2004.03.26:平成16年第1回定例会
◯19番(山口剛司)登壇 私は、公明党福岡市議団を代表して、本会議に上程されている平成16年度一般会計、特別会計、及び企業会計の予算議案、条例案並びに関係諸議案については、原案に賛成の意を表し、討論を行います。
まず、行財政改革についてです。
平成16年度予算編成は、長引く景気低迷や国の一方的な地方交付税や国庫補助金などの大幅削減によって、極めて厳しいやりくりを強いられることとなりました。新年度については、各種基金の取り崩しによって、何とかしのぐ形になったものの、平成17年度以降は、国の三位一体改革の動向いかんによっては、さらに大幅な縮減を強いられることになることが予想されるだけに、これまで以上の徹底した行財政改革が求められます。
将来の税源涵養に結びつく地域経済の活性化に取り組むことは当然として、公共事業のコスト縮減を初めとする経常経費の徹底した削減、各種補助金の整理、合理化、外郭団体の統廃合、企業会計や特別会計の経営改革の推進、PFI事業の積極的活用等々に、これまで以上の熱意で取り組まれることを、まず求めておきます。
次に、電子市役所の構築についても、平成17年8月からスタートする電子入札を初め、インターネットによる各種証明書の交付申請など幾つかの事業が平成18年度開始をめどに進められていますが、市民サービスのなお一層の向上のため、さらに意欲的な取り組みを要望します。なお、IT化に伴う個人情報の保護など安全管理についても、積極的な取り組みを求めます。
次に、地域コミュニティーの自律経営を目指して展開される各校区における自治協議会の発足については、地域の住民の理解と納得のもとに進めることが重要であります。このため、拙速に陥ることなく、できる限り多くの地域団体や住民が参加できるよう、徹底した話し合いと自治協議会立ち上げの支援強化を要望しておきます。
また、新年度に発足するNPO・ボランティア支援基金については、我が会派も早くから提唱していたものであり、早期創設と基金の充実を求めておきます。
次に、教育問題についてです。
真に子供のための心豊かな人間成長を実現するため、創造性をはぐくむ教育、外国語、国際理解、人権、情報、環境教育など、新たな時代の要請に対応した教育を積極的に推進するよう求めます。また、特色ある教育のため、少人数学級、通学区域の弾力化、2学期制の導入、中高一貫教育の実現等に取り組んでいただきたいと思います。
特別支援教育については、障害の重度重複化を踏まえ、医療的支援体制の充実、また、普通教室における特別な教育的配慮を必要とする子供に対する支援策についても取り組まれるよう要望いたします。いじめ、不登校の解決へ向けて、スクールカウンセラーや心の教室相談員を積極的に活用するとともに、教育相談体制の強化に努めていただくよう要望します。また、教師の資質向上及び指導力の向上のための取り組みを強く求めます。読書活動を推進するため、朝の読書運動や読み聞かせ運動の推進、学校図書館への司書配置の充実や学校図書館ボランティアの育成に努めていただきたいと思います。開かれた学校づくりのため、学校サポーター会議の充実並びに学校評議会の設置を要望いたします。生涯学習の推進については、公民館の整備、機能強化を図り、大学や地域、NPOなどとの連携、交流の促進を求めます。
次に、児童生徒の安全対策については、学校の安全管理体制の総点検、見直しを行い、防犯監視システム、門、フェンスの設置などの整備を行うとともに、学校独自の防犯マニュアルの策定を求めておきます。また、子供の登下校や外出の際に高齢者に協力していただき、散歩をしながら子供たちを見守ってもらうなど、地域ぐるみの取り組みを強く要望します。
文化芸術の振興については、音楽・演劇練習場や地域の文化芸術施設の整備を進め、地域文化の指導者や後継者、若手芸術家の育成、並びに未来を担う子供たちが本物の文化芸術に触れる機会を充実していただきたいと思います。また、文化芸術振興条例の早急な制定を求めます。
スポーツの振興については、市民が気軽に利用できる運動広場の整備やスポーツリーダーの育成を図るとともに、総合型地域スポーツクラブの創設についても要望いたします。
次に、次世代育成支援対策の推進についてです。
企業を初め地方公共団体は平成16年度末までに行動計画を策定し、平成17年4月1日以降速やかに届け出なければならないとされています。地方公共団体の行動計画には、1、地域での子育て支援、2、母子の健康確保、3、教育環境の整備、4、子育て家庭に適した居住環境の確保、5、職業と家庭の両立などの施策が盛り込まれるようであります。次世代育成支援の効果が最大に発揮できる行動計画を策定されますよう要望いたします。
本市では、子供が生き生きと育つ環境づくりとして、子育て交流サロンや子どもプラザなどの施策を実施いたしますが、地域全体で子供をはぐくんでいけるよう、きめ細やかな取り組みを要望いたします。放課後の遊び場づくり事業や留守家庭子ども会事業、留守家庭子どもクラブについては、市民が喜んで利用できるよう市民本位の施策の展開を強く要望いたします。
障害者の自立と社会参加については、ホームヘルプサービス等の在宅福祉の充実、さらには、知的障害者のグループホームや地域生活センターの設置等、障害者の地域での生活を支援する各種施策の積極的な取り組みを強く要望いたします。
介護保険については、安心して介護が受けられる体制づくりの観点から、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設などの施設基盤整備の前倒しや、施設介護サービスを補完するケアハウスや高齢者グループホームの設置など、介護基盤の早期整備を要望いたします。介護保険利用料の1割負担については、支払いが困難で十分なサービスの提供が受けられないとの訴えもあり、支払いが困難な利用者に対して減免制度を早急に導入されますよう要望いたします。
高齢者虐待については、生命の危機に及ぶこともあり、本市調査に基づいて早急なセーフティーネットの整備を要望いたします。
次に、アイランドシティ整備事業についてです。
今や全部局が何らかのかかわりを持って推進する事業となってきました。まちづくりの初期段階にある現在、計画の見直しを迫られるなど情勢の変化は大であります。まさに市民の幅広い意見を伺いながら、行政、議会で知恵を出し合う必要があります。当局におかれましては、ぜひ情報開示を進めていただきたい。これまでのように計画が新聞発表されて初めて議会が事実を知るということでは、何をかいわんやです。情報開示について強く要望いたします。野鳥公園やエコパークゾーンと和白干潟についてですが、これまで我が会派は一貫して野鳥の保護と干潟の保全に対し発言しております。特に和白干潟は昨年11月、国設鳥獣保護区に認定されており、今後国の自然再生推進法に決められた整備事業も活用し、ラムサール条約に登録することを視野に入れながら整備を図るべきであると要望いたします。
次に、中小企業対策についてです。
景況感も中央では徐々に良くなってきているとはいえ、本市の事業者ではいまだ好転の気配が見えておりません。本年も商工金融資金として822億円余の予算を出されています。しかし、審査等の段階でこの融資の条件を満たせなくて受けられないケースが出ております。厳正に対処することが重要であることは論をまちませんが、可能な限り条件の緩和を実行していただき、借りかえを含め融資の実行をしていただきたいと要望いたします。雇用問題については若者の就職率の低下が深刻な問題になっております。中高年層の就職も大きな問題です。これまで雇用対策は国と県で対策をとっていたところを本市でも予算をつけ積極的に取り組むことは大いに評価できます。就職率の向上のため実のある成果が出せるよう求めます。
農林水産業についてですが、本市の食糧自給率が下がっております。生産農地の減少に加え、人口が増加しているため前年より毎年減少しています。農業従事者の高齢化と減少も深刻な問題です。本市農林業水産業総合計画の実行で振興を図っていただくことを要望いたします。
次に、良好な住宅、住環境づくりについてです。
公営住宅については、高齢者や障害者が安心して住めるように、バリアフリー化や福祉施策との連携を図るよう要望します。また、PFIなどによる民間活力の導入を図り、建てかえや全面的改善などによってストックを有効に活用し、効率的な整備を推進するよう要望します。あわせて、民間事業者などによる優良なファミリー向け住宅などへの支援、誘導を図り、多様なライフスタイルに応じた住宅供給の促進を図っていただきたい。
民間共同住宅については、適切な維持、管理などの啓発を進めるとともに、分譲マンション建てかえへの支援を推進していただきたいと思います。
次に、人と環境に優しい総合交通体系を整えていくために、公共交通のネットワークを強化し、車から、鉄道やバスなど公共交通機関や自転車への利用転換を図るとともに、パーク・アンド・ライド、時差出勤・通学の促進など、交通マネジメントを推進していく必要があります。公共交通ネットワークの強化並びに交通マネジメント推進を強く要望しておきます。
特に、鉄道駅などを中心として、駅施設や車両、周辺道路などにおけるバリアフリー化を促進し、安全で円滑な移動の確保を図るよう求めます。
平成17年2月開業予定の3号線については、1・2号線との結節は利便性や採算性の上から不可欠であり、築港、博多駅方面の延伸計画に早急に取り組まれるよう要望します。また、3号線沿線のまちづくりと集客対策を兼ねて、特に、橋本、野芥、福大、六本松などの拠点駅においては駅前広場や自転車駐輪場の整備など交通結節機能の強化を図るとともに、近辺住宅街を結ぶ循環バスの導入についても早期に取り組んでいただきたいと要望します。
次に、福岡市高速鉄道事業会計ですが、高金利債の借りかえ促進や駅業務の委託など、総事業費の圧縮に引き続き努力していただくとともに、新長期収支計画で想定している予定乗車人員を確保できるよう、関係各局との協議を強力に推進するよう要望いたします。
次に、最も手軽で、環境に優しい交通手段である自転車の活用についてです。駐輪場の設置や、迷惑駐輪対策はかなり進んでまいりましたが、自転車走行空間の確保は遅々として進んでおりません。サイクル・アンド・ライドの視点から住宅地と鉄道駅までを結ぶ自転車走行空間の確保、また自然環境の豊かな地域や文化、観光施設の多い区域での自転車走行空間の形成など、その整備が急務です。重点地域を決め、早急に対処することを強く望みます。なお、好評の天神駐輪場における3時間以内の無料を本格実施し、市内の全駐輪場にも適用するよう提案いたします。
次に、九州大学の移転についてです。
移転先の西部地域や箱崎、六本松の移転跡地のまちづくりに取り組むとともに、移転計画と工事の進捗状況については、市のホームページやメディアなどをさらに活用して、市民に具体的に、タイムリーに公表していくよう要望いたします。
次に、環境問題についてです。
地球環境対策としての交通マネジメントの推進は喫緊の課題です。ノーマイカー市民運動に本腰を入れて取り組むとともに、マイカーから公共交通機関へのシフトを促進する効果的な施策を、広く市民にアピールすることが重要と考えます。循環型社会の構築に向けて、新たなごみ処理基本計画で、ごみの排出抑制目標やリサイクル目標を示し、目標を達成することができる、実効性のある行動計画を早急に明らかにするよう要望いたします。また、ごみ処理有料化の議論がなされておりますが、福岡市のごみ行政はどうあるべきか、1人1人が考え判断できるよう、校区説明会等で必要な情報を十分に開示することを要望いたします。
次に、浸水対策事業についてですが、博多駅周辺を三たび浸水させない対策として、山王公園での雨水調整池新設のほか、3万トン規模の雨水貯留管の整備など、1999年の6.29水害並みの集中豪雨に耐えられる対策、いわゆるレインボープランを策定しました。総事業費300億円、主要施設を5年間で整備、全体の完成を8年としていますが、主要施策の完成を少なくとも二、三年程度短縮するなど、市民の不安解消に全力を尽くすよう強く要望いたします。また、河川や治水池が、市民に潤いや親しみを感じさせる貴重な資源となっていますので、整備に当たっては本来の自然を損なうことなく、住民の意見を入れた水辺環境にするよう要望しておきます。
次に、人に優しい安全で快適な生活道路や側溝の整備についてです。地域住民と身近にかかわり合う場所が、歩道や側溝であります。最近では老朽化や高齢化、地域環境の変化などにより、安全性、快適性が失われてきております。これらの維持管理、補修については十分に予算計上し、最重点事項として取り組まれますよう特に申し上げておきます。
次に、水道事業について申し述べます。
鉛製給水管取替事業ですが、水道水における鉛の水道基準はリットル0.05ミリグラム以下から平成15年4月に0.01ミリグラム以下に強化されております。このため水道局では、漏水発生給水管取替事業及び配水管整備事業とあわせ年間約2,000戸の取りかえを推進しております。本市で平成14年度末、約7万戸に鉛製給水管が使用されているということです。当局におかれましては、市民の生命、健康を守り、安心、安全な水の供給を図られるよう、鉛製給水管取替事業については、より一層の積極的な取り組みを要望いたします。
次に、水道用資機材の調達方式の変更についてです。
これまで当局が購入し請負工事業者へ支給する支給材料制度を基本としてきましたが、口径300ミリ以下の水道用資機材について、一部を除き請負工事業者が直接購入する請負材料制度へ変更することになっています。地元中小業者からは、これまでよりも材料費が高くなるのではないかとの心配の声が上がっております。制度の変更により請負工事業者に新たな負担がかからないよう、今後の取り組みについて意見を申し上げます。
最後に、水道事業財政収支計画についてです。
平成16年度に策定作業が行われますが、当局はこれまで財政健全化として高金利の企業債の借りかえや企業債発行の抑制、事務事業の見直しなどにより、大幅な経費節減に取り組まれております。しかし、料金収入の減収傾向に加え、渇水時の減収に対する一般会計からの補助金が16年度に終了することなどにより、今後、財政状況は厳しくなると考えます。17年度から実施される水道事業財政収支計画については、機会あるたびに水道料金を抑制されるよう意見を申し上げてきたところでありますが、今後とも経費の節減や経営効率化に努められ、現行料金をできるだけ長く維持されますよう要望いたします。さらに、下水道会計におきましても、市当局は有識者の検討委員会の提言を受け、17年4月をめどに下水道料金を値上げするとしていますが、市民負担を極力抑制するよう強く要請いたします。
以上、我が党の意見要望を述べてまいりましたが、市民の皆様とともに市民の皆様のためにということを根本に据えて、山崎市長を初め職員の皆様には使命感にあふれた市政の運営に取り組んでいかれますよう希望いたしまして、公明党福岡市議団の賛成討論を終わります。