福岡を訪れた皆様が観光や滞在などを楽しんでいただくための非常に重要な要素でございます。福岡市で設置している観光案内板、ほとんどが外国語併記としておりますが、今後とも内外からの観光客の皆様に快く観光いただけますように、利便性の高い案内板の設置に取り組んでいきたいと考えます。
 福岡市の農林業は、新鮮な農林産物の供給によって市民の食生活を支えますとともに、農地や森林が持つ水源の涵養ですとか大気の浄化など、いろんな機能の発揮によって多彩な自然環境と触れ合う、また潤いのある景観の形成など豊かな市民生活の場を提供しております。これらが福岡市が住みやすいまちとして評価されている大きな要素と認識していますし、まさに人と環境と都市の調和という意味でも大きな効果をあらわしていると思います。一方で、御指摘のとおり、収入が例えば上がらない、就業者が減少して高齢化している、農地や山林が荒れている、こういった大変厳しい状況にあるのも事実でございます。こうした状況を踏まえまして、ことしの2月に策定をした福岡市農林業総合計画に基づいて、農林業の生産基盤の整備を初め、新規就農の促進ですとか、耕作放棄地対策、そして木材の利用促進を行いますともに、地産地消を進めることによって農家の収入アップを図って、豊かな市民生活を支える活力ある農林業の振興に取り組んでまいりたいと思います。また、1階で売っています飲む海水も、あの分の半分の100円は水源地の涵養、こういったことにも充てられることになっております。いろんなところで連携をしていくことが大切というのは御指摘のとおりだと思っております。
 それから、去年の東日本大震災と福島第一原発の事故以降、日本におけるエネルギー政策のあり方は大きく問われております。福岡においても地域特性や資源を生かして、太陽光ですとか風力など再生可能エネルギーを最大限に導入するために、平成23年の10月、環境局にエネルギー政策を担当する組織を新設いたしますとともに、エネルギーなどの専門家で構成する環境・エネルギー戦略有識者会議を設置して議論を重ねているところでございます。民間事業者などに対する再生可能エネルギーの開発、そして発電の新規開拓にかかわる研究予算をつけて、先進的な取り組みを促す仕組みについては、国や関係機関等の情報収集に努めますとともに、そのあり方についても検討していきます。また、今後のエネルギー政策の方向性につきましては、年度末に取りまとめられます有識者会議からの提言、それから国のエネルギー政策の動向なども参考にしながら、ただいまの御議論で山口議員から御指摘いただきました、市民が参加して恩恵を享受できる仕組みづくりの視点も踏まえつつ、福岡市の環境・エネルギーの戦略を策定していきたいと考えます。これまで以上に再生可能エネルギーの導入促進を図って、自律分散型エネルギー社会を構築することで、市民の暮らしの質の向上を図っていきたいと考えます。以上です。

◯23番(山口剛司)登壇 皆様おはようございます。
 この冬一番の寒さですが、寒さに負けず元気いっぱい質問してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 私は、公明党福岡市議団を代表しまして、空き家及び老朽家屋対策についてと照明灯のLED化について質問いたします。理事者の前向きな答弁を期待いたします。
 最初に、空き家及び老朽家屋対策、いわゆる廃屋対策についてお伺いいたします。
 2010年、昨年ですが、2008年における住宅・土地統計調査が発表されました。調査では全国の空き家が約757万戸あるとのことです。これは日本の総住宅に占める割合では13.1%の空き家率になります。同調査で福岡県の場合、約32万戸です。福岡市では約11万6,800戸に上ります。これはマンションやアパートの空室を含んでの戸数ではありますが、これらを除きますと戸建て住宅の空き家は約9,800戸です。このうち、破損があるとか老朽化している住宅は約3,000戸に上っています。本市の特徴として集合住宅、つまりマンションなどが7割、戸建て住宅が3割という割合から戸建て住宅の空き家に関して言えば、政令市内での順位は2008年の数値で17都市中15位と空き家率が低い都市と言えます。しかし、約3,000戸の戸建て住宅が廃屋予備軍として存在していると言えるのではないでしょうか。今後、この空き家数はさらにふえると考えられています。高齢化により住人がいなくなった家は荒れ放題になります。所有者がだれなのか、そしてだれがこの住宅を管理するのか、重要な問題になっています。国は今のところこの点について何ら解決策を示していません。そうなりますと、市民はその自治体に解決を望むようになってまいります。
 私は、その解決策として空き家の管理条例を制定した都市を視察してまいりました。危険な家屋、その情報の一番は、子どもたちの通学路に危険な建物があるので対処してほしいと役所に相談があって、条例化が急がれたところがほとんどでした。本市の通学路は安全でしょうか。これまでの事故報告の中で、建物に起因する事例がなかったでしょうか、物の落下による事故がなかったか、過去5年間の状況についてお尋ねいたします。
 そして、次に通報された件数で多いのが、消防職員によるパトロールからの連絡でした。放火等火災が発生しやすいと思われる空き家を消防局では調査されていると思いますが、掌握されている空き家数と、その中で特に注意が必要と思われる空き家が何件ぐらいあるのでしょうか、お尋ねいたします。また、空き家対策として町内会や自治会から役所に相談があっていると思われますが、相談件数がわかればお示しください。
 私に相談があった事例として、空き家の屋根が一部壊れていて、風が吹くとバタバタと木切れの音がするのですが、次に台風など大風が吹くと木切れがどこに飛んでいくのかわからず不安なので、早く解体するよう指導してほしいと言われました。また、別の件で空き家がハチのすみかとなっており、蚊も常にわいていて精神的に参っているとの相談もありました。個人の財産権があり、他人が勝手に敷地内に入り処置することができない現状では、なかなか対策の手が打てません。蛇などがすみついたりすると近所の人はたまったものではありません。こういった空き家問題は、これまで数多くの議員から対策を求められてきました。
 お尋ねいたしますが、役所が立ち入った例としてハチの巣などの有害な駆除をされた実績は、過去5年間でどのくらいあるのでしょうか、お伺いいたします。
 住宅都市局の建築指導部を事務局として平成20年より廃屋対策連絡会議を設置されています。これまで何回開かれたのかお示しいただくとともに、会議のメンバーにはどのような方が参加されているのか、外部のメンバーが参加されているのか、お伺いいたします。
 次に、廃屋の処置実績について伺います。
 これまでに指導を行った件数と是正、解決された件数、そして現在処理中が何件で、そのうち所有者が特定できなくて連絡がとれていない件数が何件あるのか、お示しください。
 また、固定資産税課に頼んで所有者に対し指導文書を郵送してもらっている件数はどれくらいあるのでしょうか、お尋ねいたします。また、郵送後はどのような流れになっていくのか、お示しください。
 次に、照明灯のLED化についてお尋ねしてまいります。
 福島県の原子力発電所の事故以来、九州ではこの12月に定期検査もあり、すべての原発が停止いたします。この冬、市民は通常の5%の電気消費量の削減が求められています。市役所も今後の対策を行う必要があります。さまざまな節電の手段があると思いますが、今回は照明灯で今注目されているLED照明灯についてもっと進めるべきではないかという観点から質問をいたします。
 本市の照明灯のうち、室内用と屋外用に分け、まず道路照明灯についてお尋ねいたします。道路照明灯の中で、市が100%費用を出す直営灯が約3万4,000基あり、明町灯は約7,000基、そして町内に設置されている防犯灯が約4万4,000基あります。このうち23年度にLED化された本数は何基ありますでしょうか、お尋ねいたします。
 また、防犯灯については、LED灯について補助金を蛍光管と比較して増額されています。市からは半額の補助で共架式の場合1万7,000円ですが、町内からの補助申請を11月30日で締め切られております。何基の申請がありましたでしょうか。全体数とそのうちのLED灯数をお示しください。また、申請された本数は当初予定していた本数と比べ何本の差があり、幾らの金額差になっているのか、お尋ねいたします。
 LED灯の特徴は何といっても電気使用料がこれまでの水銀灯やナトリウム灯と比較すると安価になるということですが、本体の値段が他を圧倒して高くなります。初期投資に費用がかかります。一般的に言われていることは、10年のスパンで見ますと、蛍光灯は4回取りかえる必要があるのに対し、LED灯は交換の必要がありません。そこで、何年で現在使用している照明灯より維持費用も含めて安くなるかが大事な視点になります。
 お尋ねいたしますが、設置費用、電気代、器具交換代を含めたところでライフサイクルコストの試算では、直営灯の水銀灯100ワットの場合と、防犯灯などの20ワット蛍光灯クラスとの場合ではどうなのか、お示しください。
 また、福岡市道路照明灯整備基準について、LED照明灯の普及に伴い、改定が必要かと思われます。LED照明灯はメーカーが多くて、種類もたくさんあります。さらに、照明灯の設置する距離もある程度一律にすることが大事で、特に防犯灯については適正な設置が求められております。そこで、今の基準の見直しはいつぐらいを目標に改定されようとしているのか、お伺いいたします。
 以上で1回目の質問を終わり、2回目からは自席にて行います。


◯教育長(酒井龍彦) 通学路についてお答えいたします。
 通学路の安全につきましては、学校、保護者、地域が連携しながら、危険箇所などの情報を把握し、子どもたちの安全確保に努めております。
 なお、通学路における建物に起因する物の落下などについて過去5年間、事故報告はございません。以上でございます。


◯消防局長(谷口芳満) 放火等火災が発生しやすいと思われる空き家についてお答えいたします。
 消防局ではおおむね5年ごとに火災予防上の観点から、空き家の実態調査を実施いたしております。平成22年度の調査では、木造密集地域や道路狭隘地域で火災防御上、困難な地域を重点調査地域とし、これらの地域を中心として調査を行っており、現在把握しております空き家の数は1,903戸でございます。重点地域の中で容易に外部から敷地内に進入できるなど、特に注意が必要と思われる空き家は55戸でございます。以上でございます。


◯住宅都市局長(馬場 隆) 空き家及び老朽家屋対策についてお答えいたします。
 まず、空き家に関する相談件数についてですが、相談内容としましては、建物の危険性、雑草の繁茂、ごみの不法投棄、不審者などの出入りによる火災の危惧など、さまざまなものがございますが、町内会や自治会及び地域住民の方々から市が相談を受けた建物の件数は、平成22年度では市全体で126件となっております。
 次に、廃屋対策連絡会議についてですが、廃屋対策連絡会議は適切に管理がされていない建物から生じるさまざまな問題に関係局、区が連携して対応することを目的として平成20年1月に設置したもので、平成23年11月までに合計9回開催しております。
 また、会議のメンバーは、総務企画局、市民局、保健福祉局、環境局、道路下水道局、消防局、住宅都市局に、7区の取りまとめ役として東区を加えました7局1区役所の担当課長10名で構成しており、特に外部の方は入っておりません。
 次に、廃屋の処置実績についてですが、福岡市ではいわゆる廃屋について市街地で長期間維持管理がされず、地域住民に悪影響を及ぼしている建築物及びその敷地ととらえて、それぞれ所管の部署で対応しているところですが、このうち建物に危険性があるとして住宅都市局が指導を行った件数は、データの集計を始めた平成16年度から平成23年11月末までの累計で189件となっております。このうち、除却または修繕で是正完了しているものは86件で、現在処理中の件数は103件であり、その内訳としましては、継続して指導中のものが88件、所有者が特定できず連絡がとれないものは15件でございます。
 次に、固定資産税課による指導文書の郵送についてですが、これは不動産登記簿などで所有者が特定できない場合に住宅都市局観察指導課が作成した廃屋に関する指導文書の郵送を固定資産税の納税者の住所などの情報を保有している各区の固定資産税課に依頼しているものでございます。この取り扱いは平成20年度から開始しており、これまでの累計件数は10件となっております。
 なお、平成23年度からは不動産登記簿上の所有者と納税者が一致する場合については、各区の固定資産税課から納税者の住所などの情報提供を受けることができることとなったため、これらが一致しない場合に限って指導文書の郵送の依頼を行っているところでございます。
 また、郵送後の流れについてですが、固定資産税課を通じて郵送している指導文書には、廃屋の現況や管理義務などの記載のほか、住宅都市局観察指導課に連絡するよう明記しており、所有者などから連絡があれば直接の指導を行い、相当期間が経過しても連絡がない場合には再度固定資産税課に指導文書の郵送を依頼しております。以上でございます。


◯保健福祉局長(井崎 進) 過去5年間において市が立ち入ってハチの巣などの駆除をした実績についてでございますが、スズメバチの駆除が平成18年度に1件ございます。ハチの巣はその巣のある場所の所有者または管理者が駆除することを原則といたしておりますが、通学路に近い廃屋にスズメバチが巣をつくり、そのまま放置すると人に危害を及ぼすおそれがあったことから、緊急かつ例外的に駆除したものでございます。以上でございます。


◯道路下水道局長(井上隆治) 照明灯のLED化についてお答えいたします。
 道路照明において平成23年度にLED化された本数につきましては、直営灯は機器価格が従来の機器と比較して高額であること、あるいはJISや国の規格基準がなく、本年の9月に国土交通省からLED道路・トンネル照明導入ガイドラインが発表された状況もございまして、現在の設置本数は博多駅前の歩道照明として約60基にとどまっております。
 また、防犯灯につきましては、平成23年度から新たにLEDの補助項目を追加し、地域からの申請を11月末まで受け付け、今後設置していくことといたしております。その防犯灯工事の補助申請件数の総数及び内訳等につきましては、新設、建てかえ、移設等含めまして総数は約2,500件、そのうちLEDの新設は約260件、LEDへの建てかえは約1,240件で、その他蛍光灯及び水銀灯の新設、建てかえで1,000件でございます。
 また、当初予定しておりました申請件数につきましては約1,400件、そのうちLEDの新設は約300件、LEDの建てかえは約500件、その他蛍光灯及び水銀灯の新設、建てかえで600件あり、この結果、予定を上回り、総数で約1,100件、LEDの申請で新設、建てかえを含めまして約700件、その他蛍光灯、水銀灯の新設、建てかえで約400件のプラスとなっております。
 次に、予算につきましては、当初2,100万円を予定しておりましたが、申請件数がふえたことから約1,200万円を他の予算から調製し、対応しております。
 次に、LED照明灯につきましては、従来の水銀灯に比べ価格は高額ですが、同等の照度でも消費電力量が少なく、電球の寿命が長いという特徴がございます。そこで、直営灯の水銀灯100ワットと防犯灯蛍光灯20ワットをLED化した場合の設置費、電気代、維持費を含めたライフサイクルコストを比較いたしてみますと、水銀灯100ワットの場合、10年間で試算しますと設置費約6万3,000円、維持管理費約3万7,000円、電気料金約9万7,000円、合計で約19万7,000円となります。水銀灯100ワットと同等の照度が得られますLED照明は29ワットクラスで、設置費約11万円、電球交換等安定機器取りかえなどの維持費は、実績はございませんが、10年間不要と言われており、電気料金約2万7,000円、合計で約14万2,000円となります。また、設置費の初期投資や電球交換等安定機器取りかえなどの維持費、電気料金の合計を比較いたしますと、LED照明灯が6年で従来の水銀灯を下回る計算となります。
 同様に、防犯灯、蛍光灯20ワットの10年間の試算額は、設置費約1万3,000円、維持管理費約1万5,000円、電気料金約2万7,000円、合計で約5万5,000円となります。蛍光灯20ワットと同等の照度を得られるLED照明は8.5ワットクラスで、設置費約1万8,000円、維持管理費は10年間不要、電気料金約1万5,000円、合計は約3万3,000円となります。また、設置費の初期投資や維持費、電気料金の合計を比較いたしますと、LED照明灯が4年で従来の蛍光灯を下回る計算となります。
 次に、LED導入に伴います福岡市道路照明灯整備基準の改定につきましては、現在の整備基準が平成20年に直営灯の整備範囲及び優先順位について策定したもので、今回の改定は直営灯のみでなく、防犯灯や、いわゆる民間団体の明町灯を含めました整備基準となりますよう考えております。
 また、LED導入につきましては、LED照明器具を光源の標準採用とすることで検討を行っております。また、防犯灯の適正配置につきましては、他の照明施設も含めて検討を行うことといたしております。
 なお、整備基準の改定時期につきましては、平成23年度中の改定を目標に検討を行っております。以上でございます。


◯23番(山口剛司) 2回目の質問に入ります。
 廃屋対策についてですが、消防局が把握している放火等火災が発生しやすいと思われる空き家は1,903戸とのことでした。1回目で示しましたとおり、戸建て住宅で破損や老朽化等がある戸数は福岡市内約3,000戸です。平成16年から是正の指導を行った件数は189件と答弁されました。本当に危険な住宅が、ごみ屋敷ともなっている住宅が200件未満なのか、少々不安を持っております。消防局の数と大きな開きがあります。しっかり全市域を調査されたのならわかりますが、通常別の業務をされながらのカウントは、担当職員任せでは無理があるように思います。
 私が今回の質問のために調査に行きました都市、埼玉県所沢市、千葉県柏市、東京都足立区の担当者からは、何年も課題解決に時間がかかることでもあるので、福岡市も本気で廃屋対策に取り組むのであれば専門の職員を置くべきですと助言をいただきました。事実、この3都市は課長を筆頭に2から6名の職員で解決に当たっておられました。これら職員の配置で効果が上がっています。職員が徹底して所有者に接触するので、解決件数が格段に伸びているのです。本市は監察指導課が兼務していますが、廃屋対策はとても兼務できる事務量ではないと思います。新年度からでも新規の部署を立ち上げ、課題解決に向け真剣に取り組まれませんでしょうか、御所見をお伺いいたします。また、調査については、足立区は本年の国の補助事業である緊急雇用創出事業を利用し、全区域を調査されました。本市でもまず実態がどれくらいか、何件が対象なのか、実態を把握するべきです。来年には全市域を調査していただきたいと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、所有者が判明しないという点についてです。
 ひとり暮らしの方が亡くなると、それは近い将来、老朽化し廃屋と化すと言えます。家族や親戚が所有権の移転等の手続をしてくれていれば、登記簿から所有者がすぐ判明するのですが、亡くなった方のままで手続が放置されているケースが多いようです。視察した都市でもこれには大変御苦労されておられました。対象建築物の近所の方やお店の方などに家族や親族がいないかも聞いておられるようです。常日ごろの近所づき合いが薄れてきている昨今の特徴で、隣近所の人々や二、三十年前から住んでおられる方の情報がとても大事であると言っておられました。それでも判明しない場合は、最後の手段として固定資産税を納付されている方に住宅の改善を依頼するのですが、個人情報保護の壁でなかなか追いかけられません。そこで条例を制定し、市長名で改善のための勧告書を送付できるようにされています。勧告書を出す、危険家屋と決めるときは注意を払っておられます。判定会議に弁護士や建築構造の専門家、また不動産に詳しい外部の方などにも出席していただき、法的にも問題が起きないように配慮されていました。この会議はおおむね年に3回から5回は開催され、1回の会議時間は委員全員での現場の調査もあるので半日以上はかかっているとのことでした。
 空き家等の条例は、埼玉県所沢市が平成22年7月に制定されたのを皮切りに、千葉県柏市は23年9月に制定されました。足立区はさきの2都市が空き家を対象としているのに加え、家屋に住人がいても老朽化していて危険であれば、条例の対象とするとして本年11月に施行されました。空き家の所有者には担当課から改善の書類が現況の写真とともに郵送され、それでも進展が見られない場合は、市長名の勧告書が郵送されています。ほとんどはこの時点で解決に向かっているそうですが、中には資金がなく解体等もすぐにできないと言われるケースや全く無関心な所有者もいるそうです。役所が条例にのっとって毅然とした態度で接することで危険家屋の所有者名の公表や行政代執行をすることができることを通知し、現在3都市とも解決に向け奮闘中でした。
 この条例の効果はてきめんです。市長名で所有者に勧告書が届けられる点が大きい。この市長名の勧告書で解決件数が多くなったと、どの都市でも喜んで話されていました。勧告書には、近隣の住民が大変迷惑をこうむっていること、そして改善していただけなければ、条例にのっとって当該地に所有者名の看板を立て公表することなどが書かれております。今のところ公表に至らなくても解決しているとのことでした。
 このように大きな効果がある条例は、ぜひ本市でも制定するべきです。福岡市の場合、未解決103件のうち、所有者の判明ができずに解決に至らない件数は15件あります。廃屋かどうかの判定もできていない戸建て住宅がまだ存在していることを考えると、数字にあらわれていない件数が多くあるのが実態です。解決の道筋がうまくいっていないのであれば、先進都市に倣って条例を制定し、解決する時期に来ているのではないかと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、LED照明灯についてですが、道路照明灯のうち直営灯については60本の設置ということでした。予想より少なく、驚きを禁じ得ません。道路アクションプランの改定時期でもありますし、5年程度の目標数値の中でLED照明灯を何基取りつけるか示すことが必要だと考えますが、御所見をお伺いいたします。特に新しく開通する計画道路はLED照明灯にするべきだと考えます。あわせてお示し下さい。
 防犯灯については、町内からの申請が局予算の予定の本数を超えています。市民の皆様の関心が高いと言えましょう。しかし、LED防犯灯800本の予算に対し1,500本の申請です。市全体の防犯灯数が約4万4,000ですから1割にも満たないほど遠い数です。特に補助率2分の1が、半分は地元負担の聞こえがよくない。市役所としての積極性が見えないのではないでしょうか。お隣の北九州市は補助率が4分の3で、限度額も本市より1,400円も高く、1万8,400円と設定されています。補助率についても考え直す時期が来ているのではないでしょうか。市民の防犯の観点からも安全な道を守るため必要な施策であると考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、ライフサイクルコストですが、新設の揚合、直営灯では約6年、防犯灯では約4年と試算いただきました。直営灯については、もっとLED照明灯に取りかえませんか。政令市でも川崎市は平成20年度からLED照明灯を設置し始められました。1,417基になっています。そのほか、札幌市では約3,000基、さいたま市1,251基、横浜市は1万5,041基、広島市が979基など、他の都市でも数多く設置されています。特に北九州市は市長が本年、照明灯はすべてLED照明灯にすると発表されて、全国の関心を集めています。発信が上手です。本市は60本、これでは関心がないのではと思われても仕方ないと思います。今のままでいいのでしょうか。防犯灯もせめて1割の4,000本ぐらいは申請が役所に来て、さあどこから取りつけようかと悩むぐらいアピールしませんか。それには町内会、自治会に対しライフサイクルコストとして何年で費用が逆転しますとお知らせすることが重要であると考えます。特に取りかえたばかりの照明灯を今LED照明灯に変えることが経済的かという疑問に明確に答えることが大事で、何年経過すると交換を考えませんかと発信することが重要であると考えますが、御所見をお伺いいたします。
 また、市の公共施設でも室内照明灯をLED照明灯に変更していかれませんでしょうか。環境施策に取り組む都市づくりの観点からも、電力使用量の点からも、これからは市役所が先頭を切ってLEDにすると発信していったらどうでしょうか。新年度に市の公共施設におけるLED照明灯の導入についての所見を財政局長にお尋ねいたします。
 以上で2回目の質問を終わります。

◯住宅都市局長(馬場 隆) まず、廃屋対策に関する新規部署の設置についてお答えいたします。
 廃屋に起因する問題には、建物の危険性、雑草の繁茂、ごみの不法投棄、火災の危惧などさまざまなものがあるため、福岡市では具体的な問題状況に応じて、それぞれの所管部署が関係課と十分に連携を図りながら適切に対応することとしているところでございます。
 このうち建物の危険性の対応を所管する住宅都市局観察指導課につきましては、平成23年度から係員1名を増員するなど、体制の強化を図ったところでございます。
 今後の廃屋対策に関する組織のあり方につきましては、廃屋対策の状況や体制の検証などを行いながら、関係局とも連携して検討してまいりたいと考えております。
 次に、廃屋の実態把握のための調査についてですが、住宅都市局では市民や地域からの通報や相談、関係局からの情報提供、違反建築物パトロールなどにより廃屋の実態把握を行っておりますが、今後、廃屋対策の推進を図るためには、改めて市内の実態調査を行うことが適切であると考えております。このため、緊急雇用創出事業の活用なども視野に入れながら、実態調査の実施について検討してまいります。
 次に、空き家の適切な管理を目的とした条例の制定についてですが、平成22年7月の埼玉県所沢市を初めとして、数都市で条例が制定されたことは承知いたしております。条例制定の背景としましては、それぞれの都市によって高度経済成長期に開発されたベッドタウンの過疎化や急な斜面地に形成された市街地での空き家率の上昇、また著しい人口の減少による空き家の増加など、さまざまな事情があるようでございます。福岡市におきましても、今後廃屋の増加が懸念されるところであり、先行都市の条例の内容、施行後の状況や課題などについて調査を行いながら、関係局とも連携して検討してまいります。以上でございます。


◯道路下水道局長(井上隆治) 照明灯のLED化についてお答えいたします。
 直営灯のLED化につきましては、先ほど申しました国土交通省から発表されましたLED道路・トンネル照明導入ガイドラインに基づき、検討を行い、新たに設置する照明灯や建てかえる照明灯については、平成24年度からLED照明灯を標準として導入することといたします。
 数値目標の設定に至るようスタートをしっかりと取り組んでまいります。また、既設の照明灯につきましても、厳しい財政状況ではございますが、道路行政の枠にとどまらず、社会経済状況などさまざまな角度から検討し、LED化の早期実現に向けて道路行政の主要施策の一つとして積極的に取り組んでまいります。
 次に、防犯灯設置工事への補助率改定につきましては、この補助制度が補助率と補助上限額の構成となっており、昭和48年の制度開始当初から工事費は2分の1、電気料金は3分の2の一定の率で補助を行っております。補助金限度額につきましては、社会情勢の変化に応じて増額改定を行い、今日に至っているところでございます。今後、LED防犯灯の設置推進がより一層進むよう、補助金の上限額につきましても、増額を行えるよう対応を図ってまいります。
 次に、防犯灯のLED化推進のPRにつきましては、新たに設置する防犯灯はLED化することにより、電気料金の低減や維持管理の省力化が可能になるなどのメリットを市政だよりやホームページ等を活用して既に広報しているところでございます。また、既設の防犯灯につきましては、蛍光灯がほとんどであり、法や製品規格に定められております蛍光灯の主要部材である安定器の適正交換期間は設置後おおむね10年でございますが、その経過年数を考慮した初期投資の回収時期などの情報を提供しながら、早期のLED化が進むよう建てかえの推奨に取り組んでまいります。以上でございます。


◯財政局長(野見山 勤) 福岡市の公共施設の照明器具につきましては、従前より費用対効果を勘案いたしましてLEDなどの省エネルギー型照明器具の導入を進めております。現段階におきましては、庁舎等につきましては、ライフサイクルコストで比較した場合、廊下やロビーなどに使用されるダウンライトや誘導灯にはLED照明を採用し、執務室の蛍光灯につきましては、省エネ型高効率蛍光灯を採用しており、それぞれの特性に応じて使い分けているところでございます。しかしながら、昨今の省電力に対する強い要請や市場拡大に伴いましてLED照明の低価格が進んでいることから、今後も引き続き費用対効果等、十分に検証しながら、御指摘のようにさらなるLED照明の導入に取り組んでまいりたいと考えております。
 なお、改装を予定しております市役所本庁の1階ロビーにつきましては、来庁される市民の皆様の目にとまりやすく、PR効果も期待できますことから、照明にLEDを採用したいというふうに考えております。以上でございます。


◯23番(山口剛司) 3回目です。まず、廃屋対策についてです。
 地震による揺れの影響で住宅や事務所、ビニールハウスに至るまで建設物の傷みはこれまで以上に深刻なケースがふえてきています。そこで各都市では条例を制定し、今まで手が届きにくかった所有者を判明しやすくして、課題解決に努めておられます。本市でも関係部局が参加されて会議は開催されていますが、所有者不明物件が毎年増加している現状では、事務局の負担は大きいように思います。今後ますます増加する廃屋対策について、新しいセクションを設け、老朽家屋対策条例を早期に制定し、この廃屋対策に取り組む時期が来ているのではないかと考えますが、高島市長の御所見をお伺いいたします。
 LED照明灯について、道路照明灯での取りかえのスピードアップを期待しております。これからの取りかえで、本市の場合、直営灯でも約3万4,000基ありますから、仮に年間1,000基かえたとしましても、30年以上もかかる計算です。メーカーはLED照明灯以外の生産を随時中止する方向になっています。節電の冬でもあります。市役所こそリーダーシップを発揮し、市民にLED照明灯は明るさの性能がすぐれていて、蛍光灯よりも電気代が安くなるとお知らせしていってはいかがでしょうか。ライフサイクルコストは見過ごせません。初期の設置費用がかかるものの、維持コストである球かえや電気使用料が格段に少なく済むものであれば、道路照明灯に限らず、室内照明灯も含めて市全体のLED照明灯率を向上させるべきではありませんでしょうか。高島市長の見通しの明るい御所見をお伺いし、私の質問を終わります。


◯市長(高島宗一郎) まずは廃屋の話なんですけれども、高齢化が進展してくる中で、空き家の増加が見込まれる中で適切に管理がされていないような家、いわゆる廃屋ですね。これは非常に日常生活の中でいろんな形で近隣の住民の皆さんの不安ですとか、そういったものを与えておりまして、これは安全、安心なまちづくりを進めていくという観点で考えても、この対策は非常に重要であるというふうに認識をしております。
 廃屋問題についてはこれまでも議会でも御指摘をいただいたところでございますけれども、そういったことを受けて、これまで関係部署間の連携体制づくりとか組織の強化を図るなど、そうした必要な取り組みを行ってきました。議員御指摘の条例化とか今後の体制のあり方も含めて、これは今後十分な問題意識を持ってしっかり取り組んでいきたいというふうに思います。
 また、照明灯のLED化についてでございますが、安全、安心なまちづくりを進めていくためには、これは今まさにエネルギーの安定供給の確保ということが本当に不可欠な問題でございます。エネルギーをつくり出すという創エネと、それから効果的、効率的に使っていくという省エネ、この両輪が大事だというふうに考えています。そうした中で、福岡市では、例えば清掃工場の発電の効率的な運用とか、それから風力発電のいろんな実験とかも行っているわけなんですけれども、特に省エネルギー機器の導入ですとか空調設定温度の調整、それから照明器具の適正点灯などによる省エネ、これは特に力を入れて取り組んでいます。平成22年、23年度に事業所省エネ改修等の支援事業で照明灯のLED化などの補助も行ってきました。財政状況とか費用対効果も勘案する必要はあるんですが、山口議員御指摘のLED照明灯の市施設全体への導入について、これは省エネルギーの推進を図る上でも効果的であると認識をしておりますので、これはできるだけ早急にLED照明への切りかえを進めますとともに、省エネの取り組みについても市民、企業にもしっかりとアピールをしていきたいと考えます。以上です。

◯山口委員 22年度の決算のうち、本市経済向上策について及びAEDの設置状況と利用状況について質問する。本市経済向上策について、22年度の市税収入のうち法人、個人を合わせた市民税は1,155億5,000万円余、最終予算額との比較では4億4,000万円余増加したが、前年度決算額と比較するとマイナス1.3%の減収となった。しかし、法人市民税は最終予算額から350億円余も超え、前年度決算費5.2%の増収となっている。その企業収益回復の要因は何ととらえているか。法人市民税法人税割で10%以上増額となった業種について尋ねる。

△財政局長 22年度の法人市民税法人税割において10%以上の増額となった業種については、まず、電気・ガス業が前年比106.6%増で、燃料コストの減少などによる利益の増加による理由である。それから、製造業が前年比17.3%増で、健康志向による国内医薬品の売上増加、猛暑による飲料品の販売増加などの理由である。卸・小売業が前年比17.1%増で、エコポイント制度の効果による販売増加などの理由である。次いで、サービス業が前年比15%増で、リーマンショック後の消費回復等の理由によるものである。

◯山口委員 今の報告のとおり、21年度より業績が回復している業種は、製造業、卸・小売業、サービス業である。一方で、厳しい業種は、金融保険業、運輸通信業などと聞いている。本市も好調・不調業種が全国と同じ状況か知る手だてとして、まず、市内に本店があるいわゆる地場企業の業種別の動向がどのような状況にあるのか知りたいところではあるが、税務統計では業種別の地場企業の法人が把握できないと聞いている。そこで、資本金別の法人数について尋ねる。具体的に、資本金1億円以下の法人数は21年度と比べて22年度は何社になったのか。

△財政局長 資本金1億円以下の法人数について、22年度であるが、全体法人数4万7,516社のうち1億円以下は4万1,188社となっており、21年度と比較して196社の増加である。

◯山口委員 中小企業が全体としては21年度より196社もふえ、4万1,188社となったとの報告であるが、大手企業を含めた全体の86.7%である。22年度はよい傾向であったと言える。それでは、業種ではどうだったのか。経済振興局では景気動向調査を行っているが、現場の声とあわせて尋ねる。

△経済振興局長 平成22年12月に経済振興局が市内約30業種の企業、団体に実施したヒアリング調査の結果によると、商社、機械器具卸売業、建築資材卸売業の3業種は、海外における景気の回復や家電エコポイント制度、住宅エコポイント制度などの国の経済対策の恩恵を受け、業況が好転しているが、建設業、小売業、外食産業など10業種は個人消費の停滞や原材料価格の上昇、円高などの影響を受け、業況が悪化している。小売業や外食産業からは消費者の節約志向が日常化しており消費マインドが回復しないといった声を聞いているほか、建設業からは国における公共事業予算の削減により厳しい状況が続いているといった声を聞いている。

◯山口委員 最初、全国の統計を財政局長のほうから製造、小売、サービスがふえている、それが本市の法人税に大きく寄与しているという報告であったが、今の経済振興局長の報告は、本市に置きかえれば、小売、製造、サービスは全国は調子がいいのに、本市としては非常に厳しい状況だということが言えると思う。本市の場合は、回復傾向にあるとはいえ、いまだにリーマンショック以前の景況感には至っていない。本年は特に東日本大震災が発生し、風評被害もあり、今現在、22年度の回復基調にも乗っていない。ピンチのときこそ行政として支援が必要であると考える。本市には昭和48年に制定された福岡市中小企業振興条例がある。これは全国でも珍しく、本市が1番か2番ぐらいに早い条例だったと聞いている。この条例により中小企業の組織化、集団化が進められたが、本市には中小企業団体はどれくらいあるのか、福岡市中小企業振興条例の支援内容はどのようなものか、また、その支援内容は中小企業団体に十分周知されているのか尋ねる。

△経済振興局長 まず、中小企業団体の数は、福岡県中小企業団体中央会に加盟し、本市に所在する団体の数で述べると、358団体である。次に、福岡市中小企業振興条例に基づく中小企業者への支援策としては、商工金融資金制度や経営・金融などの無料相談、経営に関するさまざまな問題解決のために専門家を派遣する診断助言事業などを実施している。支援策の周知については、中小企業団体に対して、年度当初に中小企業サポートセンターで実施する支援策を載せたパンフレットを送付するとともに、同センターのホームページに支援策を掲載している。また、支援事業を実施する際には、関連する中小企業団体及び企業者に対して参加者募集の案内を送付するなど、事業の周知に努めている。

◯山口委員 市民税の中で個人市民税が本市の場合は減少していることから、企業の業績が回復している事業者数は決して多くない、今こそ政策で業績回復に力を入れる時期である。本市の商業都市としての成長戦略として欠かせない視点は、観光客が増加することによって買い物や宿泊での収入が大事で、そこから本市の経済が好転していると言っても過言ではないと考えており、旅行者の誘致が欠かせない。いかにお金を使ってもらうかにかかっている。22年度の状況と今後の施策について、実績を互いに共有しながら今後の施策について質問していく。まず、22年度の入り込み観光客総数と外国からの入国者数及び国別人数を尋ねる。

△経済振興局長 平成22年の入り込み観光客総数についてであるが、現在、確定し、公表している直近のデータは平成21年であり、その入り込み観光客数は1,614万人である。また、外国からの入国者数については、平成22年出入国管理統計において、福岡空港及び博多港からの入国者数は約76万人、うち韓国からは全体の約63%の48万人、中国からは約15%の11万5,000人、台湾からは約10%の7万8,000人である。

◯山口委員 22年度の入り込み観光客総数はまだ発表されていないとのことであるので、新聞報道を調べた結果、日本政府観光局により、来日した外国人数の発表があったので紹介する。4月の場合、これは震災直後である、前年同月比は62.5%減にまで落ち込んだということで、外国人の観光客は30万人の大台を割り込んでいる。8月は54万6,800人、これも前年同月比の31.9%減ということになっている。外国人観光客は、日本に来る目的の一つはやはり消費である。消費意欲が旺盛な外国人観光客にどれぐらい来日してもらうか、これがやはり重要な視点だと思う。かつて阪神淡路大震災のときに、神戸市では、震災前の水準に戻ったのが3年後だったという話がある。東日本大震災は直接的には九州博多には影響がないのかもしれないが、今、紹介したとおり、日本全国でやはり観光客数が減っているという大きな要因だと思う。政府が訪日外国人旅行者3,000万人プログラムの推進事業費として新年度予算に計上しようとしているが、今、日本は記録的な円高になっている。いろんなマイナス要因があるがそれを乗り越えて、いかにこの博多に、福岡に来てもらうか、この視点が大事ではないかと思う。そこで、本市に対して国内観光客の要望はどのようなものがあるのか尋ねる。さらに、外国人観光客からの要望としてはどのようなものがあるのか尋ねる。

△経済振興局長 国内観光客からの要望については、ラーメンやもつ鍋、水炊き、屋台など、福岡の名物がどこで安くおいしく食べられるかという食に関する情報をわかりやすく発信してほしいという内容が多くなっている。外国人観光客からの要望については、平成22年10月に実施したクルーズ客へのアンケート調査やことし3月に実施した韓国人観光客へのアンケート調査によれば、商業施設等での言語対応や町なかでの外国語表記の強化に関する内容が多い状況である。

◯山口委員 本年発表された外国人の評価として、クルーズ船の旅行者にアンケートを実施していたが、また訪れてみたい旅行先として、福岡は政令市の中でも8位になっている。これは新聞発表である。これ以外にほかの調査資料があれば福岡の順位について尋ねるとともに、この結果から、原因は何で、どのような解決策が今後必要と考えているのかあわせて尋ねる。

△経済振興局長 外国人観光客からの評価についての他の調査としては、民間の調査機関がことし8月に発表した韓国、中国、台湾の訪日旅行者の訪問地満足度調査があり、福岡は東京や京都などを抑え、総合満足度全国1位である。ことし7月に発表されたアジア都市研究所のクルーズ客へのアンケート調査では、福岡は今後訪れてみたい旅行先の8位であるが、これは乗客の85.5%が初めて日本を訪れており、次の訪問先としてまだ行ったことのない都市を希望した結果と考えている。同調査では乗客の75%が福岡への再訪意欲を持っていると回答しており、今後とも外国人観光客が訪問しやすく、また来たいと思える環境整備に努めていく。

◯山口委員 クルーズ客が福岡に対してより改善してほしいと感じていること第1位は、買い物時間の不足である。税関の対応も大いに影響していると思われる。要は、買い物時間などの滞在時間を確保することだと思う。第2位は、町なかの外国語表記が挙げられている。第3位は、商業施設での外国語対応、そのうち町なかの外国語表記の案内板表示に対して担当局はどう判断しているか。

△経済振興局長 町なかでの外国語表記については、天神、博多駅周辺の通り名を多言語で表示しているほか、クルーズ船の寄港日に合わせてクルーズ客が天神周辺の商業施設等をスムーズに移動できるように、臨時の中国語案内サインを30カ所以上に整備している。外国語表記については、外国人観光客の満足度向上のために引き続き推進しなければならない重要な取り組みであると考えている。

◯山口委員 今、述べたとおり、お客様の視点に立った施策がやはりここでも重要なことではないかと思う。特に外国人が買い物やタクシーなどを利用した場合、海外観光客の目的の意味がわからず立ち往生したという話がかつてあった。店の店員やタクシー運転手などから通訳をしてくれる会社に電話し、行き先などを顧客と会社が話すことで旅行者が何を求めているのか把握するといったシステムがかつてあったが、現在、その活用状況はどうなっているか尋ねる。

△経済振興局長 電話により外国人観光客の通訳を行う電話通訳サービスについては、平成10年ごろから各タクシー会社が独自で導入しているが、当サービスが通訳のみを行うことから、観光情報や周辺の地理的状況を把握していないこともあり、スムーズな案内ができていないことなどにより活用が減っていると聞いている。現在では、本市タクシー協会が独自で作成している指さしマップや、本市タクシードライバー外国語会話集などを活用することにより、外国人観光客等が利用しやすいような工夫をしている。

◯山口委員 他都市と違う本市の特徴が必要であると思う。観光案内所では現在、何カ国語に対応が可能か、お客様の不安などはそこで払拭しているのか、私は問題意識を持っている。平成17年当時、質問に対して、経済振興局長は、自身の海外へ行った際の客としての視点で答弁しており、要約して紹介する。「例えば、中国、韓国など、こういった主なホテル、土産品、商業施設では日本語で対応できるというところが多く、正直、こういったところでほっとする。やはり身近に感じる通訳、ガイドさんたちの観光の知識、またそのまちの成り立ちに対する知識とか思い入れとか、こういうものが強いと大変その都市に対する魅力を感じる」と述べている。まち全体で観光客をおもてなししようという姿勢が海外の都市ではあらわれているように思う。そこで、海外に行った感想から、経済振興局長として、本市でもっと力を入れていこうと考えている点について尋ねる。

△経済振興局長 まず、博多駅の観光案内所ではスタッフが英語、中国語、韓国語の3カ国語に、天神の案内所では英語、韓国語に対応し、中国語は電話通訳サービスを活用している。観光案内所では、外国人に対する観光案内業務ではおおむね対応できているが、お客様の要望は単なる観光案内だけでなく、買い物や飲食に関する情報など多岐にわたっており、一部対応できていない部分もある。海外を訪問して思うことは、私も先日、クルーズ船にも乗っていたが、観光や買い物、飲食などの際、現地の人やクルーズ船のスタッフがあいさつや簡単な会話を日本語ですると安心するし、おもてなしを感じた。外国人観光客を受け入れる際、言葉は重要なおもてなしの要素であると考えており、本市としても、ホテルや商業施設、飲食店などと連携し、外国語対応や多言語案内表示を充実させるなど、都市全体で外国人に対するおもてなしを強化していきたいと考えている。

◯山口委員 まち全体で観光客をおもてなししようという姿勢が大事である。今後もこの取り組みを続けてほしい。次に、韓国、中国の観光客を迎える博多港について尋ねる。私も他都市を訪問した場合、まず目に入るのは、到着したステーションである。その都市が何に力を入れているのかわかる。それは空港だったり、主要鉄道駅だったり、そして港であったりするが、博多港の色彩に関して、港湾局の担当職員は静岡県の清水港に視察に行ったことがあるか。行ったとしたら何が参考になったか尋ねる。

△港湾局長 清水港へは、直近では平成22年5月に担当職員が出張している。その際の出張の目的は、博多港における景観に関する計画の検討を行うに当たっての先進事例調査であり、清水港の現状を把握し、色彩計画に関する意見交換などを行っている。色彩計画について参考になった点であるが、施設の改修時期等に合わせて色彩の変更を行うなど、長期的なスパンで粘り強く取り組んでいく必要があること、それから、企業カラーがある中、民間事業者の理解や協力を得ていく仕組みづくりが重要であることなどである。

◯山口委員 私も清水港に視察に行った。そこで、清水港の色彩計画を紹介する。静岡市清水区にある清水港、バックに富士山を擁して風光明媚な場所である。その港が赤白に塗られた鉄塔や煙突などの高層物、上屋はスレートぶきの灰色や赤さびの色など、これでは景色が台なしになると、市民、特に女性協議会が立ち上がり、1990年、市へ提言書をまとめ提出した。港は一般人が立ち入ることが難しい区域であるが、一方で、旅客船などが出入りする場所でもある。見た目にもいい環境とは言いがたい港であったので、市民の要望を受け、市が協議会を立ち上げ、港湾関係団体の協力を仰ぎ、色彩計画の策定になったと伺った。色の塗りかえは、事業者が塩害等で塗りかえをするときに色彩計画に合わせ塗りかえてもらうというものである。基本色はスカイブルーと白、また、地域を分けて、このエリアは黄色などと設定されている。事業者が塗りかえの配色が判断できないときは、大学のデザイン学科の研究室がCG(コンピューターグラフィック)で色のプランを作成し、事業者に提案するということもしていた。この事業の年間予算は、本当に驚いたが、210万円である。それも県と折半していた。こんな少額の予算でまち全体の景観を左右する色彩を進めていく、本当に魅力を感じた。事業者と協議したエピソードを紹介する。この港湾地区にある大手家電メーカーが出店することになったが、そのメーカーのシンボルカラーは黄色と緑、マークは赤で、そのカラーで全国展開をしている。ところが、清水港にその業者が出店するということで話が来たそうであるが、清水港の好まない色は赤、紫、黄緑、黒である。この業者と真っ向からぶつかった。しかし、市職員の粘り強い説明のおかげで色彩計画に合わせた外壁の色になったとの話である。事業者も清水区の消費者に買い物に来てもらわないと困るので、特別に色彩計画に合わせた色にしたとのことである。本市では、国際ターミナルが満隻の場合、反対側の倉庫群に外国の豪華客船が横づけしたりしている。本当に殺風景な場所である。これでは来客を歓迎しているとは言えないのではないか。本市でも、先ほど紹介した清水港のような色彩計画に取り組みことについて所見を伺う。

△港湾局長 博多港の景観に関する計画については、平成21年2月に中間報告した博多港長期構想においてもその必要性が示されているところである。また、住宅都市局において景観法に基づく本市景観計画の検討が進められていることもあり、これらに対応する形で現在、博多港の景観に関する計画について検討を進めているところであり、24年度をめどに取りまとめたいと考えているところである。

◯山口委員 24年度に景観に関する計画をまとめるとのことで、一歩前進と評価する。港湾事業者は塩害のため施設の補修のために5、6年で施設の塗りかえをしているが、これまでは色について行政として何かアクションを起こしたことがあるか尋ねる。

△港湾局長 博多港においては、魅力ある景観形成を図る観点から、色彩等に関してさまざまな取り組みを進めている。具体的には、アイランドシティや香椎パークポートにおいて色彩や緑化等に関する基準を景観形成ガイドラインとして取りまとめ、民間事業者から協力してもらいながら景観に配慮した物流施設の整備が進められており、また、ガントリークレーンなどの港湾施設においても、都市景観アドバイザーの意見を聞きながら魅力あるデザインを取り入れてきたものである。さらに、中央埠頭地区においては、おもてなしの観点から博多港国際ターミナルへの博多織、博多塀などのデザインを導入しており、さらに博多港を印象づける須崎埠頭の倉庫について、民間事業者から協力してもらい、博多らしさを演出するデザインを導入してきたものである。今後とも、施設の更新時期等に合わせて、民間事業者の理解と協力を得ながら港の魅力ある景観づくりに取り組んでいく。

◯山口委員 一部分は進められている。博多湾それぞれにどのような色彩にするかが大事で、早く埠頭ごとに決定する必要があると思うが、今後の事業計画について尋ねる。

△港湾局長 博多港の魅力ある景観づくりについては、まずはアジアから多くの人々が訪れる海の玄関口である中央埠頭地区から取り組み、各埠頭の特性等を把握した上で博多港全体に広げていきたいと考えている。また、博多港の景観に関する計画において、達成目標等を明確にし、民間事業者の理解や協力を得る仕組みづくりについて検討したいと考えており、時間はかかると考えるが、博多港が変わったと感じてもらえるような取り組みを粘り強く進めていきたいと考えている。

◯山口委員 ぜひ早急に取り組みを開始してほしい。観光客が博多港に近づくと、「ああ、日本に来たな。博多に着いたな」とこれからの滞在日程にわくわくしてもらいたいのである。本市に来る観光客の多くは都市高速を使って移動している。特に高速1号線の博多湾沿いを通行するときに見えるこの景色は、灰色の建物やさびた上屋などが多く見受けられる。天神ランプで、乗り下りするときの真横にあるさびたグレーの上屋を見てどう感じるか。観光客が福岡の天神に来たときに真っ先に目につく場所である。港の色彩計画としては問題外である。本市管理の上屋である。民間の事業者に注文をつける前に、本市の管理する倉庫はまず先に手を加えなければならないのではないか。市長が「人と環境と都市が調和のとれたまちづくり」、「アジアのリーダー都市ふくおか」を実現したいと言い続けても、お客様の第一印象が悪いままで担当局が何もしないのであれば、まさに絵にかいたもちである。一日でも早く統一された色彩が実施されることを期待している。港湾地域直接の担当である港湾局、そして景観計画を策定している住宅都市局、もっと局の垣根を越えて知恵を結集してはどうか。港湾局長、住宅都市局長に答弁を求める。

△港湾局長 住宅都市局との連携については、これまでもアイランドシティ、香椎パークポートにおける景観形成ガイドラインの作成やシーサイドももち地区などにおける都市景観形成地区の指定、中央埠頭地区における緑化事業やデザインの導入などにおいて都市景観アドバイザー制度を活用するなど、一体となって進めてきたところである。今後とも住宅都市局と十分連携を図りながら、博多港の景観に関する計画の作成を初め、港の魅力ある景観づくりに取り組んでいく。

△住宅都市局長 港湾区域における景観形成については、住宅都市局としても、これまでも民間事業者による大規模建築物の景観誘導を行うとともに、シーサイドももち地区やアイランドシティ地区の都市景観形成地区の指定などにおいて港湾局と連携を図りながら取り組んできたところである。また、現在策定中の本市景観計画においては、素案作成段階から港湾局と協議を行い、ゾーン区分の中に港湾ゾーンを設けるとともに、建築物等の色彩基準を設定するなど、景観の向上を目指しているところである。今後とも、魅力ある都市空間づくりや港づくりに向け、港湾局を初め、関係局と連携を図りながら取り組んでいきたいと考えている。

◯山口委員 両局長や局の職員は、協力して頑張ってほしい。次に、緑の面積について尋ねる。全国的に本市は緑が少ないと思われている。まず、港湾区域内の緑化事業は22年度の主な整備場所はどこで、その面積と、幾らの整備費を使ったか。それで全体面積の何割が緑化された区域になったか。例えば、東区の青葉の杜公園にメタセコイアの高木が4本ある。しかし、住民からの苦情で、落ち葉が雨といにたまって掃除ができないので切ってほしいとまで言われている。20メートルを超える高木、そのようなシンボルになり得ると思われる樹木を緑率が少ない港湾区域に移植してはどうかと考える。港湾区域では緑地帯が途切れがちであるとの課題がかねてよりあるが、どう対処しているのか伺う。

△港湾局長 22年度における博多港の緑化事業については、中央埠頭や香椎パークポートのみなと100年公園において取り組んでおり、面積としては約6,400平方メートル、事業費は約7,000万円である。また、博多港の全体面積約1,100ヘクタールに対する緑地の割合については、約116ヘクタールを計画しており、22年度末において約75ヘクタール、全体の約65%の整備が完了している。博多港における緑の連続性については、アイランドシティにおける外周緑地の整備を進めており、これに連なる形で香椎パークポートにおいて大規模な緑地の整備を進めている。また、中央埠頭地区においても、交通広場やこれに連なる道路空間について緑化を進め、緑豊かな空間づくりに取り組んでいるところである。今後は、博多港の各埠頭をつなぐ幹線道路等の緑化に取り組むなど、港における緑の連続性を確保していきたいと考えている。

◯山口委員 福岡市新・緑の基本計画においては、本市の目標値が過去の緑被率を目指す計画になっている。それで本当に達成できるのか疑問を感じている。目標はさらに上を設定しないと、現状すら守れないのではないか。東京都練馬区ではみどり30推進計画を実行中である。平成18年当時、区の緑被率は26.1%だったそうで、そのうち77%が民有地であった。今後の宅地開発などで緑が減少していくことが避けられないと判断した区長がおおむね30年後に緑被率30%を目指そうとこの事業がスタートしている。現在は10カ年の考え方と目標値を定め、5カ年の事業量を明らかにしている。本市の場合の緑被率の数値的な目標と現在の達成状況を尋ねる。

△住宅都市局長 まず、21年度に策定した福岡市新・緑の基本計画における緑被率の数値目標については、目標年次である平成32年において、本市の市域面積に対する緑の面積の割合を示す本市全体の緑被率を同計画策定の調査年次である平成19年時点と同じ55%に維持することを目標としている。これは、本市の緑の総量が平成8年から平成19年の11年間に665ヘクタール、大森公園16.6個分が失われ、引き続き森林や農地などの宅地化により本市の緑は減少傾向が継続するものと想定されることから、樹林地の保全や公園整備、新たな緑化制度の導入等によりその減少を食いとめ、これ以上緑の総量を減らさないことを目指すこととしたものである。なお、達成状況については、現在のところ把握してないが、計画期間の中間的な時期に調査することとしている。

◯山口委員 今後、途中経過の達成状況を明らかにしてほしい。樹木の植樹などを行ってから5年~10年ぐらいたってようやく町なかに緑がふえてきたなと実感できるからである。次に、本市の緑化に関連してまちの景観について尋ねる。市全体の緑被率は55%とのことだが、市街化区域の緑被率はどうなっているか尋ねる。さらに、全国的に見た場合、本市は本当に緑が少ないのか、順位があればあわせて尋ねる。

△住宅都市局長 まず、本市の市街化区域の緑被率については、平成19年時点で20.7%である。また、全国的に見た本市の緑被率の順位については、国の外郭団体である社団法人日本公園緑地協会が22年度に作成した調査報告資料によると、各都市で緑の定義や調査方法、調査年などが異なっており、正確な順位を出すことは困難であるけれども、政令指定都市中、おおむね中ほどに位置しているものと考えている。

◯山口委員 緑が豊かなまちは安らぎとゆとりを感じさせる。これからの緑化計画では、もっと人の目線で見たまち並みづくりが欠かせないのではないか。緑化推進事業としての決算額は1億7,067万円である。どこを主に整備したのか尋ねる。

△住宅都市局長 22年度の緑化推進事業費の決算額1億7,067万円の主な内訳としては、都心部の花による修景や街路樹の再整備に6,404万円余、都心部以外の街路樹の再整備や植えかえ等に4,999万円余、九州新幹線全線開業に合わせた福博花しるべ事業に3,526万円余などとなっており、主に街路樹の再整備や道路の花壇整備等を行っているものである。

◯山口委員 今は都心部において緑化に力を入れているようではあるが、まだ目に見えた形として効果があらわれていないように感じている。引き続きこれからの施策で観光客の目にとまるところ、宿泊場所の近くなどを積極的に植樹し、景観を向上させてほしいと考える。港、駅、空港などの玄関口や都心部について緑化の事業費をふやすことが第一であるが、どのように都心部の緑化をこれから推進していくのか、具体的に尋ねる。

△住宅都市局長 都心部の緑化推進の具体的な取り組みとしては、都市高速天神北ランプから天神橋口交差点までの区間での新たな街路樹植栽や季節感のある樹木などへの植えかえ、九州新幹線全線開業に合わせた博多駅前広場へのケヤキやクスノキなどの樹木の植栽による本市の顔となる緑の空間の整備、博多駅と天神を結ぶ回遊路である博多駅前通りにおけるエリアマネジメント団体との共同による花壇の管理運営などに取り組んできたところである。今後とも、駅、港、空港などの玄関口や都心部において、観光客へのもてなしや福岡の顔づくりなどの観点も踏まえながら花による修景や緑の充実に取り組んでいく。

◯山口委員 本市の経済活性化のためには観光客に多数来てもらうことが大事である、それには観光客に対しておもてなしが重要である点を指摘してきた。この質問の最後に市長に尋ねる。来訪している外国人、また国内からの旅行者に対してさまざま改良の余地があることが判明したが、いずれにしても予算措置が必要である。しかし、その予算の使い方も、他都市ではいろんな工夫をしている。清水港しかり、練馬区しかりである。そこで、本市としてすぐにでも取りかかれる点について、22年度の決算状況を参考に、23年度からでも実行に移してもらいたいが、市長の所見を伺う。

△市長 観光客、ビジネス客に来てもらうことは本市の経済にとって非常に短期的にも大きな成果が出ることだと認識をしている。そのため、私自身も、例えば九州新幹線がつながったということで、熊本や鹿児島の市長と一緒に関西に行ったり、釜山や、北京などにトップセールスに行く、こういったことも展開しながら、福岡、そして九州の魅力発信に努めている。また、観光パンフレットに使っている写真は、より魅力的な写真を使うといったことも含めて、積極的に進めているところである。そして、おもてなし向上のために、町なかで多言語での観光情報を入手できるように、スマートフォン等の活用や、無料で使える公衆無線LANの環境整備を進めていきたいと考えている。これは、自分の言葉で知ることができる、見ることができると非常に安心感につながるということで、非常に期待しており、必ず実現したいと思っている。それから、2階建てバスも現在、バス会社と準備を進めているところであり、平成24年の春には新たな観光の目玉として、観光客や市民にもぜひ乗車してもらい、いろいろなところを回遊しながら、広く福岡の魅力を知ってもらいたいと考えている。今後も、国内外の幅広い観光客を温かく迎え、都市全体での多言語での対応、表記の充実を図っていきながら、都心部、そしてウォーターフロントにおける緑化の推進や魅力ある景観づくりなど、さまざまな取り組みを行い、本市を訪れる人が、過ごしやすく、また、もう一度訪れたくなるまち、福岡をしっかりつくっていきたいと考えている。

◯山口委員 次に、AEDの設置状況と利用状況について質問する。救命措置としてのAEDについては、2003年から本市議会のさまざまな場面で発言があった。心肺停止状態になった人を発見したらまず救急車を呼ぶが、到着するまでの間、AEDを実際に使用できる心肺停止の人は約3割である。心肺蘇生法で酸素が体内に入るよう心臓マッサージ等をすることが一番重要であることをまず申し述べておく。AEDさえあればすべての人が助かるということではないが、有効な措置の一つである。全国のAED設置数は、2003年からスタートして、8年後の平成23年3月、厚生労働省の研究班の報告によると、約33万台になった。そのうち医療・消防機関を除いて市民が使えるのは約25万台である。本市では17年度に初めてAEDが設置された。そこで、尋ねるが、本市で把握しているAEDの設置件数は何件で、そのうち公共施設には何件・何台設置されているのか尋ねる。

△保健福祉局長 AEDについては、平成16年7月から一般市民による使用が認められたことを機に、多くの市民が利用される施設へ設置を働きかけ、19年度からは本市AED設置施設登録制度を設け、本市のホームページにより設置施設の周知を図っているところである。この登録制度により本市において把握しているAEDの設置件数については、平成23年3月31日現在で886施設、1,016台である。そのうち公共施設については582施設、605台である。

◯山口委員 今回、質問の勉強会で22年度のAED整備にかかった市全体の決算額を尋ねたかったが、どこも全体としては把握していなかった。これは残念なことである。そもそも、AEDは1台幾らかかり、メンテナンス代として何に幾らの費用がかかるのか、リースもあるが、バッテリーなど数年単位で費用が発生するものも含めて尋ねる。

△保健福祉局長 AEDの購入価格については、1台当たり約30万円前後、リース契約では1台につき1カ月当たり約7,000~8,000円と聞いている。また、メンテナンス代については、バッテリーが3年から4年の更新ごとに約5万円から6万円、電極パッドが2年から3年の更新ごとに約1万円から2万円と聞いている。

◯山口委員 22年度にAEDを使用する講習を受けた人数とこれまでの合計人数は何人か。行政区別、男女別、年齢別等で掌握しているものを尋ねる。

△消防局長 消防局では、広く市民の方を対象に、心肺蘇生法の講習の中でAEDに関する説明と操作の訓練を行っており、22年度は679回実施し、約2万3,000人が受講している。また、AEDを取り込んだ講習は17年度から実施しており、これまで延べ4,477回、16万5,000人を超える人が受講している。なお、受講者の詳細についての統計資料はないが、年齢層は中学生から80歳代まで幅広く、性別を問わずに受講している。

◯山口委員 次に、公共施設の設置状況を尋ねる。学校、体育館、公民館、空港周辺共同利用会館、障がい者施設、マリンメッセ等の大型施設、港の発着場所など、人の出入りが多い施設などは設置されているか尋ねる。

△保健福祉局長 公共施設でのAEDの設置状況については、本市AED設置施設としての登録実績や各施設の所管局に確認したところ、学校、体育館、公民館、障がい者施設及びマリンメッセ福岡等の大型施設については既にAEDを設置している。なお、障がい者施設のうち、つくし学園、空港周辺共同利用会館及び姪浜旅客待合所には、現在のところ、AEDは設置されていない。

◯山口委員 つくし学園のほか、これまで未設置だった共同利用会館17館、市立保育所12園、母子福祉センター、本市水処理センター5カ所、姪浜旅客待合所について、今後どのように設置するのか尋ねる。

△保健福祉局長 まず、保健福祉局所管のつくし学園については、早期に設置をしていく。また、これまでAEDが未設置である空港周辺共同利用会館、市立保育所のうち5カ所、母子福祉センター、水処理センター及び姪浜旅客待合所については、所管局に確認いたしたところ、できるだけ早期に設置する予定であると聞いている。

◯山口委員 ぜひ早急に設置するようよろしくお願いしておく。次に、平成23年8月、元サッカー日本代表の松田直樹選手が練習中、心筋梗塞で倒れ死亡した。ここにはAEDがなかったそうである。もしAEDがあり、使えていたらと悔やまれている人もたくさんいる。そもそも、AEDの設置に対し何か公共施設の設置基準があるのか。例えば、何人以上が集まる場所について、民間施設の中で、駅やホテル等の宿泊場所、そして多くの人が集まる商業施設などでAEDの設置基準はあるのか尋ねる。また、救急救命士の資格を持つかAEDの講習を受けた人がこの施設に常駐されているのか、あわせて尋ねる。

△消防局長 AEDの設置についての基準であるが、公共施設や民間施設に対する設置基準はない。また、使用するための資格要件や設置施設における資格者の常駐などの基準もない。しかしながら、多くの人が集まる公共施設などにAEDが設置され、また、AEDを使用できる人がふえることが望ましいと考えているので、引き続きAEDを取り込んだ講習を積極的に実施するとともに、AEDの設置についても、保健福祉局と連携して未設置施設へ働きかけていきたい。

◯山口委員 AEDの配置に関して、基準がないということだが、横山市は2008年に救急条例を制定して、2009年にAED設置を大規模施設や駅舎、スポーツクラブなどに義務づける条例を制定した。本市での条例制定の研究はどうか、所見を伺う。

△消防局長 本市では、ホテルや百貨店など、多くの人が出入りする施設を中心に、いざというときに当該施設職員により適切な応急手当が実施できることなどを条件に消防局が認定し、その旨を施設内に表示することができる救マーク認定表示制度を15年度から実施している。この制度の中でAEDの設置を努力義務としており、9月末現在、認定総数517施設で、そのうち330施設、64%でAEDを設置している。この救マーク制度の中で引き続きAEDの設置促進を図るとともに、義務化、条例化については、事業所の設置状況や他都市の動向を踏まえ、研究していきたいと考えている。

◯山口委員 救マーク施設における救命受講者の人数は何人で、一つの施設当たりにすると何人になるか尋ねる。

△消防局長 救マーク認定総数は517施設であるが、この施設における救命講習の受講者数は7,328人である。単純平均で1施設当たり14.2人になる。

◯山口委員 本市内にAEDを設置している場所の地図はあるのか。市民がすぐに見ることができるのか尋ねる。

△保健福祉局長 本市内のAED設置場所の地図については、これまでも本市のホームページに掲載していたが、委員の指摘もあり、さらに使いやすくするため、トップ画面上に「AED Webまっぷ」という見出しを設け、これをクリックすると直ちにAEDの設置場所を表示した本市内地図の画面につながるようにしている。また、携帯電話からも現在地から一番近い設置場所を確認することができるようにしている。

◯山口委員 非常にいいことである。皆にこのホームページを見てもらいたいと思う。次に、近年、設置場所を固定しない持ち運び用のAEDがあると聞いているが、本市の施設や関係機関においてイベント等にAEDを貸し出すような制度があるのか尋ねる。

△消防局長 AEDの貸し出しについてであるが、消防局に事務局がある本市救急病院協会の事業として、21年度から同協会が所有するAED9台を市内で開催されるイベントなどに1日1台350円の有料で貸し出しをしている。

◯山口委員 貸し出しもあるということである。東京マラソンは2007年からスタートしたが、ここでは1回目から国士舘大学の体育学部の学生らでつくる医療救護班が毎年、40~50人体制で参加をしている。このメンバーは救命時に備えAEDを携帯し、ランナーの様子を確認しながら自転車に乗って走る「モバイルAED隊」として巡回をしている。もちろん、マラソン大会であるので救急車がすぐには駆けつけれない。かつてあるタレントが心肺停止になり、AEDで息を吹き返したと大きく報道されたこともこの東京マラソンである。もしそのとき救急車待ちだったら考えただけでも恐ろしい話である。本市でも実施する広域のマラソン大会などでの自転車隊の活動状況はどうか。

△市民局長 本市が主催するシティマラソン福岡においては、平成17年の大会から、ボランティアとして、AEDを携帯した本市消防局救急救命士10人程度による自転車救急救助隊を編制している。コースを10分割の上、担当区間を自転車で巡回しながら選手の安全確保に努めている。

◯山口委員 私は今回の質問で本市のマラソン大会でも必要ではないかと思っていたら、東京マラソンよりも早く本市が取り組んでいた。これはぜひ、もっと宣伝をしてもらいたい。福岡のマラソンは安全で、また安心ですよというようなメッセージもぜひ福岡マラソンでも発表してもらいたいと思う。そこで、過去の事故件数はスポーツ大会を含め、死亡事故またはAEDで救命された件数は何件あったか尋ねる。

△消防局長 過去5年間の救急出動においては、マラソン大会やスポーツ大会での死亡事故はない。また、AEDを使用した救命事例については、平成18年10月のシティマラソン福岡でランナーを救命した事例など4件あり、いずれもAEDを使用して心肺停止になった人が救命され、社会復帰をしている。

◯山口委員 命が助かったという事例である。次に、メンテナンスの問題であるが、一例を挙げると、関東の娯楽施設で男性が心肺停止状態となり、その行楽施設にはAEDがあったので利用しようとしたが、作動しなかったそうである。新聞報道によるとバッテリー切れだったそうで、残念ながらAEDを使用することなく男性は亡くなっている。使用できないAEDでは何の救命にもならない。こういった事象が全国で発生しているとのことだが、現在のメンテナンスのマニュアルはどうなっているのか尋ねる。

△保健福祉局長 AEDのメンテナンスのマニュアルについては、厚生労働省のホームページにおいて、AEDの適切な管理等の実施に係るQ&Aや写真つきの説明書などのメンテナンスマニュアルが掲載されており、日常点検や消耗品の交換等に係る具体的な方法など、管理のポイントがわかりやすく示している。本市においても、関係機関と協力し、緊急時にAEDが正常に使用されるよう、厚生労働省のマニュアルを活用した適正な管理の徹底について関係団体等に対し周知をしていきたいと考えている。

◯山口委員 AEDが全国で導入されて7年がたつ。何かあったときに市民が利用できるAEDの設置地図が本市では23年度にようやくホームページで見られるようになった。今後は、住宅地と密接にかかわっている交番やコンビニ、スーパーなどにも設置してもらうよう要請すべきではないか。今はその救命のすぐれた機材が適正に管理され、また的確に使用できる人材の育成がなされていくかが重要な観点であると言える。消防局が実施している心肺蘇生法の受講者数は16万5,000人を超えたと伺っている。市職員はすべて受講しているのか、AEDを扱えるのか、また救命の方法を知っているのか尋ねる。

△市民局長 職員の防災・危機管理能力の向上を図るために、20年度から27年度までの8カ年計画ですべての職員を対象とした防災・危機管理研修を実施している。その研修プログラムの中でAEDの使用方法と心肺蘇生法の実施を行い、技能の習得に努めているところである。また、新規採用職員や学校用務員を対象とした研修においても同様の実習を実施している。

◯山口委員 市長を初め、理事者、また議員各位も、どうかAEDを扱えるようになってほしいと思う。まず足元をしっかり固めてほしい。AEDの設置について、公共施設の中で、予算の関係があるのかわからないが、市民が多く集う施設へいまだに設置されていない施設があること自体、驚きである。一刻も早く整備すべきと考えるし、さらに、救命の現場などでAEDを使うべきときに使えないことがないように、日ごろからのメンテナンスや人材の育成などを推進する必要があると思う。高島市長、米国のシアトル市のように市民、行政挙げて救命措置ができるようになったら、また安心安全な都市は福岡が一番と言われるようになったら、おのずから福岡へ来る旅行者もふえてくると考える。「倒れるならシアトルへ」と言われるような本市を今後、構築してほしい。市長の心強い見解を伺い、私の質問を終わる。

△市長 心肺停止に対する心肺蘇生法の実施、AEDを使用した迅速な救命措置が救命率の向上につながるなど、その重要性は私もしっかり認識しており、心肺蘇生法とAEDがより多くの一般市民に普及し、救命の現場に居合わせた人が適切に実施できる環境を整備することが大事だと考えている。本市はこれまでも市内の駅や学校、スポーツ施設、文化施設などの公共施設を初め、商業施設など集客施設へのAEDの設置を推進するとともに、一般市民が自信を持って積極的に救命に取り組むことができるように、心肺蘇生法やAEDに関する講習会を開催しており、マラソンでも東京に先駆けてしていたが非常に発信が弱かったので、しっかり発信をしていきたいと考える。AEDは、実際に使ってみると、あとは音声が全部教えてくれて本当に簡単にできる。今後しっかり普及していきたい。また、AEDネーミングライツなど、そういった民間活力も使えないかということを一つのアイデアとして、いろんな工夫をしながらAEDをより普及していけるように、知恵を絞って考えていきたい。

 

◯19番(山口剛司)登壇 私は、公明党福岡市議団を代表して、高島市長の平成23年度市政運営方針並びに予算案、重要施策、関係諸議案について質問いたします。
 21世紀の第2の10年の開幕の年に当たり福岡市は、高島新市長が初めての予算編成をされました。昨年は、高齢社会を迎えている日本が無縁社会などと評されるような、住民によるコミュニティ不足、また、崩壊が問題になりました。東京の111歳の消えた男性を皮切りに、高齢者の行方不明問題が多数発覚しました。家族や地域とのつながりが薄くなり、社会での孤立感が増す中で、先行きを不安視する若者や中高年も少なくありません。その背景には、厳しい経済状況や核家族化など多くの問題が山積しています。情報化社会の急速な進展で、情報科学を介したつながりが、顔と顔が見える対話を損ない、ひいては孤立社会へと進んでいると言っても過言ではないと思われます。
 市民の多くは、このような現状から、将来の夢と希望を語ってくれる、また、実行してくれるリーダーを強く望みました。その人が高島市長、あなたでありました。市民から期待どおりだと言っていただけるよう、私ども会派も協力を惜しむものではありません。大いに議論し、市民生活にプラスになるよう努力しようではありませんか。
 それでは、まず、新年度予算及び今後の財政見通しと、財政健全化への取り組みについてお伺いいたします。
 一般会計は3.7%増と増額され、過去最大の7,661億円余となり、特別会計、企業会計を合計しますと814億円の増額で、1兆9,067億円、前年比4.5%の伸び率となっております。新年度の予算では、どの点に着目して、めり張りのある予算とされたのか、お伺いいたします。
 法人市民税が増加するということは、経済が持ち直し始めていると言えます。経済の活性化という点から、新年度は何に主眼を置いて実行されているのか、お尋ねいたします。
 市債残高を減少させるためには、市民の収入がふえれば、市税収入が増収になるので、その財源が活用できれば、新規事業を減少しなくても、長期的には、その効果で市債が減少に転じていくと考えられます。なかんずく地場企業に勤務している方々の収入をふやせるようにすることこそ重要であると考えます。これまでの指針となっている財政リニューアルプランについて、高島市長として何か見直しをされる予定があるのか、それとも、来年度までの計画なので、それを過ぎてから見直されるのかお伺いいたします。
 次に、財政の収入と支出についてですが、収入では、収納率の向上策と多様な財源の確保のため、効果的な資金調達が欠かせません。どのような施策を実施するのか、また、支出の面から申し上げますと、公明党が提案した事業仕分けが20年度から実施されているわけですが、全体の事業から見ると数パーセントしか仕分けされていません。それも新年度予算にどのように反映させているのかを見ると、規模が小さくて残念でなりません。今後、事業仕分け数はどうするお考えか、新年度は何か対策を考えておられますでしょうか、お尋ねいたします。
 また、以前より提案している電子自治体の構築と、これに欠かすことのできない仕事の手順の見直しは進んでいるのか、お尋ねいたします。
 コールセンターのワンストップサービスの導入と、新規事業の目玉政策の一つである、コンビニ端末での証明書発行は、新年度は何を行い、いつごろから発行手続等ができるようになるのか、あわせてお尋ねいたします。
 また、事業を推進していく上で、何よりも職員のモチベーションを上げるのが肝要であると考えます。優秀である職員からの改革、改善について提案を受けるような仕組みづくりを行ってはいかがでしょう。また、改革、改善を進めるためには、これまでとは違う職員とのコミュニケーションづくりが大事であると考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、健康で快適に生活できる医療、福祉のまちづくりについてお尋ねいたします。
 まず初めに、こども病院について、現在、こども病院移転計画調査委員会での調査が開始されています。こども病院の老朽化、狭隘化は限界に達しており、建てかえは待ったなしの状態との現実を見据え、議会の議決を最大に尊重して、新病院開院時期をできる限りおくらせることなく進めていただきたいと考えます。新こども病院建設計画の着実な実行を強く要望するとともに、アイランドシティに新こども病院を建設し、その周辺に高度専門医療機関などが集積するメディカルクラスター機能を形成し、健康、福祉分野における産学官連携の健康をテーマにしたまちづくりを推進すべきと考えますが、当局の見解をお示しください。
 国民健康保険料を引き下げるとの市長公約の実現として、新年度の保険料が年間1人当たり平均2,000円下がる見通しとなり、一定の評価はするものの、一般会計からの繰り入れに多くを頼る構造をよしとするものではありません。所得割と均等割、世帯割の見直しに限界があることは明白であり、国に対し、国費での下支えを強化し、保険料の算定方式の地方裁量の幅を拡大するよう働きかけるとともに、ジェネリック医薬品の普及促進等、医療費の適正化を図ること、そして根本的解決へ、市民の自分の健康は自分で守るとの意識啓発を強化し、特に、特定健診受診率向上へ全力を傾注すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 がん対策についてお尋ねいたします。
 現在、乳がん、子宮頸がん検診の無料クーポン配布事業を行っていますが、永続化と男性の前立腺がんなど対象の拡充が必要です。総合的ながん対策について御所見をお伺いいたします。
 薬害肝炎やウイルス性肝炎及び原因が不明で根本的な治療法が確立していない難病患者などについては、患者の経済的負担の軽減、医療を受ける機会の確保と療養生活の質の向上を図っていく必要があります。ウイルス性肝炎や難病患者への在宅療養及び生活支援の充実についてお伺いいたします。
 自殺予防対策についてですが、福岡市自殺対策総合計画に基づき各種の事業を実施していますが、福岡市における自殺者数の傾向はどのようになっているのか、また、家庭や職場で自殺の兆候やうつ状態を早期発見するための知識の普及啓発、インターネット、夜間電話相談など相談体制、さらに、これらを支える人材の養成や支援団体のネットワーク化を推進することが重要です。自殺予防対策の充実についてお示しください。
 ひとり親世帯への支援策の充実強化についてですが、児童扶養手当の父子家庭への支給が実現し、一歩前進と評価していますが、厳しい経済情勢下にあって、まだまだ不安定な生活を強いられていることには変わりはありません。ひとり親世帯の自立のためには、あわせて生活、教育、法律など幅広い相談機能の充実が不可欠です。ひとり親家庭への支援策の充実について、お伺いいたします。
 次に、生活保護についてですが、ここ数年の生活保護相談の急激な増加に対し、ケースワーカー不足の状態が続いており、本来業務である生活指導や就労支援が十分な効果を上げていないと言わざるを得ません。また、市民からは、依然として生活保護の不正受給を指摘する声が絶えないのも事実であり、家庭訪問による指導や実態調査の人員を確保し、自立促進の実を上げることが強く求められています。生活保護受給者の実態把握、生活指導、就労支援対策についてお伺いいたします。
 ホームレス対策については、就労自立支援センター開設や民間施設への業務委託等の事業により、一定の前進が図られましたが、緊急一時保護事業の拡充、高齢者や障がい者に対する市立救護施設の活用による生活保護の適用を初め、緊急治療の実施など、自立支援や健康対策の一層の努力が求められています。また、就労自立支援センターの運営について、効果的な支援体制の確立へ的確な現状把握と改善指導が期待されています。ホームレスの自立促進に向けた取り組みについて、御所見をお伺いいたします。
 次に、子どもを安心して育てられるまちづくりについてお尋ねいたします。
 国は、子宮頸がん予防ワクチン、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌など3種のワクチンに必要な経費の2分の1を今年度と来年度分、公費助成することになりました。本市においても、公明党が要望しておりました3種のワクチンの公費助成実施が、高島市長のスピード感ある決断により、3月から実施されることになり、高く評価するものです。実施に当たり、料金の支払い方法については立てかえ払いにならぬよう要望するとともに、接種方法や周知徹底についてお伺いいたします。
 子どもの医療費助成拡大について、公明党は入院、通院ともに義務教育期間である中学3年生まで拡大すべきであると主張してまいりました。入院医療費については、本年1月から小学6年生まで無料となりましたが、北九州市では中学3年生までの拡大への動きもあるようです。公明党は、拡大を着実に進めるための年次計画の作成を提案しております。今後の中長期的な展望とあわせて、年次計画の作成についてお伺いいたします。
 次に、保育所の待機児童数は昨年12月時点で859人と、既に過去最高となっています。市長の目指す待機児童解消の新たな整備計画を具体的にお示しください。特に、3歳未満児の対応は喫緊の課題です。どのような手だてを講じるのか、また、現在3カ所で開始している保育ママについて、今後各区へ拡大計画はあるのか、あわせて、有効な整備手法である認可外保育施設への助成事業や規制の緩和など、認可化についての考えをお伺いいたします。
 子どもを預ける際に理由を問わない、乳幼児の一時預かり事業が、1カ所ではありますがスタートしました。認可保育施設に限らず、幼稚園や認可外保育施設などでも広げていくようですが、実施施設の増設を早急に取り組むべきです。今後の増設計画とサービス内容をお示しください。また、現在認可保育施設で行われている一時保育事業との違いについてもお尋ねいたします。
 児童虐待防止対策についてですが、平成22年度の児童虐待相談件数は、12月現在、過去最悪の436件となりました。さまざまな対策を講じているにもかかわらず、増加がとまらない原因をどう分析しているのか、お伺いいたします。
 また、生後4カ月までの訪問事業は、育児不安など児童虐待の芽をいち早く掌握する取り組みです。こんにちは赤ちゃん事業とあわせ、新生児訪問事業を全戸訪問で取り組むべきと考えます。御所見をお伺いいたします。
 次に、高齢者、障がい者の暮らしを守る施策についてお尋ねいたします。
 高齢社会は、日本が目指した国づくりの結果であり、本来目指すべき姿でもあります。その結果に伴い、高齢者が享受すべきQOL、生活の質は残念ながら追いついていません。本市におきましても社会構造の変化とともに、高齢化が進む中、障がい者施策と同様、そのニーズは今後ますます多様化し、細分化してまいりますが、対応策の進展は遅く、今後、加速度的な対応が不可欠であります。高齢者の皆さんが老後を安心して迎えられるためにも、高齢化対策は待ったなしです。
 まず、公明党は、わずかな年金や障害年金による生活を余儀なくされている高齢者、障がい者、低所得者への各種公共料金の減免の実施を求めてまいりました。大変厳しい時代が続く中、減免制度は社会的に所得が少ないと言われる方々への本市からの応援メッセージであり、いまだに実現に至らないことは極めて残念であり、引き続き実施を強く求めます。財源の面で厳しいならば、少なくとも一部導入からでも開始すべきでありますが、御所見をお伺いいたします。
 要介護度の高い高齢者の施設入居待機者の解消に向け、23年度の入居施設の増設計画とあわせて、元気な高齢者の皆さんが利用できる介護支援ボランティアのポイント制度の導入についても御所見をお伺いいたします。
 高齢者を取り巻く課題の中でも、ひとり暮らしの高齢者に対する支援事業については、特に地域関係者の皆さんに御尽力いただいており、民生委員の配置数については、地域の実情に応じ適正化を図るとともに、本市行政による地域支援策を創設すべきでありますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、高齢者の生活交通についてです。
 本年1月より、福大病院と西鉄大橋駅を結び、国道202号福岡外環状道路を運行するバス路線が社会実験として行われており、これについては沿線住民の期待も大変大きく、大変重要な事業であると認識しております。今後の課題であるバスカット設置など交通安全対策を十分に行い、本格運行、営業路線の延伸、バス停の増設など検討すべきでありますが、今後の取り組みについてお示しください。
 高齢社会のトータルな視点に立った支援策は重要です。特に本市内の交通事業の穴と言うべき、高齢者が地域を移動する手段の確保は大変重要ではないでしょうか。移動したいのに移動が困難な方たちが、何の条件にも縛られずに利用できる公共交通のあり方について、例えば春日市のように、住民ニーズに対するアンケート調査等を行った上で事業化について協議してはいかがでしょうか。そうしたことが、高齢化が標準となる社会におけるコミュニティ形成と、本市経済の活性化の視点からも、重要かつ喫緊の課題であると思います。御所見をお伺いいたします。
 現在、モデル事業で行われている、高齢者の安心確保の生活支援事業について、早期に本格的全市展開を行うべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。同時に、全国の過疎地においてクローズアップされる買い物不便地域にお住まいの方々について、既に対策を始めた政令市もあり、本市においても今後、モデル事業を実施してはいかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。
 これまで述べましたように、高齢社会の課題は多岐にわたっております。公明党は、従来の縦割りを越えて、高齢化問題に特化したチームをつくり、高齢社会に即応できる体制を構築すべきであると、かねてから主張してまいりました。23年度における新たな取り組みについて、御所見をお伺いいたします。
 障がい者の高齢化につきましても課題は多く、老後を安心して暮らせるついの住みかをいかに確保すべきか。今後、障がい者のニーズに合ったグループホーム等の整備は喫緊の課題であり、待ったなしです。具体策についてお尋ねいたします。
 高次脳機能障がい、強度行動障がいについて、今年度の新たな取り組みについて、また、人材養成の強化によるプログラムの拡充も図るべきであると考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、男女共同参画社会についてお尋ねいたします。
 同基本法の公布、施行から10年以上が経過したにもかかわらず、依然として緩やかな進歩しかないのが現状です。今年度は第2次基本計画の策定がされております。
 そこで、何点かお尋ねいたします。
 まず、DVについてです。
 配偶者等からの暴力の防止及び被害者支援策として、昨年、配偶者暴力相談支援センターが設置されましたが、その現状についてお示しください。
 次に、ワーク・ライフ・バランスの推進についてです。
 男性の家庭、地域への参画促進、また、男性の育児休業取得促進など、本市職員を初め、企業への効果的な働きかけの推進はどのようになっているのか、お尋ねいたします。
 女性職員の人材育成・活性化プランに基づく活躍促進の取り組みについては、特に本市の女性幹部職員の登用状況が政令市中下位に位置しており、早急に数値目標を達成すべきです。御所見をお伺いいたします。
 地域における男女共同参画推進活動の支援については、地域において男女がともに支え合う、安心して暮らせる社会を目指すことが強く求められています。さらなる推進支援についてお伺いいたします。
 次に、教育についてお尋ねいたします。
 まず、良好な教育環境の提供、整備充実についてです。
 学校内水道の直結給水、太陽光発電、また、校舎、講堂、体育館へのエレベーター設置やバリアフリー化を早急に進めるべきです。また、近年の異常気象の状況から、暑さ、熱中症対策や学習環境対策として、全小中学校へクーラー設置を早急に実施する必要があります。また、児童生徒の安全確保や不審者の学校施設への侵入防止や校内犯罪の未然防止のために、教育委員会による防犯カメラの設置も必要です。具体的な取り組みをお示しください。
 子どもにとっての最大の教育環境は、教師自身です。そのような観点から、教員の資質向上のための研修をさらに充実させていく必要があります。また、授業力向上支援センターについても設備や運営システムの改善を図り、利用しやすい環境整備を行うべきです。御所見をお伺いいたします。
 優秀な教員を確保するため、教育現場での実務、社会的経験等を考慮するなど、具体的な採用方法の改善、さらに、人事評価制度の見直しを行うことなど、具体的な取り組みをお聞かせください。
 子どもたちの学力向上については、学力実態調査により明らかになった課題の克服を図り、少人数学級の拡大により、さらなる学習指導の充実に取り組むべきです。また、心身の健やかな育成推進について、朝の読書運動、学校司書の充実を図り、各学校図書館への支援を行う必要があります。また、いじめ、不登校対策として、全校にスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを早急に配置し、教育相談体制を強化する必要があります。あわせて御所見をお伺いいたします。
 教師が子どもと向き合う時間確保について、教員用パソコンを活用し、事務の簡素化を図り、提出書類の大幅削減、担任教師への支援プログラムの策定など、具体的な取り組みについてお伺いいたします。
 市立高等学校の特色ある変革については、学力向上を推進し、国公立大学などへの入学者の増加を図るなど、進路の充実、教員のレベルアップ、県教委との積極的な人事交流の推進など、特色ある学校づくりが必要と考えますが、御所見をお伺いいたします。
 図書館等学校施設の地域開放推進と地域教育力向上の支援については、総合図書館と学校図書館をネットワーク化し、学校図書館の地域開放を図り、空き教室やその他の学校施設についても生涯学習や地域活動の場として活用し、地域教育力の向上を支援する必要があると思います。御所見をお伺いいたします。
 特別支援教育の推進については、特別支援教育コーディネーターの養成を進め、発達障がい児への個別の支援計画の活用や通級指導教室の拡充を図るとともに、中学校においては地域バランスを考慮した配置に努めるべきであります。また、私立高校へも講師派遣、アドバイスなどを適宜行う必要があるかと思います。また、特別支援学校高等部及び博多高等学園卒業生の就労支援促進については、教育、労働、福祉部門など関係機関が連携を深め、雇用率の向上に努める必要があります。あわせて御所見をお伺いいたします。
 中学校及び知的障がい特別支援学校の給食を調理する給食センターの整備計画については、現在、第1給食センターの整備計画検討委員会において審議が行われ、さきの2月議会において検討委員会の最終報告がなされたところです。よりよい計画策定のため、施設整備の基本仕様、整備事業や事業手法など、市の計画の審議内容について議会への報告を速やかに行い、議会の意見、要望も計画に反映させる必要があります。今後の取り組みをどうされるおつもりか、具体的にお示しください。
 次に、地球温暖化対策と資源循環型社会の構築についてお尋ねいたします。
 我が国は、2020年までに温室効果ガスを1990年比で25%削減することを目指しています。この実現に向けて、本市の温室効果ガス削減目標並びに地球温暖化対策地域推進計画はどのように改定されるのか、お伺いいたします。
 その目標を達成するために、太陽光発電などの再生可能エネルギーへ大胆に移行転換することが求められています。太陽光発電の新たな買い取り制度や、住宅エコポイント制度の積極的活用及び今後の本市の取り組みについて、お伺いいたします。
 また、エコカー用燃料供給ステーションなど、インフラ整備支援について、電気自動車や天然ガス車などの燃料供給ステーションの整備促進をバックアップし、エコカー普及を加速するべきと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 温暖化対策として有効なエコポイント制度を活用したグリーン家電製品の普及促進や太陽光発電、エコカー、省エネ家電など、環境ビジネスは大きく伸びる可能性を秘めています。税制面の優遇や補助金制度の創設など、環境ビジネスへの支援策についてお伺いいたします。
 都市鉱山と呼ばれる、都市でごみとして大量に廃棄される家電製品の中に存在する有用な資源であるレアメタルを分離、回収し、有効活用するためのリサイクル技術の開発はますます重要になってきています。都市鉱山活用の支援策について、御所見をお伺いいたします。
 ヒートアイランド対策の強化について、公共施設並びに民間施設の屋上、壁面緑化や雨水、再生水の積極的な活用を図るべきです。新年度の取り組みをお伺いいたします。
 2002年のCOP6では、2010年までに生物多様性の損失速度を顕著に減少させるとの目標を掲げ、懸命な取り組みにもかかわらず、絶滅危惧種はふえています。生物多様性に配慮した自然環境の保全について、お伺いいたします。
 新たなごみ処理基本計画の策定については、現在のごみ処理基本計画を大胆に見直し、ごみ処理量に見合った清掃工場の処理能力となるよう規模を適正化し、維持コストの負担軽減を図る必要があると考えます。御所見をお伺いいたします。
 ごみ減量の推進については、発生抑制を最優先した3Rの定着を目指し、より効果的な啓発活動を展開するとともに、環境配慮型製品の普及促進を強化すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 廃油、生ごみ、間伐材等の木質、下水汚泥などのバイオマス資源の活用については、実用化を目指し、産学官が連携し研究、開発に取り組める体制づくりを強化すべきであります。御所見をお伺いいたします。
 ごみの不法投棄対策については、特に大量廃棄が予想されるアナログテレビ対策を強化するとともに、不法投棄常習地の監視体制についてお示しください。
 次に、快適な生活環境と地域づくりについてお尋ねいたします。
 日本は今、人と人とのきずなが切れ、単身者がふえ、孤立死がふえる孤族の国とも言われています。また、冒頭でも無縁社会と指摘しましたように、福岡市においても地域や職場、家庭での人間関係が希薄化したことによる孤立死や児童虐待をめぐる事件が多発していますが、将来を見越した地域での支え合いの再構築や地域コミュニティのあり方についてどのようなお考えをお持ちか、具体的に御所見をお伺いいたします。
 福岡市の現実は、集中豪雨があればすぐに水浸しになる浸水常襲地域があり、救急車や消防車も入れない狭隘道路に囲まれた住宅地もあり、自転車道の未整備と自転車利用者や乗用車の運転手のマナー欠如もあって、安心して歩けない歩道や生活道路、さらには、区内だけでなく隣接する区の総合病院や公共施設に容易に行けない不便な交通網や交通過疎地域の増加、さらには多発する交通事故や犯罪など、とても、世界で最も住みよいまちとは言えないと思います。
 そこで、お伺いしますが、本市を名実ともに世界で最も住みよいまちにするために、どのような施策を講じようとしているのか、長期、短期に分けて具体的にお示しください。
 次に、市長公約にあった古い都市計画道路の見直しと自転車対策の強化をうたわれています。都市計画道路の見直しは、昨年3月に検証結果が示されましたが、今後どのように見直しを進めるおつもりなのか、御所見をお伺いいたします。
 また、自転車対策については、自転車専用道路や専用レーンの増設が急務となっていますが、年次計画を立てて対応すべきだと考えます。自転車利用者のマナーアップや、法令遵守を徹底させる方途をどう考えていらっしゃるか、県警への対応も含めて見解をお示しください。
 自治協議会役員の皆さんから、行政からの仕事が多く、ボランティアの域を超えているとの不満の声をよく聞きます。行政と地域の役割を見直し、先駆的なコミュニティを築くべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 市長公約の中の、水と緑のまち「ふくおか」の項目に、「10年計画である公園の再整備150か所を前倒しで進めます」とあります。この事業は、市が管理する1,500余のすべての公園を総点検し、整備する公園を150カ所と決め、ワークショップ方式などで整備しようとするものです。150カ所に決めた根拠と、計画の前倒しにより、いつまでに幾らの予算をかけて事業を終了させるのか、御所見をお伺いいたします。また、残余の公園についての整備は考えておられないのか、今後の取り組みについて御所見をお伺いいたします。
 次に、文化芸術、スポーツの振興についてお尋ねいたします。
 かつて米国では、ニューディールでの公共事業政策と同時に文化振興策に力を入れ、不況を克服してきました。公明党は、多様な文化産業、観光産業を福岡市の成長戦略に位置づけることを主張してまいりましたが、人と都市の活力を生み出す福岡市の文化芸術振興策のビジョンを次年度どのようにとらえ、具体的に進めていかれるのか、お尋ねいたします。
 また、文化芸術を振興するための環境整備を目的とする文化芸術振興条例の制定を進めるべきと考えますが、あわせてお尋ねいたします。
 福岡市の美術館、博物館も相互に連携し、単独ではなし得ない高いレベルの文化を発信することが求められています。本市も他都市との美術館、博物館の協定締結を含めた相互協力を図るべきであり、また、エコポイントのような特典、アーツポイントの創設など、若者を引きつける政策を打ち出すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 そして、3年ごと、定期的に開かれる福岡アジア美術トリエンナーレの次回開催年とその内容をお示しください。
 市民会館、少年科学文化会館の再整備についてです。
 市民会館の建てかえについては、専門委員会で検討されておりますが、文化芸術振興ビジョンの中において、どのようなコンセプトで検討されているのか、整備場所も含めて内容をお示しください。
 また、現在の少年科学文化会館の用地は、新しい小中連携校のグラウンドとして計画されていることから、移転場所について早急な検討が必要であり、他都市の情報収集やアンケート調査を踏まえた行程表を明確に示すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、スポーツ振興についてです。
 すべての年代において、地域、校区のスポーツ参加者が減少し、地域コミュニティの課題となっております。スポーツに関する知識や技術力のある指導者及び新たな担い手を育成するスポーツボランティア登録制度や、スポーツリーダーバンク制度をどのように充実、活用されていくのか、お尋ねいたします。
 また、全天候型の多目的グラウンドについては、市民のスポーツ活動の実態やニーズ、施設の必要性や機能、規模など検討内容をお示しください。
 次に、農林水産の振興についてお尋ねいたします。
 我が国の農業の現況は、政府が環太平洋パートナーシップ、TPP協定について、関係国との協議を開始することとしたことから、国内の農業生産に大きな打撃を与え、国民生活に多大な不安を抱かせる結果となっております。
 こうした中、まず、有害鳥獣対策についてお尋ねいたします。
 拡大する一方の有害鳥獣による農作物の被害に対し、対象鳥獣を広げるとともに、助成制度拡充を強化するお考えはないか、お尋ねいたします。
 口蹄疫並びに鳥インフルエンザ対策についてです。
 昨年、宮崎県において猛威を振るった口蹄疫は、畜産業界に致命的な大被害をもたらし、国難とまで言われるほどの脅威でした。さらには、鳥インフルエンザが宮崎県を初め、各地に飛び火する勢いとなっております。これらの感染病は、本市でいつ発生してもおかしくない状況であることから、緊急かつ速やかに万全な対策が必要であります。対策と対応についてお示しください。
 地産地消についてですが、学校給食に米飯の回数をさらにふやすなど、本市の農畜産物の利用を拡大、促進すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、新青果市場の移転整備についてお尋ねいたします。
 業界より事業手法の見直しの要望を受け、PFI方式から直営方式への変更も視野に入れ、使用料などを含めた市場関係者の意向を十分反映できる事業手法にすべきと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 市民のニーズが高い市民農園、体験型農園の広報活動を活発化させ、市民の関心を高め、農業に親しみを持たせ、参画できるよう推進してはどうかと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、市民が支える森林づくりについてお尋ねいたします。
 不法投棄対策事業は、より実効性のあるものとして、さらに推進していただきたい。森林組合を初めとした関係団体との機能強化を図り、森林の保全、林道整備のさらなる推進を図っていただきたいのですが、あわせて見解をお伺いいたします。
 また、市内産木材の利用をさらに積極的に推進すべきであると考えますが、御所見をお伺いいたします。
 水産業の振興についてですが、極めて厳しい業界にあって、経営安定と販売力の強化など、制度の充実を図るべきと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、都市基盤の整備と災害に強い都市づくりの推進についてお尋ねいたします。
 公明党市議団としても、地下鉄延伸の必要性を訴えてまいりましたが、本市地下鉄七隈線の延伸については、天神南から博多駅ルートについて、早期実現に向け、取り組みを進めていく必要があるとされております。七隈線については、開業時からの利用者予測に大幅な乖離が生じ、果たして利用者予測と言えるのか、厳しい市民的批判もありました。今後、事業推進に当たっては、しっかりとした予測に基づき進められるよう強く要望するとともに、本市の財政状況の厳しい中、高島市長の御自身の地下鉄七隈線延伸に対する御所見と決意をお伺いいたします。あわせて、西鉄貝塚線と地下鉄箱崎線との直通運転化は多くの市民の強い要望でありますが、今後の取り組みについてお尋ねいたします。
 博多駅九州新幹線全線開通で、市民の期待はまちづくりや経済の活性化など大変高まっておりますが、一方で長年の懸案とされてきた都心部の交通渋滞対策については、福岡外環状道路などの整備により天神地区の流入交通量は減少傾向にあるものの、博多駅地区については九州新幹線や新駅開業により、交通集中に対する一層の対応が求められています。アジアの中心都市を目指す本市として、都心部の交通円滑化に向けた抜本的改善が求められていると思いますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、アイランドシティへの交通基盤整備についてですが、アイランドシティはこども病院の立地のみならず、青果市場の立地や博多港の物流拠点として、ますますその交通インフラの整備が喫緊の課題となっています。都市高速道路の延伸の早期事業化に向けた現在の取り組み状況と供用はいつごろになるのか、御所見をお伺いいたします。
 次に、本市における防犯対策についてです。
 犯罪認知件数における本市の印象は、今や全国屈指の犯罪多発都市となっています。その原因の究明と防犯対策については、強い市民的要求があるわけですが、どのように分析され、防犯対策に取り組もうとされているのかお尋ねいたします。あわせて、本市自主防災組織の整備と防災士の育成状況についてお示しください。
 次に、雨水排水事業の推進についてです。
 近年のゲリラ豪雨に対して、特に床上被害多発地域に対する施策はどうなっているのか、お尋ねいたします。また、地域住民から早期整備の声が出ていますが、河川整備の現状と整備計画についてお尋ねいたします。
 さらに、雨水整備Doプランの進捗状況はどうなっていますでしょうか。このプランの重点地区以外で浸水した地区についても対策に取り組むのか、お尋ねいたします。
 さまざまな取り組まなければならない課題についてお尋ねしてまいりましたが、政府が公共事業費の削減を図る中で、本市に及ぼす財政的影響は大であります。今後、高島市長は公共インフラをどのように優先順位をつけて整備していくのか、お考えをお尋ねいたします。
 次に、雇用・経済対策についてお尋ねいたします。
 長引く景気の低迷により、超氷河期と言われる大学や高校等の新規学卒者の就職内定率の低さは深刻であり、卒業後3年間は新卒扱いとすることが、公明党の政策提案により政府の方針に盛り込まれ、産業界に広がりつつありますが、本市としても、地元経済界に強く働きかけを行うべきだと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 農業による雇用創出策として、耕作放棄地の解消と発生防止のため、優良農地の適正管理と利用権設定等について指導、支援を行い、農地の利活用を推進し、農商工連携や農業の6次産業化などにより、中高年者、障がい者、若年未就職者などの雇用の場の創出に積極的に取り組むべきだと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 現下の厳しい雇用失業情勢のもと、失業期間が長期化する中、離職者への生活資金の貸し付けや緊急避難的な居住支援に関する事業を拡充すべきだと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 また、本市独自の雇用創出事業に積極的に取り組み、委託事業による民間での雇用や臨時職員の採用などについて雇用枠の拡大、募集や採用時期をもっと早めるべきだと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 地場中小企業の支援策としての商工金融資金制度の充実、改善、十分な融資予算枠の確保や返済繰り延べの柔軟な対応、融資審査のスピードアップ、融資実行後の専門家や経験者による経営相談や販路開拓の支援など、もっと強化すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 公共工事における地場中小企業支援措置として、工事のスピーディーかつ途切れのない発注、平成23年度内工事の早期発注目標を明確化、代金の支払い手続を極力スピードアップ、工事完了から検査までの期間短縮、工事代金の支払い期限の短縮を推進、工事契約及び委託契約の前払金制度の利用促進や、下請については地場企業へ優先発注、支援措置を適切に執行管理する公共事業に関する中小企業支援推進会議の着実な開催など、きめ細やかな対応を行うべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 また、超高齢社会を見据えた高齢者仕様のまちづくりを公共事業として積極的に進めていくべきだと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 アジアと近接している地理的優位性を生かし、市が中心となって国際経験豊かなNGO、企業、大学、研究機関などと協力して、海外成長戦略策定機関を設置し、企業誘致、事業の海外展開などを具体的に進め、特にCO2削減や環境破壊防止など、アジアに共通する喫緊の課題解決に向け、自然エネルギー発電、水道敷設、海水淡水化事業などの自治体ビジネスを積極的に推進すべきだと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 また、音楽、デジタルコンテンツ、デザイン関連人材や教育機関の集積など、本市の特性を生かし、アジアにおける関連産業の拠点都市を目指すべきだと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、アジアに開かれた国際交流観光都市づくりについてお尋ねいたします。
 内外観光客誘致へのネットワーク形成と集客戦略の強化については、韓国のソウルから釜山間の高速鉄道KTXが昨年11月に全線開業し、九州新幹線も3月12日に全線開通いたします。この絶好の機会に、福岡市と釜山を軸とした新たな集客戦略と、福岡・釜山超広域経済圏への取り組みを本格化するべきと考えます。本市の取り組みについて、お尋ねいたします。
 魅力ある都市景観の形成と歴史文化遺産を活用したまち歩き観光の強化については、鴻臚館など歴史文化遺産の復元の早期実現を図るとともに、歴史遺産資源の魅力の向上を図り、また、観光を推進する上で欠かせない存在になっています観光案内ボランティアの充実、さらに外国人観光客に対する通訳サポートについては留学生の活用を図るなど充実する必要があると思いますが、御所見をお伺いいたします。
 あわせて、博多駅周辺に発着する観光バスやタクシーの待機場所として、市営博多駅駐車場などの活用を検討していると思いますが、今後の取り組みについてお示しください。
 福岡空港の機能強化については、滑走路増設の早急な具体化への取り組みと計画の十分な市民への説明が必要ですが、今後どのように取り組むのか、また、観光客を迎える空の玄関として、空港ターミナル周辺の花と緑の美しい環境整備を図る必要があると思いますが、お考えをお尋ねいたします。
 国際競争力のある港づくりの推進については、大型クルーズ客船に対応したボーディングブリッジの整備や、CIQ、入国審査、検疫、税関体制の強化など、博多港の観光基盤強化が求められていますが、今後の取り組みをお示しください。
 地場企業の国際化支援については、中小企業が海外に販路を開拓するのはリスクが大きく、商品開発や貿易相談、物産展の海外における開催など一貫したサポートが必要であると考えます。専門アドバイザーや海外商談会の定例化など、特に中国、韓国への外需拡大支援強化に取り組む必要があると思いますが、御所見をお伺いいたします。
 大規模国際スポーツ大会や閣僚級の国際会議などの招致には、コンベンション都市福岡の地位をさらに高めるために、長期的な視野での取り組みが必要だと思います。例えば、アジア競技大会やAPEC国際会議などの長期的な招致戦略を考えるべきではないでしょうか。高島市長の長期展望についてお尋ねいたします。
 以上、市政全般にわたり質問いたしました。
 著名な哲学者は教えています。「行動への集中・熱意、仕損じても挫けずに再び興す力、しなやかさと結びついた精神力の強さがあれば諸々の課題を克服することができる」と。さあ、これからだの気概を持って前進あるのみです。高島市長を初め、職員の皆様が市民のためにとの目線を忘れず、市政運営に励まれますことを願いまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。


◯市長(高島宗一郎)登壇 ただいま公明党福岡市議団を代表して、山口議員より御質問いただきましたので、まずは私から御答弁いたします。
 最初に、平成23年度予算案、財政健全化への取り組みなどについての御質問にお答えをいたします。平成23年度予算案につきましては、財政規律を維持しながら、公約の着実な実現を初め、市民の安全、安心の確保や福岡という都市の価値を高め、将来の成長を牽引する分野への積極的な投資を重視して、人と環境と都市が調和のとれたまちづくりの実現に向け、新たな一歩を踏み出すチャレンジング予算を編成したところであります。特に市民の皆様との公約については、保育所待機児童の解消に向けた過去最大規模となる1,100人の定員増や特別養護老人ホーム整備の大幅な前倒し、第二産学連携交流センター整備による新産業の育成など、85%の項目について実施または着手することとしております。
 経済の活性化につきましては、緊急課題である経済・雇用対策として商工金融資金の拡充や平成22年度を上回る公共事業費を確保するなど、地場中小企業の経営安定化を図るとともに、1,500人を超える雇用の創出や中高年、若年者などを対象としたきめ細やかな就職支援に取り組みます。さらに、地域経済の活性化と都市の成長を目指し、2階建てバスの導入などによる観光施策の充実や情報関連産業などの知識創造型産業の振興に取り組むほか、アジアとの近接性を生かし、国内外企業の誘致や地場企業の国際ビジネス支援を進めてまいります。
 財政リニューアルプランの見直しにつきましては、平成23年度に検討する福岡市の将来についてのビジョンや成長戦略などを踏まえながら、財政規律と投資とのバランスを図った財政運営の方向性について検討してまいります。
 次に、財源確保のための施策につきましては、市税収入率の向上、未利用地売却や広告料収入のさらなる確保など多様な歳入確保策に取り組むほか、人件費の抑制や事務事業の見直し、効率化など歳出の見直しを徹底し、平成23年度予算案においておよそ92億円の財源を捻出いたします。
 事業仕分けにつきましては、平成20年度の導入以来、毎年事業数の拡大などの充実を図ってきたところであります。今後とも、継続して実施することによって着実に成果を上げていきたいと考えており、既存事業の見直しや市政運営の透明性の向上のため、より一層成果を上げられる仕組みを検討してまいります。
 電子自治体の構築につきましては、ICTの活用をさらに促進し、行政手続のオンライン化の拡充などに取り組むとともに、仕事の発想や手法を見直すことにより、各種申請を行う際の添付書類の簡略化など、市民サービスの向上と行政事務の効率化に努めてまいります。
 コールセンターのワンストップサービスにつきましては、市民からの電話による問い合わせ状況を把握するための調査を行い、コールセンター設置の必要性などについて検討いたします。
 コンビニエンスストアでの住民票などの交付については、平成23年度はシステムの構築など準備を進め、平成24年度にサービスを開始することとしております。
 職員による提案制度につきましては、市民サービスの向上や事務の効率化を図るため、積極的に提案を受け付けております。今後とも、制度の効果的な運用に努め、職員の改革意欲を引き出していきたいと考えております。また、職員とのコミュニケーションについては、職員が一丸となって市政運営にチャレンジするために不可欠であると考えておりまして、職員と対話する機会を積極的につくってまいります。
 次に、健康で快適に生活できる医療、福祉のまちづくりについての御質問にお答えいたします。
 まず、アイランドシティにおける健康分野のまちづくりにつきましては、市民が健康で安心して暮らせる居住環境の創出と健康、医療、福祉関連分野の研究開発、ビジネス拠点の形成を図るため、ふくおか健康未来都市構想を推進しているところであります。これまでに股関節・膝関節外科病院や特別養護老人ホームが開設されるなど、着実に事業が進められており、今後も健康、医療、福祉関連分野の集積を進めてまいります。
 次に、国民健康保険につきましては、国に対して国庫負担の引き上げなど財政支援の拡充を強く要望するとともに、保険料の算定方式については、現行制度においても一定の地方裁量が認められていることから、福岡市の実情に応じて見直しを行ってまいります。
 また、医療費の適正化については、健康への認識を深めていただくための医療費通知を初め、ジェネリック医薬品の普及促進のための意識啓発の強化を図ってまいります。
 さらに、特定健診については、広報、啓発に努めるとともに、関係機関と連携しながら、あらゆる機会をとらえて受診率の向上に取り組んでまいります。
 がん対策につきましては、検診による早期発見、早期治療が有効であり、市政だよりやホームページなどによる広報に努めるとともに、地域団体や医師会などの関係機関と連携しながら、あらゆる機会をとらえて、がん検診の受診率の向上に取り組んでまいります。なお、がん検診の無料クーポン配布事業については、乳がん及び子宮頸がん検診は平成23年度も引き続き実施し、平成24年度以降は国の動向を踏まえ、対応してまいります。
 ウイルス性肝炎や難病患者への支援につきましては、都道府県などが事業主体となり、医療費助成が行われていますことから、福岡市においては県と連携して制度の周知に努めるとともに、医療講演会、家庭訪問などにより、患者の方々が地域で安心して生活を送れるよう支援をしてまいります。
 福岡市の自殺者数の傾向につきましては、平成10年以降、年間の自殺者数が300名を超える状況で推移しております。自殺予防対策については、自殺対策総合計画に基づきシンポジウムなどを開催し、普及啓発を図るほか、インターネット相談や夜間電話相談の支援に努めるとともに、相談に対応できる人材の養成などを進めてまいります。また、自殺対策協議会を通して関係機関とのネットワークの構築や連携の強化を図ってまいります。
 ひとり親家庭への支援につきましては、これまで母子家庭のみを対象としていた医療費助成制度を平成21年度から父子家庭へ拡充し、また、平成22年8月からは児童扶養手当についても父子家庭へ拡大し、経済的支援を充実させたところであります。さらに、子育て相談や生活相談、弁護士による法律相談など各種の相談に応じるとともに、無料職業紹介事業や企業合同面談会などを引き続き実施し、ひとり親家庭への自立を支援してまいります。
 次に、生活保護につきましては、受給者へ効果的な生活指導などを行うため、ケースワーカーによる家庭訪問や実態把握が不可欠であり、新たに任期付短時間勤務職員を配置するなど体制を充実させ、適正保護に努めてまいります。また、就労支援対策として、求人開拓から離職防止まで、きめ細やかで一貫した支援を行う就労意欲喚起等支援事業を大幅に拡充しており、今後とも効果的かつ総合的な自立支援に努めてまいります。
 ホームレス対策につきましては、緊急一時宿泊事業などにより、個々人の状況把握を行い、就労が可能な方には、就労自立支援センターにおいて、技能習得や求職活動などの支援を行い、高齢者や障がい者には生活保護の適用を含め、健康対策などの支援を行っております。さらに、自立後再びホームレスとならないようアフターケア事業を実施しており、今後とも効果的な自立支援に努めてまいります。
 次に、子どもを安心して育てられるまちづくりについての御質問にお答えいたします。
 まず、子宮頸がん等ワクチン接種事業につきましては、対象者は立てかえ払いの必要はなく、委託医療機関に予約の上、無料で接種を受けることができます。また、市政だよりやホームページによる広報のほか、学校や医療機関などでポスターを掲示するとともに、特に平成22年度の高校1年生に相当する年齢の女子に対してはダイレクトメールを郵送するなど、周知の徹底を図っているところであります。
 次に、子どもの医療費助成拡大につきましては、平成23年1月から入院医療費について、小学校6年生まで無料化したところであります。医療費助成のさらなる拡大については、ほかの自治体の動向、他の子ども施策との関連や財源などを踏まえ、今後の検討課題とさせていただきます。
 保育所整備につきましては、児童福祉審議会の答申を踏まえ進めております。平成23年度は新築、増改築、分園整備、家庭的保育事業の拡充、認可外保育施設の認可化など、さまざまな手法により、過去4年間の平均整備数である500人分の2倍以上となる1,100人分の定員増を行うこととしており、新待機児童解消プランを前倒しし、スピード感を持って待機児童解消に取り組んでまいります。
 一時預かり事業につきましては、乳幼児の保護者が冠婚葬祭など必要なときに乳幼児を一時的に預かる事業で、平成23年度は1カ所増設し、平成26年度までに8カ所とする計画であります。また、一時保育は認可保育所で実施するのに対し、一時預かり事業は基準を満たす施設であれば認可保育所以外の施設でも実施可能となっております。
 児童虐待につきましては、厳しい経済情勢や核家族化など、社会情勢の変化に伴う子育ての悩みや不安が高まっていることなどにより相談件数が増加しております。また、たび重なる児童虐待事件の報道がふえたことなどにより、市民の関心、理解が深まったこともその一因と考えられます。平成23年度は、こども総合相談センターにおいて児童福祉司や児童心理司を増員するとともに、新たに弁護士資格を有する課長級職員を配置し、相談、支援体制を充実させるなど、虐待防止に取り組んでまいります。
 また、生後4カ月までの訪問事業につきましては、母子健康手帳に添付している出生連絡票を出された家庭を助産師が訪問する新生児訪問事業や民生委員、児童委員によるすこやか赤ちゃん訪問事業を実施しております。平成23年度は、出生連絡票の郵送料を無料化するなど、訪問事業の強化に取り組んでまいります。
 次に、高齢者、障がい者の暮らしを守る施策についての御質問にお答えいたします。
 まず、高齢者や障がい者、低所得者への各種公共料金の減免につきましては、公営企業の独立採算制や受益者負担の問題など、さまざまな課題もあることから、今後の経済状況や国の動向などを注視しながら鋭意検討してまいります。
 次に、要介護度の高い高齢者の施設入居待機者の解消につきましては、過去4年間の平均整備数であるおよそ160人分の2倍以上となる402人分の特別養護老人ホームの整備を前倒しして行ってまいります。また、介護支援ボランティアのポイント制度については、他都市の先行事例などから多くの課題があると考えておりますが、介護サービスを利用していない高齢者への施策について引き続き検討してまいります。
 民生委員の配置数につきましては、3年に一度の一斉改選時に委員の皆様の御意見を聞いた上で定めており、平成22年12月に増員しております。
 地域支援策の創設については、平成23年度から地域福祉ソーシャルワーカー・モデル事業を実施する中で、地域に対する有効な支援策を検討してまいります。
 次に、福大病院と西鉄大橋駅を結ぶバス路線の社会実験につきましては、公共交通の利便性の向上を図るため、福岡外環状道路の整備に合わせ、地下鉄七隈線福大前駅から西鉄天神大牟田線大橋駅を結ぶ区間において、平成23年1月から新たなバス路線の社会実験を開始し、現在、沿線地域や病院などに広く利用促進の取り組みを行っております。今後、実験結果の検証と課題整理を行い、関係者とともに、区間拡大なども含めて検討してまいります。
 高齢者の移動手段の確保につきましては、まず、生活交通を確保するため、現在のバスネットワークの維持、強化に努めることが重要であり、このたびの条例制定を受け、新たに公共交通空白地が生じるおそれのある地域については、引き続き生活交通確保に取り組んでまいります。また、公共交通が不便な地域についての全市的な調査を行ってきたところですが、平成23年度は具体的に生活交通の確保が課題となっている地域で、住民の主体的な取り組みが明確なものに対して現状や特性を十分調査し、課題を把握した上で支援の必要性や方法について、議会の御意見を踏まえながら検討を進めてまいります。
 高齢者の安心確保の生活支援事業につきましては、平成22年2月から中央区でモデル事業を実施してまいりましたが、平成23年度から全市域で事業展開し、高齢者が安心できる生活をさらに支援してまいります。
 また、買い物不便地域にお住まいの方々への対応につきましては、車をお持ちでない高齢者など社会的弱者の生活利便性が失われ、地域での生活が困難となることがないよう、都市構造の変化や高齢化の進展などを踏まえながら、支援のあり方などを研究してまいります。
 高齢社会に即応できる体制の構築につきましては、急速な高齢社会の進展がもたらす社会構造の変化に的確に対応していくことが、福岡市としても今後重要な課題になると認識しており、すべての人が安心して生活できる社会づくりに向け、全庁的な視点から取り組んでまいります。
 次に、障がい者の高齢化への対策につきましては、地域生活の基盤としてグループホーム、ケアホームの整備は重要であると考えており、市単独補助の拡充や国の助成事業などの活用により設置を促進してまいります。
 高次脳機能障がいなどの取り組みにつきましては、心身障がい福祉センターの生活訓練の利用定員増を図るとともに、人材養成などのための強度行動障がい者支援モデル事業や高次脳機能障がい支援事業を実施してまいります。
 次に、男女共同参画社会についての御質問にお答えいたします。
 まず、配偶者暴力相談支援センターにつきましては、区役所や男女共同参画推進センターなど関係機関と連携して、被害者の相談、保護、自立支援に取り組んでおります。平成23年度は職員体制を充実させ、DVの防止と被害者の支援に努めてまいります。
 次に、ワーク・ライフ・バランスの推進につきましては、第2次男女共同参画基本計画で重点施策に位置づけ、男性の家庭、地域への参画促進や福岡市の男性職員の育児休業の取得促進などに取り組むとともに、長時間労働見直しなどの先進的取り組みの紹介による企業への働きかけや子育て、介護支援などの施策を行ってまいります。さらに、企業向けセミナーの開催や「い~な」ふくおか・子ども週間の広報を行うほか、新たに産学官のネットワーク形成を図り、仕事と生活の調和がとれたまちを目指して取り組んでまいります。
 女性職員の登用につきましては、係長級以上の役付職員に占める女性職員の割合を平成30年度までに20%以上とすることを目標として、管理職の意識向上や女性職員のチャレンジ支援、ワーク・ライフ・バランスの推進などにより、引き続き積極的に取り組んでまいります。
 地域における男女共同参画推進活動の支援につきましては、第2次基本計画で重点施策の一つに位置づけ、推進サポーターや出前講座による啓発、校区の男女共同参画協議会の活動支援、女性リーダー育成などに取り組んでまいります。さらに、福岡市独自の男女共同参画の日または週間を設け、地域と共働で男女共同参画を考える取り組みを進めてまいります。
 良好な教育環境の提供、設備充実など教育に関する御質問につきましては、後ほど教育委員会から御答弁いたします。
 次に、地球温暖化対策と資源循環型社会の構築についての御質問にお答えいたします。
 まず、福岡市の温室効果ガス削減目標を定めている地球温暖化対策地域推進計画につきましては、地球温暖化対策推進法や国が定める中長期目標との整合を図りつつ、福岡市の特性に応じた数値目標やその実現に向けた施策について幅広く検討を行い、平成23年度中を目途に改定してまいります。
 太陽光発電に対する取り組みにつきましては、1,000件の住宅用太陽光発電の設置補助を引き続き行うとともに、新たに13カ所の公共施設に導入いたします。また、太陽光発電を含む再生可能エネルギーの全量買取制度の導入について国に要望してまいります。住宅エコポイント制度の活用については、福岡市独自の住宅省エネ改修助成事業を引き続き実施してまいります。
 次に、エコカー普及の加速に向けたインフラ整備支援につきましては、電気自動車の充電設備の設置補助により、民間による整備の促進に取り組んでまいります。また、福岡市も率先して市庁舎や区役所庁舎へ充電設備を設置し、一般に開放するとともに、充電ネットワークの構築の促進や充電設備情報の発信に努め、市民、事業者の皆様が安心して電気自動車を利用できる基盤づくりに取り組んでまいります。
 環境ビジネスへの支援策につきましては、省エネ専門業者の指導に基づき、事業所の省エネ化を行うソフトESCOの導入支援事業を新たに実施いたします。また、太陽光発電や家庭用燃料電池の設置、住宅や事業所の省エネ改修、電気自動車の購入など、温暖化対策として有効な取り組みに対し、引き続き助成を行ってまいります。
 都市鉱山活用の支援策につきましては、民間事業者が実施している使用済み小型電子機器回収事業に対し、回収ボックスを設置する商業施設や大学との調整などの支援を行うとともに、市民への広報、啓発等を行っております。また、国の中央環境審議会で使用済み小型電子機器のリサイクル制度などについての検討が始まっており、福岡市といたしましても、その動向を注視してまいります。
 ヒートアイランド対策につきましては、第2次環境基本計画の中で優先的課題と位置づけ、緑化推進などの地表面被覆の改善や人工排熱低減などの観点から施策を推進しているところであります。今後とも、公共施設や民間施設の屋上や壁面の緑化を推進するとともに、水循環型都市づくり基本構想に基づき、雨水、再生水の活用に取り組んでまいります。
 生物多様性に配慮した自然環境の保全につきましては、将来に豊かな生物多様性の恵みを継承し、都市と自然が調和したまちづくりを進めるため、福岡市の特性を踏まえた生物多様性に関する地域戦略を策定し、取り組んでまいります。
 次に、ごみ問題についてのお尋ねでありますが、まず、ごみ処理基本計画の策定につきましては、現在の循環のまち・ふくおか基本計画のごみ減量目標を既に達成した成果を踏まえ、平成37年度を目標とする新たな基本計画を平成23年度に策定してまいります。また、清掃工場の整備や維持管理につきましては、基本計画に基づき適切に対処するとともに、効率的な運用に取り組んでまいります。
 次に、ごみ減量の推進につきましては、市民に身近なマイバッグ持参によるレジ袋削減の取り組みや市民参加型の環境フェスティバル、地域での出前講座、事業者への立入指導などによりリデュース、リユースに重点を置いた3R、その定着を図ってまいります。また、環境配慮型製品の普及につきましては、福岡市が率先して使用するとともに、市民、事業者への啓発に努めてまいります。
 バイオマス資源の活用につきましては、まず、廃食用油や生ごみについて、新たに創設する事業系ごみ資源化推進ファンドの活用を図るとともに、肥料化やエネルギー利用への研究など、民間事業者の主体的な再資源化の取り組みを支援してまいります。
 間伐材などの木質系バイオマス資源の活用については、国や県における製造システムなどの研究の成果を踏まえて対応してまいります。
 下水汚泥については、処理の際に発生するガスを燃料として活用するとともに、セメントなどの原料として有効利用しており、今後とも企業との共同研究などを行いながら、先進的な活用の研究、開発に取り組んでまいります。
 また、テレビの不法投棄対策につきましては、アナログ放送の終了に伴い、家電リサイクル法の一層の周知徹底や引き取り体制の啓発に努めてまいります。不法投棄常習地の監視体制については、カメラによる監視やパトロールの強化、地域の防止活動団体への支援などに取り組んでまいります。
 次に、快適な生活環境と地域づくりについての御質問にお答えいたします。
 まず、地域コミュニティのあり方につきましては、住民がみずから地域のことを話し合い、地域の課題を解決するため、必要な活動を実施していくことが重要であると考えております。地域での支え合いについては、ふれあいネットワークなど地域福祉活動を支援するとともに、地域福祉ソーシャルワーカー・モデル事業を実施する中で、地域に対する有効な支援策を検討するなど、地域で支え合い、助け合うまちづくりを推進してまいります。
 次に、世界で最も住みよいまちにするための施策につきまして、短期的には、まず、浸水対策として河川改修による流下能力の向上と内水排除のための下水道整備を総合的に推進してまいります。道路の整備については、狭隘道路の整備や自転車の走行空間の確保など、安全に利用できる道路整備を進めるとともに、モラル・マナーの啓発に取り組んでまいります。交通が不便な地域などについては、高齢化の進行や人口の減少などの課題も踏まえ、郊外部の低層住宅地における容積率などの見直しや、市街化調整区域における地域と共働したまちのルールづくりを進めるとともに、地域の活動を支える生活交通を確保するため、現在のバスネットワークの維持、強化に努めるなど、総合的に取り組んでまいります。防犯につきましては、地域、事業者、警察などの関係機関と連携しながら、地域防犯力の向上や暴力団排除に取り組んでまいります。長期的な施策については、人と環境と都市が調和のとれたまちを目指して積極的な情報発信を行いながら、幅広い議論を行い、まちづくりの新しいビジョンをつくることとしており、それを踏まえた各種施策によって、世界で最も住みよいまちの実現に取り組んでまいります。
 次に、都市計画道路の見直しにつきましては、必要性や事業実現性などによる検証結果案で示した見直し候補路線ごとに、今後、地権者や地域の意見を伺いながら、順次取り組んでまいります。
 自転車走行空間の確保につきましては、幅員が広い歩道など、歩行者と自転車の分離が可能な箇所から整備を進めております。今後は、車道部における自転車走行空間の検討も含め、県警などと協議し、整備を進めてまいります。また、自転車の安全利用については、県警などの関係機関、団体と連携しながら、自転車教室の開催や自転車安全利用の手引きの作成、さらに、自転車安全利用に関する条例制定について検討するなど、その推進に努めてまいります。
 先駆的なコミュニティの構築につきましては、職員の意識改革や依頼事項の見直しなど、コミュニティとの共働に向けた取り組みを全庁的に進め、信頼し合う対等なパートナー関係の構築に努めてまいります。
 次に、公園の再整備につきましては、総点検の結果、施設の老朽化や市民ニーズと合わなくなってきていることなどの理由で、この10年以内に再整備が必要であると判断していた150カ所の公園について、計画を前倒しし、おおむね8年間で実施するものです。市民のニーズに合った使いやすい公園となるよう地域の意向を踏まえ、公園の規模や内容に応じた適切な予算を確保し、再整備を行ってまいります。また、残余の公園についても、市民に安全、快適に利用していただけるよう状況を把握しながら、計画的な施設の更新に取り組んでまいります。
 次に、文化芸術、スポーツの振興についての御質問にお答えいたします。
 まず、文化芸術振興策につきましては、文化芸術振興ビジョンの中で、すべての人々にとっての文化芸術、未来に向けての文化芸術を基本理念として掲げ、これに沿って事業を展開しております。平成23年度は子どもたちの豊かな心や創造性をはぐくむ芸術体験事業、文化芸術を支える若者の創造活動を支援する事業などを行う予定であり、ビジョンの進捗状況を勘案しながら、文化芸術振興条例の必要性についても検討してまいります。
 福岡市の美術館、博物館に関する御質問につきましては、後ほど教育委員会から御答弁いたします。
 次に、市民会館の再整備につきましては、これまで果たしてきた機能を踏まえつつ、福岡市の文化芸術の中核となる拠点文化施設として基本理念や果たすべき役割など、その整備場所も含めて検討を進めてまいります。
 少年科学文化会館の再整備につきましては、基本構想検討委員会で専門的、学術的見地や利用者の立場からの助言をいただきながら、施設の役割や機能などについて検討し、基本構想を策定してまいります。
 次に、スポーツ振興についてのお尋ねでありますが、まず、スポーツボランティア登録制度やスポーツリーダーバンク制度の充実、活用につきましては、福岡市体育協会と十分に連携し、子どもから高齢者、障がい者を含め、市民の身近なスポーツ活動を支える人材として確保と育成を図るとともに、幅広く活用を図ってまいります。また、全天候型の多目的グラウンドにつきましては、市民の余暇活動の多様化や健康増進への意識の高まりなどのスポーツに関する市民のニーズに対応するため、子どもから高齢者までだれもが安心して活動できる施設の整備に向けて、その機能、規模などについて検討してまいります。
 次に、農林水産業の振興についての御質問にお答えします。
 まず、有害鳥獣対策につきましては、国の鳥獣被害防止総合対策事業を活用し、福岡市の区域内で被害が発生している鳥獣を対象として、侵入防止さくや防鳥ネットなどの整備を助成するとともに、猟友会による捕獲活動を引き続き支援することにより、農作物の被害防止に取り組んでまいります。
 韓国における口蹄疫や宮崎県を初めとして全国各地で発生している鳥インフルエンザにつきましては、防疫措置を主導する県と連携し、万が一発生した場合に備え、必要な防疫対策を講じてまいります。原因となるウイルスの国外からの侵入防止対策としては、現在、空港と港湾施設において入国者に対する消毒などの措置がとられております。また、家畜及び家禽飼養農家に対しては、消毒剤の配布や巡回指導などの対策を実施しており、今後とも県や農業関係団体と連携しながら予防対策に取り組んでまいります。
 次に、地産地消についてのお尋ねでありますが、地産地消につきましては、学校給食における市内産農畜産物の使用拡大を図るとともに、農産物直売所への支援、農業体験や農林水産まつりなど各種イベントの実施を通して、地元農畜産物の消費拡大に努めてまいります。
 地産地消について、学校給食に関する教育委員会の取り組みにつきましては、後ほど教育委員会から御答弁いたします。
 次に、新青果市場整備事業の事業方式につきましては、PFI方式を導入した場合には、コスト削減効果が小さいことや施設設計などに市場関係者の意向を十分に反映できないことなどの課題が残されております。一方、国においては、市場整備にPFI方式を活用することを原則としていることから、平成23年度に市直営で基本設計を行いながら、市場関係者の意向をお聞きするとともに、国と十分に協議を行ってまいります。
 市民農園、体験型農園につきましては、市政だよりやホームページなどを通して、その魅力をPRしていくとともに、市民が身近に農業体験できる場として設置の促進に努めてまいります。
 森林における不法投棄対策につきましては、監視カメラの設置や巡回パトロールの実施による監視体制の強化、フェンスやガードレールの設置による投棄防止措置を進めるとともに、地域住民、警察、その他関係機関と連携を図り、実効性の確保に努めてまいります。
 また、森林の保全などの推進につきましては、森林組合の経営強化に向けた取り組みを支援するとともに、森林環境税を活用した荒廃森林再生事業などによる森林整備や広域基幹林道早良線などの基盤整備に取り組んでまいります。
 市内産木材の利用につきましては、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律に基づき、施策の基本的事項や目標などの福岡市の方針を策定するとともに、民間建築物についても地域産材の利用を促進してまいります。
 水産業の振興につきましては、博多湾での覆砂や藻場の造成、アサリやクルマエビの放流などを継続して行い、漁場環境の保全、回復に努めるとともに、朝市などの直販事業や特産品開発への支援、融資制度の充実、省エネ型漁業の推進など、漁家の経営安定と販売力強化を図るための取り組みを進めてまいります。
 次に、都市基盤の整備と災害に強い都市づくりの推進についての御質問にお答えいたします。
 まず、地下鉄七隈線の延伸につきましては、鉄道の利便性の向上や全市的な交通課題、環境問題に対応するためにも重要と考えており、交通対策特別委員会の調査報告などを踏まえ、天神南から博多駅間の事業化に向け、国との協議に必要な調査や環境アセスメントに着手いたします。
 西鉄貝塚線と地下鉄箱崎線との直通運転化につきましては、東部地域の交通体系の形成やまちづくりの促進の観点から鉄道事業者と協議を行いながら、事業計画などについて調査、検討してまいります。
 都心部の交通円滑化につきましては、公共交通機関を主軸とした交通体系の確立を目指し、地下鉄の整備やバス交通の利便性の向上を図るとともに、放射環状型道路ネットワークの整備による自動車交通の分散化や、マイカーから公共交通機関への利用転換を促すバス・アンド・ライド施策などに取り組んでおります。今後もこれらの取り組みを進めるとともに、交通マネジメント施策や民間建築物の建てかえ更新に合わせた交通環境の改善など、都心部の交通円滑化に向けた取り組みを市民、企業、交通事業者などと連携しながら総合的に推進してまいります。
 アイランドシティへの自動車専用道路の導入につきましては、現在、都市計画決定に必要となる環境影響評価に着手しており、平成22年秋から1年間にわたる現況調査を行っております。また、都市計画決定の手続と並行して、事業予定者である福岡北九州高速道路公社などの関係機関との連携を強化し、事業手法などの協議、調整や諸手続を進め、早期導入に向け、鋭意取り組んでまいります。
 次に、福岡市における防犯対策についてのお尋ねであります。
 防犯対策につきましては、飲酒運転や性犯罪、薬物乱用など、福岡市における犯罪情勢は深刻な事態にあると認識をしており、このため、平成24年度から5カ年の新たな取り組みを定める防犯推進プランを策定するとともに、引き続き防犯出前講座の実施や地域防犯パトロールカーに対する支援など、地域防犯力の強化に向けた取り組みを推進いたします。
 また、自主防災組織の整備状況につきましては、平成23年2月末現在、149校区・地区のうち146校区・地区で結成されております。防災士の育成状況については、防災リーダーを養成する博多あんぜん・あんしん塾を493名が受講し、そのうち478名が防災士の資格を取得しております。
 次に、雨水排水事業の推進につきましては、治水の根幹である河川の改修による流下能力の向上を図るとともに、内水排除のための下水道整備を総合的に推進しております。下水道整備については、雨水整備緊急計画を一層推進するとともに、雨水整備レインボープランにより博多駅及び天神周辺地区の整備に取り組んでまいります。さらに、福岡市の公共施設での雨水貯留施設の整備を初め、市民と共働した貯留タンク設置の助成など、雨水の流出抑制対策にも取り組んでまいります。
 河川整備につきましては、近年の豪雨を踏まえ、県が平成22年度から那珂川・樋井川床上浸水対策特別緊急事業による河床掘削に着手しており、また、多々良川などその他の2級河川においても護岸改修などを進めております。福岡市においても、周船寺川を初めとした都市基盤河川及び準用河川の護岸改修を推進しております。今後とも、県と連携を図りながら、積極的に河川整備を推進するとともに、治水池などを活用した雨水の流出抑制対策についても取り組んでまいります。
 また、雨水整備Doプランの進捗状況につきましては、重点59地区のすべての地区に着手しており、平成23年度末までに38地区が完了する予定であります。重点地区以外で浸水した地区についても、早期に効果が発現できる対策や雨水幹線の整備などを進めてまいります。
 公共インフラの整備につきましては、国の公共事業関係費が削減される中、単独事業を積極的に追加し、平成22年度当初予算を上回る事業費を確保しております。今後とも、市民の安全、安心を確保するとともに、福岡という都市の価値を高め、将来の成長を牽引する分野へ積極的に投資を行うなど、選択と集中を図りながら、必要なインフラを整備してまいります。
 次に、雇用・経済対策についての御質問にお答えいたします。
 まず、新規卒業者の就職につきましては、商工会議所と共同で実施する会社合同説明会や就活支援プラザ事業などを通して、卒業後3年間の新卒扱いの導入について企業に働きかけてまいります。
 次に、農業による雇用の創出策につきましては、農業委員会などと連携し、就農相談窓口の充実や農地確保への支援などにより、新規に就農しやすい環境づくりを進めるとともに、農商工連携による商品開発や販路拡大に取り組んでまいります。
 離職者への生活資金の貸し付けにつきましては、平成21年10月に貸付要件の緩和などの制度改正が行われており、福岡市といたしましても、多くの方々に利用していただけるよう制度の周知に努めてまいります。
 緊急避難的な居住支援については、市営住宅の一時的な提供を継続するとともに、住宅手当緊急特別措置事業について、制度の周知やハローワークとの連携などにより、利用機会の拡充を図ってまいります。
 雇用創出事業につきましては、国の雇用対策基金を活用して推進するとともに、福岡市独自の中高年人材活用事業を実施し、合わせて1,500人を超える雇用を創出いたします。なお、各事業については、早期の募集などに努めてまいります。
 次に、商工金融資金制度の充実などにつきましては、国の景気対応緊急保証制度の終了に伴う金融対策として、経営安定化特別資金を創設するとともに、十分な融資枠を確保するほか、返済猶予の柔軟な対応や迅速な融資審査など、中小企業の立場に立った、より円滑な運用を金融機関に要請してまいります。融資実行後には、返済相談員の訪問などによる返済相談や専門家による経営相談などを行ってまいります。また、福岡、熊本、鹿児島の3市連携による販路開拓支援事業など、新市場の開拓も一層推進してまいります。
 公共工事における地場中小企業支援措置につきましては、緊急経済対策の一環として全庁挙げて取り組んでおります。平成23年度の工事発注についても、引き続き早期発注目標を定め、スピーディーかつ途切れのない発注を行うとともに、検査や工事代金の支払いについても期間短縮に努めてまいります。また、前金払制度の利用促進を図るとともに、受注者に下請や資材の地場企業への優先発注を要請するなど、きめ細やかな対応を行ってまいります。
 高齢者仕様のまちづくりにつきましては、交通バリアフリー基本方針の見直しを進めるとともに、歩道や施設のバリアフリー化など、ユニバーサルシティー福岡の実現のための取り組みを進めてまいります。
 次に、アジア地域における課題解決に向けた自治体ビジネスの推進につきましては、福岡市が持つ上下水道や廃棄物処理などのノウハウと人材を生かし、アジア地域の都市環境向上のため、JICAなどを通じた国際貢献を実施しているところであります。今後は、福岡市が高い評価を受けている住みよいまちづくりのノウハウを積極的に提供し、アジア諸国の快適な都市環境の創造に貢献するため、これまでに培ったアジア地域とのネットワークを生かしながら、ニーズなどの調査、研究を行ってまいります。
 コンテンツ関連産業につきましては、産学官で構成する福岡ゲーム産業振興機構による人材育成などに取り組むとともに、新たに福岡と釜山で相互にインターンシップを実施するなど、アジアにおける拠点形成を目指してまいります。
 次に、アジアに開かれた国際交流観光都市づくりについての御質問にお答えいたします。
 福岡と釜山を軸とした集客戦略につきましては、韓国高速鉄道や九州新幹線の全線開業を集客拡大の機会ととらえ、釜山・福岡アジアゲートウェイ2011事業など、釜山市と共同によりアジア主要都市へのプロモーションを行うなど、集客促進に取り組んでおります。また、福岡・釜山超広域経済圏への取り組みについては、経済協力事務所を活用しながら、ビジネスCEOフォーラムの開催や展示会への相互出展などにより企業間の交流を推進しております。今後、釜山市と地域間連携の仕組みづくりの検討を始めるなど、福岡・釜山超広域経済圏形成の取り組みなどを一層進めてまいります。
 次に、歴史文化遺産を活用したまち歩き観光の強化につきましては、コンピューターグラフィックスによる鴻臚館の復元図を作成するなど、復元整備構想の具体化を進めるとともに、鴻臚館跡、福岡城跡などにおける休憩施設や観光案内板の整備など、今後とも魅力向上に努めてまいります。また、観光案内ボランティアについては、博多部での案内に加え、新たなガイドコースの開発や広報を強化するなど充実を図ってまいります。
 外国人観光客に対する通訳サポートについては、国際会議やクルーズ客船来航時の支援のため、留学生などを派遣しており、今後は登録者数をふやすとともに、研修などにより充実を図ってまいります。
 博多駅周辺における観光バス、タクシー対策につきましては、駅周辺の交通円滑化に向け、乗降場や待機場の確保などについて、市営博多駅駐車場を初めとする駅周辺の公共用地の活用も視野に入れながら、交通管理者や交通事業者などの関係者とともに検討してまいります。
 次に、福岡空港の機能強化につきましては、現在、滑走路増設方策に係る構想・施設計画段階の調査を行っております。今後、調査結果などを踏まえ、市民の皆様に積極的に情報提供を行いながら、空港能力向上のための検討を進めてまいります。
 また、空港ターミナル周辺の環境整備につきましては、新・緑の基本計画で都市の顔となる緑と位置づけ、訪れる人にとって快適で魅力的な花と緑の環境整備が必要であると考えております。このため、空港管理者である国などと連携し、緑化の推進に努めてまいります。
 博多港の観光基盤整備につきましては、中央ふ頭において平成21年度から岸壁、ボーディングブリッジ、交通広場などの整備や地区内の緑化に努め、また、国際ターミナルビルの内装改修やサインの設置などの整備を進めているところであります。平成23年度も、今後のクルーズ客船の大型化への対応や利用者の円滑で快適な移動の確保、国際ターミナルビルにおける最新の情報機器の設置などを行うとともに、海外臨船によるCIQ手続の迅速化を関係機関に働きかけるなど、海の観光ゲートウエーとしてのターミナル機能の充実やサービスの向上に取り組んでまいります。
 地場企業の国際化支援につきましては、アジア経済交流センターにおいて専門アドバイザーによる貿易相談の実施や国際ビジネスに関する人材育成などに取り組むとともに、地元経済団体との連携や上海事務所の活用を図りながら、展示会への出展支援や商談会を開催し、中国や韓国などの海外市場への販路拡大を支援してまいります。さらに、融資制度においてワールドビジネス振興資金を創設し、地場中小企業の国際ビジネス展開を資金面からも支援することといたしております。
 最後に、大規模な国際スポーツ大会や国際会議などの誘致につきましては、これまでもさまざまな大会、会議の開催により、都市の知名度の向上、大きな経済波及効果、学術、文化やスポーツの振興など、幅広い分野における効果があったと認識しております。今後とも、国や経済界を初めとした関係機関と連携し、長期的、戦略的な各種コンベンションの誘致に積極的に取り組んでまいります。
 以上、市政各般にわたり御答弁いたしましたが、承りました御意見、御提案に留意し、市民の代表である議会との対話を真摯に進めてまいります。私は、経済的な成長と安全、安心で質の高い暮らしのバランスがとれた、人と環境と都市の調和がとれたまちづくりを進めながら、アジアのリーダー都市福岡の実現を目指して、全力でこれからの市政運営に取り組んでまいります。よろしく御協力のほどよろしくお願いします。


◯教育長(山田裕嗣) 教育に関する御質問に対しまして、教育委員会からお答えをいたします。
 まず、教育環境の整備につきましては、校舎の新築、改築時などにエレベーターを設置するなど、バリアフリー化に努めるとともに、太陽光発電については計画的に取り組んでまいります。
 水道の直結給水については、水道局と連携して実施しているモデル校において課題などの検証を行い、導入について検討してまいります。
 教室へのクーラー設置については、皮膚温の低下などが認められるなど、暑熱対策として有効な結果が得られ、また、環境への影響や経済性においても空調機に比べてすぐれている扇風機を段階的に整備しており、平成23年度に完了予定です。
 また、不審者の侵入や犯罪の未然防止を図るため、防犯カメラを計画的に設置し、児童生徒の安全確保の充実を図ってまいります。
 次に、教員の資質向上のための研修につきましては、教職経験や職能及び課題に応じて実践的な指導力を高める研修の充実に努めてまいります。
 授業力向上支援センターについては、空調機器の整備や話し合いコーナーの拡張など設備の改善を行っており、今後は開室時間の延長や貸し出し手続の簡素化など、利便性の向上に努めてまいります。
 次に、優秀な教員の確保につきましては、面接試験の充実などによる人物重視の採用を行うとともに、民間企業経験者やスポーツ、芸術分野に秀でた人材などを対象とした特別選考に取り組んでまいります。
 教員の人事評価につきましては、目標管理による評価が教員の資質、能力の向上につながるよう、評価制度の運用を充実するとともに、さらにその活用に取り組んでまいります。
 次に、子どもたちの学力向上につきましては、全国学力・学習状況調査への全校参加とともに、小学校4年生と中学校1、3年生において生活習慣・学習等定着度調査を本格実施し、これを踏まえて、発達段階に応じた連続性のある教育活動を推進してまいります。
 なお、少人数学級の拡大につきましては、国における検討の動向に留意してまいります。
 次に、学校における読書活動につきましては、朝読書や各教科における調べ学習などを取り入れるとともに、必要に応じて学校図書館を利用するなど、その推進に努めております。また、読書活動の一層の充実を図るため、学校司書を配置しており、今後とも効果的な配置に努めてまいります。
 次に、いじめ・不登校対策につきましては、不登校対応教員やスクールソーシャルワーカーを増員するとともに、スクールカウンセラーのより効果的な配置を進め、教育相談体制の充実に努めてまいります。
 次に、教師が子どもと向き合う時間の確保につきましては、全教員へのパソコン配備を早急に進めるとともに、校務を支援するシステムを構築するなど、教員の負担軽減を図ってまいります。
 次に、市立高等学校につきましては、福岡市の特性や都市戦略などを踏まえ、特色ある教育を推進することが重要であり、時代にふさわしい市立高校のあり方などを検討しているところです。進路の充実については、教育センターでの研修や民間教育機関への派遣研修などにより、教員の授業力の向上を図るとともに、キャリア教育を推進し、生徒が明確な目標を持って学業に励み、進路希望を達成できるよう指導してまいります。また、市立高校の教員については、人材育成や活性化の観点から県立高校との交流推進に努めてまいります。
 次に、総合図書館と学校図書館とのネットワーク化につきましては、現在策定中の新・子ども読書活動推進計画において、連携のあり方について検討を進めております。今後とも、地域に開かれた学校図書館となるよう充実に努めてまいります。
 また、空き教室やその他の学校施設については、学校運営に支障のない範囲で、学校と地域が連携した活動の場となるよう、引き続き積極的な活用に努め、地域の教育力向上を支援してまいります。
 次に、特別支援教育の推進につきましては、すべての学校、園を対象に特別支援教育コーディネーター養成研修を実施しており、個別の教育支援計画を活用し、児童生徒の支援の充実を図るとともに、通級指導教室の拡充を対象者数、居住地などを考慮し、県へ要望してまいります。私立高校への支援については、私立高校からの要請に基づき、適時行っております。特別支援学校高等部及び博多高等学園卒業生の就労促進については、特別支援学校就職連絡会議を開催するとともに、障がい者就労支援センターなど関係機関との連携を密にし、雇用率の向上に努めてまいります。
 次に、給食センターの再整備につきましては、保護者や学校関係者、学識経験者などによる検討結果や議会での御意見を踏まえ、基本構想と第1給食センター整備計画の検討を進めてきたところです。第1センターの整備に当たっては、今後とも議会の御意見を伺いながら進めてまいります。
 次に、福岡市美術館、博物館の他都市との相互協力につきましては、現在、アジア各国の美術館、博物館と協定などを締結しており、また、国内外の他館との所蔵品の相互貸し出しや企画協力なども行っております。今後もさらなる相互協力を推進してまいります。
 また、若者を対象とする事業については、多彩な展覧会や、展覧会に関連したコンサート、映画会、舞踏などを実施しており、今後もその充実を図ってまいります。
 次に、福岡アジア美術トリエンナーレにつきましては、平成26年度に開催する予定にしており、平成24年度に実行委員会を設立し、アジア21カ国・地域の現代美術の最新動向を市民に紹介できるよう検討してまいります。
 最後に、地産地消につきましては、学校給食における米飯回数は平成21年度から週2.5回を週3回に増加しております。農産物については、農業協同組合と学校給食公社で構成する協議会で、生産品目や収穫量、時期、価格などを調査研究し、使用量の拡大に努めているところです。以上でございます。

福岡市議会議員
山口つよし

公明党 福岡市議団

〒812-8620
福岡市中央区天神1-8-1
福岡市議会内

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