2014.10.23:平成26年決算特別委員会
◯山口委員 公明党福岡市議団を代表し、生活保護費と障害年金について、空き家対策条例のその後について、鴻臚館跡の状況について質問する。まず、生活保護費と障害年金について質問する。25年度の本市一般会計の歳出は7,668億8,000万円強で、そのうち3,569億円強が人件費、扶助費など義務的経費になっている。約半分の支出だが、その中でも生活保護費が大きく占めている。この保護費が一般会計で占める割合は、25年度10.4%で794億円であったが、23年度からの3年はどのような割合を示しているのか。保護費の各年度の決算額とその一般会計に占める割合について、また25年度の生活保護人員について現状を尋ねる。
△保健福祉局長 23年度は749億円余で9.8%、24年度は784億円余で10.4%、25年度は794億円余で10.4%となっており、また、25年度の生活保護人員は4万3,571人となっている。
◯山口委員 本市の保護費は低くなることはなく、常に上昇または横ばいしていることがわかる。平成25年の市民の声の統計でも、生活保護の相談が常に上位を占めていることからもわかる。そこで、生活保護費を受給している人で、障害年金等何らかの年金を受給していて、不足額を保護費から支給されている人数と伸び率を23年度から3カ年について尋ねる。
△保健福祉局長 生活保護受給者で老齢年金、障害年金、遺族年金などの年金を受給している人数と対前年度伸び率は、23年度は8,280人で10.5%増、24年度は9,135人で10.3%増、25年度は9,768人で6.9%増となっている。
◯山口委員 伸びてきている状況がわかるかと思う。25年度の保護費を受給している人の中で、障害年金受給者は何人か。
△保健福祉局長 2,206人である。
◯山口委員 何らかの年金を受けている人数は、25年度は9,768人で、その中で障害年金を受給している人は2,206人とのことであるが、3カ年を見ても増加している。生活保護費を受給している人の中に障害年金等を受給できる人がまだいるのではないか。本市で身体障害手帳や療育手帳を交付されている人数は約7万3,000人であるが、その一方で、障害年金を受給している人は何人か尋ねる。
△保健福祉局長 25年度の障害年金の受給権者は、国民年金及び厚生年金を合わせて2万1,117人となっている。
◯山口委員 本市全体では約2万人が年金として受給している。新規に生活保護費の相談があった場合は、まず手帳を持っているのか、年金等が受給できるのか、相談の中で聞いていると思うが、年金が受給できるのではないかとケースワーカーが気づく場合はあるのか。
△保健福祉局長 新たに保護受給を開始した人に対する障害年金の受給可能性については、ケースワーカーが主治医等から年金該当の有無を聴取し、該当する場合は、納付要件を調査の上、申請を指導している。また、納付要件の調査については、旧社会保険庁OBの年金調査嘱託員を各区に1名配置しており、専門性を持った職員が行っている。
◯山口委員 本市のケースワーカーの職務に当たっている正規職員で、入庁後、最初の職場として保護課に配属された職員の割合とケースワーカー1人当たり平均何人の生活保護受給者を担当しているのか。
△保健福祉局長 平成26年5月1日現在で55.6%となっている。また、ケースワーカー1人当たりの担当世帯数は、平成26年4月1日現在で99.5世帯となっている。
◯山口委員 新規採用職員が半数以上配置されているが、社会人としても新人である職員が担当する生活保護受給者のことを相談する場合にはどのような対応になっているのか。
△保健福祉局長 新規採用職員については、経験のあるケースワーカーがトレーナーとして業務の指導に当たるほか、課題解決が困難な事例については係会議などを随時開催し、係長や他の職員とも課題を共有しながら問題に対応することとしている。
◯山口委員 障害手帳の1級や2級を持っているからといって、必ずしも全員が障害年金を受給しているわけではないようである。保護費を受給している人にとっては、障害年金から月額6万円から8万円が障害の等級により支払われ、最低生活費に満たない額が保護費で支給されるため、お金の出所を区別する必要がない。専ら全体の金額がどうなのか、幾らの支給があるのかが大事である。しかし、本市から見れば違う。保護費は4分の1が本市負担であるのに対し、障害年金は全額国から支給されているので、ここに大きな市財政の負担の差が発生する。そのため年金を受給できるかどうかが大事な話となる。本市のケースワーカーには年金受給に関しどのような指導をしているのか、各区の保険年金課などとも不明な点を相談できる体制になっているのか。
△保健福祉局長 障がいや傷病を持つ生活保護受給者については、主治医等から年1回以上の病状聴取を行い、病状等から障害年金に該当する可能性があるとの意見を得たものについては、年金の納付要件を満たしているか調査の上、該当者に申請を行わせるようケースワーカーに対し指導を行っている。また、納付要件の調査については、必要に応じ保険年金課への確認を行うとともに、年金調査嘱託員と連携し、必要な調査を行っている。
◯山口委員 今後も増加が見込まれる保護費について、全体の金額を抑えるために審査をより厳しくしていくことなどは、当然ながら法に反している。しかし、障害年金などを受給できる可能性のある人に対しては調査していくべきではないかと考えるが、今後の取り組みについて尋ねる。
△保健福祉局長 年金調査の充実を図るため、現在、各区保護課において年金調査嘱託員を講師とした年金研修や事例研究会などを実施している。今後とも、ケースワーカーに対し、他の法律や施策の研修等を充実することにより、障害年金を初めとした他法による給付の調査を強化していく。
◯山口委員 来年10月より消費税が10%になったとき、年金の納付期間が25年未満の人でも10年以上積み立てた人に対し、老齢年金の支給が始まる。我が党が前の国政選挙で声を大に主張した政策が実行され、もう掛け捨ての年金とやゆされなくて済む。この10年以上積み立てた人の年金支給が始まるに当たり、保護費を受給している65歳以上の人にも調査が必要であるが、この質問の最後に所見を尋ねる。
△保健福祉局長 年金の受給資格については、生活保護申請時のほか、受給資格を早期に発見し遅滞なく申請につなげるため、毎年、受給年齢に到達する前の段階において、全ての人を対象として調査を実施している。また、現在年金を受給していない高齢者等についても、納付期間を把握しており、10年以上の納付期間がある人については、法の施行後、申請指導を行うこととしている。
◯山口委員 生活保護の担当職員は大変な仕事をしていると言える。これまでは任期つき職員の採用で当面増加する受給者の担当者としてその任に当たっているが、その任期も来年度末で契約期間が終了するとのことである。今後のケースワーカーの人事配置はどうするのか不安を持っている。行財政改革で職員の数を減らしてきているが、私はこの部署にこそ正規の職員が必要ではないかと考える。若手職員を指導する、いわゆる係長以下のベテラン職員が必要な部署ではないかとも思う。この件については、ぜひ担当の部署からヒアリングを受け、改善が図られるよう指示を行っていただきたい。1人のケースワーカーが100世帯近く担当することは異常であると認識し、来年度は改善することを強く期待し、次の質問に移る。次に、空き家対策条例のその後について尋ねていく。平成25年9月議会において、全議員の賛成で福岡市空き家の倒壊等による被害の防止に関する条例が制定されたが、その後の運用については担当の部署に委ねられている。そこで、通称空き家対策条例施行後の現状がどのようになっているのか質問する。まず、空き家で危険度判定Cランクの件数が平成25年当初62件あったが、25年度決算では何件になったのか尋ねる。
△住宅都市局長 条例施行に当たり、危険度判定基準、指導や勧告などの手続、緊急的被害防止措置などを規定した条例施行規則及び空き家措置検討委員会設置要綱を定め、平成26年4月1日より施行している。規則に定める危険度判定は、空き家の損傷程度と隣接地からの離隔距離により総合的に4段階に判定するものであり、現状として特段の措置を要さないものをA、何らかの措置が望まれるものをB、何らかの措置が必要なものをC、早急に何らかの措置が必要なものをDにランク分けしている。なお、危険度判定ランクは、24年度実施の空き家実態調査において、低いランクからA、B+、B-、Cとしていたが、規則を定めるに当たり、より明確にA、B、C、Dと表現を変えている。25年度末では、早急に何らかの措置が必要な当時の危険度判定Cランク、現在の規則においてはDランク62件のうち、是正完了したものが19件であり、指導中が43件である。
◯山口委員 次に、住宅都市局からの依頼で、固定資産税を担当している各区課税課が協力し、危険家屋の所有者に対して、条例施行後、もしくは26年度に指導文書を送付した件数と解決した件数を財政局と住宅都市局に尋ねる。
△財政局長 住宅都市局から各区の課税課に依頼があった場合、各区で文書送付先を確認し、住宅都市局が作成した指導文書を送付している。住宅都市局からの依頼を受けて各区の課税課が26年度に指導文書を送付した件数は、8月末現在で8件となっている。
△住宅都市局長 所有者の所在が特定できない場合には、各区の課税課に指導文書の送付を依頼しているが、26年度では8件に送付し、うち是正されたものは1件となっている。
◯山口委員 この危険判定では、これまでB・Cランクであっても、数年経過するとDランクになると思うが、現状で危険判定Dランクは何件になっているのか。
△住宅都市局長 平成26年8月末現在のDランクの件数は、低いランクから移行したものが4件、相談によって新たに把握したものが1件あり、累計で67件となった。このうち、是正完了したものが21件で、この結果、今後も指導を継続するものは46件となっている。
◯山口委員 条例施行前に比べて、平成25年、26年は、少しずつではあるが、進んでいるという感想を持っている。さらに、住宅都市局として条例施行後どのような取り組みをしているのか。
△住宅都市局長 住宅都市局では、まず、条例の施行に合わせ、26年度より建築物安全推進課を設置し、体制の強化を図り、緊急的被害防止措置などを行うとともに、今年度中に条例のリーフレットを作成することとしている。また、空き家に関し、区役所や住宅都市局へ市民などから苦情や相談があった場合には、その相談内容や指導経過などを相互に情報共有し、連携しながら対応している。空き家の所有者に対する指導については、条例に基づく管理義務などを記載した市長名による指導文書とともに、空き家の損傷状況の現地写真、条例本文を送付しており、自宅訪問や電話連絡においても、管理義務の徹底など粘り強く指導を行っているところである。なお、所有者と納税者が一致する場合は住宅都市局が指導文書を送付し、一致しない場合には、守秘義務上の観点から、指導文書の送付を各区の課税課へ依頼している。
◯山口委員 市役所としてのアクションが本当に大事だと思う。空き家対策の結果、26年度から固定資産税の住宅用地の特例を廃止した件数を尋ねる。
△財政局長 住宅都市局が25年度末までに是正完了した19件のうち、26年度に固定資産税の住宅用地の特例を適用しないこととした件数は4件となっている。
◯山口委員 今後もしっかり監視されたい。次に、消防局では、数年に1度のペースで空き家の調査を実施していると聞いているが、現在掌握している件数とどのような対策を行っているのか、条例施行後に何か改善できたことがあるのか。
△消防局長 消防局では、火災予防の観点から、おおむね5年ごとに空き家の実態調査を実施している。直近の調査は平成22年に実施しており、市内で1,903戸の空き家を把握している。このうち、容易に外部から敷地内に侵入できるなど、特に注意が必要と思われる空き家に対しては、福岡市火災予防条例に基づき、所有者または管理者に対して、空き家への侵入防止措置や可燃物等の除去、その他火災予防上必要な措置を講じるよう指導を行っている。また、本条例施行に伴い、関係局との情報共有化をさらに進めているところである。消防局では、27年度に改めて空き家の実態調査を実施する予定であり、その調査結果を各局に提供するなど、引き続き関係局との連携強化に努めていく。
◯山口委員 連携が特に大事だと思う。本日配付された第4分科会の発言記録の中では、火災予防上問題のある所有者不明が27戸もあると書かれていた。これこそ関係局、特に財政局や区の課税課等に聞いて調べれば所有者がわかるのではないかとも思われるので、廃屋対策連絡会議等でぜひ改善を図っていただきたい。さて、本年7月に去年10月現在の数値で、日本全国で空き家が820万戸になったと発表された。空き家率は13.5%に上っている。なお、集合住宅の空き家も数字に含まれているので、本市の一戸建て住宅の空き家率を同じように数字としては出せないとは思うが、確実に毎年増加していることには間違いない。特に、所有者が遠方にいる場合などは、福岡市域の解体業者や不動産業者などがわからなければ手の打ちようがないが、所有者への情報提供など行政として何か手伝えることがないのか。
△住宅都市局長 条例に基づく指導文書とあわせて送付するリーフレットを現在作成中であり、条例の趣旨を記載するとともに、建築物の解体、相続など法律関係、不動産流通など各種団体の相談窓口を掲載する予定である。庁内の関係局、区で構成する廃屋対策連絡会議において内容を決定していく。
◯山口委員 ぜひ早期に完成させていただきたい。危険な状態の住宅で、修理も不可能であれば、取り壊すしか方法がない。その前の段階で空き家の借り手を見つけ、市場に流通させることが大事で重要であると思うが、何か取り組みを行っていないのか。
△住宅都市局長 中古住宅の流通促進については、宅地建物取引業法を所管する福岡県と共同で、関係団体や事業者などで構成される住宅市場活性化協議会において、中古住宅市場のさらなる活性化を図るため、23年度より専門家が住宅の状態を調査後、報告書を作成し、所有者が購入者へ情報を提供することで売買に伴う不安を解消する事業に取り組んでいる。
◯山口委員 協議会が有効に活性化することを望む。また、ことし9月23日、国土交通省が一戸建て空き家を子育て中の世帯に貸し出す取り組みを促すため、27年度から助成対象とすると新聞で発表があった。この制度の概要の説明を求める。
△住宅都市局長 国土交通省に確認をとったところ、詳細な内容については、今後、財務省との協議を経て決定されるとのことであった。
◯山口委員 今のところは国土交通省も開示していないようだが、私も調べたところ、国でも空き家対策について大きく動いているということであった。来年度から子育て世帯の周辺環境整備の取り組みとして、住宅整備費用のおおむね45%について助成する方向で検討されており、事故防止策として転落防止や滑りにくい仕上げ材の使用、手すり等を含むバリアフリー化、ツーロックなど防犯性向上、断熱性向上による省エネ対策などが助成対象となっているそうである。新年度から始まるであろうこの機会を逃さず、本市でもさまざまな取り組みとして取り入れていただきたい。安心・安全な住宅の環境を維持するのは本市の大きな役割であると思う。子育て世代などの入居が進むと、若い世代がふえ、その町内や町の活性化が図られる。危険家屋になる前の、市民に喜ばれる住宅の提供について、担当副市長の所見を尋ねる。また、市場性が失われ、空き家として放置された住宅については、その解消に向け、局間の垣根を取り払い、全庁一丸となった取り組みが必要と考えるが、あわせて尋ねる。
△中園副市長 空き家対策としては、まずは、市場性のある中古住宅の流通促進が図られるよう、国や県、住宅市場活性化協議会などの関係団体に働きかけを行うとともに、国で検討している空き家の活用事業についても注視していきたい。また、放置空き家対策については、議員提案により制定された空き家対策条例に基づき必要な措置を行っていくとともに、関連する局や区で構成される廃屋対策連絡会議において情報共有を図り、さらに連携を強化しながら全庁を挙げてしっかりと取り組んでいく。
◯山口委員 この空き家対策については九州でもまれに見る条例になっていると思う。ぜひ行政としてほかの自治体の参考、模範となるような取り組みをし、実効性のあるものにしていただきたい。次に、本市の観光名所の一つに挙げられる鴻臚館の整備状況について質問する。25年度では幾らの費用が使われているのか、またその内訳について説明を求める。
△経済観光文化局長 25年度の鴻臚館整備関連の決算額は、発掘調査費4,092万円余、鴻臚館跡整備基本構想の検討費用636万円余であり、合計4,729万円余となっている。
◯山口委員 鴻臚館の整備は何年ぐらい前から行われ、これまで幾らの費用がかかっているのか。
△経済観光文化局長 昭和62年度に遺構が発見され、昭和63年度に整備事業を開始して以来、25年度までに26年間が経過している。この26年間の決算額は、発掘調査費及び展示館建設費等で合計11億8,409万円余となっている。
◯山口委員 間もなく30年になろうとしており、金額も11億円を超え大規模な事業になってきているが、25年度はどのような取り組みがなされたのか、また、今後の整備スケジュールについて尋ねる。
△経済観光文化局長 25年度は、整備の基本的な考え方や方向性を示す鴻臚館跡整備基本構想の策定に着手している。この基本構想は、26年度中に取りまとめることとしている。27年度からは、この基本構想を踏まえ鴻臚館跡整備基本計画の策定に着手することとしており、この中で、今後の整備内容やスケジュールを検討していきたい。
◯山口委員 いよいよ動き出したという感がしている。基本構想が本年度で、基本計画が来年度に作成とのことだが、それでも、この状況だと整備完成まで何年ぐらいかかるものか不安を覚える。福岡城については今どのような計画になっているのか。
△経済観光文化局長 福岡城の整備計画は、平成26年6月に策定した福岡城跡整備基本計画において、計画期間を15年間としている。現在は、当初5年間の短期計画の一環として潮見やぐらの復元作業等を進めているところである。短期計画に引き続き、その後10年間の中期計画では、武具やぐらの復元などに取り組むこととしており、歴史的な景観の充実に向け計画的に整備を進めていく。
◯山口委員 25年度及び26年度は何をしているのか。
△経済観光文化局長 25年度は、福岡城跡整備基本計画の策定に向け、福岡城跡整備検討委員会の開催、計画案の作成、パブリックコメント等を実施した。また、市民等の福岡城整備事業への参加意識や福岡城への愛着を醸成し、多くの市民の思いに支えられた福岡城とするため、福岡城整備基金条例を制定した。26年度は、6月に基本計画を策定し、7月には条例に基づく福岡城整備基金への募金活動を開始した。同じく7月には24年度より行っていた上之橋御門石垣の修復工事が完了している。
◯山口委員 基本計画が完成し、基金条例等もいよいよ動き出したと思う。市民や観光客に対する福岡城や鴻臚館の情報発信について尋ねる。
△経済観光文化局長 これまで鴻臚館跡展示館での展示、発掘調査時における現地説明会などを行ってきたが、これらに加え、平成25年4月からは、コンピューターグラフィックスを活用して鴻臚館や福岡城を携帯タブレット内に再現し、ボランティアガイドとともに当時の情景を体感しながら回遊するバーチャル時空散歩ガイドツアーを始めている。さらに、26年度には、鴻臚館や福岡城を紹介するガイダンス施設を旧舞鶴中学校跡に設置することとしている。
◯山口委員 旧舞鶴中学校校舎に設置するガイダンス施設はいつごろオープン予定か。
△経済観光文化局長 平成26年11月を予定している。
◯山口委員 いつも問題になる駐車場の整備も含め展示室の概要を尋ねる。
△経済観光文化局長 ガイダンス施設は、旧舞鶴中学校の校舎の一部を改装、整備し、福岡城や鴻臚館の見どころに加え、発掘調査や復元整備の状況などを説明パネルや映像によりわかりやすく紹介するものである。また、来訪者に軽飲食の提供や土産品を販売する休憩施設も併設し、史跡内の新たな集客の拠点にしたいと考えている。駐車場の整備については、国において舞鶴中学校跡地の校庭部分の活用が検討されており、本市から観光バスを含む駐車場の整備を行うよう要請している。国では市の要請を踏まえ、暫定的な活用方法として観光バスを含む駐車場の整備を行う方向で検討を進めていると聞いている。
◯山口委員 いよいよ来月11月にガイダンス施設が開設されるが、鴻臚館、福岡城に来る市民、観光客にとって重要な施設になると思う。この施設がどのような展示になるのか、行けば何か学べるのか、まさに興味が湧くところである。先ほど舞鶴公園内でバーチャル画像を来場者に見せているとの説明があったが、バーチャル見学ツアーは機材の都合もあって30人程度であり、観光客もそれほど多くの人は見られないそうである。そのため、ガイダンス施設は鴻臚館、福岡城について説明できる非常に有効な場所と思う。来場した子どもたちが見てわくわくどきどきするような、過去にタイムスリップしたような展示施設と感じられるよう取り組んでいただきたいと考えるが、展示内容について説明を求める。
△経済観光文化局長 ガイダンス施設の展示内容については、古代の鴻臚館から現在に至る歴史の流れを中心に展示するとともに、鴻臚館、福岡城、さらに将来のセントラルパーク構想について具体的な姿が理解できるよう、地形の立体模型に映像を投影した復元展示などを予定している。また、鴻臚館や福岡城整備の最新情報も施設内で紹介し、整備の進捗状況が一目でわかるような展示も行っていきたい。
◯山口委員 東区で海の中道遺跡が1979年から発掘調査されている。この遺跡は、鴻臚館の津の御厨とも言われ、まさに鴻臚館の台所だったのではないかというところまで調査が進んでいると聞いている。そうしたものも含め、博多湾全体、この鴻臚館で古代からこういうもてなしをしていたことがわかるような展示室に、グレードを上げていっていただきたい。さらに今後、この鴻臚館も含め整備費用をどのように捻出するのかが気になるが、これまで国や福岡県から補助金がどれくらい出ているのか。
△経済観光文化局長 施設整備のための発掘調査、史跡の環境整備や活用推進等に係る事業費を対象とし、その50%が国から補助されることとなっている。また、県の補助金については、従来は国庫補助対象事業費の25%が補助されていたところであるが、12年度以降は実施されていない。このため、補助の復活について県に毎年度要望している。
◯山口委員 福岡県の補助金はもう10数年ストップしている、これはいかがなものかと思う。文化財施設に関しては、当地の市や町だけではなく県も出資しているものである。本市の場合はセントラルパーク構想が進められており、県と市が共同で現在国と交渉している場所でもある。鴻臚館の整備についても県が補助金を出すよう粘り強く交渉をしていただきたい。先日、松本市に行き、松本城の整備費用がどのようになっているのか調査に行ってきた。単純に一般会計の一分野ではなく、松本城特別会計を組み、収入の面では募金や基金、各種団体の補助金等、また土産物屋の売り上げも入っている。松本城の天守閣は国宝でもあるので、当然国と県からの補助もあり、寄附金も多く集められている。26年度予算総額は6億2,400万円であり、国宝松本城天守保存活用計画に約1,000万円、史跡松本城保存管理計画に約900万円を計上している。今は石垣改修事業や外堀の復元事業に取り組んでおり、総事業費は約44億円で、平成33年度までかかるとのことである。松本市では、観光地としての城はもちろん大事であるが、後世の人に文化財を残していくとの職員の意識は十分にあると感じた。市の担当者も、これから何人も人事異動でかわっていくと思うが、必ず受け継がれていくだろうと期待が持てた。本市も松本市の勢いを見習い、寄附も受け付け、古代日本の迎賓館ともいうべき鴻臚館を1年でも早く整備していただきたいが、最後に高島市長の見通しの明るい答弁を聞き、私の質問を終わる。
△市長 国の史跡である鴻臚館跡は、日本で唯一遺構が確認できている古代の外交施設でもあり、大陸との交流や政治、経済、そして文化の拠点であった福岡の歴史を象徴する重要な遺構である。また、鴻臚館跡は、国史跡の福岡城跡内にもあり、重複して国史跡の指定を受けているという全国でもまれな文化財であるとともに、緑豊かな都心のオアシスともいうべき地域に立地し、市民にとっても憩いの場、観光資源でもある。このため、鴻臚館の整備については、今後、鴻臚館跡整備基本構想、基本計画を早期に策定して歴史資源としての活用やセントラルパーク構想など関連事業と連携をしっかり図りながら、市民の憩いの場、集客、交流の拠点として親しまれる場となるよう、指摘を踏まえしっかり明るい見通しを立て、着実に進めていきたい。
△保健福祉局長 23年度は749億円余で9.8%、24年度は784億円余で10.4%、25年度は794億円余で10.4%となっており、また、25年度の生活保護人員は4万3,571人となっている。
◯山口委員 本市の保護費は低くなることはなく、常に上昇または横ばいしていることがわかる。平成25年の市民の声の統計でも、生活保護の相談が常に上位を占めていることからもわかる。そこで、生活保護費を受給している人で、障害年金等何らかの年金を受給していて、不足額を保護費から支給されている人数と伸び率を23年度から3カ年について尋ねる。
△保健福祉局長 生活保護受給者で老齢年金、障害年金、遺族年金などの年金を受給している人数と対前年度伸び率は、23年度は8,280人で10.5%増、24年度は9,135人で10.3%増、25年度は9,768人で6.9%増となっている。
◯山口委員 伸びてきている状況がわかるかと思う。25年度の保護費を受給している人の中で、障害年金受給者は何人か。
△保健福祉局長 2,206人である。
◯山口委員 何らかの年金を受けている人数は、25年度は9,768人で、その中で障害年金を受給している人は2,206人とのことであるが、3カ年を見ても増加している。生活保護費を受給している人の中に障害年金等を受給できる人がまだいるのではないか。本市で身体障害手帳や療育手帳を交付されている人数は約7万3,000人であるが、その一方で、障害年金を受給している人は何人か尋ねる。
△保健福祉局長 25年度の障害年金の受給権者は、国民年金及び厚生年金を合わせて2万1,117人となっている。
◯山口委員 本市全体では約2万人が年金として受給している。新規に生活保護費の相談があった場合は、まず手帳を持っているのか、年金等が受給できるのか、相談の中で聞いていると思うが、年金が受給できるのではないかとケースワーカーが気づく場合はあるのか。
△保健福祉局長 新たに保護受給を開始した人に対する障害年金の受給可能性については、ケースワーカーが主治医等から年金該当の有無を聴取し、該当する場合は、納付要件を調査の上、申請を指導している。また、納付要件の調査については、旧社会保険庁OBの年金調査嘱託員を各区に1名配置しており、専門性を持った職員が行っている。
◯山口委員 本市のケースワーカーの職務に当たっている正規職員で、入庁後、最初の職場として保護課に配属された職員の割合とケースワーカー1人当たり平均何人の生活保護受給者を担当しているのか。
△保健福祉局長 平成26年5月1日現在で55.6%となっている。また、ケースワーカー1人当たりの担当世帯数は、平成26年4月1日現在で99.5世帯となっている。
◯山口委員 新規採用職員が半数以上配置されているが、社会人としても新人である職員が担当する生活保護受給者のことを相談する場合にはどのような対応になっているのか。
△保健福祉局長 新規採用職員については、経験のあるケースワーカーがトレーナーとして業務の指導に当たるほか、課題解決が困難な事例については係会議などを随時開催し、係長や他の職員とも課題を共有しながら問題に対応することとしている。
◯山口委員 障害手帳の1級や2級を持っているからといって、必ずしも全員が障害年金を受給しているわけではないようである。保護費を受給している人にとっては、障害年金から月額6万円から8万円が障害の等級により支払われ、最低生活費に満たない額が保護費で支給されるため、お金の出所を区別する必要がない。専ら全体の金額がどうなのか、幾らの支給があるのかが大事である。しかし、本市から見れば違う。保護費は4分の1が本市負担であるのに対し、障害年金は全額国から支給されているので、ここに大きな市財政の負担の差が発生する。そのため年金を受給できるかどうかが大事な話となる。本市のケースワーカーには年金受給に関しどのような指導をしているのか、各区の保険年金課などとも不明な点を相談できる体制になっているのか。
△保健福祉局長 障がいや傷病を持つ生活保護受給者については、主治医等から年1回以上の病状聴取を行い、病状等から障害年金に該当する可能性があるとの意見を得たものについては、年金の納付要件を満たしているか調査の上、該当者に申請を行わせるようケースワーカーに対し指導を行っている。また、納付要件の調査については、必要に応じ保険年金課への確認を行うとともに、年金調査嘱託員と連携し、必要な調査を行っている。
◯山口委員 今後も増加が見込まれる保護費について、全体の金額を抑えるために審査をより厳しくしていくことなどは、当然ながら法に反している。しかし、障害年金などを受給できる可能性のある人に対しては調査していくべきではないかと考えるが、今後の取り組みについて尋ねる。
△保健福祉局長 年金調査の充実を図るため、現在、各区保護課において年金調査嘱託員を講師とした年金研修や事例研究会などを実施している。今後とも、ケースワーカーに対し、他の法律や施策の研修等を充実することにより、障害年金を初めとした他法による給付の調査を強化していく。
◯山口委員 来年10月より消費税が10%になったとき、年金の納付期間が25年未満の人でも10年以上積み立てた人に対し、老齢年金の支給が始まる。我が党が前の国政選挙で声を大に主張した政策が実行され、もう掛け捨ての年金とやゆされなくて済む。この10年以上積み立てた人の年金支給が始まるに当たり、保護費を受給している65歳以上の人にも調査が必要であるが、この質問の最後に所見を尋ねる。
△保健福祉局長 年金の受給資格については、生活保護申請時のほか、受給資格を早期に発見し遅滞なく申請につなげるため、毎年、受給年齢に到達する前の段階において、全ての人を対象として調査を実施している。また、現在年金を受給していない高齢者等についても、納付期間を把握しており、10年以上の納付期間がある人については、法の施行後、申請指導を行うこととしている。
◯山口委員 生活保護の担当職員は大変な仕事をしていると言える。これまでは任期つき職員の採用で当面増加する受給者の担当者としてその任に当たっているが、その任期も来年度末で契約期間が終了するとのことである。今後のケースワーカーの人事配置はどうするのか不安を持っている。行財政改革で職員の数を減らしてきているが、私はこの部署にこそ正規の職員が必要ではないかと考える。若手職員を指導する、いわゆる係長以下のベテラン職員が必要な部署ではないかとも思う。この件については、ぜひ担当の部署からヒアリングを受け、改善が図られるよう指示を行っていただきたい。1人のケースワーカーが100世帯近く担当することは異常であると認識し、来年度は改善することを強く期待し、次の質問に移る。次に、空き家対策条例のその後について尋ねていく。平成25年9月議会において、全議員の賛成で福岡市空き家の倒壊等による被害の防止に関する条例が制定されたが、その後の運用については担当の部署に委ねられている。そこで、通称空き家対策条例施行後の現状がどのようになっているのか質問する。まず、空き家で危険度判定Cランクの件数が平成25年当初62件あったが、25年度決算では何件になったのか尋ねる。
△住宅都市局長 条例施行に当たり、危険度判定基準、指導や勧告などの手続、緊急的被害防止措置などを規定した条例施行規則及び空き家措置検討委員会設置要綱を定め、平成26年4月1日より施行している。規則に定める危険度判定は、空き家の損傷程度と隣接地からの離隔距離により総合的に4段階に判定するものであり、現状として特段の措置を要さないものをA、何らかの措置が望まれるものをB、何らかの措置が必要なものをC、早急に何らかの措置が必要なものをDにランク分けしている。なお、危険度判定ランクは、24年度実施の空き家実態調査において、低いランクからA、B+、B-、Cとしていたが、規則を定めるに当たり、より明確にA、B、C、Dと表現を変えている。25年度末では、早急に何らかの措置が必要な当時の危険度判定Cランク、現在の規則においてはDランク62件のうち、是正完了したものが19件であり、指導中が43件である。
◯山口委員 次に、住宅都市局からの依頼で、固定資産税を担当している各区課税課が協力し、危険家屋の所有者に対して、条例施行後、もしくは26年度に指導文書を送付した件数と解決した件数を財政局と住宅都市局に尋ねる。
△財政局長 住宅都市局から各区の課税課に依頼があった場合、各区で文書送付先を確認し、住宅都市局が作成した指導文書を送付している。住宅都市局からの依頼を受けて各区の課税課が26年度に指導文書を送付した件数は、8月末現在で8件となっている。
△住宅都市局長 所有者の所在が特定できない場合には、各区の課税課に指導文書の送付を依頼しているが、26年度では8件に送付し、うち是正されたものは1件となっている。
◯山口委員 この危険判定では、これまでB・Cランクであっても、数年経過するとDランクになると思うが、現状で危険判定Dランクは何件になっているのか。
△住宅都市局長 平成26年8月末現在のDランクの件数は、低いランクから移行したものが4件、相談によって新たに把握したものが1件あり、累計で67件となった。このうち、是正完了したものが21件で、この結果、今後も指導を継続するものは46件となっている。
◯山口委員 条例施行前に比べて、平成25年、26年は、少しずつではあるが、進んでいるという感想を持っている。さらに、住宅都市局として条例施行後どのような取り組みをしているのか。
△住宅都市局長 住宅都市局では、まず、条例の施行に合わせ、26年度より建築物安全推進課を設置し、体制の強化を図り、緊急的被害防止措置などを行うとともに、今年度中に条例のリーフレットを作成することとしている。また、空き家に関し、区役所や住宅都市局へ市民などから苦情や相談があった場合には、その相談内容や指導経過などを相互に情報共有し、連携しながら対応している。空き家の所有者に対する指導については、条例に基づく管理義務などを記載した市長名による指導文書とともに、空き家の損傷状況の現地写真、条例本文を送付しており、自宅訪問や電話連絡においても、管理義務の徹底など粘り強く指導を行っているところである。なお、所有者と納税者が一致する場合は住宅都市局が指導文書を送付し、一致しない場合には、守秘義務上の観点から、指導文書の送付を各区の課税課へ依頼している。
◯山口委員 市役所としてのアクションが本当に大事だと思う。空き家対策の結果、26年度から固定資産税の住宅用地の特例を廃止した件数を尋ねる。
△財政局長 住宅都市局が25年度末までに是正完了した19件のうち、26年度に固定資産税の住宅用地の特例を適用しないこととした件数は4件となっている。
◯山口委員 今後もしっかり監視されたい。次に、消防局では、数年に1度のペースで空き家の調査を実施していると聞いているが、現在掌握している件数とどのような対策を行っているのか、条例施行後に何か改善できたことがあるのか。
△消防局長 消防局では、火災予防の観点から、おおむね5年ごとに空き家の実態調査を実施している。直近の調査は平成22年に実施しており、市内で1,903戸の空き家を把握している。このうち、容易に外部から敷地内に侵入できるなど、特に注意が必要と思われる空き家に対しては、福岡市火災予防条例に基づき、所有者または管理者に対して、空き家への侵入防止措置や可燃物等の除去、その他火災予防上必要な措置を講じるよう指導を行っている。また、本条例施行に伴い、関係局との情報共有化をさらに進めているところである。消防局では、27年度に改めて空き家の実態調査を実施する予定であり、その調査結果を各局に提供するなど、引き続き関係局との連携強化に努めていく。
◯山口委員 連携が特に大事だと思う。本日配付された第4分科会の発言記録の中では、火災予防上問題のある所有者不明が27戸もあると書かれていた。これこそ関係局、特に財政局や区の課税課等に聞いて調べれば所有者がわかるのではないかとも思われるので、廃屋対策連絡会議等でぜひ改善を図っていただきたい。さて、本年7月に去年10月現在の数値で、日本全国で空き家が820万戸になったと発表された。空き家率は13.5%に上っている。なお、集合住宅の空き家も数字に含まれているので、本市の一戸建て住宅の空き家率を同じように数字としては出せないとは思うが、確実に毎年増加していることには間違いない。特に、所有者が遠方にいる場合などは、福岡市域の解体業者や不動産業者などがわからなければ手の打ちようがないが、所有者への情報提供など行政として何か手伝えることがないのか。
△住宅都市局長 条例に基づく指導文書とあわせて送付するリーフレットを現在作成中であり、条例の趣旨を記載するとともに、建築物の解体、相続など法律関係、不動産流通など各種団体の相談窓口を掲載する予定である。庁内の関係局、区で構成する廃屋対策連絡会議において内容を決定していく。
◯山口委員 ぜひ早期に完成させていただきたい。危険な状態の住宅で、修理も不可能であれば、取り壊すしか方法がない。その前の段階で空き家の借り手を見つけ、市場に流通させることが大事で重要であると思うが、何か取り組みを行っていないのか。
△住宅都市局長 中古住宅の流通促進については、宅地建物取引業法を所管する福岡県と共同で、関係団体や事業者などで構成される住宅市場活性化協議会において、中古住宅市場のさらなる活性化を図るため、23年度より専門家が住宅の状態を調査後、報告書を作成し、所有者が購入者へ情報を提供することで売買に伴う不安を解消する事業に取り組んでいる。
◯山口委員 協議会が有効に活性化することを望む。また、ことし9月23日、国土交通省が一戸建て空き家を子育て中の世帯に貸し出す取り組みを促すため、27年度から助成対象とすると新聞で発表があった。この制度の概要の説明を求める。
△住宅都市局長 国土交通省に確認をとったところ、詳細な内容については、今後、財務省との協議を経て決定されるとのことであった。
◯山口委員 今のところは国土交通省も開示していないようだが、私も調べたところ、国でも空き家対策について大きく動いているということであった。来年度から子育て世帯の周辺環境整備の取り組みとして、住宅整備費用のおおむね45%について助成する方向で検討されており、事故防止策として転落防止や滑りにくい仕上げ材の使用、手すり等を含むバリアフリー化、ツーロックなど防犯性向上、断熱性向上による省エネ対策などが助成対象となっているそうである。新年度から始まるであろうこの機会を逃さず、本市でもさまざまな取り組みとして取り入れていただきたい。安心・安全な住宅の環境を維持するのは本市の大きな役割であると思う。子育て世代などの入居が進むと、若い世代がふえ、その町内や町の活性化が図られる。危険家屋になる前の、市民に喜ばれる住宅の提供について、担当副市長の所見を尋ねる。また、市場性が失われ、空き家として放置された住宅については、その解消に向け、局間の垣根を取り払い、全庁一丸となった取り組みが必要と考えるが、あわせて尋ねる。
△中園副市長 空き家対策としては、まずは、市場性のある中古住宅の流通促進が図られるよう、国や県、住宅市場活性化協議会などの関係団体に働きかけを行うとともに、国で検討している空き家の活用事業についても注視していきたい。また、放置空き家対策については、議員提案により制定された空き家対策条例に基づき必要な措置を行っていくとともに、関連する局や区で構成される廃屋対策連絡会議において情報共有を図り、さらに連携を強化しながら全庁を挙げてしっかりと取り組んでいく。
◯山口委員 この空き家対策については九州でもまれに見る条例になっていると思う。ぜひ行政としてほかの自治体の参考、模範となるような取り組みをし、実効性のあるものにしていただきたい。次に、本市の観光名所の一つに挙げられる鴻臚館の整備状況について質問する。25年度では幾らの費用が使われているのか、またその内訳について説明を求める。
△経済観光文化局長 25年度の鴻臚館整備関連の決算額は、発掘調査費4,092万円余、鴻臚館跡整備基本構想の検討費用636万円余であり、合計4,729万円余となっている。
◯山口委員 鴻臚館の整備は何年ぐらい前から行われ、これまで幾らの費用がかかっているのか。
△経済観光文化局長 昭和62年度に遺構が発見され、昭和63年度に整備事業を開始して以来、25年度までに26年間が経過している。この26年間の決算額は、発掘調査費及び展示館建設費等で合計11億8,409万円余となっている。
◯山口委員 間もなく30年になろうとしており、金額も11億円を超え大規模な事業になってきているが、25年度はどのような取り組みがなされたのか、また、今後の整備スケジュールについて尋ねる。
△経済観光文化局長 25年度は、整備の基本的な考え方や方向性を示す鴻臚館跡整備基本構想の策定に着手している。この基本構想は、26年度中に取りまとめることとしている。27年度からは、この基本構想を踏まえ鴻臚館跡整備基本計画の策定に着手することとしており、この中で、今後の整備内容やスケジュールを検討していきたい。
◯山口委員 いよいよ動き出したという感がしている。基本構想が本年度で、基本計画が来年度に作成とのことだが、それでも、この状況だと整備完成まで何年ぐらいかかるものか不安を覚える。福岡城については今どのような計画になっているのか。
△経済観光文化局長 福岡城の整備計画は、平成26年6月に策定した福岡城跡整備基本計画において、計画期間を15年間としている。現在は、当初5年間の短期計画の一環として潮見やぐらの復元作業等を進めているところである。短期計画に引き続き、その後10年間の中期計画では、武具やぐらの復元などに取り組むこととしており、歴史的な景観の充実に向け計画的に整備を進めていく。
◯山口委員 25年度及び26年度は何をしているのか。
△経済観光文化局長 25年度は、福岡城跡整備基本計画の策定に向け、福岡城跡整備検討委員会の開催、計画案の作成、パブリックコメント等を実施した。また、市民等の福岡城整備事業への参加意識や福岡城への愛着を醸成し、多くの市民の思いに支えられた福岡城とするため、福岡城整備基金条例を制定した。26年度は、6月に基本計画を策定し、7月には条例に基づく福岡城整備基金への募金活動を開始した。同じく7月には24年度より行っていた上之橋御門石垣の修復工事が完了している。
◯山口委員 基本計画が完成し、基金条例等もいよいよ動き出したと思う。市民や観光客に対する福岡城や鴻臚館の情報発信について尋ねる。
△経済観光文化局長 これまで鴻臚館跡展示館での展示、発掘調査時における現地説明会などを行ってきたが、これらに加え、平成25年4月からは、コンピューターグラフィックスを活用して鴻臚館や福岡城を携帯タブレット内に再現し、ボランティアガイドとともに当時の情景を体感しながら回遊するバーチャル時空散歩ガイドツアーを始めている。さらに、26年度には、鴻臚館や福岡城を紹介するガイダンス施設を旧舞鶴中学校跡に設置することとしている。
◯山口委員 旧舞鶴中学校校舎に設置するガイダンス施設はいつごろオープン予定か。
△経済観光文化局長 平成26年11月を予定している。
◯山口委員 いつも問題になる駐車場の整備も含め展示室の概要を尋ねる。
△経済観光文化局長 ガイダンス施設は、旧舞鶴中学校の校舎の一部を改装、整備し、福岡城や鴻臚館の見どころに加え、発掘調査や復元整備の状況などを説明パネルや映像によりわかりやすく紹介するものである。また、来訪者に軽飲食の提供や土産品を販売する休憩施設も併設し、史跡内の新たな集客の拠点にしたいと考えている。駐車場の整備については、国において舞鶴中学校跡地の校庭部分の活用が検討されており、本市から観光バスを含む駐車場の整備を行うよう要請している。国では市の要請を踏まえ、暫定的な活用方法として観光バスを含む駐車場の整備を行う方向で検討を進めていると聞いている。
◯山口委員 いよいよ来月11月にガイダンス施設が開設されるが、鴻臚館、福岡城に来る市民、観光客にとって重要な施設になると思う。この施設がどのような展示になるのか、行けば何か学べるのか、まさに興味が湧くところである。先ほど舞鶴公園内でバーチャル画像を来場者に見せているとの説明があったが、バーチャル見学ツアーは機材の都合もあって30人程度であり、観光客もそれほど多くの人は見られないそうである。そのため、ガイダンス施設は鴻臚館、福岡城について説明できる非常に有効な場所と思う。来場した子どもたちが見てわくわくどきどきするような、過去にタイムスリップしたような展示施設と感じられるよう取り組んでいただきたいと考えるが、展示内容について説明を求める。
△経済観光文化局長 ガイダンス施設の展示内容については、古代の鴻臚館から現在に至る歴史の流れを中心に展示するとともに、鴻臚館、福岡城、さらに将来のセントラルパーク構想について具体的な姿が理解できるよう、地形の立体模型に映像を投影した復元展示などを予定している。また、鴻臚館や福岡城整備の最新情報も施設内で紹介し、整備の進捗状況が一目でわかるような展示も行っていきたい。
◯山口委員 東区で海の中道遺跡が1979年から発掘調査されている。この遺跡は、鴻臚館の津の御厨とも言われ、まさに鴻臚館の台所だったのではないかというところまで調査が進んでいると聞いている。そうしたものも含め、博多湾全体、この鴻臚館で古代からこういうもてなしをしていたことがわかるような展示室に、グレードを上げていっていただきたい。さらに今後、この鴻臚館も含め整備費用をどのように捻出するのかが気になるが、これまで国や福岡県から補助金がどれくらい出ているのか。
△経済観光文化局長 施設整備のための発掘調査、史跡の環境整備や活用推進等に係る事業費を対象とし、その50%が国から補助されることとなっている。また、県の補助金については、従来は国庫補助対象事業費の25%が補助されていたところであるが、12年度以降は実施されていない。このため、補助の復活について県に毎年度要望している。
◯山口委員 福岡県の補助金はもう10数年ストップしている、これはいかがなものかと思う。文化財施設に関しては、当地の市や町だけではなく県も出資しているものである。本市の場合はセントラルパーク構想が進められており、県と市が共同で現在国と交渉している場所でもある。鴻臚館の整備についても県が補助金を出すよう粘り強く交渉をしていただきたい。先日、松本市に行き、松本城の整備費用がどのようになっているのか調査に行ってきた。単純に一般会計の一分野ではなく、松本城特別会計を組み、収入の面では募金や基金、各種団体の補助金等、また土産物屋の売り上げも入っている。松本城の天守閣は国宝でもあるので、当然国と県からの補助もあり、寄附金も多く集められている。26年度予算総額は6億2,400万円であり、国宝松本城天守保存活用計画に約1,000万円、史跡松本城保存管理計画に約900万円を計上している。今は石垣改修事業や外堀の復元事業に取り組んでおり、総事業費は約44億円で、平成33年度までかかるとのことである。松本市では、観光地としての城はもちろん大事であるが、後世の人に文化財を残していくとの職員の意識は十分にあると感じた。市の担当者も、これから何人も人事異動でかわっていくと思うが、必ず受け継がれていくだろうと期待が持てた。本市も松本市の勢いを見習い、寄附も受け付け、古代日本の迎賓館ともいうべき鴻臚館を1年でも早く整備していただきたいが、最後に高島市長の見通しの明るい答弁を聞き、私の質問を終わる。
△市長 国の史跡である鴻臚館跡は、日本で唯一遺構が確認できている古代の外交施設でもあり、大陸との交流や政治、経済、そして文化の拠点であった福岡の歴史を象徴する重要な遺構である。また、鴻臚館跡は、国史跡の福岡城跡内にもあり、重複して国史跡の指定を受けているという全国でもまれな文化財であるとともに、緑豊かな都心のオアシスともいうべき地域に立地し、市民にとっても憩いの場、観光資源でもある。このため、鴻臚館の整備については、今後、鴻臚館跡整備基本構想、基本計画を早期に策定して歴史資源としての活用やセントラルパーク構想など関連事業と連携をしっかり図りながら、市民の憩いの場、集客、交流の拠点として親しまれる場となるよう、指摘を踏まえしっかり明るい見通しを立て、着実に進めていきたい。