福岡市議会議員・山口つよし

2011.12.16:平成23年第5回定例会

◯23番(山口剛司)登壇 皆様おはようございます。
 この冬一番の寒さですが、寒さに負けず元気いっぱい質問してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 私は、公明党福岡市議団を代表しまして、空き家及び老朽家屋対策についてと照明灯のLED化について質問いたします。理事者の前向きな答弁を期待いたします。
 最初に、空き家及び老朽家屋対策、いわゆる廃屋対策についてお伺いいたします。
 2010年、昨年ですが、2008年における住宅・土地統計調査が発表されました。調査では全国の空き家が約757万戸あるとのことです。これは日本の総住宅に占める割合では13.1%の空き家率になります。同調査で福岡県の場合、約32万戸です。福岡市では約11万6,800戸に上ります。これはマンションやアパートの空室を含んでの戸数ではありますが、これらを除きますと戸建て住宅の空き家は約9,800戸です。このうち、破損があるとか老朽化している住宅は約3,000戸に上っています。本市の特徴として集合住宅、つまりマンションなどが7割、戸建て住宅が3割という割合から戸建て住宅の空き家に関して言えば、政令市内での順位は2008年の数値で17都市中15位と空き家率が低い都市と言えます。しかし、約3,000戸の戸建て住宅が廃屋予備軍として存在していると言えるのではないでしょうか。今後、この空き家数はさらにふえると考えられています。高齢化により住人がいなくなった家は荒れ放題になります。所有者がだれなのか、そしてだれがこの住宅を管理するのか、重要な問題になっています。国は今のところこの点について何ら解決策を示していません。そうなりますと、市民はその自治体に解決を望むようになってまいります。
 私は、その解決策として空き家の管理条例を制定した都市を視察してまいりました。危険な家屋、その情報の一番は、子どもたちの通学路に危険な建物があるので対処してほしいと役所に相談があって、条例化が急がれたところがほとんどでした。本市の通学路は安全でしょうか。これまでの事故報告の中で、建物に起因する事例がなかったでしょうか、物の落下による事故がなかったか、過去5年間の状況についてお尋ねいたします。
 そして、次に通報された件数で多いのが、消防職員によるパトロールからの連絡でした。放火等火災が発生しやすいと思われる空き家を消防局では調査されていると思いますが、掌握されている空き家数と、その中で特に注意が必要と思われる空き家が何件ぐらいあるのでしょうか、お尋ねいたします。また、空き家対策として町内会や自治会から役所に相談があっていると思われますが、相談件数がわかればお示しください。
 私に相談があった事例として、空き家の屋根が一部壊れていて、風が吹くとバタバタと木切れの音がするのですが、次に台風など大風が吹くと木切れがどこに飛んでいくのかわからず不安なので、早く解体するよう指導してほしいと言われました。また、別の件で空き家がハチのすみかとなっており、蚊も常にわいていて精神的に参っているとの相談もありました。個人の財産権があり、他人が勝手に敷地内に入り処置することができない現状では、なかなか対策の手が打てません。蛇などがすみついたりすると近所の人はたまったものではありません。こういった空き家問題は、これまで数多くの議員から対策を求められてきました。
 お尋ねいたしますが、役所が立ち入った例としてハチの巣などの有害な駆除をされた実績は、過去5年間でどのくらいあるのでしょうか、お伺いいたします。
 住宅都市局の建築指導部を事務局として平成20年より廃屋対策連絡会議を設置されています。これまで何回開かれたのかお示しいただくとともに、会議のメンバーにはどのような方が参加されているのか、外部のメンバーが参加されているのか、お伺いいたします。
 次に、廃屋の処置実績について伺います。
 これまでに指導を行った件数と是正、解決された件数、そして現在処理中が何件で、そのうち所有者が特定できなくて連絡がとれていない件数が何件あるのか、お示しください。
 また、固定資産税課に頼んで所有者に対し指導文書を郵送してもらっている件数はどれくらいあるのでしょうか、お尋ねいたします。また、郵送後はどのような流れになっていくのか、お示しください。
 次に、照明灯のLED化についてお尋ねしてまいります。
 福島県の原子力発電所の事故以来、九州ではこの12月に定期検査もあり、すべての原発が停止いたします。この冬、市民は通常の5%の電気消費量の削減が求められています。市役所も今後の対策を行う必要があります。さまざまな節電の手段があると思いますが、今回は照明灯で今注目されているLED照明灯についてもっと進めるべきではないかという観点から質問をいたします。
 本市の照明灯のうち、室内用と屋外用に分け、まず道路照明灯についてお尋ねいたします。道路照明灯の中で、市が100%費用を出す直営灯が約3万4,000基あり、明町灯は約7,000基、そして町内に設置されている防犯灯が約4万4,000基あります。このうち23年度にLED化された本数は何基ありますでしょうか、お尋ねいたします。
 また、防犯灯については、LED灯について補助金を蛍光管と比較して増額されています。市からは半額の補助で共架式の場合1万7,000円ですが、町内からの補助申請を11月30日で締め切られております。何基の申請がありましたでしょうか。全体数とそのうちのLED灯数をお示しください。また、申請された本数は当初予定していた本数と比べ何本の差があり、幾らの金額差になっているのか、お尋ねいたします。
 LED灯の特徴は何といっても電気使用料がこれまでの水銀灯やナトリウム灯と比較すると安価になるということですが、本体の値段が他を圧倒して高くなります。初期投資に費用がかかります。一般的に言われていることは、10年のスパンで見ますと、蛍光灯は4回取りかえる必要があるのに対し、LED灯は交換の必要がありません。そこで、何年で現在使用している照明灯より維持費用も含めて安くなるかが大事な視点になります。
 お尋ねいたしますが、設置費用、電気代、器具交換代を含めたところでライフサイクルコストの試算では、直営灯の水銀灯100ワットの場合と、防犯灯などの20ワット蛍光灯クラスとの場合ではどうなのか、お示しください。
 また、福岡市道路照明灯整備基準について、LED照明灯の普及に伴い、改定が必要かと思われます。LED照明灯はメーカーが多くて、種類もたくさんあります。さらに、照明灯の設置する距離もある程度一律にすることが大事で、特に防犯灯については適正な設置が求められております。そこで、今の基準の見直しはいつぐらいを目標に改定されようとしているのか、お伺いいたします。
 以上で1回目の質問を終わり、2回目からは自席にて行います。


◯教育長(酒井龍彦) 通学路についてお答えいたします。
 通学路の安全につきましては、学校、保護者、地域が連携しながら、危険箇所などの情報を把握し、子どもたちの安全確保に努めております。
 なお、通学路における建物に起因する物の落下などについて過去5年間、事故報告はございません。以上でございます。


◯消防局長(谷口芳満) 放火等火災が発生しやすいと思われる空き家についてお答えいたします。
 消防局ではおおむね5年ごとに火災予防上の観点から、空き家の実態調査を実施いたしております。平成22年度の調査では、木造密集地域や道路狭隘地域で火災防御上、困難な地域を重点調査地域とし、これらの地域を中心として調査を行っており、現在把握しております空き家の数は1,903戸でございます。重点地域の中で容易に外部から敷地内に進入できるなど、特に注意が必要と思われる空き家は55戸でございます。以上でございます。


◯住宅都市局長(馬場 隆) 空き家及び老朽家屋対策についてお答えいたします。
 まず、空き家に関する相談件数についてですが、相談内容としましては、建物の危険性、雑草の繁茂、ごみの不法投棄、不審者などの出入りによる火災の危惧など、さまざまなものがございますが、町内会や自治会及び地域住民の方々から市が相談を受けた建物の件数は、平成22年度では市全体で126件となっております。
 次に、廃屋対策連絡会議についてですが、廃屋対策連絡会議は適切に管理がされていない建物から生じるさまざまな問題に関係局、区が連携して対応することを目的として平成20年1月に設置したもので、平成23年11月までに合計9回開催しております。
 また、会議のメンバーは、総務企画局、市民局、保健福祉局、環境局、道路下水道局、消防局、住宅都市局に、7区の取りまとめ役として東区を加えました7局1区役所の担当課長10名で構成しており、特に外部の方は入っておりません。
 次に、廃屋の処置実績についてですが、福岡市ではいわゆる廃屋について市街地で長期間維持管理がされず、地域住民に悪影響を及ぼしている建築物及びその敷地ととらえて、それぞれ所管の部署で対応しているところですが、このうち建物に危険性があるとして住宅都市局が指導を行った件数は、データの集計を始めた平成16年度から平成23年11月末までの累計で189件となっております。このうち、除却または修繕で是正完了しているものは86件で、現在処理中の件数は103件であり、その内訳としましては、継続して指導中のものが88件、所有者が特定できず連絡がとれないものは15件でございます。
 次に、固定資産税課による指導文書の郵送についてですが、これは不動産登記簿などで所有者が特定できない場合に住宅都市局観察指導課が作成した廃屋に関する指導文書の郵送を固定資産税の納税者の住所などの情報を保有している各区の固定資産税課に依頼しているものでございます。この取り扱いは平成20年度から開始しており、これまでの累計件数は10件となっております。
 なお、平成23年度からは不動産登記簿上の所有者と納税者が一致する場合については、各区の固定資産税課から納税者の住所などの情報提供を受けることができることとなったため、これらが一致しない場合に限って指導文書の郵送の依頼を行っているところでございます。
 また、郵送後の流れについてですが、固定資産税課を通じて郵送している指導文書には、廃屋の現況や管理義務などの記載のほか、住宅都市局観察指導課に連絡するよう明記しており、所有者などから連絡があれば直接の指導を行い、相当期間が経過しても連絡がない場合には再度固定資産税課に指導文書の郵送を依頼しております。以上でございます。


◯保健福祉局長(井崎 進) 過去5年間において市が立ち入ってハチの巣などの駆除をした実績についてでございますが、スズメバチの駆除が平成18年度に1件ございます。ハチの巣はその巣のある場所の所有者または管理者が駆除することを原則といたしておりますが、通学路に近い廃屋にスズメバチが巣をつくり、そのまま放置すると人に危害を及ぼすおそれがあったことから、緊急かつ例外的に駆除したものでございます。以上でございます。


◯道路下水道局長(井上隆治) 照明灯のLED化についてお答えいたします。
 道路照明において平成23年度にLED化された本数につきましては、直営灯は機器価格が従来の機器と比較して高額であること、あるいはJISや国の規格基準がなく、本年の9月に国土交通省からLED道路・トンネル照明導入ガイドラインが発表された状況もございまして、現在の設置本数は博多駅前の歩道照明として約60基にとどまっております。
 また、防犯灯につきましては、平成23年度から新たにLEDの補助項目を追加し、地域からの申請を11月末まで受け付け、今後設置していくことといたしております。その防犯灯工事の補助申請件数の総数及び内訳等につきましては、新設、建てかえ、移設等含めまして総数は約2,500件、そのうちLEDの新設は約260件、LEDへの建てかえは約1,240件で、その他蛍光灯及び水銀灯の新設、建てかえで1,000件でございます。
 また、当初予定しておりました申請件数につきましては約1,400件、そのうちLEDの新設は約300件、LEDの建てかえは約500件、その他蛍光灯及び水銀灯の新設、建てかえで600件あり、この結果、予定を上回り、総数で約1,100件、LEDの申請で新設、建てかえを含めまして約700件、その他蛍光灯、水銀灯の新設、建てかえで約400件のプラスとなっております。
 次に、予算につきましては、当初2,100万円を予定しておりましたが、申請件数がふえたことから約1,200万円を他の予算から調製し、対応しております。
 次に、LED照明灯につきましては、従来の水銀灯に比べ価格は高額ですが、同等の照度でも消費電力量が少なく、電球の寿命が長いという特徴がございます。そこで、直営灯の水銀灯100ワットと防犯灯蛍光灯20ワットをLED化した場合の設置費、電気代、維持費を含めたライフサイクルコストを比較いたしてみますと、水銀灯100ワットの場合、10年間で試算しますと設置費約6万3,000円、維持管理費約3万7,000円、電気料金約9万7,000円、合計で約19万7,000円となります。水銀灯100ワットと同等の照度が得られますLED照明は29ワットクラスで、設置費約11万円、電球交換等安定機器取りかえなどの維持費は、実績はございませんが、10年間不要と言われており、電気料金約2万7,000円、合計で約14万2,000円となります。また、設置費の初期投資や電球交換等安定機器取りかえなどの維持費、電気料金の合計を比較いたしますと、LED照明灯が6年で従来の水銀灯を下回る計算となります。
 同様に、防犯灯、蛍光灯20ワットの10年間の試算額は、設置費約1万3,000円、維持管理費約1万5,000円、電気料金約2万7,000円、合計で約5万5,000円となります。蛍光灯20ワットと同等の照度を得られるLED照明は8.5ワットクラスで、設置費約1万8,000円、維持管理費は10年間不要、電気料金約1万5,000円、合計は約3万3,000円となります。また、設置費の初期投資や維持費、電気料金の合計を比較いたしますと、LED照明灯が4年で従来の蛍光灯を下回る計算となります。
 次に、LED導入に伴います福岡市道路照明灯整備基準の改定につきましては、現在の整備基準が平成20年に直営灯の整備範囲及び優先順位について策定したもので、今回の改定は直営灯のみでなく、防犯灯や、いわゆる民間団体の明町灯を含めました整備基準となりますよう考えております。
 また、LED導入につきましては、LED照明器具を光源の標準採用とすることで検討を行っております。また、防犯灯の適正配置につきましては、他の照明施設も含めて検討を行うことといたしております。
 なお、整備基準の改定時期につきましては、平成23年度中の改定を目標に検討を行っております。以上でございます。


◯23番(山口剛司) 2回目の質問に入ります。
 廃屋対策についてですが、消防局が把握している放火等火災が発生しやすいと思われる空き家は1,903戸とのことでした。1回目で示しましたとおり、戸建て住宅で破損や老朽化等がある戸数は福岡市内約3,000戸です。平成16年から是正の指導を行った件数は189件と答弁されました。本当に危険な住宅が、ごみ屋敷ともなっている住宅が200件未満なのか、少々不安を持っております。消防局の数と大きな開きがあります。しっかり全市域を調査されたのならわかりますが、通常別の業務をされながらのカウントは、担当職員任せでは無理があるように思います。
 私が今回の質問のために調査に行きました都市、埼玉県所沢市、千葉県柏市、東京都足立区の担当者からは、何年も課題解決に時間がかかることでもあるので、福岡市も本気で廃屋対策に取り組むのであれば専門の職員を置くべきですと助言をいただきました。事実、この3都市は課長を筆頭に2から6名の職員で解決に当たっておられました。これら職員の配置で効果が上がっています。職員が徹底して所有者に接触するので、解決件数が格段に伸びているのです。本市は監察指導課が兼務していますが、廃屋対策はとても兼務できる事務量ではないと思います。新年度からでも新規の部署を立ち上げ、課題解決に向け真剣に取り組まれませんでしょうか、御所見をお伺いいたします。また、調査については、足立区は本年の国の補助事業である緊急雇用創出事業を利用し、全区域を調査されました。本市でもまず実態がどれくらいか、何件が対象なのか、実態を把握するべきです。来年には全市域を調査していただきたいと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、所有者が判明しないという点についてです。
 ひとり暮らしの方が亡くなると、それは近い将来、老朽化し廃屋と化すと言えます。家族や親戚が所有権の移転等の手続をしてくれていれば、登記簿から所有者がすぐ判明するのですが、亡くなった方のままで手続が放置されているケースが多いようです。視察した都市でもこれには大変御苦労されておられました。対象建築物の近所の方やお店の方などに家族や親族がいないかも聞いておられるようです。常日ごろの近所づき合いが薄れてきている昨今の特徴で、隣近所の人々や二、三十年前から住んでおられる方の情報がとても大事であると言っておられました。それでも判明しない場合は、最後の手段として固定資産税を納付されている方に住宅の改善を依頼するのですが、個人情報保護の壁でなかなか追いかけられません。そこで条例を制定し、市長名で改善のための勧告書を送付できるようにされています。勧告書を出す、危険家屋と決めるときは注意を払っておられます。判定会議に弁護士や建築構造の専門家、また不動産に詳しい外部の方などにも出席していただき、法的にも問題が起きないように配慮されていました。この会議はおおむね年に3回から5回は開催され、1回の会議時間は委員全員での現場の調査もあるので半日以上はかかっているとのことでした。
 空き家等の条例は、埼玉県所沢市が平成22年7月に制定されたのを皮切りに、千葉県柏市は23年9月に制定されました。足立区はさきの2都市が空き家を対象としているのに加え、家屋に住人がいても老朽化していて危険であれば、条例の対象とするとして本年11月に施行されました。空き家の所有者には担当課から改善の書類が現況の写真とともに郵送され、それでも進展が見られない場合は、市長名の勧告書が郵送されています。ほとんどはこの時点で解決に向かっているそうですが、中には資金がなく解体等もすぐにできないと言われるケースや全く無関心な所有者もいるそうです。役所が条例にのっとって毅然とした態度で接することで危険家屋の所有者名の公表や行政代執行をすることができることを通知し、現在3都市とも解決に向け奮闘中でした。
 この条例の効果はてきめんです。市長名で所有者に勧告書が届けられる点が大きい。この市長名の勧告書で解決件数が多くなったと、どの都市でも喜んで話されていました。勧告書には、近隣の住民が大変迷惑をこうむっていること、そして改善していただけなければ、条例にのっとって当該地に所有者名の看板を立て公表することなどが書かれております。今のところ公表に至らなくても解決しているとのことでした。
 このように大きな効果がある条例は、ぜひ本市でも制定するべきです。福岡市の場合、未解決103件のうち、所有者の判明ができずに解決に至らない件数は15件あります。廃屋かどうかの判定もできていない戸建て住宅がまだ存在していることを考えると、数字にあらわれていない件数が多くあるのが実態です。解決の道筋がうまくいっていないのであれば、先進都市に倣って条例を制定し、解決する時期に来ているのではないかと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、LED照明灯についてですが、道路照明灯のうち直営灯については60本の設置ということでした。予想より少なく、驚きを禁じ得ません。道路アクションプランの改定時期でもありますし、5年程度の目標数値の中でLED照明灯を何基取りつけるか示すことが必要だと考えますが、御所見をお伺いいたします。特に新しく開通する計画道路はLED照明灯にするべきだと考えます。あわせてお示し下さい。
 防犯灯については、町内からの申請が局予算の予定の本数を超えています。市民の皆様の関心が高いと言えましょう。しかし、LED防犯灯800本の予算に対し1,500本の申請です。市全体の防犯灯数が約4万4,000ですから1割にも満たないほど遠い数です。特に補助率2分の1が、半分は地元負担の聞こえがよくない。市役所としての積極性が見えないのではないでしょうか。お隣の北九州市は補助率が4分の3で、限度額も本市より1,400円も高く、1万8,400円と設定されています。補助率についても考え直す時期が来ているのではないでしょうか。市民の防犯の観点からも安全な道を守るため必要な施策であると考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、ライフサイクルコストですが、新設の揚合、直営灯では約6年、防犯灯では約4年と試算いただきました。直営灯については、もっとLED照明灯に取りかえませんか。政令市でも川崎市は平成20年度からLED照明灯を設置し始められました。1,417基になっています。そのほか、札幌市では約3,000基、さいたま市1,251基、横浜市は1万5,041基、広島市が979基など、他の都市でも数多く設置されています。特に北九州市は市長が本年、照明灯はすべてLED照明灯にすると発表されて、全国の関心を集めています。発信が上手です。本市は60本、これでは関心がないのではと思われても仕方ないと思います。今のままでいいのでしょうか。防犯灯もせめて1割の4,000本ぐらいは申請が役所に来て、さあどこから取りつけようかと悩むぐらいアピールしませんか。それには町内会、自治会に対しライフサイクルコストとして何年で費用が逆転しますとお知らせすることが重要であると考えます。特に取りかえたばかりの照明灯を今LED照明灯に変えることが経済的かという疑問に明確に答えることが大事で、何年経過すると交換を考えませんかと発信することが重要であると考えますが、御所見をお伺いいたします。
 また、市の公共施設でも室内照明灯をLED照明灯に変更していかれませんでしょうか。環境施策に取り組む都市づくりの観点からも、電力使用量の点からも、これからは市役所が先頭を切ってLEDにすると発信していったらどうでしょうか。新年度に市の公共施設におけるLED照明灯の導入についての所見を財政局長にお尋ねいたします。
 以上で2回目の質問を終わります。

◯住宅都市局長(馬場 隆) まず、廃屋対策に関する新規部署の設置についてお答えいたします。
 廃屋に起因する問題には、建物の危険性、雑草の繁茂、ごみの不法投棄、火災の危惧などさまざまなものがあるため、福岡市では具体的な問題状況に応じて、それぞれの所管部署が関係課と十分に連携を図りながら適切に対応することとしているところでございます。
 このうち建物の危険性の対応を所管する住宅都市局観察指導課につきましては、平成23年度から係員1名を増員するなど、体制の強化を図ったところでございます。
 今後の廃屋対策に関する組織のあり方につきましては、廃屋対策の状況や体制の検証などを行いながら、関係局とも連携して検討してまいりたいと考えております。
 次に、廃屋の実態把握のための調査についてですが、住宅都市局では市民や地域からの通報や相談、関係局からの情報提供、違反建築物パトロールなどにより廃屋の実態把握を行っておりますが、今後、廃屋対策の推進を図るためには、改めて市内の実態調査を行うことが適切であると考えております。このため、緊急雇用創出事業の活用なども視野に入れながら、実態調査の実施について検討してまいります。
 次に、空き家の適切な管理を目的とした条例の制定についてですが、平成22年7月の埼玉県所沢市を初めとして、数都市で条例が制定されたことは承知いたしております。条例制定の背景としましては、それぞれの都市によって高度経済成長期に開発されたベッドタウンの過疎化や急な斜面地に形成された市街地での空き家率の上昇、また著しい人口の減少による空き家の増加など、さまざまな事情があるようでございます。福岡市におきましても、今後廃屋の増加が懸念されるところであり、先行都市の条例の内容、施行後の状況や課題などについて調査を行いながら、関係局とも連携して検討してまいります。以上でございます。


◯道路下水道局長(井上隆治) 照明灯のLED化についてお答えいたします。
 直営灯のLED化につきましては、先ほど申しました国土交通省から発表されましたLED道路・トンネル照明導入ガイドラインに基づき、検討を行い、新たに設置する照明灯や建てかえる照明灯については、平成24年度からLED照明灯を標準として導入することといたします。
 数値目標の設定に至るようスタートをしっかりと取り組んでまいります。また、既設の照明灯につきましても、厳しい財政状況ではございますが、道路行政の枠にとどまらず、社会経済状況などさまざまな角度から検討し、LED化の早期実現に向けて道路行政の主要施策の一つとして積極的に取り組んでまいります。
 次に、防犯灯設置工事への補助率改定につきましては、この補助制度が補助率と補助上限額の構成となっており、昭和48年の制度開始当初から工事費は2分の1、電気料金は3分の2の一定の率で補助を行っております。補助金限度額につきましては、社会情勢の変化に応じて増額改定を行い、今日に至っているところでございます。今後、LED防犯灯の設置推進がより一層進むよう、補助金の上限額につきましても、増額を行えるよう対応を図ってまいります。
 次に、防犯灯のLED化推進のPRにつきましては、新たに設置する防犯灯はLED化することにより、電気料金の低減や維持管理の省力化が可能になるなどのメリットを市政だよりやホームページ等を活用して既に広報しているところでございます。また、既設の防犯灯につきましては、蛍光灯がほとんどであり、法や製品規格に定められております蛍光灯の主要部材である安定器の適正交換期間は設置後おおむね10年でございますが、その経過年数を考慮した初期投資の回収時期などの情報を提供しながら、早期のLED化が進むよう建てかえの推奨に取り組んでまいります。以上でございます。


◯財政局長(野見山 勤) 福岡市の公共施設の照明器具につきましては、従前より費用対効果を勘案いたしましてLEDなどの省エネルギー型照明器具の導入を進めております。現段階におきましては、庁舎等につきましては、ライフサイクルコストで比較した場合、廊下やロビーなどに使用されるダウンライトや誘導灯にはLED照明を採用し、執務室の蛍光灯につきましては、省エネ型高効率蛍光灯を採用しており、それぞれの特性に応じて使い分けているところでございます。しかしながら、昨今の省電力に対する強い要請や市場拡大に伴いましてLED照明の低価格が進んでいることから、今後も引き続き費用対効果等、十分に検証しながら、御指摘のようにさらなるLED照明の導入に取り組んでまいりたいと考えております。
 なお、改装を予定しております市役所本庁の1階ロビーにつきましては、来庁される市民の皆様の目にとまりやすく、PR効果も期待できますことから、照明にLEDを採用したいというふうに考えております。以上でございます。


◯23番(山口剛司) 3回目です。まず、廃屋対策についてです。
 地震による揺れの影響で住宅や事務所、ビニールハウスに至るまで建設物の傷みはこれまで以上に深刻なケースがふえてきています。そこで各都市では条例を制定し、今まで手が届きにくかった所有者を判明しやすくして、課題解決に努めておられます。本市でも関係部局が参加されて会議は開催されていますが、所有者不明物件が毎年増加している現状では、事務局の負担は大きいように思います。今後ますます増加する廃屋対策について、新しいセクションを設け、老朽家屋対策条例を早期に制定し、この廃屋対策に取り組む時期が来ているのではないかと考えますが、高島市長の御所見をお伺いいたします。
 LED照明灯について、道路照明灯での取りかえのスピードアップを期待しております。これからの取りかえで、本市の場合、直営灯でも約3万4,000基ありますから、仮に年間1,000基かえたとしましても、30年以上もかかる計算です。メーカーはLED照明灯以外の生産を随時中止する方向になっています。節電の冬でもあります。市役所こそリーダーシップを発揮し、市民にLED照明灯は明るさの性能がすぐれていて、蛍光灯よりも電気代が安くなるとお知らせしていってはいかがでしょうか。ライフサイクルコストは見過ごせません。初期の設置費用がかかるものの、維持コストである球かえや電気使用料が格段に少なく済むものであれば、道路照明灯に限らず、室内照明灯も含めて市全体のLED照明灯率を向上させるべきではありませんでしょうか。高島市長の見通しの明るい御所見をお伺いし、私の質問を終わります。


◯市長(高島宗一郎) まずは廃屋の話なんですけれども、高齢化が進展してくる中で、空き家の増加が見込まれる中で適切に管理がされていないような家、いわゆる廃屋ですね。これは非常に日常生活の中でいろんな形で近隣の住民の皆さんの不安ですとか、そういったものを与えておりまして、これは安全、安心なまちづくりを進めていくという観点で考えても、この対策は非常に重要であるというふうに認識をしております。
 廃屋問題についてはこれまでも議会でも御指摘をいただいたところでございますけれども、そういったことを受けて、これまで関係部署間の連携体制づくりとか組織の強化を図るなど、そうした必要な取り組みを行ってきました。議員御指摘の条例化とか今後の体制のあり方も含めて、これは今後十分な問題意識を持ってしっかり取り組んでいきたいというふうに思います。
 また、照明灯のLED化についてでございますが、安全、安心なまちづくりを進めていくためには、これは今まさにエネルギーの安定供給の確保ということが本当に不可欠な問題でございます。エネルギーをつくり出すという創エネと、それから効果的、効率的に使っていくという省エネ、この両輪が大事だというふうに考えています。そうした中で、福岡市では、例えば清掃工場の発電の効率的な運用とか、それから風力発電のいろんな実験とかも行っているわけなんですけれども、特に省エネルギー機器の導入ですとか空調設定温度の調整、それから照明器具の適正点灯などによる省エネ、これは特に力を入れて取り組んでいます。平成22年、23年度に事業所省エネ改修等の支援事業で照明灯のLED化などの補助も行ってきました。財政状況とか費用対効果も勘案する必要はあるんですが、山口議員御指摘のLED照明灯の市施設全体への導入について、これは省エネルギーの推進を図る上でも効果的であると認識をしておりますので、これはできるだけ早急にLED照明への切りかえを進めますとともに、省エネの取り組みについても市民、企業にもしっかりとアピールをしていきたいと考えます。以上です。

福岡市議会議員
山口つよし

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