2016.10.11:平成28年決算特別委員会
◯山口委員 公明党福岡市議団を代表して、幼児教育の環境について、子どもの貧困対策と高校進学について、介護保険と地域包括ケアシステムについて質問する。まず、幼児教育の環境について、こども未来局では、待機児童解消に向けて、保育園定員児童の増員や新設保育園設置に向けて鋭意努力しているが、全国的に待機児童調査のやり方次第では、隠れ待機児童が多く存在すると言われており、本市においても課題は同じであると認識している。今後、幼児教育の観点から、保育所や幼稚園に通う児童と家庭内保育児童の両輪で施策を行っていく必要があると考えるが、家庭内保育児童の人数の割合を、ゼロ歳、1歳、2歳、3歳別に尋ねる。
△こども未来局長 年齢別に28年度の家庭内保育の割合を推計すると、ゼロ歳児が約81%、1歳児が約57%、2歳児が約52%、3歳児が約6%である。
◯山口委員 3歳児の約6%は何人になるのか。
△こども未来局長 3歳児の数が約1万4,000人であることから、約800人となる。
◯山口委員 保護者にとっては、保育所や幼稚園に通わせたほうが学習や人間関係の学びなどプラスになると考えている人が多いことから、3歳から劇的に保育所などに通う人数がふえていくのではないかと考えている。本市の場合、保育所などに通っていない児童などのためにも、子どもプラザを拡充してきた経緯があるが、現在の箇所数と利用者数を尋ねる。また、どのような企画があり、来園した児童にはどのような職種が対応しているのか。
△こども未来局長 子どもプラザについては、市内14カ所に設置しており、27年度の利用者数は、大人と子どもを合わせて約32万人である。主な事業内容については、乳幼児親子への遊びの場の提供や子育てに関する気軽な相談への対応のほか、子育てに関する講座の企画、実施などであり、保育士、学校教諭、看護師などの資格保有者とボランティアで運営している。
◯山口委員 子どもプラザに来園する子どもの年齢の上位2位を尋ねる。また、来園者からの要望などを把握しているのか。
△こども未来局長 最も利用が多い年齢は1歳児となっており、2番目に多い年齢はゼロ歳児である。利用者からの要望等については、各子どもプラザでの意見箱の設置やアンケート調査の実施により把握に努めており、講座などの企画の充実や設置箇所をふやしてほしいなどの意見があった。
◯山口委員 私も、子どもプラザで何の講座があっているのかわからない、子育ての相談などもできるのかなど、市民から多岐にわたる問い合わせを受けることがあり、情報発信に力を入れてはどうかと思うが、現在どのような手段で市民に情報発信しているのか。
△こども未来局長 講座等の周知については、各子どもプラザのホームページに掲載するとともに、民生委員・児童委員による、こんにちは赤ちゃん訪問事業でのチラシ配布などにより行っている。
◯山口委員 特にスマホが若者に広まっており、登録利用者に対して発信するなど、今後もSNSなどを活用した情報発信に努められたい。また、子どもプラザ以外では、校区単位で子育て交流サロンなどが開催されているが、現在何校区で開催されているのか。また、開催されていない校区では、子育て世帯にどのようなアプローチを行っているのか。
△こども未来局長 子育て交流サロンについては、27年度末時点で、137校区において開設されており、子育て交流サロンが開設されていない校区では、育児サークルの結成に向けた働きかけやサークル活動の支援などの業務を、各区保健福祉センターの職員が行っている。
◯山口委員 子育てに不安のある保護者もいるため、全校区で開催できるよう鋭意努力されたい。また、子育て交流サロンでは、子育てなどの悩みに対して、保健師や保育士が話を聞く機会があるのか。
△こども未来局長 各保健福祉センターの保健師等が各種講座の開催を支援するとともに、育児や健康、教育、保育などの子育てに関する相談に応じている。
◯山口委員 プロの職員が対応することは特に大事であると考える。本市の施策に保健師や訪問嘱託員、母子訪問指導員などの専門職による全戸訪問事業があるが、全員に接触できているのか。特に、健診未受診の家庭への訪問数と状況把握できなかった人数について、4カ月児、1歳6カ月児、3歳児に分けて示されたい。
△こども未来局長 専門職による全戸訪問事業については、平成27年7月から開始しており、約7割の家庭と面接している。また、平成26年10月から1年間の乳幼児健診について、未受診のため保健師が家庭訪問を行った人数は、4カ月児健診が151人、1歳6カ月児健診が224人、3歳児健診が291人となっている。また、このうち状況が把握できなかった人数は、4カ月児健診が35人、1歳6カ月児健診が71人、3歳児健診が82人となっている。
◯山口委員 家庭訪問で状況を確認できなかった子どもたちの、その後の追跡調査状況はどうなっているのか。
△こども未来局長 現在1人を調査中であり、残る187人の子どもたちは既に安全を確認済みである。また、調査中の1人についても、現居住地と見られる自治体に安全確認を依頼中である。
◯山口委員 健診の際に、子どもの障がいを見つけることができると聞いており、そのような子どもがいる家庭にこそ、次の健診時期を待たずに専門職の家庭訪問ができないのか。ハイリスク家庭には適宜訪問していると聞いており、障がいが疑われる家庭も訪問事業の対象に加えてほしいが、どうか。
△こども未来局長 乳幼児健診で障がいの可能性が認められる場合は、専門的な医療機関への受診につながるよう支援を行っている。また、発達障がいについては、専門機関を受診することを保護者が受け入れるまでに時間が必要な場合も多いため、乳幼児健診の日などに心理士が面接を行うとともに、親子教室や電話での状況確認など、保護者の状況等に応じて支援を行っている。さらに、保護者の育児不安が強い場合などには、保健師が家庭訪問を行っている。
◯山口委員 東区では地域と行政が協力して、地域子育て支援会議が開催されている。平成26年は13校区22回、平成27年は14校区16回開催されているが、他の6区の状況はどうなっているのか。
△こども未来局長 地域子育て支援会議については、東区のみで開催されているが、校区保健福祉事業懇談会については、校区の保健福祉活動にかかわる団体代表者や行政関係者をメンバーとして、市内の全校区に設置されている。
◯山口委員 校区保健福祉事業懇談会は、年間どのくらい開催されているのか。校区数及び開催回数を尋ねる。
△こども未来局長 校区保健福祉事業懇談会については、全校区で年1回定期的に開催されている。
◯山口委員 今後は、地域とともに子育て世帯とかかわっていくことが特に重要であり、開催回数については検討されたい。また、保育所や幼稚園に通っている児童と家庭内保育児童を比べると、学習や人との交わりの力などに差が生じる可能性があると聞くが、家庭内保育児童に対し、今後どのような支援を行っていくのか。
△荒瀬副市長 子どもは、その一人一人が未来をつくっていく上でかけがえのない存在であり、健やかに成長できるよう地域全体で子育て家庭を支え支援していくことは、大変重要であると考えている。今日では核家族化が進んでおり、子育て家庭が孤立しないようにさまざまな支援を行っているところであるが、その一つとして、従来は生後3カ月までを対象に必要な家庭に行っていた助産師等による新生児訪問事業を、27年度からは全ての家庭に拡充し、子育てに関する相談を行うとともに、地域の子育て家庭と交流する子育て交流サロンや、もっと広い地域で同年齢の子どもたちと触れ合える子どもプラザなどの情報を提供しているところである。今後とも、地域全体で子どもと子育て家庭を見守り、支え、誰もが安心して子どもを生み育てられる環境づくりを進めていきたいと考えている。
◯山口委員 次に、子どもの貧困対策と高校進学について、今日、子どもの貧困率が上昇しており、政府も平成25年からさまざまな対策を講じ、子どもの貧困対策の推進に関する法律が成立したことを受け、平成26年には子どもの貧困対策に関する大綱を閣議決定している。また、今臨時国会では、奨学金の貸与から給付へとかじを切る法案の審議が始められ、多くの部署が連携し、地域も加わり、全員で子どもたちの成長を見守る時期に来ている。そうした中で各自治体では、生活自立支援センターが設置されているが、本市の生活自立支援センターの概要、委託先の選定方法、27年度の相談件数及び相談結果を尋ねる。
△保健福祉局長 福岡市生活自立支援センターは、生活困窮者に対し、生活保護に至る前の段階で自立支援を行う相談支援機関として、生活困窮者自立支援制度に基づき設置しているものであり、生活困窮者の相談に応じ、アセスメントを実施し、一人一人の状態に合った支援計画を作成し、必要な支援につなげるとともに関係機関への同行訪問や就労支援員による就労支援を行っている。生活自立支援センターの運営事業者は公募による企画提案競技を行い、選定審査会での審査を経て、株式会社パソナに決定した。27年度の相談件数は788件で、就労支援を希望した350名のうち188名が就職に至っており、116名を他の支援機関につなぎ、社会福祉協議会の生活資金貸し付けや法テラスによる法律相談などが行われている。
◯山口委員 市民が相談したいと思ったときは、まず区役所に来所する場合が多いと考えるが、どういった窓口から生活自立支援センターにつないでいるのか。
△保健福祉局長 生活自立支援センターへの来所のきっかけとしては、区役所の窓口で案内されるケースが多くなっており、保護課、市民相談室、保険年金課、納税課などからの案内が多くなっている。なお、生活自立支援センターの周知のために、広報用のチラシやカードを作成し、区役所の窓口やハローワーク、社会福祉協議会など関係機関にも配付しているところである。
◯山口委員 私も初めて知ったが、特に、保険料を滞納している人や税金がすぐに払えない人などに対し、ほかの人にわからないようにカードを渡し、生活自立支援センターの利用を案内していると聞いており、それこそ、その人に寄り添ったサービスであり、区役所でこのような手続が行われていることを、ぜひ知ってほしい。支援制度を通じて、家庭の生活が軌道に乗って、初めて子どもの教育にまで目が行き届くのではないか。本市の生活自立支援事業として、子どもたちへの学習支援事業があるが、どういった内容で何人を支援しているのか。また、設置されている区を尋ねる。
△保健福祉局長 保健福祉局においては、生活保護世帯及び生活困窮世帯を対象に、子どもの学びと居場所づくり事業を実施している。居場所づくり事業では、東区、博多区、南区、西区の4カ所で、小学1年生から中学3年生を対象に、子どもが安心して通える居場所を提供するとともに、学力のおくれを取り戻すための支援や学習習慣づくりなどを行っており、27年度の支援対象者は69名である。また、学習支援事業として、南区、西区の2カ所で中学2、3年生を対象に、高校進学に向けた個別学習指導や進路等に関する相談対応などを行っており、27年度の支援対象者は37名である。
◯山口委員 中学2、3年生にも学習支援事業が行われているが、27年度の支援対象者の高校への進学率と進学人数を尋ねる。
△保健福祉局長 学習支援事業においては、支援を行った中学3年生21名全員が高校に進学している。
◯山口委員 高校や専門学校への進学は、本人のこれからの職業について考える時期となり、社会について中学校と違った角度から自分を知ることのできる、人間形成にとってとても大事な期間である。このため、各自治体ではさまざまな支援や相談メニューに取り組んでいるが、教育委員会では、学校から生徒の生活支援、学習支援が必要と判断された場合、スクールソーシャルワーカーは、どのような支援部署と連携し、支援しているのか。また、スクールソーシャルワーカーは25年度12名で、27年度に25名体制になっているが、児童生徒や保護者に直接かかわった件数と解決できた件数が、25年度と比較して、それぞれどのようになったのか。
△教育長 学校が児童生徒の生活支援等が必要と判断した場合は、教育相談課所属のスクールソーシャルワーカーが、区役所や児童相談所などと連携して、教育と福祉の両面から支援を行っている。27年度の相談件数は1,721件で、そのうち児童生徒や保護者に直接かかわった件数は596件、解決した件数は290件である。また、25年度と比較すると相談件数は833件増加し、そのうち直接かかわった件数は324件の増加、解決できた件数は99件の増加となっている。
◯山口委員 文部科学省では、公設で無料の地域未来塾を、学習がおくれがちな中高生を対象として各自治体に開設するよう推進しているが、事業概要とそれに対する本市の対応について、また、予算額と国の補助率を尋ねる。
△教育長 地域未来塾は、文部科学省が推進する4つの事業で構成されている、学校・家庭・地域の連携協力推進事業の取り組みの一つで、地域と学校が連携、共働して、子どもたちの成長を支えていく活動である。本市においては、この学校・家庭・地域の連携協力推進事業のうち、地域未来塾とは別の学校支援活動事業を活用して学力の向上を目指し、地域の人たちと協力しながら放課後に補充学習を行う、ふれあい学び舎事業を進めており、28年度においては、小学校35校で実施し、7月末現在参加している児童数は、本市全体で約1,150名である。また、ふれあい学び舎事業の予算額は3,514万9,000円で、国の補助率は3分の1である。
◯山口委員 ふれあい学び舎事業については、子どもたちの学力向上のために大変よい取り組みであり、35校区だけではなく、今後、さらに実施校を拡大するとともに、対象を中学生まで拡大するよう強く要望する。今回の質疑に当たって、本市の中学校卒業後に高校などへ進学しなかった生徒が意外と多いことが見えてきたが、これら生徒の人数推移と高校に進学できなかった理由を尋ねる。
△教育長 中学校卒業後に高等学校などへ進学しなかった人数は、25年度213人、26年度183人、27年度153人であり、高等学校などへ進学しなかった理由は、就職、家事手伝いやアルバイトへの従事などのほか、海外への留学や高等学校などへ進学するための準備などがある。
◯山口委員 高等学校へ進学しなかった生徒のうち、進路が決まらなかった人数を尋ねる。
△教育長 27年度、中学校卒業時点で高等学校等へ進学しなかった生徒のうち、就職先が決まらなかったなどの進路未決定者は56人である。
◯山口委員 進路が決まらなかった56人に対して、現在、何らかの取り組みを行っているのか。
△教育長 進路未決定者に対しては、卒業した中学校の管理職や元担任を初めとする担当学年職員などが、その卒業生や保護者と連絡をとり、進路に関する相談や学習支援を行っている。
◯山口委員 今後、それらの取り組みを継続するとともに、家事手伝いやアルバイトを理由に高校へ進学しなかった生徒にも、教育委員会として今後の進路についてアドバイスを行われたい。私は、この進学の課題解決のヒントになればと、先日、兵庫県伊丹市へ調査に行った。伊丹市は生活自立支援センターを職員で運営しているが、26年度からは子どもの修学支援事業として、校長OBの修学支援員2名を増員しており、家庭と学校の橋渡しも行われている。成果として、生活困窮家庭、生活保護家庭の子どもの支援者66人のうち、支援により高校進学や不安解消等の効果があった人数は57人に上っており、高校進学率も年々向上し、27年度は97.1%になっている。これはスクールソーシャルワーカーの活躍があることはもちろんだが、この修学支援員の話では、ほとんど毎日子どもたちに接触するため、自分たちも初心に戻って対応した点が子どもたちに伝わり、上から目線ではなく、子どもたちのよき相談相手として認識してもらえるようになったとのことである。また、高校に行くことの大事さなどを伝え、入学までこぎつけ、さらに、自分たちの仕事は、無事に子どもたちを高校卒業させることだとして、高等学校の先生とも話をするなど、教育者の鏡のような人たちだと痛感した。本市におけるさまざまな取り組みにおいても、子どもたちの視点に立った取り組み、特に担任の役割が大事であり、教員OBが、それらのアプローチを担ってはどうかと考えるが、所見を伺う。
△教育長 全ての子どもたちに中学校卒業後の進路を保障することは、大変重要であると考えている。中学校では、全ての生徒が自分の適性に合った進路選択ができるよう、進路指導の充実を図っており、あわせて、経済的な支援が必要な家庭には、学校やスクールソーシャルワーカーが、高等学校就学支援金や奨学金についての説明や紹介を行っている。さらに、遊び、非行型の不登校生に対しては、担任や生徒指導担当教員が家庭訪問や学習指導を行い、個別に支援するとともに、知識や経験が豊富な教員OBを必要に応じて各学校に派遣し、学校への復帰に向けた支援を行っている。
◯山口委員 本市では、児童生徒に関する部局として、子どもの学びと居場所づくり事業を保健福祉局が担い、教育委員会には教育相談課や生徒指導課があり、こども未来局が子ども総合計画で中心的役割を果たすなど、各局にまたがっている。このような場合、どこかがまとめて関係部署会議などを開くことになるが、現在はどのようになっているのか。また、27年度の会議開催回数を尋ねる。
△こども未来局長 子どもの貧困対策に関しては、現在、こども未来局と保健福祉局、教育委員会で、月1回から2回程度、担当課長による会議を開催するなど、関係局が連携を図りながら施策を推進しているところである。
◯山口委員 ぜひ関係会議は継続してほしいが、教育委員会と市長部局であるため、一貫した施策としての実効性を心配している。ここは副市長が音頭をとり、総合的に関係局会議を開き、27年度の結果を受けて29年度の施策を協議することが必要と考えるが、今後の進め方と具体的な施策について尋ねる。
△荒瀬副市長 子ども施策については、成長の各段階でその状況に応じて適切に支援していくことが必要であり、特に貧困家庭における子どもの施策については、その連鎖を断ち切るために教育面や生活面など、多面的な支援を行っていくことが重要であると考えている。28年度は、その実態を把握するため、現在、子どもの生活状況等に関する調査を実施しており、その結果も踏まえ、必要な取り組みを検討していきたいと考えている。また、現在、私をトップに、教育長、こども未来局長、保健福祉局長など関係局長で構成するプロジェクトチームにおいて、他都市における先駆的な取り組みの調査や課題の整理、施策の方向性の検討等を鋭意進めているところであり、今後、具体的な施策の検討、実施に向けた推進体制についても、検討を進めていきたいと考えている。
◯山口委員 国が全国1万の中学校区全てに設置するという意気込みでスタートした地域未来塾について、29年度には全国の約半分の中学校区で開催されるとのことだが、本市にまだ1カ所もないことは問題ではないのか。全国学力テストで、本市の成績は上がったと聞いているが、学習がおくれがちな子どもに対してはしっかりとした支援が必要であり、それらの取り組みが29年度の予算には反映されるように強く要望する。また、子ども食堂について、伊丹市が周辺の自治体よりも成功している点として、ひきこもりがちなひとり暮らし高齢者も1人300円で子ども食堂に参加できるようにしていた。月に1回の子ども食堂の開催であるが、子どもたちは学生ボランティアと教員資格者等による学習を1時間行い、その後100円で、おじいちゃんやおばあちゃんたちと楽しく食事をしているとのことである。本市の場合は事業者に補助を行う手法であるため、総合的な企画運営は難しいと思うが、子ども食堂の検討の時期になれば、伊丹市のように学習の場の併設や高齢者も参加できるような仕組みも提案してはどうか。未来ある子どもたちが元気に成長してこそ、日本や世界の発展があり、全市を挙げて取り組みが必要な時期に来ていると考えるが、今後、生活困窮家庭の子どもたちが貧困に苦しまないようにするための施策について、市長の所見を伺う。
△市長 子どもたちの将来が、生まれ育った環境によって左右されることがないよう、貧困の状況にある子どもを健やかに育成できる環境を整備するとともに、教育の機会均等を図っていくことは大変重要であると認識している。そのため、本市としても、教育の支援、生活の支援、保護者に対する就労の支援、経済的支援など、さまざまな方面から総合的に施策を推進していくことにより、貧困が世代を超えて連鎖することがないよう、全市一丸となって子どもの貧困対策にしっかりと取り組んでいきたいと考えている。
◯山口委員 次に、介護保険と地域包括ケアシステムについて、29年度から介護保険制度の中で一部の事業が総合事業として移行するが、介護保険事業特別会計の過去3年間の伸びと、要介護、要支援者数の伸びを尋ねる。
△保健福祉局長 過去3年間の介護保険事業特別会計の歳出総額については、25年度が約838億円、26年度が約885億円、27年度が約920億円であり、3年間で約82億円の増となっている。また、要介護認定者数については、25年度が5万6,229人、26年度が5万8,979人、27年度が6万1,587人であり、3年間で5,358人の増となっている。
◯山口委員 介護保険事業会計には市費の負担割合が設定されており、例えば総合事業の場合は、国25%、県12.5%、市12.5%と推定されているが、総合事業に移行するサービスに係る費用の伸びが、直近3年間の75歳以上の高齢者の平均伸び率を超える部分は国費などの対象とならず、全額市町村の負担となるため、市の持ち出しがふえるのではないか。
△保健福祉局長 国の総合事業に係る費用負担の原則的な考え方としては、総合事業に移行するサービスに係る費用の伸びが、直近3年間の75歳以上の高齢者人口の平均伸び率を超える分は国費などの対象とならないとされているが、本市の場合、当面、75歳以上の伸び率の範囲内で事業実施が可能と見込んでいる。
◯山口委員 現在の介護保険料は全国平均5,514円であるが、本市における介護保険料の導入当初の金額と第5期、第6期の金額、さらに、それ以降の保険料予測を尋ねる。
△保健福祉局長 本市における第1号被保険者の介護保険料基準額については、導入当初の第1期は月額3,290円、24年度から26年度までの第5期は月額5,362円、現在の第6期が月額5,771円となっている。30年度から32年度までの第7期の介護保険料については、29年度において第7期福岡市介護保険事業計画を策定する中で算出していくことになるが、介護保険制度の仕組みが現状のままであるとすると、今後、保険給付費等が伸び、介護保険料もさらに上がるものと考えている。
◯山口委員 保険料が大幅に上がらないようにするためには、何が必要と考えているのか、また、何か手だてがあるのか。
△保健福祉局長 保険料の負担軽減については、現在、国において介護保険制度の持続可能性の確保に向け、介護度が比較的低い高齢者への支援のあり方や利用者負担のあり方について検討されているところである。また、本市においては、高齢者が要支援、要介護状態になることを防ぐ介護予防に力を入れ、保険料の抑制につなげていきたいと考えている。
◯山口委員 介護予防については、29年度から介護予防・日常生活支援総合事業に移行するが、本市のスケジュールを示されたい。
△保健福祉局長 平成28年6月議会において、介護予防・日常生活支援総合事業の実施に関する条例が成立し、8月にサービスを提供する事業者募集のための説明会を開催するなど、平成29年4月の事業開始に向けた準備を進めているところである。
◯山口委員 この事業で大きく変わる点は、チェックリストも利用しながら要介護認定の継続手続が始まることだが、本市は新規の場合はこのリストを使わないとしている。他の自治体では介護の専門職ではない職員もこのリストを受け付けるとしているが、本市では、誰がこのチェックリストを見て判断するのか。また、このチェックリストとはどのような内容なのか、代表的なものを示されたい。
△保健福祉局長 基本チェックリストについては、バスや電車を使い1人で外出しているか、階段を手すりや壁を伝わらずに上っているかなど、25の質問項目により本人の状況を把握し、利用すべきサービスの振り分けを行うために使用するものである。本市においては、新たに総合事業のサービスを利用する場合は、必ず要支援認定を受けてもらうこととしており、基本チェックリストについては、サービスを継続して利用する場合にのみ、要支援認定にかえて選択することができるとしている。このため、基本チェックリストは、サービスを既に利用している人が対象となることから、利用者の状況をよく把握している担当のケアマネジャーに実施してもらう方向で準備を進めている。
◯山口委員 介護予防・生活支援サービス事業について、訪問型サービスAや訪問型サービスB、C、Dなどがあるが、国はそれぞれどのような事業を想定しているのか。
△保健福祉局長 訪問型サービスAは、事業所に雇用された労働者による掃除や買い物などの生活援助サービスであり、訪問型サービスBは、住民ボランティアによる生活援助サービスである。また、訪問型サービスCは、保健師等による生活機能を改善するための相談支援等を短期間で行うサービスであり、訪問型サービスDは、住民ボランティアによる移動支援のサービスである。
◯山口委員 これまでと大きく違う点が、訪問型サービスAは介護保険に関する資格がなくても事業に参入できるとしている点であるが、本市はどのくらいの利用者を見込み、どのくらいの事業費を想定しているのか、また、事業者への報酬の支払いはどのようになるのか。
△保健福祉局長 訪問型サービスAについては、29年度において1,270人の利用を見込んでいる。また、訪問型サービスAに係る費用については、介護給付費と同様に、国、県、市による公費負担と介護保険料を財源とする事業者に対する報酬と利用者の利用料で賄われ、このうち事業者に対する報酬の総額は、おおむね2億円程度と見込んでいる。なお、事業者に対する報酬についても介護給付費と同様に、一人一人が利用したサービスに応じた金額を国民健康保険団体連合会を通じて支払うこととなる。
◯山口委員 国が示している訪問型サービスBとDは住民主体として、掃除、買い物、移動支援など地域が考える自主活動となっており、訪問型サービスCは保健師等も参加し、どちらかというとこれまで行われているサービスに近いと考えられる。本市の事業説明会の資料には、訪問型サービスB、C、Dの記載がないが、本市では実施しないのか、あるいはスタート時には間に合わないが、今後は実施する方向なのか。また、地域との連携をどうしていくのか。
△保健福祉局長 訪問型サービスB、C、Dについては、平成29年4月の事業開始時点では実施しない予定であるが、超高齢社会を迎える中、高齢者が支えられる側だけでなく、支える側として活躍できる仕組みが必要となってくるため、これらのサービスの実施についても引き続き検討していきたいと考えている。
◯山口委員 訪問型サービスB、C、Dについては、地域の民生委員を含め自治協議会や市民局など、さまざまな部署が連携しなければ実施できないと思われるため、関係局会議を開き、高齢者が地域で安心して生活できる方策を検討されたい。また、今後、ホームヘルパーなど介護職員が不足すると言われているが、何か対策を考えているのか。
△保健福祉局長 介護人材の確保については、国の福祉人材確保指針において、一義的には都道府県の役割と位置づけられており、市町村は都道府県と連携して、従事者に対する研修など人材の質的向上を支援することとされている。本市においても、従前より介護サービス従事者などを対象とした研修を実施していたが、深刻化する介護人材不足の問題に対し、より積極的な取り組みを進める必要があると考え、27年度から福岡県の地域医療介護総合確保基金を活用し、介護人材就労支援事業として、合同就職面談会や有資格者で働いていない人に対する就労支援研修を実施し、介護人材定着支援事業として、就職して間もない従事者に対する事業所への定着を支援するための研修を実施しているところである。さらに、平成29年4月開始の新総合事業実施に向け、28年度より生活援助サービスを提供する人材の養成研修も実施しており、今度とも、介護現場で働く人材の裾野の拡大に取り組んでいきたいと考えている。
◯山口委員 国の調査では、2025年にはホームヘルパーが全国で38万人不足するという予想も示されており、この38万人を本市の人口で割り戻すと約2,000人不足することになる。あと7年間でこの人数が確保できるよう補助や講習を十分に行うなど、今から準備を始められたい。次に、地域包括ケアシステムのおくれについて、介護保険料を低く抑えるためにも、地域が今後の介護事業に大きくかかわらなければ、先が見通せない状況になると思われる。中でも地域ケア会議が大事であると言われているが、地域ケア会議とはどのような内容で、誰が参加して行われるのか。また、その会議は各区に設置されているのか。27年度の状況と、そこからどのような課題が見えてきているのか。
△保健福祉局長 地域ケア会議については、高齢者が住みなれた地域で暮らしていくための個別の支援策やネットワークづくり、地域課題の発見などについて意見交換や検討を行っているものである。会議には支援の対象となる本人やその家族、医療関係者、介護サービス事業者、社会福祉協議会、地域団体、いきいきセンターや行政の職員などが議題に応じて参加している。地域ケア会議は各区に設置しており、個別、小学校区、おおむね中学校区及び区の階層別に開催しており、27年度の7区での会議開催数は合計369回である。地域ケア会議の開催を通して見えてきた課題としては、在宅で医療を受けることができる体制の整備、介護に従事する人材の確保、介護予防の充実を行うことなどの必要が挙げられる。また、地域ケア会議を運営する上での課題としては、個別の地域ケア会議で見えてきた潜在的なニーズに沿って、他の階層の会議でも支援方策を検討し、政策形成につなげていくことや、各階層での協議内容の情報共有を進める必要があることなどが挙げられる。
◯山口委員 地域包括ケアシステムは、モデル事業として3年前に中央区と東区でスタートしたが、今のところ他の5区では目立った動きがなく、ここをしっかり取り組まなければ次の段階に進めない。東区の場合であればこれまで個別ケア会議を18回開催し、消費者被害防止や単身認知症高齢者の地域見守りなどを協議している。また、医療介護連携として1中心病院と周りの複数校区が参加してケア会議を開催しているが、どのような内容なのか。
△保健福祉局長 東区の医師会や在宅医療に取り組む医療機関においては、20年ほど前から、地域完結型の医療を目指し、病院と診療所の連携を進めており、平成21年には、福岡東在宅ケアネットワークが発足し、多職種連携の活動が進むなど実績を重ねている。また、地域包括ケアの実現に向け、25年度に本市が実施した退院時連携のモデル事業をきっかけに、東区保健福祉センターが、東区医師会や福岡東在宅ケアネットワークとの連携を深め、介護事業者や司法関係者等の専門職団体などの新たな関係者を加え、区の地域特性を踏まえた独自のネットワークに発展したものである。さらに、医療、介護の関係者に加え、地域との連携を目指し、区を4つのブロックに分け、ブロックごとに顔の見える関係づくりを進めている。特に取り組みが進んでいる箱崎周辺の5校区では、27年度から、医療機関、介護事業者、自治協議会などの地域団体役員が集まって地域ケア会議を開催しており、高齢者の地域での見守りや医療介護などの関係機関と地域の具体的な連携のあり方に関する意見交換が行われるなど、これまで主に専門職間で行われてきた医療と介護の連携や顔の見える関係づくりについて、地域も含めた共有が進められている状況である。
◯山口委員 他の地域でも、このような連携事業を開始しようと考えているのか。
△保健福祉局長 東区の箱崎周辺5校区の取り組みについては、地域特性を踏まえた地域包括ケアの具体的な姿が見えつつある好事例の一つと考えているが、この事例については、東区において長年醸成された医療や介護などの社会資源や多職種間の相互理解を基盤に進められているものであり、各地域における地域包括ケアの仕組みづくりについては、それぞれの地域特性を尊重しつつ個別のアプローチにより進めていくことが必要と考えている。現在、地域包括ケアを支える重要な要素の一つである各区での在宅医療提供体制について、市医師会や区医師会と検討を進めており、また、医療や介護などの専門職と住民が、ともに地域の課題などについて意見交換を行う地域ケア会議の開催が広がっている状況である。今後も、関係機関との検討状況や地域ケア会議での意見交換を踏まえ、それぞれの地域の実情に沿った医療、介護の連携や、多様な主体が参加した支え合いの仕組みづくりを進めていきたいと考えている。
◯山口委員 在宅医療のためには、医師、介護士、薬剤師などのほかに、介護職としてケアマネジャーなどが参加し、多職種連携のチームワークが必要である。自宅で亡くなっている人の割合は、1位が横須賀市の22.9%、次いで葛飾区が21.7%と聞いているが、本市は何%か。また、在宅医療を何人が利用しているのか。
△保健福祉局長 本市における在宅医療の状況について、在宅医療の中心的役割を果たしている医療機関として、在宅療養支援診療所が241カ所、在宅療養支援病院が15カ所あり、主にこれらの医療機関の医師を核として、訪問看護師や薬剤師、ケアマネジャーなどが連携し、患者の在宅療養生活を支えている。本市における自宅で亡くなった人の割合は26年度で12.2%であり、全国平均12.8%とほぼ同水準である。また、本市において在宅医療を受けている患者数については、福岡県が策定中の地域医療構想の中では、訪問診療を受けている患者数は8,724人と推計されている。
◯山口委員 本市には在宅医療を提供している医療機関が多いが、市民に十分認知されていないと感じる。市民が在宅医療を希望する場合、どこに相談すればよいのか。また、在宅医療を周知するためにどのような手だてがあるのか。
△保健福祉局長 在宅医療を希望する場合については、かかりつけの医療機関または最寄りの地域包括支援センターへの相談をお願いしている。本市としては、在宅医療について広く市民への周知を図るため、現在、医師会や関係団体と協力して、各区単位でシンポジウムや講演会を開催し、本市の在宅医療の現状も含め広く啓発に努めている。今後ともますます高まることが予想される在宅医療へのニーズを踏まえ、医療や介護が必要となっても円滑に在宅での療養生活に移行できるよう、より積極的な啓発に努めていきたいと考えている。
◯山口委員 ぜひ周知には力を入れてほしいと意見を述べておく。28年度市政に関する意識調査結果の速報版を見たが、在宅医療を推進する必要があると思うかという問いに対し、そう思うと答えた人が72.5%に上り、さらに、どのような取り組みや体制整備が必要かという問いには、約6割の人が、急変時に対応してもらえる医療体制、次いで約5割の人が、家族の負担軽減と金銭的な軽減を望んでいることがわかる。在宅医療について、まずは周知に努めるとともに、市民がこの医療制度も選択できるよう、専門医の紹介や介護制度を含めた費用負担等について十分に説明し、安心感が持てるようにしてほしい。本市における介護事業について特に重要なことは、元気高齢者をいかに増加させるかだと思うが、今後の地域との連携について、市長の所見を伺う。
△市長 これから本市が迎える超高齢社会においては、誰もが住みなれた地域で生き生きと暮らすことができる、支え合い、助け合いのまちづくりを進めることが必要である。そのためには、高齢者が健康で元気に社会参加できることが非常に重要であると考え、本市においても、生活習慣病や認知症などの予防を含めた介護予防に取り組んできたところである。また、今般策定した保健福祉総合計画においては、健康寿命の延伸を大きな柱に掲げており、特に介護予防に関しては、住民主体で参加しやすく、地域に根差した介護予防を推進していくこととしたところである。今後とも、元気な高齢者が活躍できるまちを目指し、行政だけではなく、地域や企業、団体など多くの人々とともにチャレンジしていきたいと考えている。
△こども未来局長 年齢別に28年度の家庭内保育の割合を推計すると、ゼロ歳児が約81%、1歳児が約57%、2歳児が約52%、3歳児が約6%である。
◯山口委員 3歳児の約6%は何人になるのか。
△こども未来局長 3歳児の数が約1万4,000人であることから、約800人となる。
◯山口委員 保護者にとっては、保育所や幼稚園に通わせたほうが学習や人間関係の学びなどプラスになると考えている人が多いことから、3歳から劇的に保育所などに通う人数がふえていくのではないかと考えている。本市の場合、保育所などに通っていない児童などのためにも、子どもプラザを拡充してきた経緯があるが、現在の箇所数と利用者数を尋ねる。また、どのような企画があり、来園した児童にはどのような職種が対応しているのか。
△こども未来局長 子どもプラザについては、市内14カ所に設置しており、27年度の利用者数は、大人と子どもを合わせて約32万人である。主な事業内容については、乳幼児親子への遊びの場の提供や子育てに関する気軽な相談への対応のほか、子育てに関する講座の企画、実施などであり、保育士、学校教諭、看護師などの資格保有者とボランティアで運営している。
◯山口委員 子どもプラザに来園する子どもの年齢の上位2位を尋ねる。また、来園者からの要望などを把握しているのか。
△こども未来局長 最も利用が多い年齢は1歳児となっており、2番目に多い年齢はゼロ歳児である。利用者からの要望等については、各子どもプラザでの意見箱の設置やアンケート調査の実施により把握に努めており、講座などの企画の充実や設置箇所をふやしてほしいなどの意見があった。
◯山口委員 私も、子どもプラザで何の講座があっているのかわからない、子育ての相談などもできるのかなど、市民から多岐にわたる問い合わせを受けることがあり、情報発信に力を入れてはどうかと思うが、現在どのような手段で市民に情報発信しているのか。
△こども未来局長 講座等の周知については、各子どもプラザのホームページに掲載するとともに、民生委員・児童委員による、こんにちは赤ちゃん訪問事業でのチラシ配布などにより行っている。
◯山口委員 特にスマホが若者に広まっており、登録利用者に対して発信するなど、今後もSNSなどを活用した情報発信に努められたい。また、子どもプラザ以外では、校区単位で子育て交流サロンなどが開催されているが、現在何校区で開催されているのか。また、開催されていない校区では、子育て世帯にどのようなアプローチを行っているのか。
△こども未来局長 子育て交流サロンについては、27年度末時点で、137校区において開設されており、子育て交流サロンが開設されていない校区では、育児サークルの結成に向けた働きかけやサークル活動の支援などの業務を、各区保健福祉センターの職員が行っている。
◯山口委員 子育てに不安のある保護者もいるため、全校区で開催できるよう鋭意努力されたい。また、子育て交流サロンでは、子育てなどの悩みに対して、保健師や保育士が話を聞く機会があるのか。
△こども未来局長 各保健福祉センターの保健師等が各種講座の開催を支援するとともに、育児や健康、教育、保育などの子育てに関する相談に応じている。
◯山口委員 プロの職員が対応することは特に大事であると考える。本市の施策に保健師や訪問嘱託員、母子訪問指導員などの専門職による全戸訪問事業があるが、全員に接触できているのか。特に、健診未受診の家庭への訪問数と状況把握できなかった人数について、4カ月児、1歳6カ月児、3歳児に分けて示されたい。
△こども未来局長 専門職による全戸訪問事業については、平成27年7月から開始しており、約7割の家庭と面接している。また、平成26年10月から1年間の乳幼児健診について、未受診のため保健師が家庭訪問を行った人数は、4カ月児健診が151人、1歳6カ月児健診が224人、3歳児健診が291人となっている。また、このうち状況が把握できなかった人数は、4カ月児健診が35人、1歳6カ月児健診が71人、3歳児健診が82人となっている。
◯山口委員 家庭訪問で状況を確認できなかった子どもたちの、その後の追跡調査状況はどうなっているのか。
△こども未来局長 現在1人を調査中であり、残る187人の子どもたちは既に安全を確認済みである。また、調査中の1人についても、現居住地と見られる自治体に安全確認を依頼中である。
◯山口委員 健診の際に、子どもの障がいを見つけることができると聞いており、そのような子どもがいる家庭にこそ、次の健診時期を待たずに専門職の家庭訪問ができないのか。ハイリスク家庭には適宜訪問していると聞いており、障がいが疑われる家庭も訪問事業の対象に加えてほしいが、どうか。
△こども未来局長 乳幼児健診で障がいの可能性が認められる場合は、専門的な医療機関への受診につながるよう支援を行っている。また、発達障がいについては、専門機関を受診することを保護者が受け入れるまでに時間が必要な場合も多いため、乳幼児健診の日などに心理士が面接を行うとともに、親子教室や電話での状況確認など、保護者の状況等に応じて支援を行っている。さらに、保護者の育児不安が強い場合などには、保健師が家庭訪問を行っている。
◯山口委員 東区では地域と行政が協力して、地域子育て支援会議が開催されている。平成26年は13校区22回、平成27年は14校区16回開催されているが、他の6区の状況はどうなっているのか。
△こども未来局長 地域子育て支援会議については、東区のみで開催されているが、校区保健福祉事業懇談会については、校区の保健福祉活動にかかわる団体代表者や行政関係者をメンバーとして、市内の全校区に設置されている。
◯山口委員 校区保健福祉事業懇談会は、年間どのくらい開催されているのか。校区数及び開催回数を尋ねる。
△こども未来局長 校区保健福祉事業懇談会については、全校区で年1回定期的に開催されている。
◯山口委員 今後は、地域とともに子育て世帯とかかわっていくことが特に重要であり、開催回数については検討されたい。また、保育所や幼稚園に通っている児童と家庭内保育児童を比べると、学習や人との交わりの力などに差が生じる可能性があると聞くが、家庭内保育児童に対し、今後どのような支援を行っていくのか。
△荒瀬副市長 子どもは、その一人一人が未来をつくっていく上でかけがえのない存在であり、健やかに成長できるよう地域全体で子育て家庭を支え支援していくことは、大変重要であると考えている。今日では核家族化が進んでおり、子育て家庭が孤立しないようにさまざまな支援を行っているところであるが、その一つとして、従来は生後3カ月までを対象に必要な家庭に行っていた助産師等による新生児訪問事業を、27年度からは全ての家庭に拡充し、子育てに関する相談を行うとともに、地域の子育て家庭と交流する子育て交流サロンや、もっと広い地域で同年齢の子どもたちと触れ合える子どもプラザなどの情報を提供しているところである。今後とも、地域全体で子どもと子育て家庭を見守り、支え、誰もが安心して子どもを生み育てられる環境づくりを進めていきたいと考えている。
◯山口委員 次に、子どもの貧困対策と高校進学について、今日、子どもの貧困率が上昇しており、政府も平成25年からさまざまな対策を講じ、子どもの貧困対策の推進に関する法律が成立したことを受け、平成26年には子どもの貧困対策に関する大綱を閣議決定している。また、今臨時国会では、奨学金の貸与から給付へとかじを切る法案の審議が始められ、多くの部署が連携し、地域も加わり、全員で子どもたちの成長を見守る時期に来ている。そうした中で各自治体では、生活自立支援センターが設置されているが、本市の生活自立支援センターの概要、委託先の選定方法、27年度の相談件数及び相談結果を尋ねる。
△保健福祉局長 福岡市生活自立支援センターは、生活困窮者に対し、生活保護に至る前の段階で自立支援を行う相談支援機関として、生活困窮者自立支援制度に基づき設置しているものであり、生活困窮者の相談に応じ、アセスメントを実施し、一人一人の状態に合った支援計画を作成し、必要な支援につなげるとともに関係機関への同行訪問や就労支援員による就労支援を行っている。生活自立支援センターの運営事業者は公募による企画提案競技を行い、選定審査会での審査を経て、株式会社パソナに決定した。27年度の相談件数は788件で、就労支援を希望した350名のうち188名が就職に至っており、116名を他の支援機関につなぎ、社会福祉協議会の生活資金貸し付けや法テラスによる法律相談などが行われている。
◯山口委員 市民が相談したいと思ったときは、まず区役所に来所する場合が多いと考えるが、どういった窓口から生活自立支援センターにつないでいるのか。
△保健福祉局長 生活自立支援センターへの来所のきっかけとしては、区役所の窓口で案内されるケースが多くなっており、保護課、市民相談室、保険年金課、納税課などからの案内が多くなっている。なお、生活自立支援センターの周知のために、広報用のチラシやカードを作成し、区役所の窓口やハローワーク、社会福祉協議会など関係機関にも配付しているところである。
◯山口委員 私も初めて知ったが、特に、保険料を滞納している人や税金がすぐに払えない人などに対し、ほかの人にわからないようにカードを渡し、生活自立支援センターの利用を案内していると聞いており、それこそ、その人に寄り添ったサービスであり、区役所でこのような手続が行われていることを、ぜひ知ってほしい。支援制度を通じて、家庭の生活が軌道に乗って、初めて子どもの教育にまで目が行き届くのではないか。本市の生活自立支援事業として、子どもたちへの学習支援事業があるが、どういった内容で何人を支援しているのか。また、設置されている区を尋ねる。
△保健福祉局長 保健福祉局においては、生活保護世帯及び生活困窮世帯を対象に、子どもの学びと居場所づくり事業を実施している。居場所づくり事業では、東区、博多区、南区、西区の4カ所で、小学1年生から中学3年生を対象に、子どもが安心して通える居場所を提供するとともに、学力のおくれを取り戻すための支援や学習習慣づくりなどを行っており、27年度の支援対象者は69名である。また、学習支援事業として、南区、西区の2カ所で中学2、3年生を対象に、高校進学に向けた個別学習指導や進路等に関する相談対応などを行っており、27年度の支援対象者は37名である。
◯山口委員 中学2、3年生にも学習支援事業が行われているが、27年度の支援対象者の高校への進学率と進学人数を尋ねる。
△保健福祉局長 学習支援事業においては、支援を行った中学3年生21名全員が高校に進学している。
◯山口委員 高校や専門学校への進学は、本人のこれからの職業について考える時期となり、社会について中学校と違った角度から自分を知ることのできる、人間形成にとってとても大事な期間である。このため、各自治体ではさまざまな支援や相談メニューに取り組んでいるが、教育委員会では、学校から生徒の生活支援、学習支援が必要と判断された場合、スクールソーシャルワーカーは、どのような支援部署と連携し、支援しているのか。また、スクールソーシャルワーカーは25年度12名で、27年度に25名体制になっているが、児童生徒や保護者に直接かかわった件数と解決できた件数が、25年度と比較して、それぞれどのようになったのか。
△教育長 学校が児童生徒の生活支援等が必要と判断した場合は、教育相談課所属のスクールソーシャルワーカーが、区役所や児童相談所などと連携して、教育と福祉の両面から支援を行っている。27年度の相談件数は1,721件で、そのうち児童生徒や保護者に直接かかわった件数は596件、解決した件数は290件である。また、25年度と比較すると相談件数は833件増加し、そのうち直接かかわった件数は324件の増加、解決できた件数は99件の増加となっている。
◯山口委員 文部科学省では、公設で無料の地域未来塾を、学習がおくれがちな中高生を対象として各自治体に開設するよう推進しているが、事業概要とそれに対する本市の対応について、また、予算額と国の補助率を尋ねる。
△教育長 地域未来塾は、文部科学省が推進する4つの事業で構成されている、学校・家庭・地域の連携協力推進事業の取り組みの一つで、地域と学校が連携、共働して、子どもたちの成長を支えていく活動である。本市においては、この学校・家庭・地域の連携協力推進事業のうち、地域未来塾とは別の学校支援活動事業を活用して学力の向上を目指し、地域の人たちと協力しながら放課後に補充学習を行う、ふれあい学び舎事業を進めており、28年度においては、小学校35校で実施し、7月末現在参加している児童数は、本市全体で約1,150名である。また、ふれあい学び舎事業の予算額は3,514万9,000円で、国の補助率は3分の1である。
◯山口委員 ふれあい学び舎事業については、子どもたちの学力向上のために大変よい取り組みであり、35校区だけではなく、今後、さらに実施校を拡大するとともに、対象を中学生まで拡大するよう強く要望する。今回の質疑に当たって、本市の中学校卒業後に高校などへ進学しなかった生徒が意外と多いことが見えてきたが、これら生徒の人数推移と高校に進学できなかった理由を尋ねる。
△教育長 中学校卒業後に高等学校などへ進学しなかった人数は、25年度213人、26年度183人、27年度153人であり、高等学校などへ進学しなかった理由は、就職、家事手伝いやアルバイトへの従事などのほか、海外への留学や高等学校などへ進学するための準備などがある。
◯山口委員 高等学校へ進学しなかった生徒のうち、進路が決まらなかった人数を尋ねる。
△教育長 27年度、中学校卒業時点で高等学校等へ進学しなかった生徒のうち、就職先が決まらなかったなどの進路未決定者は56人である。
◯山口委員 進路が決まらなかった56人に対して、現在、何らかの取り組みを行っているのか。
△教育長 進路未決定者に対しては、卒業した中学校の管理職や元担任を初めとする担当学年職員などが、その卒業生や保護者と連絡をとり、進路に関する相談や学習支援を行っている。
◯山口委員 今後、それらの取り組みを継続するとともに、家事手伝いやアルバイトを理由に高校へ進学しなかった生徒にも、教育委員会として今後の進路についてアドバイスを行われたい。私は、この進学の課題解決のヒントになればと、先日、兵庫県伊丹市へ調査に行った。伊丹市は生活自立支援センターを職員で運営しているが、26年度からは子どもの修学支援事業として、校長OBの修学支援員2名を増員しており、家庭と学校の橋渡しも行われている。成果として、生活困窮家庭、生活保護家庭の子どもの支援者66人のうち、支援により高校進学や不安解消等の効果があった人数は57人に上っており、高校進学率も年々向上し、27年度は97.1%になっている。これはスクールソーシャルワーカーの活躍があることはもちろんだが、この修学支援員の話では、ほとんど毎日子どもたちに接触するため、自分たちも初心に戻って対応した点が子どもたちに伝わり、上から目線ではなく、子どもたちのよき相談相手として認識してもらえるようになったとのことである。また、高校に行くことの大事さなどを伝え、入学までこぎつけ、さらに、自分たちの仕事は、無事に子どもたちを高校卒業させることだとして、高等学校の先生とも話をするなど、教育者の鏡のような人たちだと痛感した。本市におけるさまざまな取り組みにおいても、子どもたちの視点に立った取り組み、特に担任の役割が大事であり、教員OBが、それらのアプローチを担ってはどうかと考えるが、所見を伺う。
△教育長 全ての子どもたちに中学校卒業後の進路を保障することは、大変重要であると考えている。中学校では、全ての生徒が自分の適性に合った進路選択ができるよう、進路指導の充実を図っており、あわせて、経済的な支援が必要な家庭には、学校やスクールソーシャルワーカーが、高等学校就学支援金や奨学金についての説明や紹介を行っている。さらに、遊び、非行型の不登校生に対しては、担任や生徒指導担当教員が家庭訪問や学習指導を行い、個別に支援するとともに、知識や経験が豊富な教員OBを必要に応じて各学校に派遣し、学校への復帰に向けた支援を行っている。
◯山口委員 本市では、児童生徒に関する部局として、子どもの学びと居場所づくり事業を保健福祉局が担い、教育委員会には教育相談課や生徒指導課があり、こども未来局が子ども総合計画で中心的役割を果たすなど、各局にまたがっている。このような場合、どこかがまとめて関係部署会議などを開くことになるが、現在はどのようになっているのか。また、27年度の会議開催回数を尋ねる。
△こども未来局長 子どもの貧困対策に関しては、現在、こども未来局と保健福祉局、教育委員会で、月1回から2回程度、担当課長による会議を開催するなど、関係局が連携を図りながら施策を推進しているところである。
◯山口委員 ぜひ関係会議は継続してほしいが、教育委員会と市長部局であるため、一貫した施策としての実効性を心配している。ここは副市長が音頭をとり、総合的に関係局会議を開き、27年度の結果を受けて29年度の施策を協議することが必要と考えるが、今後の進め方と具体的な施策について尋ねる。
△荒瀬副市長 子ども施策については、成長の各段階でその状況に応じて適切に支援していくことが必要であり、特に貧困家庭における子どもの施策については、その連鎖を断ち切るために教育面や生活面など、多面的な支援を行っていくことが重要であると考えている。28年度は、その実態を把握するため、現在、子どもの生活状況等に関する調査を実施しており、その結果も踏まえ、必要な取り組みを検討していきたいと考えている。また、現在、私をトップに、教育長、こども未来局長、保健福祉局長など関係局長で構成するプロジェクトチームにおいて、他都市における先駆的な取り組みの調査や課題の整理、施策の方向性の検討等を鋭意進めているところであり、今後、具体的な施策の検討、実施に向けた推進体制についても、検討を進めていきたいと考えている。
◯山口委員 国が全国1万の中学校区全てに設置するという意気込みでスタートした地域未来塾について、29年度には全国の約半分の中学校区で開催されるとのことだが、本市にまだ1カ所もないことは問題ではないのか。全国学力テストで、本市の成績は上がったと聞いているが、学習がおくれがちな子どもに対してはしっかりとした支援が必要であり、それらの取り組みが29年度の予算には反映されるように強く要望する。また、子ども食堂について、伊丹市が周辺の自治体よりも成功している点として、ひきこもりがちなひとり暮らし高齢者も1人300円で子ども食堂に参加できるようにしていた。月に1回の子ども食堂の開催であるが、子どもたちは学生ボランティアと教員資格者等による学習を1時間行い、その後100円で、おじいちゃんやおばあちゃんたちと楽しく食事をしているとのことである。本市の場合は事業者に補助を行う手法であるため、総合的な企画運営は難しいと思うが、子ども食堂の検討の時期になれば、伊丹市のように学習の場の併設や高齢者も参加できるような仕組みも提案してはどうか。未来ある子どもたちが元気に成長してこそ、日本や世界の発展があり、全市を挙げて取り組みが必要な時期に来ていると考えるが、今後、生活困窮家庭の子どもたちが貧困に苦しまないようにするための施策について、市長の所見を伺う。
△市長 子どもたちの将来が、生まれ育った環境によって左右されることがないよう、貧困の状況にある子どもを健やかに育成できる環境を整備するとともに、教育の機会均等を図っていくことは大変重要であると認識している。そのため、本市としても、教育の支援、生活の支援、保護者に対する就労の支援、経済的支援など、さまざまな方面から総合的に施策を推進していくことにより、貧困が世代を超えて連鎖することがないよう、全市一丸となって子どもの貧困対策にしっかりと取り組んでいきたいと考えている。
◯山口委員 次に、介護保険と地域包括ケアシステムについて、29年度から介護保険制度の中で一部の事業が総合事業として移行するが、介護保険事業特別会計の過去3年間の伸びと、要介護、要支援者数の伸びを尋ねる。
△保健福祉局長 過去3年間の介護保険事業特別会計の歳出総額については、25年度が約838億円、26年度が約885億円、27年度が約920億円であり、3年間で約82億円の増となっている。また、要介護認定者数については、25年度が5万6,229人、26年度が5万8,979人、27年度が6万1,587人であり、3年間で5,358人の増となっている。
◯山口委員 介護保険事業会計には市費の負担割合が設定されており、例えば総合事業の場合は、国25%、県12.5%、市12.5%と推定されているが、総合事業に移行するサービスに係る費用の伸びが、直近3年間の75歳以上の高齢者の平均伸び率を超える部分は国費などの対象とならず、全額市町村の負担となるため、市の持ち出しがふえるのではないか。
△保健福祉局長 国の総合事業に係る費用負担の原則的な考え方としては、総合事業に移行するサービスに係る費用の伸びが、直近3年間の75歳以上の高齢者人口の平均伸び率を超える分は国費などの対象とならないとされているが、本市の場合、当面、75歳以上の伸び率の範囲内で事業実施が可能と見込んでいる。
◯山口委員 現在の介護保険料は全国平均5,514円であるが、本市における介護保険料の導入当初の金額と第5期、第6期の金額、さらに、それ以降の保険料予測を尋ねる。
△保健福祉局長 本市における第1号被保険者の介護保険料基準額については、導入当初の第1期は月額3,290円、24年度から26年度までの第5期は月額5,362円、現在の第6期が月額5,771円となっている。30年度から32年度までの第7期の介護保険料については、29年度において第7期福岡市介護保険事業計画を策定する中で算出していくことになるが、介護保険制度の仕組みが現状のままであるとすると、今後、保険給付費等が伸び、介護保険料もさらに上がるものと考えている。
◯山口委員 保険料が大幅に上がらないようにするためには、何が必要と考えているのか、また、何か手だてがあるのか。
△保健福祉局長 保険料の負担軽減については、現在、国において介護保険制度の持続可能性の確保に向け、介護度が比較的低い高齢者への支援のあり方や利用者負担のあり方について検討されているところである。また、本市においては、高齢者が要支援、要介護状態になることを防ぐ介護予防に力を入れ、保険料の抑制につなげていきたいと考えている。
◯山口委員 介護予防については、29年度から介護予防・日常生活支援総合事業に移行するが、本市のスケジュールを示されたい。
△保健福祉局長 平成28年6月議会において、介護予防・日常生活支援総合事業の実施に関する条例が成立し、8月にサービスを提供する事業者募集のための説明会を開催するなど、平成29年4月の事業開始に向けた準備を進めているところである。
◯山口委員 この事業で大きく変わる点は、チェックリストも利用しながら要介護認定の継続手続が始まることだが、本市は新規の場合はこのリストを使わないとしている。他の自治体では介護の専門職ではない職員もこのリストを受け付けるとしているが、本市では、誰がこのチェックリストを見て判断するのか。また、このチェックリストとはどのような内容なのか、代表的なものを示されたい。
△保健福祉局長 基本チェックリストについては、バスや電車を使い1人で外出しているか、階段を手すりや壁を伝わらずに上っているかなど、25の質問項目により本人の状況を把握し、利用すべきサービスの振り分けを行うために使用するものである。本市においては、新たに総合事業のサービスを利用する場合は、必ず要支援認定を受けてもらうこととしており、基本チェックリストについては、サービスを継続して利用する場合にのみ、要支援認定にかえて選択することができるとしている。このため、基本チェックリストは、サービスを既に利用している人が対象となることから、利用者の状況をよく把握している担当のケアマネジャーに実施してもらう方向で準備を進めている。
◯山口委員 介護予防・生活支援サービス事業について、訪問型サービスAや訪問型サービスB、C、Dなどがあるが、国はそれぞれどのような事業を想定しているのか。
△保健福祉局長 訪問型サービスAは、事業所に雇用された労働者による掃除や買い物などの生活援助サービスであり、訪問型サービスBは、住民ボランティアによる生活援助サービスである。また、訪問型サービスCは、保健師等による生活機能を改善するための相談支援等を短期間で行うサービスであり、訪問型サービスDは、住民ボランティアによる移動支援のサービスである。
◯山口委員 これまでと大きく違う点が、訪問型サービスAは介護保険に関する資格がなくても事業に参入できるとしている点であるが、本市はどのくらいの利用者を見込み、どのくらいの事業費を想定しているのか、また、事業者への報酬の支払いはどのようになるのか。
△保健福祉局長 訪問型サービスAについては、29年度において1,270人の利用を見込んでいる。また、訪問型サービスAに係る費用については、介護給付費と同様に、国、県、市による公費負担と介護保険料を財源とする事業者に対する報酬と利用者の利用料で賄われ、このうち事業者に対する報酬の総額は、おおむね2億円程度と見込んでいる。なお、事業者に対する報酬についても介護給付費と同様に、一人一人が利用したサービスに応じた金額を国民健康保険団体連合会を通じて支払うこととなる。
◯山口委員 国が示している訪問型サービスBとDは住民主体として、掃除、買い物、移動支援など地域が考える自主活動となっており、訪問型サービスCは保健師等も参加し、どちらかというとこれまで行われているサービスに近いと考えられる。本市の事業説明会の資料には、訪問型サービスB、C、Dの記載がないが、本市では実施しないのか、あるいはスタート時には間に合わないが、今後は実施する方向なのか。また、地域との連携をどうしていくのか。
△保健福祉局長 訪問型サービスB、C、Dについては、平成29年4月の事業開始時点では実施しない予定であるが、超高齢社会を迎える中、高齢者が支えられる側だけでなく、支える側として活躍できる仕組みが必要となってくるため、これらのサービスの実施についても引き続き検討していきたいと考えている。
◯山口委員 訪問型サービスB、C、Dについては、地域の民生委員を含め自治協議会や市民局など、さまざまな部署が連携しなければ実施できないと思われるため、関係局会議を開き、高齢者が地域で安心して生活できる方策を検討されたい。また、今後、ホームヘルパーなど介護職員が不足すると言われているが、何か対策を考えているのか。
△保健福祉局長 介護人材の確保については、国の福祉人材確保指針において、一義的には都道府県の役割と位置づけられており、市町村は都道府県と連携して、従事者に対する研修など人材の質的向上を支援することとされている。本市においても、従前より介護サービス従事者などを対象とした研修を実施していたが、深刻化する介護人材不足の問題に対し、より積極的な取り組みを進める必要があると考え、27年度から福岡県の地域医療介護総合確保基金を活用し、介護人材就労支援事業として、合同就職面談会や有資格者で働いていない人に対する就労支援研修を実施し、介護人材定着支援事業として、就職して間もない従事者に対する事業所への定着を支援するための研修を実施しているところである。さらに、平成29年4月開始の新総合事業実施に向け、28年度より生活援助サービスを提供する人材の養成研修も実施しており、今度とも、介護現場で働く人材の裾野の拡大に取り組んでいきたいと考えている。
◯山口委員 国の調査では、2025年にはホームヘルパーが全国で38万人不足するという予想も示されており、この38万人を本市の人口で割り戻すと約2,000人不足することになる。あと7年間でこの人数が確保できるよう補助や講習を十分に行うなど、今から準備を始められたい。次に、地域包括ケアシステムのおくれについて、介護保険料を低く抑えるためにも、地域が今後の介護事業に大きくかかわらなければ、先が見通せない状況になると思われる。中でも地域ケア会議が大事であると言われているが、地域ケア会議とはどのような内容で、誰が参加して行われるのか。また、その会議は各区に設置されているのか。27年度の状況と、そこからどのような課題が見えてきているのか。
△保健福祉局長 地域ケア会議については、高齢者が住みなれた地域で暮らしていくための個別の支援策やネットワークづくり、地域課題の発見などについて意見交換や検討を行っているものである。会議には支援の対象となる本人やその家族、医療関係者、介護サービス事業者、社会福祉協議会、地域団体、いきいきセンターや行政の職員などが議題に応じて参加している。地域ケア会議は各区に設置しており、個別、小学校区、おおむね中学校区及び区の階層別に開催しており、27年度の7区での会議開催数は合計369回である。地域ケア会議の開催を通して見えてきた課題としては、在宅で医療を受けることができる体制の整備、介護に従事する人材の確保、介護予防の充実を行うことなどの必要が挙げられる。また、地域ケア会議を運営する上での課題としては、個別の地域ケア会議で見えてきた潜在的なニーズに沿って、他の階層の会議でも支援方策を検討し、政策形成につなげていくことや、各階層での協議内容の情報共有を進める必要があることなどが挙げられる。
◯山口委員 地域包括ケアシステムは、モデル事業として3年前に中央区と東区でスタートしたが、今のところ他の5区では目立った動きがなく、ここをしっかり取り組まなければ次の段階に進めない。東区の場合であればこれまで個別ケア会議を18回開催し、消費者被害防止や単身認知症高齢者の地域見守りなどを協議している。また、医療介護連携として1中心病院と周りの複数校区が参加してケア会議を開催しているが、どのような内容なのか。
△保健福祉局長 東区の医師会や在宅医療に取り組む医療機関においては、20年ほど前から、地域完結型の医療を目指し、病院と診療所の連携を進めており、平成21年には、福岡東在宅ケアネットワークが発足し、多職種連携の活動が進むなど実績を重ねている。また、地域包括ケアの実現に向け、25年度に本市が実施した退院時連携のモデル事業をきっかけに、東区保健福祉センターが、東区医師会や福岡東在宅ケアネットワークとの連携を深め、介護事業者や司法関係者等の専門職団体などの新たな関係者を加え、区の地域特性を踏まえた独自のネットワークに発展したものである。さらに、医療、介護の関係者に加え、地域との連携を目指し、区を4つのブロックに分け、ブロックごとに顔の見える関係づくりを進めている。特に取り組みが進んでいる箱崎周辺の5校区では、27年度から、医療機関、介護事業者、自治協議会などの地域団体役員が集まって地域ケア会議を開催しており、高齢者の地域での見守りや医療介護などの関係機関と地域の具体的な連携のあり方に関する意見交換が行われるなど、これまで主に専門職間で行われてきた医療と介護の連携や顔の見える関係づくりについて、地域も含めた共有が進められている状況である。
◯山口委員 他の地域でも、このような連携事業を開始しようと考えているのか。
△保健福祉局長 東区の箱崎周辺5校区の取り組みについては、地域特性を踏まえた地域包括ケアの具体的な姿が見えつつある好事例の一つと考えているが、この事例については、東区において長年醸成された医療や介護などの社会資源や多職種間の相互理解を基盤に進められているものであり、各地域における地域包括ケアの仕組みづくりについては、それぞれの地域特性を尊重しつつ個別のアプローチにより進めていくことが必要と考えている。現在、地域包括ケアを支える重要な要素の一つである各区での在宅医療提供体制について、市医師会や区医師会と検討を進めており、また、医療や介護などの専門職と住民が、ともに地域の課題などについて意見交換を行う地域ケア会議の開催が広がっている状況である。今後も、関係機関との検討状況や地域ケア会議での意見交換を踏まえ、それぞれの地域の実情に沿った医療、介護の連携や、多様な主体が参加した支え合いの仕組みづくりを進めていきたいと考えている。
◯山口委員 在宅医療のためには、医師、介護士、薬剤師などのほかに、介護職としてケアマネジャーなどが参加し、多職種連携のチームワークが必要である。自宅で亡くなっている人の割合は、1位が横須賀市の22.9%、次いで葛飾区が21.7%と聞いているが、本市は何%か。また、在宅医療を何人が利用しているのか。
△保健福祉局長 本市における在宅医療の状況について、在宅医療の中心的役割を果たしている医療機関として、在宅療養支援診療所が241カ所、在宅療養支援病院が15カ所あり、主にこれらの医療機関の医師を核として、訪問看護師や薬剤師、ケアマネジャーなどが連携し、患者の在宅療養生活を支えている。本市における自宅で亡くなった人の割合は26年度で12.2%であり、全国平均12.8%とほぼ同水準である。また、本市において在宅医療を受けている患者数については、福岡県が策定中の地域医療構想の中では、訪問診療を受けている患者数は8,724人と推計されている。
◯山口委員 本市には在宅医療を提供している医療機関が多いが、市民に十分認知されていないと感じる。市民が在宅医療を希望する場合、どこに相談すればよいのか。また、在宅医療を周知するためにどのような手だてがあるのか。
△保健福祉局長 在宅医療を希望する場合については、かかりつけの医療機関または最寄りの地域包括支援センターへの相談をお願いしている。本市としては、在宅医療について広く市民への周知を図るため、現在、医師会や関係団体と協力して、各区単位でシンポジウムや講演会を開催し、本市の在宅医療の現状も含め広く啓発に努めている。今後ともますます高まることが予想される在宅医療へのニーズを踏まえ、医療や介護が必要となっても円滑に在宅での療養生活に移行できるよう、より積極的な啓発に努めていきたいと考えている。
◯山口委員 ぜひ周知には力を入れてほしいと意見を述べておく。28年度市政に関する意識調査結果の速報版を見たが、在宅医療を推進する必要があると思うかという問いに対し、そう思うと答えた人が72.5%に上り、さらに、どのような取り組みや体制整備が必要かという問いには、約6割の人が、急変時に対応してもらえる医療体制、次いで約5割の人が、家族の負担軽減と金銭的な軽減を望んでいることがわかる。在宅医療について、まずは周知に努めるとともに、市民がこの医療制度も選択できるよう、専門医の紹介や介護制度を含めた費用負担等について十分に説明し、安心感が持てるようにしてほしい。本市における介護事業について特に重要なことは、元気高齢者をいかに増加させるかだと思うが、今後の地域との連携について、市長の所見を伺う。
△市長 これから本市が迎える超高齢社会においては、誰もが住みなれた地域で生き生きと暮らすことができる、支え合い、助け合いのまちづくりを進めることが必要である。そのためには、高齢者が健康で元気に社会参加できることが非常に重要であると考え、本市においても、生活習慣病や認知症などの予防を含めた介護予防に取り組んできたところである。また、今般策定した保健福祉総合計画においては、健康寿命の延伸を大きな柱に掲げており、特に介護予防に関しては、住民主体で参加しやすく、地域に根差した介護予防を推進していくこととしたところである。今後とも、元気な高齢者が活躍できるまちを目指し、行政だけではなく、地域や企業、団体など多くの人々とともにチャレンジしていきたいと考えている。