2015.10.13:平成27年決算特別委員会
◯山口委員 区役所における維持管理経費の確保について尋ねていく。まず、26年度決算において、一般会計における消費的経費の決算額及びその主な内訳はどのようになっているのか。また、25年度の一般会計における消費的経費の決算額と比較してどのように増減しているのか。
△財政局長 一般会計における消費的経費の26年度決算見込み額は約4,121億円となっており、その主な内訳は、生活保護費や社会福祉費等の扶助費が約1,942億円、小中学校管理費等の物件費が約805億円、人件費が約769億円などとなっている。また、一般会計における消費的経費の26年度決算見込み額は、25年度決算額と比較して約183億円の増額となっている。
◯山口委員 消費的経費については、前年度と比較して増額とのことであるが、26年度予算編成で他の部局は財政局から一律にマイナスシーリングを要求されていると思っているが、実際はどうなのか。26年度の本市の予算編成の仕組みはどのようになっていたのか説明を求める。
△財政局長 市民ニーズを的確に把握し、新たな課題に効果的、効率的に対応していくため、より現場に近い局区の権限と責任において、みずからの意思判断に基づく自律的、能動的な経営資源の活用が求められることから、26年度当初予算編成に当たっては、各局区において自律的にビルド・アンド・スクラップに努め、優先順位の最適化を図りながら、要求上限の範囲内で予算見積もりを行うこととしたものである。
◯山口委員 認識が他の部局とは違うようである。各局区の自律経営とのことであるが、本市が抱える資産を有効に活用し、市民にしっかりと還元していくためには、アセットマネジメントによる長寿命化の視点や適切な維持補修が欠かせないと思う。そのような中、維持管理経費も含めて、必要な財源の確保は可能なのか。財政局の見解を伺う。
△財政局長 本市の財政については、依然として楽観できる状況にはないことから、限られた財源を効果的に活用できるよう、より現場に近い局区の権限と責任において、自律的、能動的な経営資源の活用が図られるよう、局区への適切な財源配分に取り組んでいる。また、必要な施策、事業に要する財源を確保するため、費用対効果や優先順位を厳しく吟味し、施策、事業の見直しを図るとともに、事業手法、事業内容や執行方法の工夫などによる行政コストの縮減や行政運営の効率化に向けた不断の見直しに取り組んできている。
◯山口委員 財政局は適切に財源配分に取り組んでいるとのことだが、これより現場を抱える、市民要望と直結した事業局に聞いていく。区役所における維持管理経費の26年度決算額と22年度決算額との比較では幾らの増減があるのか。道路、河川、下水道の決算について示されたい。また、区役所からの予算要求額がどの程度の割合で予算化されたか、あわせて尋ねる。
△道路下水道局長 区役所における維持管理経費の26年度及び22年度決算額については、道路について、26年度が約11億5,900万円、22年度が約12億9,900万円で、差し引き約1億4,000万円の減。河川については、26年度が約1億6,000万円、22年度が約1億7,900万円で、差し引き1,900万円の減。下水道については、26年度が約9億6,300万円、22年度が約8億9,800万円で、差し引き約6,500万円の増となっている。次に、26年度における区役所からの維持管理経費の予算要求額については、道路に関する予算要求額は約12億5,600万円であり、当初予算額は要求額の約97%となっている。河川に関する予算要求額は約2億300万円であり、当初予算額は要求額の約75%となっている。下水道に関する予算要求額は約9億2,900万円であり、ほぼ同額を予算化している。
◯山口委員 区役所における事業費の推移は今聞いたとおりだが、都市インフラ施設の老朽化や市民ニーズの高まり、高齢社会を迎えている現状を考えると、市民からの要望はふえてきているのではないかと想像する。道路の要望件数について、22年度と26年度の比較はどうか。また、どのような要望内容があるのか。
△道路下水道局長 道路の維持管理に関する市民からの各区への要望件数の比較については、22年度7,456件、26年度7,966件で510件の増となっている。また、要望の主な内容としては、道路のわだちやくぼみの補修、側溝ぶたの割れやがたつきの補修、カーブミラーやガードレールなどの交通安全施設の補修などである。
◯山口委員 道路の管理延長は伸びているにもかかわらず、予算は減少している。各区役所の事業費ベースでは削減されているが、市民要望への対応についてはどのような努力を行っているのか。
△道路下水道局長 市民要望への対応については、管理施設が増加するとともに施設の老朽化も年々進み、市民からの要望が増加する中、限られた予算を効果的に活用できるよう、各区において、危険性や緊急性の高い箇所から優先的に対応している。具体的には、道路の破損など、市民生活の安全安心に影響があり、早急な対応が必要な箇所については、職員や委託業者で応急措置を行っている。また、大規模な補修が必要な箇所については、暫定的に応急措置や安全対策を施した上で機能を保持し、予算の確保ができ次第、本格的な補修工事を行っている。なお、道路照明灯を企業などと共同で管理する灯りのパートナー制度を推進するなど、歳入確保にも努めている。
◯山口委員 次に、住宅都市局に尋ねる。区役所における公園の維持管理経費について、26年度決算額と22年度決算額との比較では幾らの増減があるのか。
△住宅都市局長 区役所が所管している公園の維持管理経費の決算額については、26年度決算額は約10億9,500万円、22年度決算額は約9億7,800万円となっており、22年度決算額に対し、約1億1,700万円の増額となっている。
◯山口委員 増額との答弁であるが、公園の除草などの維持管理経費について、樹木管理が十分にできていない状況である。どのように予算編成したのか。また、区役所からの予算要求額がどの程度の割合で予算化されたのか、あわせて尋ねる。
△住宅都市局長 公園の維持管理経費の予算については、公園の管理面積がふえたことや人件費が上昇したことなどを加味し、樹木管理経費や施設管理経費等を積み上げて予算編成を行っている。予算の執行については、遊具など施設の点検、修繕など、安全管理に必要な優先度の高いものや、光熱水費などの固定的にかかる経費が必要となる中、除草などの管理頻度を保つために、固定的な経費を削減する努力をしているが、管理頻度の維持が困難になってきている状況である。26年度の区役所からの予算要求額は13億3,900万円であり、当初予算額は要求額の約81%となっている。
◯山口委員 確かに遊具の修繕は必要であり、危険な公園にしてはいけないが、本年度、夏休みを過ぎて一度も草刈りしていない公園がある状況をどう思うのか。8月26日、教育委員会の行事で訪れた南市民センターの横にある南区の塩原中央公園は雑草が生い茂っていた。福岡の玄関である県庁の真横にある博多区の千代東公園もフェンスを越えて雑草が茂っていた。雑草が生い茂っている公園はほかにもたくさんあるが、市民の憩いの場であり、子どもたちの遊び場である公園が、こんな状況では話にならない。草が伸びることで環境が悪くなり、また、見通しが悪くなることで防犯上も問題があるのではないか。公園の草刈りは毎年必要な作業であり、1年置きとはできない。だからこそ予算が必要なのである。市民から、自分たちの税金を地域の安全のためにしっかり費用をつけて作業してほしいと言われ続けている。予算に限りがあるのは理解できるが、このような状況を踏まえ、柔軟な対応ができるような工夫ができないのか、所見を伺う。
△住宅都市局長 公園を安心して利用していただくためには、遊具など公園施設の安全確保を初め、除草や剪定などを適切な時期に行うことが必要だと考えている。公園の維持管理については、危険性や緊急性の観点から優先順位をつけて対応することや、簡易な作業は必要性に応じて区役所の職員がみずから行うなどの対応をしている。また、市民との共働の視点から、公園の管理や運営を地域がみずから行えるような取り組みを推進するとともに、公園駐車場の有料化や民間活力の導入などの歳入確保の取り組みを進めていく。
◯山口委員 ヤギの放し飼いの話を紹介する。ここ数年、横浜市や北九州市の事業者が、レンタルリースで1頭当たり1万5,000円で貸しているそうである。ヤギは雑草のえり好みも少なく、1日3.5キログラムの草を食べるそうである。除草には適した動物であるとの学者の指摘もある。現在の出動場所は国立病院やUR、大学などの草刈りで、何十匹も活躍している。これからは事業者の知恵も活用し、安価な除草もぜひ検討してほしい。各区役所からの予算要求は、まず事業局に上がり、査定され、今度は財政局との協議で減額されているのが現状である。区役所の地域整備部は、地元の町内会長など直接、市民と接していて、これまで毎年行われていた公園の除草や水路の清掃、そして傷みが激しい道路舗装の打ちかえなどが区役所へ要望されても、予算がないからできない、来年度になりますなどと対応し、やかましく怒られている光景を見た議員は私だけではないと思う。区役所の職員は本当にかわいそうである。これから次期予算編成が始まるが、市民が生き生きと生活できる場づくりは行政の責務であり、このような予算減額で対応していることがあってはならないと考える。住みやすさ上位にランクしている本市として、道路や公園の維持管理など、市民に身近な区役所事業への予算配分を強化すべきだと思うが、貞刈副市長の所見を伺う。
△貞刈副市長 本市の財政については、社会保障関係費が引き続き増加するなど、依然として楽観できる状況にはないが、市民生活に必要な行政サービスを確保しつつ、重要施策の推進や新たな課題に対応するために必要な財源を確保すべく、歳入の積極的な確保や経常的な経費の見直しに取り組んでいるところである。このような状況の中、道路や公園等の維持管理などの区関連事業に係る予算の編成に当たっては、市民生活の総合的な窓口として市民、地域に密接に関連する業務を行う各区の意見も踏まえ、その反映に取り組むこととしてきたところである。今後とも限られた財源の効果的な活用を図るため、局区の予算執行の実情に応じた財源配分に取り組み、局区の権限と責任において適切な施策、事業の執行が図られるよう、さらに努めていく。
◯山口委員 副市長から、各区の意見を踏まえ、施策を実行していくとの答弁があったが、26年度決算の不用額が一般会計で244億円もあり、多過ぎと思う。仮に予算流用で区役所の地域整備部に1,000万円ずつでも上乗せできたら、結構な事業が可能である。財政局は要求上限の範囲などとかたくなな姿勢をとり続けるのではなく、柔軟に次期予算編成から区役所予算に反映させるべきだと強く意見を述べておく。次に、入学準備金と高校入学資金について伺う。まず、就学援助の入学準備金について、教育委員会が政令指定都市初の前倒しを26年度に決断し、実施していることに、大変多くの家庭から喜びの声が届いており感謝する。そこで、早期に就学援助を申し込み、認定された人数を小中学生別に尋ねる。
△教育長 平成27年1月に就学援助の申請を受け、認定を行い、小中学校入学前の3月に入学準備金を支給した人数については、小学校入学予定者が1,407人、中学校入学予定者が1,733人の計3,140人である。
◯山口委員 これだけ多くの3,000人を超える児童生徒の保護者の方々が、必要な時期に支給されて大変喜んでいる。次に、支給された後、本市の学校に入学する前に転出した人数は何人だったのか。
△教育長 入学準備金を受給した後、小中学校に入学する前に市外に転出した人数については、小学校入学予定者1人、中学校入学予定者2人の計3人である。
◯山口委員 転出したので本市に返金しなければならないが、返金した人数とその割合を尋ねる。
△教育長 入学前に市外に転出した3人については、既に全員から入学準備金の返納を受けており、その割合は100%である。
◯山口委員 全て処理されており安心した。高校の入学に際しても入学準備金のような制度が本市にあると聞いているが、その概要を尋ねる。
△教育長 高等学校等の入学費用を支援する制度であるが、公益財団法人福岡市教育振興会の奨学金において、入学資金の貸与を行っている。貸与額は公立高校5万円、私立高校10万円で、入学後に入学先を確認の上、4月末に貸与している。
◯山口委員 26年度は何人に奨学金を貸与したのか。公立、私立別に、総額もあわせて尋ねる。
△教育長 26年度の福岡市教育振興会奨学金の公立、私立別の貸与人数と貸与総額であるが、公立は1,121人で2億4,584万8,000円、私立は1,335人で5億987万円である。
◯山口委員 2,456人と大変多くの人が利用している。次に、26年度は入学資金を何人に貸与し、その総額は幾らか、公立進学者、私立進学者別に尋ねる。また、その合計人数は市内中学校の卒業生に対して何%になるのか。
△教育長 26年度の入学資金の公立、私立別の貸与人数と貸与総額であるが、公立は367人で1,835万円、私立は470人で4,700万円である。また、その合計人数は837人で、25年度末の市内中学校の卒業生総数1万3,352人の約6.3%である。
◯山口委員 6.3%に上るということは、市民から期待されている制度であると思う。入学資金についても、制度の名称である福岡市教育振興会奨学金の入学資金にあるとおり、4月の入学式前に貸与することが望ましいと考えるが、所見を伺う。
△教育長 入学資金の貸与時期については、教材費や制服代など、高校入学に係る資金需要が主に入学式前に発生することから、議員指摘のとおり、入学式前など時期を前倒しして貸与することが望ましいと考えている。
◯山口委員 支給する時期が変わるだけで対象の各家庭は格段に進学の準備がよくなる。学びたい生徒、学生に対し最大の応援を本市は担ってほしい。保護者の所得に関係なく、次の時代を担う子どもたちには大いに学んでもらいたい。入学準備金のときは実現までに、私の調査開始から2年経過、本会議での質問から約1年かかり、今回、即、手を打つと教育委員会の評価は上がる。教育委員会も前倒しが望ましいと考えており、奨学金の入学資金も手続を前倒しして、入学式前、または4月の早い時期に貸与することができないか。
△教育長 入学資金については、公立と私立で貸与額が異なることから、高校入学後に入学先を確認した上で4月末に貸与している。貸与時期の前倒しに当たっては、入学先の確認方法を検討するとともに、手続全般の変更、システムの改修、事務量の増加に対応するための体制の整備、さらに前倒しに必要な財源の確保などの諸課題がある。そういったさまざまな課題を一つ一つクリアできるよう、これまで十分に検討を重ねてきた結果、おおむね対応できる見通しが立ったところである。各家庭の資金需要に配慮し、高校入学のための準備が円滑に進められるよう、早急に貸与時期の前倒しを実現したいと考えている。
◯山口委員 大いに期待している。よろしくお願いする。次に、高齢社会の課題と本市の施策について尋ねる。国は、高齢者が住みなれた地域で安心して生活を続けることができる地域包括ケアシステムを、団塊の世代が75歳以上となる2025年、平成37年をめどに各地域で定着させていく方針である。医療や介護、生活支援などさまざまな視点からの取り組みが必要であるが、残された時間は10年である。そこで、本市の準備、対策が予定どおり進められているのか質問していく。まず、26年度の取り組みと成果を尋ねる。
△保健福祉局長 地域包括ケア実現に向け、26年度においては、それまで関係団体等と行ってきた検討の中で出された課題に対し、医療と介護の専門職の連携強化を図る医療介護の連携強化と、地域で高齢者を支える仕組みづくりを進める高齢者地域支援の二つのモデル事業を区保健福祉センターが中心となって実施してきた。また、地域包括ケアの2025年の目指す姿や、27年度から3年間の関係団体、行政による具体的な取り組みなどを整理した地域包括ケアアクションプランを作成した。成果としては、モデル事業により医療、介護分野の専門職の連携強化や高齢者を支える地域づくりの取り組みを全ての区で開始したこと、アクションプラン作成により関係団体等と地域包括ケアの目指す姿や取り組みの方向性の共有ができたことも大きいと考えている。
◯山口委員 地域包括ケアの実現に向け、住宅の問題を取り上げる。平成27年の全国の65歳以上の高齢者の人数は、全人口比で26%を超えており、10年後には約300万人ふえる。また、本年9月、全国で80歳以上が1,000万人を突破し、着実に増加している。本市の10年後の場合、75歳以上の人数は8万3,000人増加する。伸びが一番大きな人口区分であるが、高齢者の在宅で生活する人数と施設で生活する人数、割合はどのように考えているのであろうか。まず、現在の状況について伺う。高齢者が安心して生活できる住宅としてサービス付き高齢者向け住宅があるが、その全体整備目標と26年度の整備数、あわせて全体整備目標に対する進捗状況を尋ねる。
△住宅都市局長 サービス付き高齢者向け住宅の整備目標については、高齢者の居住の安定確保に関する法律に基づき、平成25年1月に策定した福岡市高齢者居住安定確保計画において、有料老人ホームを含めたサービス付き高齢者向け住宅等の29年度末時点の供給目標値を約6,100戸と定めている。また、26年度の整備については、有料老人ホームを939人分、サービス付き高齢者向け住宅を713戸、合計1,652戸を供給している。26年度末時点におけるサービス付き高齢者向け住宅等の供給量は7,769戸となっており、既に29年度末時点の供給目標値を上回っているため、現在、策定を進めている福岡市住生活基本計画において、28年度末までに新たな目標値を定める予定としている。
◯山口委員 保健福祉局所管で26年度において、介護保険制度での施設整備数は何人分だったのか。
△保健福祉局長 介護保険制度での施設整備数であるが、26年度中に特別養護老人ホームを329人分、認知症対応型共同生活介護、いわゆる高齢者グループホームを90人分整備し、26年度末までの合計で特別養護老人ホームは5,126人分、高齢者グループホームは1,777人分となっている。
◯山口委員 二つの局を合計すると、制度の違いはあれ、26年度末で何らかのサービスが附帯した施設で暮らす高齢者は約1万9,000人になる。施設入居できる高齢者の割合は高齢者全体の約6%であり、残りの人は大半が自宅で暮らすことになる。単身または夫婦ともに高齢者の世帯が、施設に移り住むと空き家が増加することになるが、何か対策を考えているのか。
△住宅都市局長 空き家対策については、市民に対し、空き家の適正管理に関する周知、啓発を行うとともに、市民から空き家の管理や活用についての相談があった場合は、住宅に関する市民の相談窓口として、市役所本庁舎内に設置している住宅相談コーナーにおいて、宅地建物取引主任者やファイナンシャルプランナーなどの専門家による特別相談や、住宅の管理代行を行っている団体の紹介等を行っている。
◯山口委員 空き家対策はとても大事である。民間でカフェにするなど、いろいろな形態が各自治体で見受けられる。今後とも周知に力を入れてほしい。そして、昨今、国において、利用を促進する目的に、リバースモーゲージ制度が見直されようとしている。この制度は、土地や家屋を所有していても年金や預貯金が少ないことで生活に不安を感じている高齢者のために、現在住んでいる土地と建物を担保に生活資金を低金利で貸し付けることにより、自立した在宅生活を支援するもので、もし死亡等があった場合には、自宅を売却して精算する制度である。これまで他の地方自治体で導入した実績があるが、本市の状況はどうなのか。また、本制度の市民への周知についてはどうなのか。
△保健福祉局長 リバースモーゲージ制度については、本市では福岡県社会福祉協議会において、低所得の高齢者世帯に対し、不動産担保型生活資金、いわゆるリバースモーゲージを活用した生活資金の貸し付けを実施している。福岡市社会福祉協議会を窓口として現在、申し込みを受け付けている。また、市民に対する制度の周知については、制度案内のチラシを情報プラザや各区役所で配布しているほか、市や社会福祉協議会のホームページでの広報を行っている。
◯山口委員 リバースモーゲージ制度は、年間、五、六件と伺っており、もっと制度を知らせる必要がある。整備された住宅に住める人はいいが、希望者全員が入居できるわけではないため、各地域において今の住まいで、より長く見守りも含めサポートしていく体制が必要になる。そこで、相談体制について尋ねる。高齢者の地域における身近な相談窓口として、おおむね中学校区単位で開設されている、いきいきセンターふくおかについて、ここ3年間の相談件数の推移、相談の対象となった高齢者及び相談者の傾向はどうか。
△保健福祉局長 いきいきセンターにおける過去3年間の延べ相談件数は、24年度12万1,020件、25年度12万1,966件、26年度11万9,526件である。また、相談の対象となった高齢者の実数は、24年度2万8,207人、25年度2万7,941人、26年度2万7,686人である。次に、相談の対象となった高齢者の傾向は、約6割が相談時点で介護認定を受けていない人である。また、介護認定を受けている人の中では比較的軽度な人からの相談が多くなっている。いきいきセンターへの相談については、本人と家族からが約6割、次いでケアマネジャー、医療機関、民生委員の順となっている。
◯山口委員 年間十一、二万件、物すごい相談量である。また、比較的、介護制度の入り口の相談が多いようであるが、これからは深刻な相談がふえていくように思えてならない。センターに勤務する職員は日々、相談対応に追われており、年休を取得するのも難しいという話を聞いているが、いきいきセンターの相談体制は十分なのか。過度な勤務体制になっていないのか。センターは事業者を公募して運営を行っているので、そこまでは役所として対処できないと言われるかもしれないが、職員は雇用主に言いにくいことなのである。今後もしっかり運営するため、何か対策がとれないのか。
△保健福祉局長 いきいきセンターの職員体制であるが、国の基準に基づき、高齢者人口3,000人から6,000人に対して保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員の3名を配置している。また、高齢者人口が6,000人を超えた場合、2,000人ごとに1名を追加配置している。いきいきセンターについては、27年度に39カ所から57カ所に増設するとともに、土曜日の開設を始めている。職員の勤務状況が大きく変わっていることから、まずは現在の運営状況を把握しているところである。
◯山口委員 運営状況を調べ、改善に取り組むよう要望しておく。次に、25年度は東区、中央区で、26年度は全区でモデル事業として実施されている医療と介護の連携強化モデル事業と高齢者地域支援モデル事業について、事業の概略と課題を尋ねる。また、27年度からどのように取り組まれているのかあわせて尋ねる。
△保健福祉局長 医療介護の連携強化モデル事業については、医療、介護サービスの切れ目ない一体的な提供を行うためには関係する専門職の連携が重要であることから、専門職間のネットワークの構築や課題の共有を行うための会議、研修会などを実施するとともに、退院時の在宅生活への移行をスムーズに行うための退院時連携の手引を作成し、関係者への周知を進めてきた。この取り組みにおける主な課題としては、専門職や市民にとって病院退院時に在宅療養という選択肢が一般的なものとなっていないことや、在宅支援にかかわる多くの専門職の間で情報を共有する仕組みが整っていないことなどが挙げられる。27年度からは、26年度の介護保険改正において制度的に位置づけられた地域ケア会議を地域や全市レベルなど各階層に設置し、この会議の場で課題把握や解決策の検討、連携の仕組みづくりなどを進めているところである。また、保健、福祉、医療に関する情報を一元的に集約管理する情報プラットフォームの構築と、その効果的な活用手法の検討などの取り組みを進めている。次に、高齢者地域支援モデル事業については、高齢者の在宅生活を継続するには、日ごろからの見守りなど、地域の方々による支え合い、助け合いが重要となることから、地域と区役所が地域の高齢者の課題について意見交換を行い、それぞれの地域の実情に合わせた取り組みを26年度末までに市内19校区で実施してきた。この取り組みにおける主な課題としては、地域の事業者やボランティアグループなどの人材や資源を把握し、それらを生かした継続的な取り組みとしていくことが必要となっていることなどが挙げられる。27年度からは、地域の理解と協力を得ながら、26年度までのモデル事業実施校区以外の校区へ取り組みを広げているところである。
◯山口委員 医療と介護の連携強化モデル事業については、時間の都合上、今回は質問をやめ、高齢者地域支援モデル事業について尋ねる。26年度は市内19校区で取り組んでいるとのことだが、地域とどのように合意形成し、取り組んでいるのか。また、住民への周知に力を入れる必要があり、今後は全ての校区で地域と区役所による高齢者の課題に関する意見交換をスタートさせてほしいが、どのようなスケジュールで進めていくのか、あわせて尋ねる。
△保健福祉局長 高齢者地域支援モデル事業の地域内での合意形成については、地域と区役所との意見交換の場において、町内ごとの高齢化率などの現状や高齢者の困り事などの課題を共有することにより、それぞれの地域の特性に応じた主体的な取り組みの必要性について合意形成が図られていると認識している。地域における具体的な取り組みとしては、見守り支援マップの作成、地域カフェの立ち上げや健康づくりウオーキングなどが行われている。また、地域と区役所による高齢者の課題に関する意見交換については、小学校区レベルの地域ケア会議として設置を進めている高齢者地域支援会議や、各区保健福祉センターと自治協議会などの校区団体で実施する校区保健福祉事業懇談会などにおいて、29年度末までに市内全ての校区で意見交換を実施することを目指している。
◯山口委員 先ほどの答弁で、モデル事業の取り組みから見えてきた課題として、地域の事業者やボランティアグループなどの人材や資源を把握し、それらを生かした継続的な取り組みとしていくことが必要とのことである。地域での活動が活発になってきた場合、介護士や保健師、ケアマネジャーやいきいきセンターの職員などの専門職や地域の事業者が地域の活動をサポートすることが必要になってくるのではないかと考えるが、所見を伺う。
△保健福祉局長 地域における活動への専門職や事業者によるサポートについては、地域や全市レベルなど各階層に設置する地域ケア会議に専門職や事業者、地域住民などが参加し、地域課題やその解決方法の検討を進めることを通して、それぞれの顔の見える環境をつくり、専門職や地域の事業者による地域活動へのサポートにつなげていきたいと考えている。
◯山口委員 本市には高齢化が進んでいる、高齢者が少ない、単身世帯が多い、集合世帯が多いなど、地域で違いがある。地域による支え合い、助け合いの取り組みを全市に広げていくためには、区の垣根を越えて、似通った地域特性の校区代表などが一緒に協議するなどの機会の場を設けてはどうかと考えるが、所見を伺う。
△保健福祉局長 25、26年度のモデル事業の実施を踏まえ、取り組みを他の校区へ広げているところである。議員指摘のとおり、区を越えて取り組み事例を共有することは意義あるものと考えている、現在、各区での自治協議会代表者の定例会などにおいて、モデル事業実施校区での取り組み事例について情報提供や意見交換を行っているが、今後は保健福祉局で開催している地域包括ケアフォーラムや市民局の自治協議会サミットなどの場で活動事例報告を行うなど、区の垣根を越えて事例を共有できる機会をふやしていきたいと考えている。
◯山口委員 ぜひ取り組みをお願いしておく。次に、在宅での24時間365日の切れ目ないサービスを提供するための地域密着型サービスについて尋ねる。介護制度の中で8種類もある地域密着型サービスの中で、今年度はどの事業を募集しているのか。また、期待されているとおりの応募があっているのかあわせて尋ねる。
△保健福祉局長 地域密着型サービスを行う事業者の募集については、地域密着型サービス8種類のうち、計画的に整備を進める必要がある地域密着型特別養護老人ホームや高齢者グループホームのほか、通い、訪問、宿泊のサービスを組み合わせて行う小規模多機能型居宅介護、通い、訪問、宿泊サービスに加えて必要に応じて訪問介護を行う看護小規模多機能型居宅介護、定期的な巡回訪問等を行う定期巡回・随時対応型訪問介護看護の5種類について、第6期介護保険事業計画に基づき募集を行っている。小規模多機能型居宅介護及び看護小規模多機能型居宅介護については、例年より多く応募があっているものの、計画数には満たない見込みとなっている。また、その他のサービスについてはおおむね計画どおりの応募状況である。
◯山口委員 8種類中5種類の募集を行っているが、その応募が計画数に満たない事業があるということは何か問題があると思う。ぜひ課題を見つけ、次の応募のときには改善してほしい。また、今後、地域包括ケアを推進していくためには地域密着型サービスの充実が不可欠と考える。より一層の整備を進めるためにどのように取り組むのか。
△保健福祉局長 在宅生活を支えるサービスとして、地域密着型サービスの充実が重要であると認識している。第6期介護保険事業計画においても、地域密着型サービスの拡充を整備方針としている。今後、より多くの応募をいただけるよう、特に応募条件などについて見直しを検討していきたいと考えている。
◯山口委員 次に、医療分野に関する質問であるが、病院から出される薬について、別の受診のときにお薬手帳を持ってこない高齢者が多いので、福岡市薬剤師会では、節約バックとも言われるお薬バッグを準備し、次に病院に行くときは、今ある全ての薬をバッグに持参してもらうやり方を推奨している。例えば、高齢者乗車券の申請窓口などでお薬バッグを配れないものか。格段に医療費の削減につながる施策と考えるが、所見を伺う。
△保健福祉局長 薬の節約のため福岡市薬剤師会が行ういわゆる節約バッグ運動については、薬の飲み残しや薬剤の重複投与が確認できるとともに、医療費の抑制にもつながる有益な取り組みであると考えている。本市としても、これまでイベント等において節約バッグを配布するとともに、講習会などの機会を活用し、その有効性を周知している。今後とも、福岡市薬剤師会と連携し、節約バッグの普及に向け積極的に取り組みたいと考えている。
◯山口委員 ぜひ普及に取り組んでほしい。地域包括ケアについてさまざまな視点から質問してきたが、それぞれの課題について着実に取り組みを進めていかなければならず、その実現のためには一定の年数がかかると思う。2025年までの地域包括ケアの実現に向けた工程について、保健福祉局の考え方を伺う。
△保健福祉局長 地域包括ケア実現に向けた2025年度までの取り組みについては、まずは2025年の目指す姿や目標などに基づき、27年度から29年度までの3年間の具体的な取り組みなどを整理した地域包括ケアアクションプランを関係団体とともに推進していくことが基本であると考えている。また、その進捗状況を確認しながら、次期介護保険事業計画などの行政計画策定の中で、必要な施策の検討を幅広く行っていきたいと考えている。
◯山口委員 今回の質問では、いずれ直面する、高齢者が住みなれた地域で安心して生活するための地域包括ケアについて問題提起した。さまざまな施策がある中で何をどう組み合わせて、そして地域は何を担うのか、はっきりさせていく必要がある。また、別の視点からは、介護保険料が高いとよく元気高齢者から指摘がある。介護保険を利用していないので意見はもっともであるが、世代間の再配分、つまり若い世代へ負担を肩がわりさせる仕組みはつくってはならないと考える。森田社会保障・人口問題研究所所長が指摘されているとおり、社会保障費用の先送りは極力減少させなければ、若い世代からは悲鳴が上る。住まいも施設も数限りなくつくれるものではない。これからは医療や介護にできるだけ頼らないような意識を持ち、早い段階から健康づくりに取り組む必要がある。高齢者の割合が本市で21%を超える超高齢社会が間もなく到来することを見据え、限りある予算の中でどういう形態が望ましいか、知恵の出しどころである。保健福祉局がリーダーシップを発揮し、これからの超高齢社会に向けて、全庁挙げての取り組みが今こそ必要と思うが、今後の方針について、高島市長の決意を伺い、質問を終わる。
△市長 本市の高齢化率はことしの7月に20%を超え、10年後には24.8%、20年後には28.3%となり、今後、急速に高齢化が進展していく。来たるべき超高齢社会においても生活の質が維持、向上できる持続可能な制度や仕組みを構築していくためには、高齢者が一律に支えられる側になるということではなく、意欲や能力に応じてできるだけ支える側に回っていただき、いつまでも健康で生き生きと暮らすことができる社会を実現することが重要であると考えている。その実現に向け、支える側となる高齢者の方々が生きがいを持って活躍できるように、健康づくりや就労、社会参加の促進に取り組んでいく。一方で、支えられる側となっても、住みなれた地域で安心して生活を続けることができる仕組みをつくることが重要であり、地域、関係機関、行政が一体となった地域包括ケアの実現に向けた取り組みを総合的に進めていく。これから迎える超高齢社会に対応していくためには、保健福祉の分野に限らず、交通や住まい、経済などさまざまな分野での取り組みが重要となり、全庁を挙げてハード、ソフトの両面から持続可能な制度や仕組みの構築に取り組んでいく。
△財政局長 一般会計における消費的経費の26年度決算見込み額は約4,121億円となっており、その主な内訳は、生活保護費や社会福祉費等の扶助費が約1,942億円、小中学校管理費等の物件費が約805億円、人件費が約769億円などとなっている。また、一般会計における消費的経費の26年度決算見込み額は、25年度決算額と比較して約183億円の増額となっている。
◯山口委員 消費的経費については、前年度と比較して増額とのことであるが、26年度予算編成で他の部局は財政局から一律にマイナスシーリングを要求されていると思っているが、実際はどうなのか。26年度の本市の予算編成の仕組みはどのようになっていたのか説明を求める。
△財政局長 市民ニーズを的確に把握し、新たな課題に効果的、効率的に対応していくため、より現場に近い局区の権限と責任において、みずからの意思判断に基づく自律的、能動的な経営資源の活用が求められることから、26年度当初予算編成に当たっては、各局区において自律的にビルド・アンド・スクラップに努め、優先順位の最適化を図りながら、要求上限の範囲内で予算見積もりを行うこととしたものである。
◯山口委員 認識が他の部局とは違うようである。各局区の自律経営とのことであるが、本市が抱える資産を有効に活用し、市民にしっかりと還元していくためには、アセットマネジメントによる長寿命化の視点や適切な維持補修が欠かせないと思う。そのような中、維持管理経費も含めて、必要な財源の確保は可能なのか。財政局の見解を伺う。
△財政局長 本市の財政については、依然として楽観できる状況にはないことから、限られた財源を効果的に活用できるよう、より現場に近い局区の権限と責任において、自律的、能動的な経営資源の活用が図られるよう、局区への適切な財源配分に取り組んでいる。また、必要な施策、事業に要する財源を確保するため、費用対効果や優先順位を厳しく吟味し、施策、事業の見直しを図るとともに、事業手法、事業内容や執行方法の工夫などによる行政コストの縮減や行政運営の効率化に向けた不断の見直しに取り組んできている。
◯山口委員 財政局は適切に財源配分に取り組んでいるとのことだが、これより現場を抱える、市民要望と直結した事業局に聞いていく。区役所における維持管理経費の26年度決算額と22年度決算額との比較では幾らの増減があるのか。道路、河川、下水道の決算について示されたい。また、区役所からの予算要求額がどの程度の割合で予算化されたか、あわせて尋ねる。
△道路下水道局長 区役所における維持管理経費の26年度及び22年度決算額については、道路について、26年度が約11億5,900万円、22年度が約12億9,900万円で、差し引き約1億4,000万円の減。河川については、26年度が約1億6,000万円、22年度が約1億7,900万円で、差し引き1,900万円の減。下水道については、26年度が約9億6,300万円、22年度が約8億9,800万円で、差し引き約6,500万円の増となっている。次に、26年度における区役所からの維持管理経費の予算要求額については、道路に関する予算要求額は約12億5,600万円であり、当初予算額は要求額の約97%となっている。河川に関する予算要求額は約2億300万円であり、当初予算額は要求額の約75%となっている。下水道に関する予算要求額は約9億2,900万円であり、ほぼ同額を予算化している。
◯山口委員 区役所における事業費の推移は今聞いたとおりだが、都市インフラ施設の老朽化や市民ニーズの高まり、高齢社会を迎えている現状を考えると、市民からの要望はふえてきているのではないかと想像する。道路の要望件数について、22年度と26年度の比較はどうか。また、どのような要望内容があるのか。
△道路下水道局長 道路の維持管理に関する市民からの各区への要望件数の比較については、22年度7,456件、26年度7,966件で510件の増となっている。また、要望の主な内容としては、道路のわだちやくぼみの補修、側溝ぶたの割れやがたつきの補修、カーブミラーやガードレールなどの交通安全施設の補修などである。
◯山口委員 道路の管理延長は伸びているにもかかわらず、予算は減少している。各区役所の事業費ベースでは削減されているが、市民要望への対応についてはどのような努力を行っているのか。
△道路下水道局長 市民要望への対応については、管理施設が増加するとともに施設の老朽化も年々進み、市民からの要望が増加する中、限られた予算を効果的に活用できるよう、各区において、危険性や緊急性の高い箇所から優先的に対応している。具体的には、道路の破損など、市民生活の安全安心に影響があり、早急な対応が必要な箇所については、職員や委託業者で応急措置を行っている。また、大規模な補修が必要な箇所については、暫定的に応急措置や安全対策を施した上で機能を保持し、予算の確保ができ次第、本格的な補修工事を行っている。なお、道路照明灯を企業などと共同で管理する灯りのパートナー制度を推進するなど、歳入確保にも努めている。
◯山口委員 次に、住宅都市局に尋ねる。区役所における公園の維持管理経費について、26年度決算額と22年度決算額との比較では幾らの増減があるのか。
△住宅都市局長 区役所が所管している公園の維持管理経費の決算額については、26年度決算額は約10億9,500万円、22年度決算額は約9億7,800万円となっており、22年度決算額に対し、約1億1,700万円の増額となっている。
◯山口委員 増額との答弁であるが、公園の除草などの維持管理経費について、樹木管理が十分にできていない状況である。どのように予算編成したのか。また、区役所からの予算要求額がどの程度の割合で予算化されたのか、あわせて尋ねる。
△住宅都市局長 公園の維持管理経費の予算については、公園の管理面積がふえたことや人件費が上昇したことなどを加味し、樹木管理経費や施設管理経費等を積み上げて予算編成を行っている。予算の執行については、遊具など施設の点検、修繕など、安全管理に必要な優先度の高いものや、光熱水費などの固定的にかかる経費が必要となる中、除草などの管理頻度を保つために、固定的な経費を削減する努力をしているが、管理頻度の維持が困難になってきている状況である。26年度の区役所からの予算要求額は13億3,900万円であり、当初予算額は要求額の約81%となっている。
◯山口委員 確かに遊具の修繕は必要であり、危険な公園にしてはいけないが、本年度、夏休みを過ぎて一度も草刈りしていない公園がある状況をどう思うのか。8月26日、教育委員会の行事で訪れた南市民センターの横にある南区の塩原中央公園は雑草が生い茂っていた。福岡の玄関である県庁の真横にある博多区の千代東公園もフェンスを越えて雑草が茂っていた。雑草が生い茂っている公園はほかにもたくさんあるが、市民の憩いの場であり、子どもたちの遊び場である公園が、こんな状況では話にならない。草が伸びることで環境が悪くなり、また、見通しが悪くなることで防犯上も問題があるのではないか。公園の草刈りは毎年必要な作業であり、1年置きとはできない。だからこそ予算が必要なのである。市民から、自分たちの税金を地域の安全のためにしっかり費用をつけて作業してほしいと言われ続けている。予算に限りがあるのは理解できるが、このような状況を踏まえ、柔軟な対応ができるような工夫ができないのか、所見を伺う。
△住宅都市局長 公園を安心して利用していただくためには、遊具など公園施設の安全確保を初め、除草や剪定などを適切な時期に行うことが必要だと考えている。公園の維持管理については、危険性や緊急性の観点から優先順位をつけて対応することや、簡易な作業は必要性に応じて区役所の職員がみずから行うなどの対応をしている。また、市民との共働の視点から、公園の管理や運営を地域がみずから行えるような取り組みを推進するとともに、公園駐車場の有料化や民間活力の導入などの歳入確保の取り組みを進めていく。
◯山口委員 ヤギの放し飼いの話を紹介する。ここ数年、横浜市や北九州市の事業者が、レンタルリースで1頭当たり1万5,000円で貸しているそうである。ヤギは雑草のえり好みも少なく、1日3.5キログラムの草を食べるそうである。除草には適した動物であるとの学者の指摘もある。現在の出動場所は国立病院やUR、大学などの草刈りで、何十匹も活躍している。これからは事業者の知恵も活用し、安価な除草もぜひ検討してほしい。各区役所からの予算要求は、まず事業局に上がり、査定され、今度は財政局との協議で減額されているのが現状である。区役所の地域整備部は、地元の町内会長など直接、市民と接していて、これまで毎年行われていた公園の除草や水路の清掃、そして傷みが激しい道路舗装の打ちかえなどが区役所へ要望されても、予算がないからできない、来年度になりますなどと対応し、やかましく怒られている光景を見た議員は私だけではないと思う。区役所の職員は本当にかわいそうである。これから次期予算編成が始まるが、市民が生き生きと生活できる場づくりは行政の責務であり、このような予算減額で対応していることがあってはならないと考える。住みやすさ上位にランクしている本市として、道路や公園の維持管理など、市民に身近な区役所事業への予算配分を強化すべきだと思うが、貞刈副市長の所見を伺う。
△貞刈副市長 本市の財政については、社会保障関係費が引き続き増加するなど、依然として楽観できる状況にはないが、市民生活に必要な行政サービスを確保しつつ、重要施策の推進や新たな課題に対応するために必要な財源を確保すべく、歳入の積極的な確保や経常的な経費の見直しに取り組んでいるところである。このような状況の中、道路や公園等の維持管理などの区関連事業に係る予算の編成に当たっては、市民生活の総合的な窓口として市民、地域に密接に関連する業務を行う各区の意見も踏まえ、その反映に取り組むこととしてきたところである。今後とも限られた財源の効果的な活用を図るため、局区の予算執行の実情に応じた財源配分に取り組み、局区の権限と責任において適切な施策、事業の執行が図られるよう、さらに努めていく。
◯山口委員 副市長から、各区の意見を踏まえ、施策を実行していくとの答弁があったが、26年度決算の不用額が一般会計で244億円もあり、多過ぎと思う。仮に予算流用で区役所の地域整備部に1,000万円ずつでも上乗せできたら、結構な事業が可能である。財政局は要求上限の範囲などとかたくなな姿勢をとり続けるのではなく、柔軟に次期予算編成から区役所予算に反映させるべきだと強く意見を述べておく。次に、入学準備金と高校入学資金について伺う。まず、就学援助の入学準備金について、教育委員会が政令指定都市初の前倒しを26年度に決断し、実施していることに、大変多くの家庭から喜びの声が届いており感謝する。そこで、早期に就学援助を申し込み、認定された人数を小中学生別に尋ねる。
△教育長 平成27年1月に就学援助の申請を受け、認定を行い、小中学校入学前の3月に入学準備金を支給した人数については、小学校入学予定者が1,407人、中学校入学予定者が1,733人の計3,140人である。
◯山口委員 これだけ多くの3,000人を超える児童生徒の保護者の方々が、必要な時期に支給されて大変喜んでいる。次に、支給された後、本市の学校に入学する前に転出した人数は何人だったのか。
△教育長 入学準備金を受給した後、小中学校に入学する前に市外に転出した人数については、小学校入学予定者1人、中学校入学予定者2人の計3人である。
◯山口委員 転出したので本市に返金しなければならないが、返金した人数とその割合を尋ねる。
△教育長 入学前に市外に転出した3人については、既に全員から入学準備金の返納を受けており、その割合は100%である。
◯山口委員 全て処理されており安心した。高校の入学に際しても入学準備金のような制度が本市にあると聞いているが、その概要を尋ねる。
△教育長 高等学校等の入学費用を支援する制度であるが、公益財団法人福岡市教育振興会の奨学金において、入学資金の貸与を行っている。貸与額は公立高校5万円、私立高校10万円で、入学後に入学先を確認の上、4月末に貸与している。
◯山口委員 26年度は何人に奨学金を貸与したのか。公立、私立別に、総額もあわせて尋ねる。
△教育長 26年度の福岡市教育振興会奨学金の公立、私立別の貸与人数と貸与総額であるが、公立は1,121人で2億4,584万8,000円、私立は1,335人で5億987万円である。
◯山口委員 2,456人と大変多くの人が利用している。次に、26年度は入学資金を何人に貸与し、その総額は幾らか、公立進学者、私立進学者別に尋ねる。また、その合計人数は市内中学校の卒業生に対して何%になるのか。
△教育長 26年度の入学資金の公立、私立別の貸与人数と貸与総額であるが、公立は367人で1,835万円、私立は470人で4,700万円である。また、その合計人数は837人で、25年度末の市内中学校の卒業生総数1万3,352人の約6.3%である。
◯山口委員 6.3%に上るということは、市民から期待されている制度であると思う。入学資金についても、制度の名称である福岡市教育振興会奨学金の入学資金にあるとおり、4月の入学式前に貸与することが望ましいと考えるが、所見を伺う。
△教育長 入学資金の貸与時期については、教材費や制服代など、高校入学に係る資金需要が主に入学式前に発生することから、議員指摘のとおり、入学式前など時期を前倒しして貸与することが望ましいと考えている。
◯山口委員 支給する時期が変わるだけで対象の各家庭は格段に進学の準備がよくなる。学びたい生徒、学生に対し最大の応援を本市は担ってほしい。保護者の所得に関係なく、次の時代を担う子どもたちには大いに学んでもらいたい。入学準備金のときは実現までに、私の調査開始から2年経過、本会議での質問から約1年かかり、今回、即、手を打つと教育委員会の評価は上がる。教育委員会も前倒しが望ましいと考えており、奨学金の入学資金も手続を前倒しして、入学式前、または4月の早い時期に貸与することができないか。
△教育長 入学資金については、公立と私立で貸与額が異なることから、高校入学後に入学先を確認した上で4月末に貸与している。貸与時期の前倒しに当たっては、入学先の確認方法を検討するとともに、手続全般の変更、システムの改修、事務量の増加に対応するための体制の整備、さらに前倒しに必要な財源の確保などの諸課題がある。そういったさまざまな課題を一つ一つクリアできるよう、これまで十分に検討を重ねてきた結果、おおむね対応できる見通しが立ったところである。各家庭の資金需要に配慮し、高校入学のための準備が円滑に進められるよう、早急に貸与時期の前倒しを実現したいと考えている。
◯山口委員 大いに期待している。よろしくお願いする。次に、高齢社会の課題と本市の施策について尋ねる。国は、高齢者が住みなれた地域で安心して生活を続けることができる地域包括ケアシステムを、団塊の世代が75歳以上となる2025年、平成37年をめどに各地域で定着させていく方針である。医療や介護、生活支援などさまざまな視点からの取り組みが必要であるが、残された時間は10年である。そこで、本市の準備、対策が予定どおり進められているのか質問していく。まず、26年度の取り組みと成果を尋ねる。
△保健福祉局長 地域包括ケア実現に向け、26年度においては、それまで関係団体等と行ってきた検討の中で出された課題に対し、医療と介護の専門職の連携強化を図る医療介護の連携強化と、地域で高齢者を支える仕組みづくりを進める高齢者地域支援の二つのモデル事業を区保健福祉センターが中心となって実施してきた。また、地域包括ケアの2025年の目指す姿や、27年度から3年間の関係団体、行政による具体的な取り組みなどを整理した地域包括ケアアクションプランを作成した。成果としては、モデル事業により医療、介護分野の専門職の連携強化や高齢者を支える地域づくりの取り組みを全ての区で開始したこと、アクションプラン作成により関係団体等と地域包括ケアの目指す姿や取り組みの方向性の共有ができたことも大きいと考えている。
◯山口委員 地域包括ケアの実現に向け、住宅の問題を取り上げる。平成27年の全国の65歳以上の高齢者の人数は、全人口比で26%を超えており、10年後には約300万人ふえる。また、本年9月、全国で80歳以上が1,000万人を突破し、着実に増加している。本市の10年後の場合、75歳以上の人数は8万3,000人増加する。伸びが一番大きな人口区分であるが、高齢者の在宅で生活する人数と施設で生活する人数、割合はどのように考えているのであろうか。まず、現在の状況について伺う。高齢者が安心して生活できる住宅としてサービス付き高齢者向け住宅があるが、その全体整備目標と26年度の整備数、あわせて全体整備目標に対する進捗状況を尋ねる。
△住宅都市局長 サービス付き高齢者向け住宅の整備目標については、高齢者の居住の安定確保に関する法律に基づき、平成25年1月に策定した福岡市高齢者居住安定確保計画において、有料老人ホームを含めたサービス付き高齢者向け住宅等の29年度末時点の供給目標値を約6,100戸と定めている。また、26年度の整備については、有料老人ホームを939人分、サービス付き高齢者向け住宅を713戸、合計1,652戸を供給している。26年度末時点におけるサービス付き高齢者向け住宅等の供給量は7,769戸となっており、既に29年度末時点の供給目標値を上回っているため、現在、策定を進めている福岡市住生活基本計画において、28年度末までに新たな目標値を定める予定としている。
◯山口委員 保健福祉局所管で26年度において、介護保険制度での施設整備数は何人分だったのか。
△保健福祉局長 介護保険制度での施設整備数であるが、26年度中に特別養護老人ホームを329人分、認知症対応型共同生活介護、いわゆる高齢者グループホームを90人分整備し、26年度末までの合計で特別養護老人ホームは5,126人分、高齢者グループホームは1,777人分となっている。
◯山口委員 二つの局を合計すると、制度の違いはあれ、26年度末で何らかのサービスが附帯した施設で暮らす高齢者は約1万9,000人になる。施設入居できる高齢者の割合は高齢者全体の約6%であり、残りの人は大半が自宅で暮らすことになる。単身または夫婦ともに高齢者の世帯が、施設に移り住むと空き家が増加することになるが、何か対策を考えているのか。
△住宅都市局長 空き家対策については、市民に対し、空き家の適正管理に関する周知、啓発を行うとともに、市民から空き家の管理や活用についての相談があった場合は、住宅に関する市民の相談窓口として、市役所本庁舎内に設置している住宅相談コーナーにおいて、宅地建物取引主任者やファイナンシャルプランナーなどの専門家による特別相談や、住宅の管理代行を行っている団体の紹介等を行っている。
◯山口委員 空き家対策はとても大事である。民間でカフェにするなど、いろいろな形態が各自治体で見受けられる。今後とも周知に力を入れてほしい。そして、昨今、国において、利用を促進する目的に、リバースモーゲージ制度が見直されようとしている。この制度は、土地や家屋を所有していても年金や預貯金が少ないことで生活に不安を感じている高齢者のために、現在住んでいる土地と建物を担保に生活資金を低金利で貸し付けることにより、自立した在宅生活を支援するもので、もし死亡等があった場合には、自宅を売却して精算する制度である。これまで他の地方自治体で導入した実績があるが、本市の状況はどうなのか。また、本制度の市民への周知についてはどうなのか。
△保健福祉局長 リバースモーゲージ制度については、本市では福岡県社会福祉協議会において、低所得の高齢者世帯に対し、不動産担保型生活資金、いわゆるリバースモーゲージを活用した生活資金の貸し付けを実施している。福岡市社会福祉協議会を窓口として現在、申し込みを受け付けている。また、市民に対する制度の周知については、制度案内のチラシを情報プラザや各区役所で配布しているほか、市や社会福祉協議会のホームページでの広報を行っている。
◯山口委員 リバースモーゲージ制度は、年間、五、六件と伺っており、もっと制度を知らせる必要がある。整備された住宅に住める人はいいが、希望者全員が入居できるわけではないため、各地域において今の住まいで、より長く見守りも含めサポートしていく体制が必要になる。そこで、相談体制について尋ねる。高齢者の地域における身近な相談窓口として、おおむね中学校区単位で開設されている、いきいきセンターふくおかについて、ここ3年間の相談件数の推移、相談の対象となった高齢者及び相談者の傾向はどうか。
△保健福祉局長 いきいきセンターにおける過去3年間の延べ相談件数は、24年度12万1,020件、25年度12万1,966件、26年度11万9,526件である。また、相談の対象となった高齢者の実数は、24年度2万8,207人、25年度2万7,941人、26年度2万7,686人である。次に、相談の対象となった高齢者の傾向は、約6割が相談時点で介護認定を受けていない人である。また、介護認定を受けている人の中では比較的軽度な人からの相談が多くなっている。いきいきセンターへの相談については、本人と家族からが約6割、次いでケアマネジャー、医療機関、民生委員の順となっている。
◯山口委員 年間十一、二万件、物すごい相談量である。また、比較的、介護制度の入り口の相談が多いようであるが、これからは深刻な相談がふえていくように思えてならない。センターに勤務する職員は日々、相談対応に追われており、年休を取得するのも難しいという話を聞いているが、いきいきセンターの相談体制は十分なのか。過度な勤務体制になっていないのか。センターは事業者を公募して運営を行っているので、そこまでは役所として対処できないと言われるかもしれないが、職員は雇用主に言いにくいことなのである。今後もしっかり運営するため、何か対策がとれないのか。
△保健福祉局長 いきいきセンターの職員体制であるが、国の基準に基づき、高齢者人口3,000人から6,000人に対して保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員の3名を配置している。また、高齢者人口が6,000人を超えた場合、2,000人ごとに1名を追加配置している。いきいきセンターについては、27年度に39カ所から57カ所に増設するとともに、土曜日の開設を始めている。職員の勤務状況が大きく変わっていることから、まずは現在の運営状況を把握しているところである。
◯山口委員 運営状況を調べ、改善に取り組むよう要望しておく。次に、25年度は東区、中央区で、26年度は全区でモデル事業として実施されている医療と介護の連携強化モデル事業と高齢者地域支援モデル事業について、事業の概略と課題を尋ねる。また、27年度からどのように取り組まれているのかあわせて尋ねる。
△保健福祉局長 医療介護の連携強化モデル事業については、医療、介護サービスの切れ目ない一体的な提供を行うためには関係する専門職の連携が重要であることから、専門職間のネットワークの構築や課題の共有を行うための会議、研修会などを実施するとともに、退院時の在宅生活への移行をスムーズに行うための退院時連携の手引を作成し、関係者への周知を進めてきた。この取り組みにおける主な課題としては、専門職や市民にとって病院退院時に在宅療養という選択肢が一般的なものとなっていないことや、在宅支援にかかわる多くの専門職の間で情報を共有する仕組みが整っていないことなどが挙げられる。27年度からは、26年度の介護保険改正において制度的に位置づけられた地域ケア会議を地域や全市レベルなど各階層に設置し、この会議の場で課題把握や解決策の検討、連携の仕組みづくりなどを進めているところである。また、保健、福祉、医療に関する情報を一元的に集約管理する情報プラットフォームの構築と、その効果的な活用手法の検討などの取り組みを進めている。次に、高齢者地域支援モデル事業については、高齢者の在宅生活を継続するには、日ごろからの見守りなど、地域の方々による支え合い、助け合いが重要となることから、地域と区役所が地域の高齢者の課題について意見交換を行い、それぞれの地域の実情に合わせた取り組みを26年度末までに市内19校区で実施してきた。この取り組みにおける主な課題としては、地域の事業者やボランティアグループなどの人材や資源を把握し、それらを生かした継続的な取り組みとしていくことが必要となっていることなどが挙げられる。27年度からは、地域の理解と協力を得ながら、26年度までのモデル事業実施校区以外の校区へ取り組みを広げているところである。
◯山口委員 医療と介護の連携強化モデル事業については、時間の都合上、今回は質問をやめ、高齢者地域支援モデル事業について尋ねる。26年度は市内19校区で取り組んでいるとのことだが、地域とどのように合意形成し、取り組んでいるのか。また、住民への周知に力を入れる必要があり、今後は全ての校区で地域と区役所による高齢者の課題に関する意見交換をスタートさせてほしいが、どのようなスケジュールで進めていくのか、あわせて尋ねる。
△保健福祉局長 高齢者地域支援モデル事業の地域内での合意形成については、地域と区役所との意見交換の場において、町内ごとの高齢化率などの現状や高齢者の困り事などの課題を共有することにより、それぞれの地域の特性に応じた主体的な取り組みの必要性について合意形成が図られていると認識している。地域における具体的な取り組みとしては、見守り支援マップの作成、地域カフェの立ち上げや健康づくりウオーキングなどが行われている。また、地域と区役所による高齢者の課題に関する意見交換については、小学校区レベルの地域ケア会議として設置を進めている高齢者地域支援会議や、各区保健福祉センターと自治協議会などの校区団体で実施する校区保健福祉事業懇談会などにおいて、29年度末までに市内全ての校区で意見交換を実施することを目指している。
◯山口委員 先ほどの答弁で、モデル事業の取り組みから見えてきた課題として、地域の事業者やボランティアグループなどの人材や資源を把握し、それらを生かした継続的な取り組みとしていくことが必要とのことである。地域での活動が活発になってきた場合、介護士や保健師、ケアマネジャーやいきいきセンターの職員などの専門職や地域の事業者が地域の活動をサポートすることが必要になってくるのではないかと考えるが、所見を伺う。
△保健福祉局長 地域における活動への専門職や事業者によるサポートについては、地域や全市レベルなど各階層に設置する地域ケア会議に専門職や事業者、地域住民などが参加し、地域課題やその解決方法の検討を進めることを通して、それぞれの顔の見える環境をつくり、専門職や地域の事業者による地域活動へのサポートにつなげていきたいと考えている。
◯山口委員 本市には高齢化が進んでいる、高齢者が少ない、単身世帯が多い、集合世帯が多いなど、地域で違いがある。地域による支え合い、助け合いの取り組みを全市に広げていくためには、区の垣根を越えて、似通った地域特性の校区代表などが一緒に協議するなどの機会の場を設けてはどうかと考えるが、所見を伺う。
△保健福祉局長 25、26年度のモデル事業の実施を踏まえ、取り組みを他の校区へ広げているところである。議員指摘のとおり、区を越えて取り組み事例を共有することは意義あるものと考えている、現在、各区での自治協議会代表者の定例会などにおいて、モデル事業実施校区での取り組み事例について情報提供や意見交換を行っているが、今後は保健福祉局で開催している地域包括ケアフォーラムや市民局の自治協議会サミットなどの場で活動事例報告を行うなど、区の垣根を越えて事例を共有できる機会をふやしていきたいと考えている。
◯山口委員 ぜひ取り組みをお願いしておく。次に、在宅での24時間365日の切れ目ないサービスを提供するための地域密着型サービスについて尋ねる。介護制度の中で8種類もある地域密着型サービスの中で、今年度はどの事業を募集しているのか。また、期待されているとおりの応募があっているのかあわせて尋ねる。
△保健福祉局長 地域密着型サービスを行う事業者の募集については、地域密着型サービス8種類のうち、計画的に整備を進める必要がある地域密着型特別養護老人ホームや高齢者グループホームのほか、通い、訪問、宿泊のサービスを組み合わせて行う小規模多機能型居宅介護、通い、訪問、宿泊サービスに加えて必要に応じて訪問介護を行う看護小規模多機能型居宅介護、定期的な巡回訪問等を行う定期巡回・随時対応型訪問介護看護の5種類について、第6期介護保険事業計画に基づき募集を行っている。小規模多機能型居宅介護及び看護小規模多機能型居宅介護については、例年より多く応募があっているものの、計画数には満たない見込みとなっている。また、その他のサービスについてはおおむね計画どおりの応募状況である。
◯山口委員 8種類中5種類の募集を行っているが、その応募が計画数に満たない事業があるということは何か問題があると思う。ぜひ課題を見つけ、次の応募のときには改善してほしい。また、今後、地域包括ケアを推進していくためには地域密着型サービスの充実が不可欠と考える。より一層の整備を進めるためにどのように取り組むのか。
△保健福祉局長 在宅生活を支えるサービスとして、地域密着型サービスの充実が重要であると認識している。第6期介護保険事業計画においても、地域密着型サービスの拡充を整備方針としている。今後、より多くの応募をいただけるよう、特に応募条件などについて見直しを検討していきたいと考えている。
◯山口委員 次に、医療分野に関する質問であるが、病院から出される薬について、別の受診のときにお薬手帳を持ってこない高齢者が多いので、福岡市薬剤師会では、節約バックとも言われるお薬バッグを準備し、次に病院に行くときは、今ある全ての薬をバッグに持参してもらうやり方を推奨している。例えば、高齢者乗車券の申請窓口などでお薬バッグを配れないものか。格段に医療費の削減につながる施策と考えるが、所見を伺う。
△保健福祉局長 薬の節約のため福岡市薬剤師会が行ういわゆる節約バッグ運動については、薬の飲み残しや薬剤の重複投与が確認できるとともに、医療費の抑制にもつながる有益な取り組みであると考えている。本市としても、これまでイベント等において節約バッグを配布するとともに、講習会などの機会を活用し、その有効性を周知している。今後とも、福岡市薬剤師会と連携し、節約バッグの普及に向け積極的に取り組みたいと考えている。
◯山口委員 ぜひ普及に取り組んでほしい。地域包括ケアについてさまざまな視点から質問してきたが、それぞれの課題について着実に取り組みを進めていかなければならず、その実現のためには一定の年数がかかると思う。2025年までの地域包括ケアの実現に向けた工程について、保健福祉局の考え方を伺う。
△保健福祉局長 地域包括ケア実現に向けた2025年度までの取り組みについては、まずは2025年の目指す姿や目標などに基づき、27年度から29年度までの3年間の具体的な取り組みなどを整理した地域包括ケアアクションプランを関係団体とともに推進していくことが基本であると考えている。また、その進捗状況を確認しながら、次期介護保険事業計画などの行政計画策定の中で、必要な施策の検討を幅広く行っていきたいと考えている。
◯山口委員 今回の質問では、いずれ直面する、高齢者が住みなれた地域で安心して生活するための地域包括ケアについて問題提起した。さまざまな施策がある中で何をどう組み合わせて、そして地域は何を担うのか、はっきりさせていく必要がある。また、別の視点からは、介護保険料が高いとよく元気高齢者から指摘がある。介護保険を利用していないので意見はもっともであるが、世代間の再配分、つまり若い世代へ負担を肩がわりさせる仕組みはつくってはならないと考える。森田社会保障・人口問題研究所所長が指摘されているとおり、社会保障費用の先送りは極力減少させなければ、若い世代からは悲鳴が上る。住まいも施設も数限りなくつくれるものではない。これからは医療や介護にできるだけ頼らないような意識を持ち、早い段階から健康づくりに取り組む必要がある。高齢者の割合が本市で21%を超える超高齢社会が間もなく到来することを見据え、限りある予算の中でどういう形態が望ましいか、知恵の出しどころである。保健福祉局がリーダーシップを発揮し、これからの超高齢社会に向けて、全庁挙げての取り組みが今こそ必要と思うが、今後の方針について、高島市長の決意を伺い、質問を終わる。
△市長 本市の高齢化率はことしの7月に20%を超え、10年後には24.8%、20年後には28.3%となり、今後、急速に高齢化が進展していく。来たるべき超高齢社会においても生活の質が維持、向上できる持続可能な制度や仕組みを構築していくためには、高齢者が一律に支えられる側になるということではなく、意欲や能力に応じてできるだけ支える側に回っていただき、いつまでも健康で生き生きと暮らすことができる社会を実現することが重要であると考えている。その実現に向け、支える側となる高齢者の方々が生きがいを持って活躍できるように、健康づくりや就労、社会参加の促進に取り組んでいく。一方で、支えられる側となっても、住みなれた地域で安心して生活を続けることができる仕組みをつくることが重要であり、地域、関係機関、行政が一体となった地域包括ケアの実現に向けた取り組みを総合的に進めていく。これから迎える超高齢社会に対応していくためには、保健福祉の分野に限らず、交通や住まい、経済などさまざまな分野での取り組みが重要となり、全庁を挙げてハード、ソフトの両面から持続可能な制度や仕組みの構築に取り組んでいく。