2011.10.14:平成23年決算特別委員会
◯山口委員 22年度の決算のうち、本市経済向上策について及びAEDの設置状況と利用状況について質問する。本市経済向上策について、22年度の市税収入のうち法人、個人を合わせた市民税は1,155億5,000万円余、最終予算額との比較では4億4,000万円余増加したが、前年度決算額と比較するとマイナス1.3%の減収となった。しかし、法人市民税は最終予算額から350億円余も超え、前年度決算費5.2%の増収となっている。その企業収益回復の要因は何ととらえているか。法人市民税法人税割で10%以上増額となった業種について尋ねる。
△財政局長 22年度の法人市民税法人税割において10%以上の増額となった業種については、まず、電気・ガス業が前年比106.6%増で、燃料コストの減少などによる利益の増加による理由である。それから、製造業が前年比17.3%増で、健康志向による国内医薬品の売上増加、猛暑による飲料品の販売増加などの理由である。卸・小売業が前年比17.1%増で、エコポイント制度の効果による販売増加などの理由である。次いで、サービス業が前年比15%増で、リーマンショック後の消費回復等の理由によるものである。
◯山口委員 今の報告のとおり、21年度より業績が回復している業種は、製造業、卸・小売業、サービス業である。一方で、厳しい業種は、金融保険業、運輸通信業などと聞いている。本市も好調・不調業種が全国と同じ状況か知る手だてとして、まず、市内に本店があるいわゆる地場企業の業種別の動向がどのような状況にあるのか知りたいところではあるが、税務統計では業種別の地場企業の法人が把握できないと聞いている。そこで、資本金別の法人数について尋ねる。具体的に、資本金1億円以下の法人数は21年度と比べて22年度は何社になったのか。
△財政局長 資本金1億円以下の法人数について、22年度であるが、全体法人数4万7,516社のうち1億円以下は4万1,188社となっており、21年度と比較して196社の増加である。
◯山口委員 中小企業が全体としては21年度より196社もふえ、4万1,188社となったとの報告であるが、大手企業を含めた全体の86.7%である。22年度はよい傾向であったと言える。それでは、業種ではどうだったのか。経済振興局では景気動向調査を行っているが、現場の声とあわせて尋ねる。
△経済振興局長 平成22年12月に経済振興局が市内約30業種の企業、団体に実施したヒアリング調査の結果によると、商社、機械器具卸売業、建築資材卸売業の3業種は、海外における景気の回復や家電エコポイント制度、住宅エコポイント制度などの国の経済対策の恩恵を受け、業況が好転しているが、建設業、小売業、外食産業など10業種は個人消費の停滞や原材料価格の上昇、円高などの影響を受け、業況が悪化している。小売業や外食産業からは消費者の節約志向が日常化しており消費マインドが回復しないといった声を聞いているほか、建設業からは国における公共事業予算の削減により厳しい状況が続いているといった声を聞いている。
◯山口委員 最初、全国の統計を財政局長のほうから製造、小売、サービスがふえている、それが本市の法人税に大きく寄与しているという報告であったが、今の経済振興局長の報告は、本市に置きかえれば、小売、製造、サービスは全国は調子がいいのに、本市としては非常に厳しい状況だということが言えると思う。本市の場合は、回復傾向にあるとはいえ、いまだにリーマンショック以前の景況感には至っていない。本年は特に東日本大震災が発生し、風評被害もあり、今現在、22年度の回復基調にも乗っていない。ピンチのときこそ行政として支援が必要であると考える。本市には昭和48年に制定された福岡市中小企業振興条例がある。これは全国でも珍しく、本市が1番か2番ぐらいに早い条例だったと聞いている。この条例により中小企業の組織化、集団化が進められたが、本市には中小企業団体はどれくらいあるのか、福岡市中小企業振興条例の支援内容はどのようなものか、また、その支援内容は中小企業団体に十分周知されているのか尋ねる。
△経済振興局長 まず、中小企業団体の数は、福岡県中小企業団体中央会に加盟し、本市に所在する団体の数で述べると、358団体である。次に、福岡市中小企業振興条例に基づく中小企業者への支援策としては、商工金融資金制度や経営・金融などの無料相談、経営に関するさまざまな問題解決のために専門家を派遣する診断助言事業などを実施している。支援策の周知については、中小企業団体に対して、年度当初に中小企業サポートセンターで実施する支援策を載せたパンフレットを送付するとともに、同センターのホームページに支援策を掲載している。また、支援事業を実施する際には、関連する中小企業団体及び企業者に対して参加者募集の案内を送付するなど、事業の周知に努めている。
◯山口委員 市民税の中で個人市民税が本市の場合は減少していることから、企業の業績が回復している事業者数は決して多くない、今こそ政策で業績回復に力を入れる時期である。本市の商業都市としての成長戦略として欠かせない視点は、観光客が増加することによって買い物や宿泊での収入が大事で、そこから本市の経済が好転していると言っても過言ではないと考えており、旅行者の誘致が欠かせない。いかにお金を使ってもらうかにかかっている。22年度の状況と今後の施策について、実績を互いに共有しながら今後の施策について質問していく。まず、22年度の入り込み観光客総数と外国からの入国者数及び国別人数を尋ねる。
△経済振興局長 平成22年の入り込み観光客総数についてであるが、現在、確定し、公表している直近のデータは平成21年であり、その入り込み観光客数は1,614万人である。また、外国からの入国者数については、平成22年出入国管理統計において、福岡空港及び博多港からの入国者数は約76万人、うち韓国からは全体の約63%の48万人、中国からは約15%の11万5,000人、台湾からは約10%の7万8,000人である。
◯山口委員 22年度の入り込み観光客総数はまだ発表されていないとのことであるので、新聞報道を調べた結果、日本政府観光局により、来日した外国人数の発表があったので紹介する。4月の場合、これは震災直後である、前年同月比は62.5%減にまで落ち込んだということで、外国人の観光客は30万人の大台を割り込んでいる。8月は54万6,800人、これも前年同月比の31.9%減ということになっている。外国人観光客は、日本に来る目的の一つはやはり消費である。消費意欲が旺盛な外国人観光客にどれぐらい来日してもらうか、これがやはり重要な視点だと思う。かつて阪神淡路大震災のときに、神戸市では、震災前の水準に戻ったのが3年後だったという話がある。東日本大震災は直接的には九州博多には影響がないのかもしれないが、今、紹介したとおり、日本全国でやはり観光客数が減っているという大きな要因だと思う。政府が訪日外国人旅行者3,000万人プログラムの推進事業費として新年度予算に計上しようとしているが、今、日本は記録的な円高になっている。いろんなマイナス要因があるがそれを乗り越えて、いかにこの博多に、福岡に来てもらうか、この視点が大事ではないかと思う。そこで、本市に対して国内観光客の要望はどのようなものがあるのか尋ねる。さらに、外国人観光客からの要望としてはどのようなものがあるのか尋ねる。
△経済振興局長 国内観光客からの要望については、ラーメンやもつ鍋、水炊き、屋台など、福岡の名物がどこで安くおいしく食べられるかという食に関する情報をわかりやすく発信してほしいという内容が多くなっている。外国人観光客からの要望については、平成22年10月に実施したクルーズ客へのアンケート調査やことし3月に実施した韓国人観光客へのアンケート調査によれば、商業施設等での言語対応や町なかでの外国語表記の強化に関する内容が多い状況である。
◯山口委員 本年発表された外国人の評価として、クルーズ船の旅行者にアンケートを実施していたが、また訪れてみたい旅行先として、福岡は政令市の中でも8位になっている。これは新聞発表である。これ以外にほかの調査資料があれば福岡の順位について尋ねるとともに、この結果から、原因は何で、どのような解決策が今後必要と考えているのかあわせて尋ねる。
△経済振興局長 外国人観光客からの評価についての他の調査としては、民間の調査機関がことし8月に発表した韓国、中国、台湾の訪日旅行者の訪問地満足度調査があり、福岡は東京や京都などを抑え、総合満足度全国1位である。ことし7月に発表されたアジア都市研究所のクルーズ客へのアンケート調査では、福岡は今後訪れてみたい旅行先の8位であるが、これは乗客の85.5%が初めて日本を訪れており、次の訪問先としてまだ行ったことのない都市を希望した結果と考えている。同調査では乗客の75%が福岡への再訪意欲を持っていると回答しており、今後とも外国人観光客が訪問しやすく、また来たいと思える環境整備に努めていく。
◯山口委員 クルーズ客が福岡に対してより改善してほしいと感じていること第1位は、買い物時間の不足である。税関の対応も大いに影響していると思われる。要は、買い物時間などの滞在時間を確保することだと思う。第2位は、町なかの外国語表記が挙げられている。第3位は、商業施設での外国語対応、そのうち町なかの外国語表記の案内板表示に対して担当局はどう判断しているか。
△経済振興局長 町なかでの外国語表記については、天神、博多駅周辺の通り名を多言語で表示しているほか、クルーズ船の寄港日に合わせてクルーズ客が天神周辺の商業施設等をスムーズに移動できるように、臨時の中国語案内サインを30カ所以上に整備している。外国語表記については、外国人観光客の満足度向上のために引き続き推進しなければならない重要な取り組みであると考えている。
◯山口委員 今、述べたとおり、お客様の視点に立った施策がやはりここでも重要なことではないかと思う。特に外国人が買い物やタクシーなどを利用した場合、海外観光客の目的の意味がわからず立ち往生したという話がかつてあった。店の店員やタクシー運転手などから通訳をしてくれる会社に電話し、行き先などを顧客と会社が話すことで旅行者が何を求めているのか把握するといったシステムがかつてあったが、現在、その活用状況はどうなっているか尋ねる。
△経済振興局長 電話により外国人観光客の通訳を行う電話通訳サービスについては、平成10年ごろから各タクシー会社が独自で導入しているが、当サービスが通訳のみを行うことから、観光情報や周辺の地理的状況を把握していないこともあり、スムーズな案内ができていないことなどにより活用が減っていると聞いている。現在では、本市タクシー協会が独自で作成している指さしマップや、本市タクシードライバー外国語会話集などを活用することにより、外国人観光客等が利用しやすいような工夫をしている。
◯山口委員 他都市と違う本市の特徴が必要であると思う。観光案内所では現在、何カ国語に対応が可能か、お客様の不安などはそこで払拭しているのか、私は問題意識を持っている。平成17年当時、質問に対して、経済振興局長は、自身の海外へ行った際の客としての視点で答弁しており、要約して紹介する。「例えば、中国、韓国など、こういった主なホテル、土産品、商業施設では日本語で対応できるというところが多く、正直、こういったところでほっとする。やはり身近に感じる通訳、ガイドさんたちの観光の知識、またそのまちの成り立ちに対する知識とか思い入れとか、こういうものが強いと大変その都市に対する魅力を感じる」と述べている。まち全体で観光客をおもてなししようという姿勢が海外の都市ではあらわれているように思う。そこで、海外に行った感想から、経済振興局長として、本市でもっと力を入れていこうと考えている点について尋ねる。
△経済振興局長 まず、博多駅の観光案内所ではスタッフが英語、中国語、韓国語の3カ国語に、天神の案内所では英語、韓国語に対応し、中国語は電話通訳サービスを活用している。観光案内所では、外国人に対する観光案内業務ではおおむね対応できているが、お客様の要望は単なる観光案内だけでなく、買い物や飲食に関する情報など多岐にわたっており、一部対応できていない部分もある。海外を訪問して思うことは、私も先日、クルーズ船にも乗っていたが、観光や買い物、飲食などの際、現地の人やクルーズ船のスタッフがあいさつや簡単な会話を日本語ですると安心するし、おもてなしを感じた。外国人観光客を受け入れる際、言葉は重要なおもてなしの要素であると考えており、本市としても、ホテルや商業施設、飲食店などと連携し、外国語対応や多言語案内表示を充実させるなど、都市全体で外国人に対するおもてなしを強化していきたいと考えている。
◯山口委員 まち全体で観光客をおもてなししようという姿勢が大事である。今後もこの取り組みを続けてほしい。次に、韓国、中国の観光客を迎える博多港について尋ねる。私も他都市を訪問した場合、まず目に入るのは、到着したステーションである。その都市が何に力を入れているのかわかる。それは空港だったり、主要鉄道駅だったり、そして港であったりするが、博多港の色彩に関して、港湾局の担当職員は静岡県の清水港に視察に行ったことがあるか。行ったとしたら何が参考になったか尋ねる。
△港湾局長 清水港へは、直近では平成22年5月に担当職員が出張している。その際の出張の目的は、博多港における景観に関する計画の検討を行うに当たっての先進事例調査であり、清水港の現状を把握し、色彩計画に関する意見交換などを行っている。色彩計画について参考になった点であるが、施設の改修時期等に合わせて色彩の変更を行うなど、長期的なスパンで粘り強く取り組んでいく必要があること、それから、企業カラーがある中、民間事業者の理解や協力を得ていく仕組みづくりが重要であることなどである。
◯山口委員 私も清水港に視察に行った。そこで、清水港の色彩計画を紹介する。静岡市清水区にある清水港、バックに富士山を擁して風光明媚な場所である。その港が赤白に塗られた鉄塔や煙突などの高層物、上屋はスレートぶきの灰色や赤さびの色など、これでは景色が台なしになると、市民、特に女性協議会が立ち上がり、1990年、市へ提言書をまとめ提出した。港は一般人が立ち入ることが難しい区域であるが、一方で、旅客船などが出入りする場所でもある。見た目にもいい環境とは言いがたい港であったので、市民の要望を受け、市が協議会を立ち上げ、港湾関係団体の協力を仰ぎ、色彩計画の策定になったと伺った。色の塗りかえは、事業者が塩害等で塗りかえをするときに色彩計画に合わせ塗りかえてもらうというものである。基本色はスカイブルーと白、また、地域を分けて、このエリアは黄色などと設定されている。事業者が塗りかえの配色が判断できないときは、大学のデザイン学科の研究室がCG(コンピューターグラフィック)で色のプランを作成し、事業者に提案するということもしていた。この事業の年間予算は、本当に驚いたが、210万円である。それも県と折半していた。こんな少額の予算でまち全体の景観を左右する色彩を進めていく、本当に魅力を感じた。事業者と協議したエピソードを紹介する。この港湾地区にある大手家電メーカーが出店することになったが、そのメーカーのシンボルカラーは黄色と緑、マークは赤で、そのカラーで全国展開をしている。ところが、清水港にその業者が出店するということで話が来たそうであるが、清水港の好まない色は赤、紫、黄緑、黒である。この業者と真っ向からぶつかった。しかし、市職員の粘り強い説明のおかげで色彩計画に合わせた外壁の色になったとの話である。事業者も清水区の消費者に買い物に来てもらわないと困るので、特別に色彩計画に合わせた色にしたとのことである。本市では、国際ターミナルが満隻の場合、反対側の倉庫群に外国の豪華客船が横づけしたりしている。本当に殺風景な場所である。これでは来客を歓迎しているとは言えないのではないか。本市でも、先ほど紹介した清水港のような色彩計画に取り組みことについて所見を伺う。
△港湾局長 博多港の景観に関する計画については、平成21年2月に中間報告した博多港長期構想においてもその必要性が示されているところである。また、住宅都市局において景観法に基づく本市景観計画の検討が進められていることもあり、これらに対応する形で現在、博多港の景観に関する計画について検討を進めているところであり、24年度をめどに取りまとめたいと考えているところである。
◯山口委員 24年度に景観に関する計画をまとめるとのことで、一歩前進と評価する。港湾事業者は塩害のため施設の補修のために5、6年で施設の塗りかえをしているが、これまでは色について行政として何かアクションを起こしたことがあるか尋ねる。
△港湾局長 博多港においては、魅力ある景観形成を図る観点から、色彩等に関してさまざまな取り組みを進めている。具体的には、アイランドシティや香椎パークポートにおいて色彩や緑化等に関する基準を景観形成ガイドラインとして取りまとめ、民間事業者から協力してもらいながら景観に配慮した物流施設の整備が進められており、また、ガントリークレーンなどの港湾施設においても、都市景観アドバイザーの意見を聞きながら魅力あるデザインを取り入れてきたものである。さらに、中央埠頭地区においては、おもてなしの観点から博多港国際ターミナルへの博多織、博多塀などのデザインを導入しており、さらに博多港を印象づける須崎埠頭の倉庫について、民間事業者から協力してもらい、博多らしさを演出するデザインを導入してきたものである。今後とも、施設の更新時期等に合わせて、民間事業者の理解と協力を得ながら港の魅力ある景観づくりに取り組んでいく。
◯山口委員 一部分は進められている。博多湾それぞれにどのような色彩にするかが大事で、早く埠頭ごとに決定する必要があると思うが、今後の事業計画について尋ねる。
△港湾局長 博多港の魅力ある景観づくりについては、まずはアジアから多くの人々が訪れる海の玄関口である中央埠頭地区から取り組み、各埠頭の特性等を把握した上で博多港全体に広げていきたいと考えている。また、博多港の景観に関する計画において、達成目標等を明確にし、民間事業者の理解や協力を得る仕組みづくりについて検討したいと考えており、時間はかかると考えるが、博多港が変わったと感じてもらえるような取り組みを粘り強く進めていきたいと考えている。
◯山口委員 ぜひ早急に取り組みを開始してほしい。観光客が博多港に近づくと、「ああ、日本に来たな。博多に着いたな」とこれからの滞在日程にわくわくしてもらいたいのである。本市に来る観光客の多くは都市高速を使って移動している。特に高速1号線の博多湾沿いを通行するときに見えるこの景色は、灰色の建物やさびた上屋などが多く見受けられる。天神ランプで、乗り下りするときの真横にあるさびたグレーの上屋を見てどう感じるか。観光客が福岡の天神に来たときに真っ先に目につく場所である。港の色彩計画としては問題外である。本市管理の上屋である。民間の事業者に注文をつける前に、本市の管理する倉庫はまず先に手を加えなければならないのではないか。市長が「人と環境と都市が調和のとれたまちづくり」、「アジアのリーダー都市ふくおか」を実現したいと言い続けても、お客様の第一印象が悪いままで担当局が何もしないのであれば、まさに絵にかいたもちである。一日でも早く統一された色彩が実施されることを期待している。港湾地域直接の担当である港湾局、そして景観計画を策定している住宅都市局、もっと局の垣根を越えて知恵を結集してはどうか。港湾局長、住宅都市局長に答弁を求める。
△港湾局長 住宅都市局との連携については、これまでもアイランドシティ、香椎パークポートにおける景観形成ガイドラインの作成やシーサイドももち地区などにおける都市景観形成地区の指定、中央埠頭地区における緑化事業やデザインの導入などにおいて都市景観アドバイザー制度を活用するなど、一体となって進めてきたところである。今後とも住宅都市局と十分連携を図りながら、博多港の景観に関する計画の作成を初め、港の魅力ある景観づくりに取り組んでいく。
△住宅都市局長 港湾区域における景観形成については、住宅都市局としても、これまでも民間事業者による大規模建築物の景観誘導を行うとともに、シーサイドももち地区やアイランドシティ地区の都市景観形成地区の指定などにおいて港湾局と連携を図りながら取り組んできたところである。また、現在策定中の本市景観計画においては、素案作成段階から港湾局と協議を行い、ゾーン区分の中に港湾ゾーンを設けるとともに、建築物等の色彩基準を設定するなど、景観の向上を目指しているところである。今後とも、魅力ある都市空間づくりや港づくりに向け、港湾局を初め、関係局と連携を図りながら取り組んでいきたいと考えている。
◯山口委員 両局長や局の職員は、協力して頑張ってほしい。次に、緑の面積について尋ねる。全国的に本市は緑が少ないと思われている。まず、港湾区域内の緑化事業は22年度の主な整備場所はどこで、その面積と、幾らの整備費を使ったか。それで全体面積の何割が緑化された区域になったか。例えば、東区の青葉の杜公園にメタセコイアの高木が4本ある。しかし、住民からの苦情で、落ち葉が雨といにたまって掃除ができないので切ってほしいとまで言われている。20メートルを超える高木、そのようなシンボルになり得ると思われる樹木を緑率が少ない港湾区域に移植してはどうかと考える。港湾区域では緑地帯が途切れがちであるとの課題がかねてよりあるが、どう対処しているのか伺う。
△港湾局長 22年度における博多港の緑化事業については、中央埠頭や香椎パークポートのみなと100年公園において取り組んでおり、面積としては約6,400平方メートル、事業費は約7,000万円である。また、博多港の全体面積約1,100ヘクタールに対する緑地の割合については、約116ヘクタールを計画しており、22年度末において約75ヘクタール、全体の約65%の整備が完了している。博多港における緑の連続性については、アイランドシティにおける外周緑地の整備を進めており、これに連なる形で香椎パークポートにおいて大規模な緑地の整備を進めている。また、中央埠頭地区においても、交通広場やこれに連なる道路空間について緑化を進め、緑豊かな空間づくりに取り組んでいるところである。今後は、博多港の各埠頭をつなぐ幹線道路等の緑化に取り組むなど、港における緑の連続性を確保していきたいと考えている。
◯山口委員 福岡市新・緑の基本計画においては、本市の目標値が過去の緑被率を目指す計画になっている。それで本当に達成できるのか疑問を感じている。目標はさらに上を設定しないと、現状すら守れないのではないか。東京都練馬区ではみどり30推進計画を実行中である。平成18年当時、区の緑被率は26.1%だったそうで、そのうち77%が民有地であった。今後の宅地開発などで緑が減少していくことが避けられないと判断した区長がおおむね30年後に緑被率30%を目指そうとこの事業がスタートしている。現在は10カ年の考え方と目標値を定め、5カ年の事業量を明らかにしている。本市の場合の緑被率の数値的な目標と現在の達成状況を尋ねる。
△住宅都市局長 まず、21年度に策定した福岡市新・緑の基本計画における緑被率の数値目標については、目標年次である平成32年において、本市の市域面積に対する緑の面積の割合を示す本市全体の緑被率を同計画策定の調査年次である平成19年時点と同じ55%に維持することを目標としている。これは、本市の緑の総量が平成8年から平成19年の11年間に665ヘクタール、大森公園16.6個分が失われ、引き続き森林や農地などの宅地化により本市の緑は減少傾向が継続するものと想定されることから、樹林地の保全や公園整備、新たな緑化制度の導入等によりその減少を食いとめ、これ以上緑の総量を減らさないことを目指すこととしたものである。なお、達成状況については、現在のところ把握してないが、計画期間の中間的な時期に調査することとしている。
◯山口委員 今後、途中経過の達成状況を明らかにしてほしい。樹木の植樹などを行ってから5年~10年ぐらいたってようやく町なかに緑がふえてきたなと実感できるからである。次に、本市の緑化に関連してまちの景観について尋ねる。市全体の緑被率は55%とのことだが、市街化区域の緑被率はどうなっているか尋ねる。さらに、全国的に見た場合、本市は本当に緑が少ないのか、順位があればあわせて尋ねる。
△住宅都市局長 まず、本市の市街化区域の緑被率については、平成19年時点で20.7%である。また、全国的に見た本市の緑被率の順位については、国の外郭団体である社団法人日本公園緑地協会が22年度に作成した調査報告資料によると、各都市で緑の定義や調査方法、調査年などが異なっており、正確な順位を出すことは困難であるけれども、政令指定都市中、おおむね中ほどに位置しているものと考えている。
◯山口委員 緑が豊かなまちは安らぎとゆとりを感じさせる。これからの緑化計画では、もっと人の目線で見たまち並みづくりが欠かせないのではないか。緑化推進事業としての決算額は1億7,067万円である。どこを主に整備したのか尋ねる。
△住宅都市局長 22年度の緑化推進事業費の決算額1億7,067万円の主な内訳としては、都心部の花による修景や街路樹の再整備に6,404万円余、都心部以外の街路樹の再整備や植えかえ等に4,999万円余、九州新幹線全線開業に合わせた福博花しるべ事業に3,526万円余などとなっており、主に街路樹の再整備や道路の花壇整備等を行っているものである。
◯山口委員 今は都心部において緑化に力を入れているようではあるが、まだ目に見えた形として効果があらわれていないように感じている。引き続きこれからの施策で観光客の目にとまるところ、宿泊場所の近くなどを積極的に植樹し、景観を向上させてほしいと考える。港、駅、空港などの玄関口や都心部について緑化の事業費をふやすことが第一であるが、どのように都心部の緑化をこれから推進していくのか、具体的に尋ねる。
△住宅都市局長 都心部の緑化推進の具体的な取り組みとしては、都市高速天神北ランプから天神橋口交差点までの区間での新たな街路樹植栽や季節感のある樹木などへの植えかえ、九州新幹線全線開業に合わせた博多駅前広場へのケヤキやクスノキなどの樹木の植栽による本市の顔となる緑の空間の整備、博多駅と天神を結ぶ回遊路である博多駅前通りにおけるエリアマネジメント団体との共同による花壇の管理運営などに取り組んできたところである。今後とも、駅、港、空港などの玄関口や都心部において、観光客へのもてなしや福岡の顔づくりなどの観点も踏まえながら花による修景や緑の充実に取り組んでいく。
◯山口委員 本市の経済活性化のためには観光客に多数来てもらうことが大事である、それには観光客に対しておもてなしが重要である点を指摘してきた。この質問の最後に市長に尋ねる。来訪している外国人、また国内からの旅行者に対してさまざま改良の余地があることが判明したが、いずれにしても予算措置が必要である。しかし、その予算の使い方も、他都市ではいろんな工夫をしている。清水港しかり、練馬区しかりである。そこで、本市としてすぐにでも取りかかれる点について、22年度の決算状況を参考に、23年度からでも実行に移してもらいたいが、市長の所見を伺う。
△市長 観光客、ビジネス客に来てもらうことは本市の経済にとって非常に短期的にも大きな成果が出ることだと認識をしている。そのため、私自身も、例えば九州新幹線がつながったということで、熊本や鹿児島の市長と一緒に関西に行ったり、釜山や、北京などにトップセールスに行く、こういったことも展開しながら、福岡、そして九州の魅力発信に努めている。また、観光パンフレットに使っている写真は、より魅力的な写真を使うといったことも含めて、積極的に進めているところである。そして、おもてなし向上のために、町なかで多言語での観光情報を入手できるように、スマートフォン等の活用や、無料で使える公衆無線LANの環境整備を進めていきたいと考えている。これは、自分の言葉で知ることができる、見ることができると非常に安心感につながるということで、非常に期待しており、必ず実現したいと思っている。それから、2階建てバスも現在、バス会社と準備を進めているところであり、平成24年の春には新たな観光の目玉として、観光客や市民にもぜひ乗車してもらい、いろいろなところを回遊しながら、広く福岡の魅力を知ってもらいたいと考えている。今後も、国内外の幅広い観光客を温かく迎え、都市全体での多言語での対応、表記の充実を図っていきながら、都心部、そしてウォーターフロントにおける緑化の推進や魅力ある景観づくりなど、さまざまな取り組みを行い、本市を訪れる人が、過ごしやすく、また、もう一度訪れたくなるまち、福岡をしっかりつくっていきたいと考えている。
◯山口委員 次に、AEDの設置状況と利用状況について質問する。救命措置としてのAEDについては、2003年から本市議会のさまざまな場面で発言があった。心肺停止状態になった人を発見したらまず救急車を呼ぶが、到着するまでの間、AEDを実際に使用できる心肺停止の人は約3割である。心肺蘇生法で酸素が体内に入るよう心臓マッサージ等をすることが一番重要であることをまず申し述べておく。AEDさえあればすべての人が助かるということではないが、有効な措置の一つである。全国のAED設置数は、2003年からスタートして、8年後の平成23年3月、厚生労働省の研究班の報告によると、約33万台になった。そのうち医療・消防機関を除いて市民が使えるのは約25万台である。本市では17年度に初めてAEDが設置された。そこで、尋ねるが、本市で把握しているAEDの設置件数は何件で、そのうち公共施設には何件・何台設置されているのか尋ねる。
△保健福祉局長 AEDについては、平成16年7月から一般市民による使用が認められたことを機に、多くの市民が利用される施設へ設置を働きかけ、19年度からは本市AED設置施設登録制度を設け、本市のホームページにより設置施設の周知を図っているところである。この登録制度により本市において把握しているAEDの設置件数については、平成23年3月31日現在で886施設、1,016台である。そのうち公共施設については582施設、605台である。
◯山口委員 今回、質問の勉強会で22年度のAED整備にかかった市全体の決算額を尋ねたかったが、どこも全体としては把握していなかった。これは残念なことである。そもそも、AEDは1台幾らかかり、メンテナンス代として何に幾らの費用がかかるのか、リースもあるが、バッテリーなど数年単位で費用が発生するものも含めて尋ねる。
△保健福祉局長 AEDの購入価格については、1台当たり約30万円前後、リース契約では1台につき1カ月当たり約7,000~8,000円と聞いている。また、メンテナンス代については、バッテリーが3年から4年の更新ごとに約5万円から6万円、電極パッドが2年から3年の更新ごとに約1万円から2万円と聞いている。
◯山口委員 22年度にAEDを使用する講習を受けた人数とこれまでの合計人数は何人か。行政区別、男女別、年齢別等で掌握しているものを尋ねる。
△消防局長 消防局では、広く市民の方を対象に、心肺蘇生法の講習の中でAEDに関する説明と操作の訓練を行っており、22年度は679回実施し、約2万3,000人が受講している。また、AEDを取り込んだ講習は17年度から実施しており、これまで延べ4,477回、16万5,000人を超える人が受講している。なお、受講者の詳細についての統計資料はないが、年齢層は中学生から80歳代まで幅広く、性別を問わずに受講している。
◯山口委員 次に、公共施設の設置状況を尋ねる。学校、体育館、公民館、空港周辺共同利用会館、障がい者施設、マリンメッセ等の大型施設、港の発着場所など、人の出入りが多い施設などは設置されているか尋ねる。
△保健福祉局長 公共施設でのAEDの設置状況については、本市AED設置施設としての登録実績や各施設の所管局に確認したところ、学校、体育館、公民館、障がい者施設及びマリンメッセ福岡等の大型施設については既にAEDを設置している。なお、障がい者施設のうち、つくし学園、空港周辺共同利用会館及び姪浜旅客待合所には、現在のところ、AEDは設置されていない。
◯山口委員 つくし学園のほか、これまで未設置だった共同利用会館17館、市立保育所12園、母子福祉センター、本市水処理センター5カ所、姪浜旅客待合所について、今後どのように設置するのか尋ねる。
△保健福祉局長 まず、保健福祉局所管のつくし学園については、早期に設置をしていく。また、これまでAEDが未設置である空港周辺共同利用会館、市立保育所のうち5カ所、母子福祉センター、水処理センター及び姪浜旅客待合所については、所管局に確認いたしたところ、できるだけ早期に設置する予定であると聞いている。
◯山口委員 ぜひ早急に設置するようよろしくお願いしておく。次に、平成23年8月、元サッカー日本代表の松田直樹選手が練習中、心筋梗塞で倒れ死亡した。ここにはAEDがなかったそうである。もしAEDがあり、使えていたらと悔やまれている人もたくさんいる。そもそも、AEDの設置に対し何か公共施設の設置基準があるのか。例えば、何人以上が集まる場所について、民間施設の中で、駅やホテル等の宿泊場所、そして多くの人が集まる商業施設などでAEDの設置基準はあるのか尋ねる。また、救急救命士の資格を持つかAEDの講習を受けた人がこの施設に常駐されているのか、あわせて尋ねる。
△消防局長 AEDの設置についての基準であるが、公共施設や民間施設に対する設置基準はない。また、使用するための資格要件や設置施設における資格者の常駐などの基準もない。しかしながら、多くの人が集まる公共施設などにAEDが設置され、また、AEDを使用できる人がふえることが望ましいと考えているので、引き続きAEDを取り込んだ講習を積極的に実施するとともに、AEDの設置についても、保健福祉局と連携して未設置施設へ働きかけていきたい。
◯山口委員 AEDの配置に関して、基準がないということだが、横山市は2008年に救急条例を制定して、2009年にAED設置を大規模施設や駅舎、スポーツクラブなどに義務づける条例を制定した。本市での条例制定の研究はどうか、所見を伺う。
△消防局長 本市では、ホテルや百貨店など、多くの人が出入りする施設を中心に、いざというときに当該施設職員により適切な応急手当が実施できることなどを条件に消防局が認定し、その旨を施設内に表示することができる救マーク認定表示制度を15年度から実施している。この制度の中でAEDの設置を努力義務としており、9月末現在、認定総数517施設で、そのうち330施設、64%でAEDを設置している。この救マーク制度の中で引き続きAEDの設置促進を図るとともに、義務化、条例化については、事業所の設置状況や他都市の動向を踏まえ、研究していきたいと考えている。
◯山口委員 救マーク施設における救命受講者の人数は何人で、一つの施設当たりにすると何人になるか尋ねる。
△消防局長 救マーク認定総数は517施設であるが、この施設における救命講習の受講者数は7,328人である。単純平均で1施設当たり14.2人になる。
◯山口委員 本市内にAEDを設置している場所の地図はあるのか。市民がすぐに見ることができるのか尋ねる。
△保健福祉局長 本市内のAED設置場所の地図については、これまでも本市のホームページに掲載していたが、委員の指摘もあり、さらに使いやすくするため、トップ画面上に「AED Webまっぷ」という見出しを設け、これをクリックすると直ちにAEDの設置場所を表示した本市内地図の画面につながるようにしている。また、携帯電話からも現在地から一番近い設置場所を確認することができるようにしている。
◯山口委員 非常にいいことである。皆にこのホームページを見てもらいたいと思う。次に、近年、設置場所を固定しない持ち運び用のAEDがあると聞いているが、本市の施設や関係機関においてイベント等にAEDを貸し出すような制度があるのか尋ねる。
△消防局長 AEDの貸し出しについてであるが、消防局に事務局がある本市救急病院協会の事業として、21年度から同協会が所有するAED9台を市内で開催されるイベントなどに1日1台350円の有料で貸し出しをしている。
◯山口委員 貸し出しもあるということである。東京マラソンは2007年からスタートしたが、ここでは1回目から国士舘大学の体育学部の学生らでつくる医療救護班が毎年、40~50人体制で参加をしている。このメンバーは救命時に備えAEDを携帯し、ランナーの様子を確認しながら自転車に乗って走る「モバイルAED隊」として巡回をしている。もちろん、マラソン大会であるので救急車がすぐには駆けつけれない。かつてあるタレントが心肺停止になり、AEDで息を吹き返したと大きく報道されたこともこの東京マラソンである。もしそのとき救急車待ちだったら考えただけでも恐ろしい話である。本市でも実施する広域のマラソン大会などでの自転車隊の活動状況はどうか。
△市民局長 本市が主催するシティマラソン福岡においては、平成17年の大会から、ボランティアとして、AEDを携帯した本市消防局救急救命士10人程度による自転車救急救助隊を編制している。コースを10分割の上、担当区間を自転車で巡回しながら選手の安全確保に努めている。
◯山口委員 私は今回の質問で本市のマラソン大会でも必要ではないかと思っていたら、東京マラソンよりも早く本市が取り組んでいた。これはぜひ、もっと宣伝をしてもらいたい。福岡のマラソンは安全で、また安心ですよというようなメッセージもぜひ福岡マラソンでも発表してもらいたいと思う。そこで、過去の事故件数はスポーツ大会を含め、死亡事故またはAEDで救命された件数は何件あったか尋ねる。
△消防局長 過去5年間の救急出動においては、マラソン大会やスポーツ大会での死亡事故はない。また、AEDを使用した救命事例については、平成18年10月のシティマラソン福岡でランナーを救命した事例など4件あり、いずれもAEDを使用して心肺停止になった人が救命され、社会復帰をしている。
◯山口委員 命が助かったという事例である。次に、メンテナンスの問題であるが、一例を挙げると、関東の娯楽施設で男性が心肺停止状態となり、その行楽施設にはAEDがあったので利用しようとしたが、作動しなかったそうである。新聞報道によるとバッテリー切れだったそうで、残念ながらAEDを使用することなく男性は亡くなっている。使用できないAEDでは何の救命にもならない。こういった事象が全国で発生しているとのことだが、現在のメンテナンスのマニュアルはどうなっているのか尋ねる。
△保健福祉局長 AEDのメンテナンスのマニュアルについては、厚生労働省のホームページにおいて、AEDの適切な管理等の実施に係るQ&Aや写真つきの説明書などのメンテナンスマニュアルが掲載されており、日常点検や消耗品の交換等に係る具体的な方法など、管理のポイントがわかりやすく示している。本市においても、関係機関と協力し、緊急時にAEDが正常に使用されるよう、厚生労働省のマニュアルを活用した適正な管理の徹底について関係団体等に対し周知をしていきたいと考えている。
◯山口委員 AEDが全国で導入されて7年がたつ。何かあったときに市民が利用できるAEDの設置地図が本市では23年度にようやくホームページで見られるようになった。今後は、住宅地と密接にかかわっている交番やコンビニ、スーパーなどにも設置してもらうよう要請すべきではないか。今はその救命のすぐれた機材が適正に管理され、また的確に使用できる人材の育成がなされていくかが重要な観点であると言える。消防局が実施している心肺蘇生法の受講者数は16万5,000人を超えたと伺っている。市職員はすべて受講しているのか、AEDを扱えるのか、また救命の方法を知っているのか尋ねる。
△市民局長 職員の防災・危機管理能力の向上を図るために、20年度から27年度までの8カ年計画ですべての職員を対象とした防災・危機管理研修を実施している。その研修プログラムの中でAEDの使用方法と心肺蘇生法の実施を行い、技能の習得に努めているところである。また、新規採用職員や学校用務員を対象とした研修においても同様の実習を実施している。
◯山口委員 市長を初め、理事者、また議員各位も、どうかAEDを扱えるようになってほしいと思う。まず足元をしっかり固めてほしい。AEDの設置について、公共施設の中で、予算の関係があるのかわからないが、市民が多く集う施設へいまだに設置されていない施設があること自体、驚きである。一刻も早く整備すべきと考えるし、さらに、救命の現場などでAEDを使うべきときに使えないことがないように、日ごろからのメンテナンスや人材の育成などを推進する必要があると思う。高島市長、米国のシアトル市のように市民、行政挙げて救命措置ができるようになったら、また安心安全な都市は福岡が一番と言われるようになったら、おのずから福岡へ来る旅行者もふえてくると考える。「倒れるならシアトルへ」と言われるような本市を今後、構築してほしい。市長の心強い見解を伺い、私の質問を終わる。
△市長 心肺停止に対する心肺蘇生法の実施、AEDを使用した迅速な救命措置が救命率の向上につながるなど、その重要性は私もしっかり認識しており、心肺蘇生法とAEDがより多くの一般市民に普及し、救命の現場に居合わせた人が適切に実施できる環境を整備することが大事だと考えている。本市はこれまでも市内の駅や学校、スポーツ施設、文化施設などの公共施設を初め、商業施設など集客施設へのAEDの設置を推進するとともに、一般市民が自信を持って積極的に救命に取り組むことができるように、心肺蘇生法やAEDに関する講習会を開催しており、マラソンでも東京に先駆けてしていたが非常に発信が弱かったので、しっかり発信をしていきたいと考える。AEDは、実際に使ってみると、あとは音声が全部教えてくれて本当に簡単にできる。今後しっかり普及していきたい。また、AEDネーミングライツなど、そういった民間活力も使えないかということを一つのアイデアとして、いろんな工夫をしながらAEDをより普及していけるように、知恵を絞って考えていきたい。