2004.06.11:平成16年第3回定例会
◯19番(山口剛司)登壇 私は、公明党福岡市議団を代表いたしまして、博多湾アイランドシティにおける環境保全対策、本市における子供施策、小学校新設整備計画の以上3点にわたり質問いたします。当局の前向きの回答を期待いたします。
まず初めに、博多湾アイランドシティにおける環境保全対策について質問いたします。
これまでのアイランドシティの埋め立てで、水質の悪化や鳥類や貝類など減少しているのではないかと危惧されている方がおられます。そこで、これまで調査された平成五、六年ごろと覆砂や御島海岸の養浜、つまり海岸を養生することですが、それらを実施された平成11年、そして、現在の3時点を比較すると、状況がどのように変化しているのか、種類数、個体数についてお示しください。
また、博多湾の水質についてですが、先日、環境局が発表されました「平成15年度ふくおかの環境」を見ますと、水環境のデータ中、博多湾8カ所の水質調査で、全窒素、全燐はすべての箇所で基準をクリアしているものの、化学的酸素要求量、CODは西部海域1カ所しか基準を満たしていませんでした。特に中部海域の状態が悪く、次いで東部海域となっています。この数値、CODは海や湖の汚染の指標として使われておりますが、博多湾では平成5年度からの数値がなかなか改善されておりません。平成15年度の博多湾の水質の現状をお示しください。また、その結果についてどう分析されていますでしょうか。さらに、改善するためには何が必要でしょうか。対策方法とあわせてお示しください。
次に、和白干潟一帯が昨年11月、国の鳥獣保護区に指定されました。これまでの県指定から国へ指定が変わるとどのような変化があるのでしょうか。また、鳥獣保護区が国へ移管するようになった経緯と、今後、国からどのような働きかけがあるのか、それを本市ではどのように対応していくのかお尋ねいたします。また、全国で環境保全運動の高まりがありますが、特にこの地域をラムサール条約に登録させてほしいとの意見があります。当局はこのラムサール条約に対してどのように考えているのか、その条約に登録したいと考えられているのかお尋ねいたします。また、条約に登録するためには、今後どのような条件が必要か。仮に今の和白干潟鳥獣保護区がラムサール条約の登録湿地となった場合、アイランドシティ整備に影響が出るのかお示しください。
次に、子供施策について質問いたします。
国の施策として、児童手当が小学3年修了までの支給や小児救急の電話相談を全国で実施するシステムなど、実現へ向け推進しております。私たち市議会公明党もかねてより、少子・高齢化社会を迎えるに当たり、次代を担う子供たちへの環境づくりと大人のかかわり方についてさまざまな形で提案し、意見を述べてまいりました。乳幼児では、家庭保育に関する問題、保育所の待機児童解消への施策、小中学校生徒たちへの取り組み、ジョブカフェを含む就労支援や奨学金を拡充し、進学の機会をふやすなど、国、県、市と連携し、成果を上げております。本市でも特筆すべき子供事業が数多く実施されておりますが、そのうち、ことし新たに拡充された施策について質問し、検証いたします。
まず、子どもプラザの実施についてです。本年度は4カ所を開設するとなっていますが、それぞれの進捗状況について、まずお尋ねいたします。特に、区に1カ所ですから、それで当初の目標である、孤立しがちな乳幼児親子を支援し、子育て不安の軽減を図り、子育てしやすい環境づくりを図るというところまではなかなか達成が難しいと考えます。そこで、地域でサポートされている子育てサロンとの連携がどのようになっているのか、あわせてお示しください。
次に、留守家庭子どもクラブについてです。学校の週休2日制実施に当たり、土曜日も留守家庭子ども会を実施してほしいとの意見が市民の方々より多数寄せられておりました。その要望を受け、公明党市議団としても毎年開設の要望を行ってまいりました。留守家庭子どもクラブができたことにより、土曜日も希望者には預かっていただける仕組みができております。特に、このクラブは留守家庭子ども会の大規模な校区や待機児童がいる校区のために、幼稚園に協力いただき事業を進めるということで本年度スタートしていますが、現在の状況をお尋ねいたします。受け入れの幼稚園側はいかがでしょうか、問題点が出ていますでしょうか、また、預けている親御さんや子供たちはどうでしょうか、お示しください。
また、過日、留守家庭子ども会のプレハブ校舎が古いところを見ました。壁面にブレース、つまり対角線上に金属の棒が筋交いとして使われていました。トイレは、これも作業現場でよく見る仮設トイレで、ここは余りにも古く汚い感じでした。このようなプレハブづくりで20年以上過ぎているのは何カ所あるのでしょうか。そして、何年で20年以上の古い施設が建てかえられるのか、お尋ねいたします。
次に、子供たちの遊び場という視点から、城南区で話題になっている冒険遊び場についてお尋ねいたします。まず、この施設の概要についてお尋ねいたします。また、今後このような遊び場ができる計画があるのでしょうか、あわせてお示しください。私が子供のころは、それこそ木登りをしたり、川に入ったりして遊んでいましたが、今はそういう遊び場が少なくなっております。自然と触れ合う場所の提供が必要な時代になっていることに一抹の寂しさを覚えますが、これも時代の趨勢です。このように自然と触れ合うことのできる遊び場づくりがこれからの公園づくりとあわせて必要だと思いますが、どのように考えておられるのかお尋ねいたします。
次に、児童の通学時の安全対策についてお尋ねいたします。本年4月27日に我が会派は、児童の安全対策について要望した署名19万3,578人分を山崎市長へ、生田教育長同席のもとお渡しいたしました。具体的な要望事項として、児童生徒に防犯ベルをぜひ貸与、配布してほしいという要望をさせていただいております。今や児童が安全に通える環境でなくなっていることは危機的なことです。この防犯ベル配布の取り組みに対し、教育委員会としての考え方をお尋ねいたします。
また、不審者情報を保護者の携帯電話メールに配信するシステムが他都市で始まっておりますが、本市ではこういったシステムに対し調査されるなど、何か行動を起こされていますでしょうか、お尋ねいたします。
また、1997年から福岡県警中央署が小中学校に対し犯罪情報をファクスするFネットを始められておりますが、情報は有効に活用されておりますでしょうか。現在の状況をお尋ねいたします。
3点目のテーマとして、小学校の新設についてお尋ねいたします。
本市における小学生の人数は昭和57年をピークに減少し続けていましたが、平成14年から増加に転じ、ことしの対象児童数は5月1日の速報値で7万3,933人になりました。過去10年間の新設校は4校あり、廃校は統合のため4校あります。新設校のうち、合併による博多小学校を除けば平成8年が最近の新設校となります。約8年間今の学校数ですが、本市において1,000人を超える大規模小学校が現在は3校になりました。そのうち内浜小学校は平成19年、新設校の開校で大規模校を解消するそうであります。残り2校ですが、那珂小学校についてはさきの3月の条例予算特別委員会において質疑がありました。私は3校目として、東区の松島小学校について教育委員会の意見を伺いたいと思います。当小学校は児童数1,047人で29学級あります。ことし3教室の増築が完成いたしました。まず初めに、特殊学級がつくれない点について指摘いたします。ことし教室が増築されたのですが、それでも教室不足のため特殊学級が設置できない状況にあります。発達教育センターに尋ねると、特殊学級の設置が必要な小学校であるが、教室が不足しているため特殊学級がつくれない。今のところ、近隣の特殊学級がある小学校にやむなく通学してもらっているとのことでした。保護者の方々も毎日の送迎が徒歩では通えないため、大変な苦労をされております。他の校区に通わなければならない特殊学級の児童を我が校区の小学校に通えるようにする手だてはないものでしょうか。ここはぜひ教育委員会にしっかり検討いただき、保護者、児童へ大きな負担をかけないよう要望いたします。
今、全国的に30人学級への取り組みが進んでいる中で、本市でも低学年の少人数学級が検討されています。大規模校では教室が幾らあっても余る状況ではないのが現実です。そこで、福岡市教育委員会ではどのくらいの学級数が適正だと考えられているのかお示しください。さらに、学校の分割に至るまでの考え方ですが、どのくらいの人数、学級数になったら調査を始めているのか示していただくとともに、増築や新築の場合、どういった専門の課、職員で検討されるのか。また、新設する場合、予算措置としては何年の計画が必要かお尋ねいたします。
以上で第1問の質問を終わります。2問目以降は自席にて行います。
◯議長(川上義之) 酒井港湾局長。
◯港湾局長(酒井勇三郎) 博多湾アイランドシティにおきます環境保全対策の御質問にお答えいたします。アイランドシティ周辺の自然環境の状況についてでございますが、平成5年、平成11年及び平成14年における鳥類の飛来状況につきましては、種類数で見ますと、それぞれ99種、92種、89種でございます。また、飛来数で見ますと、最大値といたしまして、およそ2万7,000羽、2万1,000羽、1万5,000羽となっておりますが、ウミガモ類などの減少によるものでございまして、予測の範囲内となっております。また、鳥類の重要なえさとなります底生生物の状況につきまして、和白海域において種類数で見ますと、31種、49種、43種、個体数で見ますと、5,000個体、1万2,000個体、9,000個体となっております。調査年度によります変動はございますが、自然現象によりまして左右されるものであり、予測の範囲内となっております。以上でございます。
◯議長(川上義之) 植木環境局長。
◯環境局長(植木とみ子) まず、平成15年度の博多湾の水質の調査結果でございますが、有機性汚濁の指標であります化学的酸素要求量、いわゆるCODは、西部海域の湾口部の1カ所で環境基準を達成しておりますが、その他の7地点では環境基準を超えております。また、全窒素につきましては、これまで全海域で環境基準を達成しておりましたけれども、平成15年度は東部海域で環境基準を超えております。全燐につきましては、すべての海域で環境基準を達成しております。経年的にはほぼ横ばいであると認識しております。このような博多湾の環境を改善するためには、博多湾に流入する負荷を削減したり、博多湾内での植物プランクトンの増殖を抑えるということが必要であると考えております。そのために、博多湾流域における対策として、下水道の整備であるとか、下水の燐除去の高度処理、合流式下水道の改善、さらに発生源での対策として、覆砂などの底質の改善や作れいによる海水の交換、その他関連の技術開発、調査研究及び環境保全活動の支援、促進等を実施しておりますが、下水道局におきましては、窒素除去の高度処理について検討を進めております。今後とも、庁内関係局や県との連携を図りながら着実な推進に努めてまいります。
次に、和白干潟の鳥獣保護区についてでございますが、鳥獣保護区が県の指定から国の指定に変わるのは、保護区の管理者が県知事から環境大臣に変わるだけであり、内容的には何ら変化はございません。国指定に変わった経緯ですが、国際的に見て鳥獣の保護、繁殖に重要な地区は国が指定することとなっており、和白干潟については国が平成12年に実施した調査に基づき、シギ、チドリ類の渡り鳥の中継地、越冬地として国際的に重要であるといったことの判断から、平成14年度に本市を初め、県や地元農業団体などに対して国指定に変更することについて協議があり、これら関係者の理解を図った上で、昨年、平成15年11月に和白干潟を国の鳥獣保護区に指定したところでございます。その後、国においては、鳥獣保護区の保全、管理を進めていくためには、地元の方々の理解と協力は不可欠であるということから、地元農業関係者や国、県、市等で構成します国指定和白干潟鳥獣保護区地元懇談会を設置するとともに、シンポジウム等による市民啓発に努めております。したがいまして、今後、国からは本市に対してこの懇談会やシンポジウムへの協力を求めてこられることと思いますので、本市としても積極的に国に協力してまいりたいと思っております。
ラムサール条約への登録につきましては、次の段階の国の特別鳥獣保護区になることが必要となります。まずは、現在の国指定鳥獣保護区について地域住民の方々の理解を深めることが重要で、特別保護区等は将来的な課題と考えております。なお、仮に現在の和白干潟鳥獣保護区がラムサール条約登録湿地になりました場合でも、アイランドシティは登録範囲外となりますので、直接整備などに影響が生じることはないと考えております。以上でございます。
◯議長(川上義之) 鶴川保健福祉局長。
◯保健福祉局長(鶴川 洋) 子供施策についてのお尋ねにお答えいたします。
まず、子どもプラザにつきましては、乳幼児親子がいつでも利用し、子育てに関する相談や情報交換、情報提供ができる各区の拠点として、平成16年度は中央区、南区、城南区、西区の4カ所に設置する予定であります。各区の施設につきましては、中央区は中央児童会館の一部を改修し、南区は塩原区画整理事務所跡地に整備し、城南区は区保健福祉センターで現在実施しているサロンを常設化し、また、西区は旧姪浜区画整理事務所の建物を改修することといたしており、現在整備に向けて取り組んでいるところでございます。運営の一部について、子育て支援に実績のあるボランティアグループやNPO等に委託したいと考えており、現在、城南区及び西区の子どもプラザの運営団体を募集しているところでございます。また、地域の子育てサロンとの連携につきましては、区保健福祉センターとともに校区の子育てサロンへの情報提供やサポーターの情報交換会の開催など、子育てサロンの運営が円滑に行われるよう支援を行ってまいりたいと考えております。
次に、留守家庭子どもクラブにつきましては、子ども会の大規模化に伴う待機児童の解消や時間延長、土曜開設等の保護者のニーズに対応するため、幼稚園など地域の社会資源を活用し、留守家庭子ども会事業を実施することといたしたものであります。現在の状況につきましては、5月末現在、市内5カ所の幼稚園で開設いたしておりますが、入会児童はまだ少なく、多い園で10人程度となっております。その原因といたしましては、保護者への広報開始時期が3月の予算確定後からであり、ほぼ留守家庭子ども会への入会が固まっていたことや、留守家庭子ども会が学校内にあり、なじみがあること等が考えられます。また、受け入れの幼稚園側からは特に問題等の発生についてはお聞きしておりませんが、利用者からは時間延長や土曜日などの利用ができるようになり、助かっているとの声が寄せられております。最近では、入会児童も留守家庭子どもクラブでの活動に大分なじんできていると開設園からの報告を受けております。留守家庭子ども会のプレハブ施設についてでございますが、建築後20年以上経過している施設は現在30カ所となっております。また、現在の財政状況におきましては、これらの施設は10年程度で建てかえを行っていくことと考えております。
また、城南区の冒険遊び場についてでございますが、冒険遊び場は子供たちの好奇心や欲求を大切にし、通常の公園などにあるような禁止事項は設けずに、土、木、水などを思いのままに使い、自分の責任で自由に遊ぶスペースのことで、特に施設を整備するものではありません。平成14年度から現在まで、城南区の西南の杜の湖畔公園予定地において、市民団体の方による一日冒険遊び場が5回開催されております。今後の計画といたしましては、市民団体による冒険遊び場活動を支援するため、城南区の事業として、平成16年度及び17年度にこの市民団体の取り組みを1つの試みとして、場所の確保や活動が継続してなされるための仕組みづくりなどについて都市整備局と連携し、研究してまいります。また、子供の成長にとって自然に触れ合う体験は貴重なものであり、一日冒険遊び場のような活動は子供の自主的、主体的な遊びを支援するものとして重要なものであると考えております。以上でございます。
◯議長(川上義之) 生田教育長。
◯教育長(生田征生) 通学時の児童生徒の安全対策としましては、福岡市PTA協議会との連携によります、こども110番のいえの設置や通学路の安全点検を実施するほか、状況によっては集団登下校の実施や、あるいは家庭に注意を呼びかける文書の配布を行っております。また、地域の関係団体の御協力により安全パトロールが実施をされている校区もございます。しかしながら、最近の各地での事件の発生状況を見てみますと、防犯ベルや防犯笛は通学時の児童生徒を連れ去りや性犯罪から守る有力な手だてとして考えていく必要があると認識をいたしております。
それから、携帯電話などにメールを配信するシステムにつきましては、不審者情報を迅速に提供できる、また、携帯電話加入者に同時に一斉配信ができるというメリットがあります。したがって、学校から保護者に向けた情報発信の手段として将来有力なものの1つと考えております。しかしながら、このシステムの導入に当たりましては、情報の正確さを確保することが何より大切でありまして、情報の内容を警察など関係機関に確認をする必要があります。寄せられました情報をそのまま配信をした場合、不審者扱いをされた人の人権問題になったり、あるいは性犯罪の場合、情報提供の方法によっては被害者が特定をされ、風評や、あるいは中傷など2次被害を招くおそれもあります。それからまた、このシステムがより効果を出すためには、保護者の個人情報でありますメールアドレスの提供、登録とかという意味ですが、そういう提供により多くの人に協力をしてもらい、さらに目的外の漏えい等がないように適切に管理をしていく必要があります。試行されています他都市の例でも、情報の正確性の確保と、それからシステムの適切な管理のための人的、技術的な体制を整えることが大きな課題であるというふうに聞いております。
それから、Fネットでございますが、Fネットは警察の外郭団体である防犯協会のファクシミリ専用ネットワークで、警察署管内の金融機関やコンビニ、公民館、学校など、必要なあて先に一斉に情報発信ができる機能を備えております。各学校において児童生徒の安全に関する情報をFネットから入手した場合、必要に応じて近隣校や保護者、地域と情報を共有しながら、集団下校など登下校時の安全確保に活用をいたしております。
それから、小中学校におきます適正な学級数のことについてでございます。文部科学省では、従来から普通学級数の標準は12から24として、学校施設の整備に当たっての国庫補助の運用上も31学級以上は過大規模校として分離新設や、あるいは校区調整により対応するという考えでありまして、本市におきましても、これに準じて学校整備に努めてきたところでございます。また、児童生徒数の推計につきましては、教育委員会の企画課で担当しておりまして、毎年校区ごとに幼児数や児童数、それから、住宅の開発状況などの調査を行いまして、向こう6年間の将来推計を行い、教室の増築などの必要性の有無などについて検討を行っております。また、この推計によりまして、相当期間継続して31学級以上となると見込まれる場合には、過大規模校化に対応した方策を検討することとしております。それから、分離新設の場合の予算措置ですが、移転用地の確保だとか、校舎の建設に要する期間などを見通して行うことになります。以上でございます。
◯議長(川上義之) 山口剛司議員。
◯19番(山口剛司) それでは、第2問目の質問に入ります。
先ほどの答弁で、博多湾の野生生物が極端に減少していないことに、まずは安心いたしました。アイランドシティには野鳥公園を整備する計画ですが、この計画の概要が進展していましたらお示しいただきたいと思います。
また、海域の水質の浄化についてですが、基準値を達成していない今の状態では、いずれ貝類等が死滅し、さらに、それらのえさがなくなると野鳥の姿も見れなくなることが危惧されます。これまで以上の対策が必要です。福岡市だけでなく、河川流域の市町村とも広域の協議会を設立し、環境基準をクリアできる数値の目標を設定して排水対策をつくることが重要と考えますが、当局の意見を伺いたいと思います。
日本で最初にラムサール条約に登録したのが北海道の釧路湿原でした。その後、皆様御存じのとおり、国立公園に認定され、国の自然再生推進法による保全活動を実施されております。先日、釧路を訪問し、行政担当の方とNPOで釧路湿原案内ボランティアをされている方に話を伺ってまいりました。この地域では、かつて水害対策のため、曲がりくねっていた川を直線にする工事が行われていました。また、湿地を酪農などができるよう改善を始めた結果、そこに生息する植物が死滅していき、さらに魚や鳥、動物等にも影響が出始めてきました。特にタンチョウヅルの減少が激しく、絶滅のおそれが出てきたのです。タンチョウヅルは大正時代末期に、これまで絶滅したと思われていたのが10数羽確認され、昭和に入り、湿原の2,700ヘクタールが繁殖地と指定されました。この湿原のツルは、いわゆる渡りをしないため年じゅうこの湿原で生息しています。1つのつがいは、数ヘクタールの範囲を縄張りとして必要としており、えさをとったり、ひなを外敵から守ったり、そういった適地が必要とされております。その後、昭和40年代に5,012ヘクタールに拡大した地域を釧路湿原との名称で天然記念物に指定されました。しかし、この地域が保護の網にかかっていないため、高度経済成長期のさまざまな改修により個体の減少が進んだということがその一因として考えられております。今、地域のNPO団体を初め、行政との取り組みで、動物に対し冬季のえさ場を確保するなど、自然の状態で生息できるように対策をとられております。その結果、ツルは現在900羽まで確認されるようになりました。自然の復元力と生態系の微妙な均衡を監視し、維持管理することで他の動植物も功を奏してきたということです。釧路湿原はその後、開発と自然を共生させようとの意見が出始めて、湿原関係の1市5町1村と国と北海道で、釧路国際ウェットランドセンターを設立しました。このセンターで調査から公園の管理、エコツアー研修や国際協力の推進等を論議し、実行されております。
福岡市の和白干潟は、規模として100ヘクタールに満たないものの、渡り鳥や水生生物など貴重な個体も見受けられます。現在、開発等によって損なわれた自然はないという御報告ですが、今後どのように保全、維持管理するかは重要な課題であります。干潟生物の活性化のため、砂地に酸素を送ってどのように変わるかという実験を職員の方とボランティアの方々が干潟を耕す作業を月に1度実施されております。私はこのように和白干潟を保全するという運動が行われていることは大事なことと思います。さらに、これからは悪くならないようにするだけでなく、人と共生できる、すなわちビオトープの発想が必要と考えます。また、その推進のやり方として、国が自然再生推進法を制定しております。この法律は、まず自然再生協議会を立ち上げ、将来どうあるべきかという構想を策定します。そして、事業計画をつくり実施するという流れですが、本市でも使えるのではないかと考えますが、御所見を伺います。
これからの和白干潟と野鳥公園は、これらの地域一帯あわせて、福岡ならではの安らぎの一角として、さらには観光の名所として整備していくのが将来にわたり財産になるのではないかと考えますが、御所見を伺います。また、野鳥公園の近くにNPO団体の活動の拠点として調査や観察ができる施設、観光客も訪れることができるセンターなどを用意したらいかがかと提案いたしますが、御所見を伺います。
次に、子供施策についてお尋ねいたします。
子どもプラザですが、まだ開設できていないところがあるので評価するには早いのですが、本年度確実に実行の成果があらわれることを期待いたします。そこで、1問目で尋ねました地域の子育てサロンですが、それぞれの公民館で活動されており、その情報はその公民館の地域しかわかりません。ぜひ隣の区域とか情報が伝わるよう連携を福祉センターの指導でできないものでしょうか、お尋ねいたします。
留守家庭子どもクラブについては、留守家庭子ども会との連携が不可欠です。本年は子ども会の人数が9,519人に達しております。100人以上の子ども会が12カ所あります。本年、子どもクラブを設置していただいている5つの幼稚園は使命感で協力いただいております。開設されている幼稚園では幼稚園の負担がかさむと言われております。この解消のため、本市として1つの園に対して補助の増額と、また総額の予算として、せめて各区に二、三カ所は新規開設できるようふやしていただけないものでしょうか、お尋ねいたします。
留守家庭子ども会の古いプレハブですが、早急に計画を練り直し、建てかえを促進していただきたいと強く要望いたします。子供たちがかわいそうではありませんか。先ほどの答弁で10年ということですが、私としましては、少なくとも5年以内には20年以上たつプレハブがないよう改善していただきたい、当局の決意をお聞かせください。
また、1問目で冒険遊び場的な公園についてお尋ねいたしました。これには都市整備局に公園のつくり方を伺わなければなりませんが、詳細は次の機会に質問することとしまして、これからの公園づくりという視点から、都市整備局にぜひ検討をお願いしたいと要望いたします。
次に、児童の通学時の安全対策です。防犯ベルの貸与、配布については、署名を受けて実施に踏み切った自治体も相次いでいます。杉並区危機管理対策課では、5歳から15歳までの子供たち全員に防犯ベルを配るのは全国でも例がないと思う。杉並区内にいる子供たちは全員が防犯ベルを持っているということが犯罪への大きな抑止力になるはずとして実施されています。このほか、配布の対象や方法は異なるものの、全国の自治体で防犯ベルを子供たちに配る動きが活発化しています。ちなみに、東京23区では半数以上の区が既に配布を実施、または決定しています。それ以外のほとんどの区も、現在検討中とし、配布予定がないとしているのはわずか数区だけとなっているのです。政令市である千葉市は、本年早々と全小中学校、養護学校の児童生徒7万1,000人に防犯ベルを配布いたしました。愛媛県では、本年度中に24市町で貸与や配布を実施すると決めております。本市でも実行のときが来ていると考えますが、御所見を伺います。
不審者情報の連絡については、携帯電話メールに配信するシステムを実験することからスタートしていただきたいのですが、御所見を伺います。
小学校の特殊学級の設置についてですが、対象児童数を超えれば必ず設置していただきたいと教育委員会にお願いいたします。1人1人の子供たちの将来のため、今我々ができることをしっかり取り組みたいと思います。
さて、新設校についてですが、将来の見込み児童数が重要なことがわかります。松島小校区では今もマンション建設が進んでおり、2年以内に5棟が新築されます。入居が済んでからの調査では遅きに失します。これまで本市では、児童数がオーバーし、教室が不足した場合、プレハブ等で臨時教室をつくってきましたが、そこで勉強し、卒業する子供たちは学校生活の思い出がプレハブ校舎なんて本当にかわいそうなものです。福岡市の財政が厳しい状況であることは承知いたしておりますが、片やアイランドシティに国際理解を教育活動の柱とする小中学校の建設を検討するなどと新聞報道されております。今、大規模校で現実に教室不足で悩んでいる地域は、このような報道があるとたまりません。住民の方々から御批判の意見が入ってきております。新設校の場合、小学校用地としては5,000坪要ると聞いておりますが、最近の例では新規に土地を買うと2ヘクタールで概算二、三十億円、建設費用で十五、六億円かかっております。単年度の予算措置で済む話ではありません。校区単位で、ここの校区はこの人数まで増加すると新設するとか、今の小学校の近隣の土地を買収して校舎を建てるといった具体的な方策を示していただきたいと考えますが、御所見を伺います。
以上で2問目の質問を終わります。
◯議長(川上義之) 酒井港湾局長。
◯港湾局長(酒井勇三郎) アイランドシティにおきます野鳥公園整備についてお答えいたします。野鳥公園につきましては、エコパークゾーン整備基本計画の中で位置づけられておるところでございますが、その整備に当たっては、本年度から各分野の専門家や市民の方などで構成いたします委員会を設置いたしまして、平成17年度を目途に基本構想の策定を行っていくこととしております。基本構想の検討に当たりましては、ワークショップやシンポジウムなどの場を設け、広く市民の意見や提案を受け、エコパークゾーンの中核的な施設としてふさわしい整備となるように努めてまいりたいと考えております。
次に、和白干潟や野鳥公園の整備のあり方についてのお尋ねでございますが、和白干潟や野鳥公園は港湾計画上、エコパークゾーンのエリアとしております。エコパークゾーンは人と自然と都市の共生を図る空間として、自然環境の質的向上を目指し整備を進めるものとしております。渡り鳥や水生生物などの観察、また、自然海岸や親水空間での体験など、都市の中でのこのような自然は市民にとって貴重な安らぎの空間であり、学習の場としても重要でございます。このため、野鳥公園を初めとするエコパークゾーンの整備に当たりましては、市民や本市を訪れる多くの方々が親しむことができるようなものをつくってまいりたいと考えております。また、NPO団体の活動の拠点となる施設などについてでございますが、地域に根差したNPO団体の情報交換の場や子供たちの自然観察などの場づくりも不可欠であると考えております。このことにつきましても、野鳥公園基本構想検討委員会の意見を聞きながら検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
◯議長(川上義之) 植木環境局長。
◯環境局長(植木とみ子) 博多湾流域における排水対策についてでございますが、博多湾には流域の16市町村からの流入があり、議員御指摘のとおり、本市の対策のみでは博多湾の保全は十分ではございません。福岡市では博多湾水質保全計画におきまして、環境基準点等の維持、達成に努めることを目標に掲げており、この達成に向け、県及び流域市町村と連携し施策を推進しております。まず、県におきましては、流域別下水道整備総合計画に基づいて流域関連の下水道の整備を着実に進めるとともに、平成15年度に福岡地域公害防止計画を策定し、この中で海域のCODに係る水質汚濁の防止を図ることを特に重点的な課題の1つとして掲げております。また、現在、福岡都市圏広域行政推進協議会や福岡都市圏環境行政推進協議会におきまして、生活排水対策に関する普及啓発を実施しているところであり、今後ともこれらの協議会において流域市町村と連携をしてまいりたいと考えております。
次に、自然再生推進法を活用した和白干潟の保全についてでございますが、議員御紹介していただきましたように、和白干潟を再生するための市民レベルでの取り組みが進んできておりまして、環境局の職員も月1回は干潟に出向いてボランティア活動を行っております。このような動きが広まり、市民レベルで干潟を愛する心が高まってきてほしいと考えているわけです。自然再生推進法に基づく自然再生事業は、過去に損なわれた自然環境を取り戻すことを目的として、関係行政機関、地方公共団体、地域住民、NPO、専門家等の地域の多様な主体が連携して取り組むものでございます。和白干潟の保全に関する活用については各局連携し、市民との共働の中でそのつながりをますます深めながら検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
◯議長(川上義之) 鶴川保健福祉局長。
◯保健福祉局長(鶴川 洋) まず、子育てサロンの情報についてでございますが、各区の情報を保健福祉センターで集約し、市のホームページに掲載するとともに、保健福祉センターや公民館等において随時周知に努めております。また、サロンの運営に携わる子育てサポーターが区の中のサロンの状況について情報を共有し、課題を解決していくための交流会や研修会を保健福祉センターと市民センターが連携して実施しており、今後ともさらに情報の共有に努めてまいりたいと考えております。
次に、留守家庭子どもクラブにつきましては、大規模子ども会の待機児等の受け皿として今後も幼稚園等と協議し、可能なところから開設してまいりたいと考えております。運営委託料の増額につきましては、今年度の子どもクラブの運営状況等を見ながら、できるだけ広く制度の利用が図られるよう検討してまいりたいと考えております。また、留守家庭子ども会の古いプレハブ施設につきましては、市としても課題があると認識しております。今後とも入会児童の安全面や施設面に配慮し、空き教室の活用など、幅広い観点からの対応も検討しながら、施設整備の充実について鋭意検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
◯議長(川上義之) 生田教育長。
◯教育長(生田征生) 防犯ベルなどについてでありますが、本年4月に民間会社から福岡県青少年健全育成対策推進本部を通じまして防犯笛の寄贈を受けましたので、新1年生全員に配布をいたしております。また、校区によりましては、PTAや自治協議会から防犯ベルや防犯笛の配布がなされているといった例もございますので、今後、防犯ベルなどの導入の方法などについて検討する必要があると考えております。
それから、携帯電話へのメール配信システムの導入に当たりましては、先ほど述べましたような課題がございます。また現在、本市では学校教育情報ネットワークとして各学校でインターネットへの接続をしておりますので、この既存のシステムを活用する情報発信の方法について、技術的、経費的な研究も進めたいと考えております。そのため、当面他都市におけるメール配信システムの運用状況も参考にしながら、メール配信システム実施の前提条件となるいろいろな課題について、今後とも積極的に研究を進めてまいりたいと考えております。
それから、学校の過大規模化への対応の具体的な方策についてでございますが、児童数の増加に伴う教室の不足すると見込まれる期間などの状況によりまして、プレハブ教室の設置や教室の増築を行ってきております。それからまた、相当の期間継続して31学級以上となると見込まれる場合には、隣接する学校の児童生徒数の動向、将来推計、校舎の改築計画の状況など、多様な面から検討をすることとなります。なお、お尋ねの松島小学校につきましては、昨年実施をしました将来推計によりますと、6年後の平成21年度に31学級に達するものと見込んでおりましたが、議員御指摘のように、予想していました以上に住宅開発の進展という要素もありますので、今後、より精密に推計を行ってまいる必要があると考えているところであります。以上です。
◯議長(川上義之) 山口剛司議員。
◯19番(山口剛司) 博多湾アイランドシティにおける環境保全対策についてですが、さまざまな形で学識経験者や市民の意見を幅広く集約し、ラムサール条約に登録するという目標を持って、ぜひ国指定の特別保護区につなげていただきたいと考えます。国の自然再生推進法を活用してはと考えますが、御所見を伺います。
環境保全対策は市民の生活に密接につながっていることですから、開発と保全の両輪でアイランドシティ事業の成功に結びつけていきたい。福岡市の一大観光名所にも育てていければと考えますが、市長の御所見を伺います。
また、子供施策においては、将来の福岡市を担っていく、もっと言えば、日本の将来を担う子供たちに安全で安心な施策を行うことは重要なことと考えます。子どもプラザや留守家庭子どもクラブは年を重ねるたびにますます充実させていっていただきたい。留守家庭子ども会のプレハブについては、先ほど局長の答弁にもありましたように、耐用年数が過ぎても使用したりしているのですから、事業予算を減らさずにしっかり推進していただきたい。本質的にはプレハブづくりではなく、しっかりした校舎が必要と考えますが、御所見を伺います。
ことし4月27日、山崎市長は、子供の安全確保は大事。警備保障会社と契約して小学校の外周りを警備してもらうとか、防犯ベルの助成が考えられないか前向きに研究したいと、署名をお渡しした際に答えられました。防犯対策として、他都市において防犯ベルが配布されたと連日報道されております。先ほど防犯笛の話がありましたが、犯罪に巻き込まれそうになったとき、子供たちにとって最も効果的に使用できるのは防犯ベルです。福岡市においても遅きに失することがないよう早急に防犯ベル配布を実施していただきたいと考えます。もし一度に全小中学生に実施できないのであれば、まず、小学1、2年生と、女子中学生で部活のため帰りが遅くなる生徒に支給するなど、段階的にでも実施できないでしょうか。重要性を理解していただいている山崎市長の御決断を伺いたい。
また、小学校の新設については、市としても大きな財源が必要なことから、ぜひ今後の実施計画を踏まえ検討を始めていただきたいと要望します。特に、学校建設や運営のための基金の創設も考えてはいかがでしょうか。山崎市長の御所見を伺い、私の質問を終わります。ありがとうございました。
◯議長(川上義之) 山崎市長。
◯市長(山崎広太郎) 和白干潟の問題でございますけれども、アイランドシティ事業は、私どもは環境との共生、環境と共生できるということを最大のテーマにいたしておりますので、今日の国の普通地区から、さらに特別保護区、そしてラムサール条約指定、こういう流れということを認識して取り組んでいきたいと、このように考えておるところでございます。
それから、防犯ベルの問題は何度もおただしでございまして、平畑議員からも御指摘いただきましたように、今後教育委員会と相談して検討させていただきたいと、このように思っております。
それから、新設校の問題ですが、全体的には児童数がピーク時と比べると7割になっておると。ただ、地域で差が出ておると。非常に空き教室がふえている学校もある一方で児童数がふえておるという地域もあると、こういうことでございまして、総合的にやはり検討していくことが大事だと、このように考えておるところでございます。それから、多額の財源を必要としておりまして、この確保については議員御指摘の件についても研究をしてまいりたいと考えております。